『Intertwined Destiny 』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:孵らぬ卵                

123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
 序 
 
 遠雷が聞こえる—————
彼方で鳴る音は何故か腹に無性に響いた。
彼はベッドから身を起こし窓から北の空を見た。
雷音に眠りを遮られ目を開くと、
同時に北に気を向けることが習慣になっていた。
四年の間、一度たりと止むことのない鈍く低い音は、
やはり、四年間、北より他から聞こえて来る事が無かった。
白けた空に暁みが射し、闇が退こうとしているにも拘らず、
雷鳴の轟く空のみは空間が切り取られた如く黒いままだった。
朝を告げる鳥の囀りと、遠雷は不釣合いであったが、
彼に違和感をなくさせるのに、四年という歳月は十分すぎた。
北国ブルティシア——————
円状に広がるこの世界唯一の大陸ラウンドグローヴ四国のうち、
北端位置するこの国は、寒さのために穀物は育たず、
また、特別な鉱石を採掘出来る訳でもなかった。
が、北国国内では比較的大人しい獣が数多く生息しており、
古くからそれらを飼い馴らすことで、国を成り立たせていた。
ラウンドグローヴの主流な移動手段である乗獣、
戦闘に用いる戦獣、人間の仕事を補う労獣。
他三国ではそれら獣家畜重宝していた為、売るに出すと、
大層な値が附いた。その事あって北国は、土地痩せの割り豊だった。
と云ってもそれは四半世紀前までのことであり、
三十年前に即位したブルート9世が、錬金術を基に獣の合成や、
異種同士の交配などの遺伝子学の研究を重ねた結果、
更なる能力を兼ね備えた合成獣—キマイラ—を造る事に成功した。
殊に二足歩行の戦獣は、今までに無い戦闘能力と、そして何より
高い知能を有していたため、各国が軍備に起用した。
これらでブルティシアは莫大な富を築き上げたが、それと同時に、
不穏な噂が流れ始めた。最初はこれを誰もが北国に対する羨みと妬みが
生んだ虚言だと信じていたが。二年、三年の経過と共にその黒い噂が、
真実だということを悟った。
二足歩行の合成戦獣は、今まで人間が飼い馴らすことの出来なかった
害獣と人間とのキマイラであるという噂。
各国の軍備合成戦獣が人間を喰らい始めたのだった—————。

2004/04/11(Sun)12:22:26 公開 / 孵らぬ卵
■この作品の著作権は孵らぬ卵さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初投稿です。はじめまして。
趣味丸出しのファンタジー系小説で、
プロローグというのか・・・・・
やたら設定説明が多いですが、
よかったら感想の程宜しくお願い
いたします。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。