『夜勤』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:柳                

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「スミマセン。落し物なんですけれど」
夜の交番。
暖かそうなマフラーをした女の子が、おずおずと入ってきた。
「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
私は書きかけの報告書を机の上に放り投げて、
女の子に近寄り椅子をすすめた。
「えーと?何を拾ったのかな?」
緊張している様子の女の子に優しく尋ねる。
「あ。これ」
女の子が差し出したのは、年季の入ったくまのぬいぐるみだった。
「これ?」
「はい」
内心私はため息をついた。
今日は泊まりの勤務である。
しかも、まだ右も左も分からないような新人が、
当直を決めたので、私は泊まりプラスの日勤。
つまり、1日、朝から次の日の朝まで働きそれから、
その日の夕方までの勤務である。
なるべくなら、仕事をしたくない。
体力を温存したい。なんせもう年だ。
しかも、ぬいぐるみなんて物は持ち主が特定できない。
仮に持ち主が出てきたところで、証拠が無いなら
こちらとしてはどうする事もできない。
つまるところ、この女の子は私に数枚書かねばならない書類を
増やすためにここまで来たようなものだった。
(まあ。この子には彼女なりの善意もあるのだろうが)
そう思い丁度、女のこに当時の状況を聞こうとしたそのとき、
どう見ても40過ぎとしか見えない女性が入ってきていった。
「ここにくまのぬいぐるみがとどいていませんか」
私は少女から受け取ったぬいぐるみをそのまま掲げ
「これですか」
と聞いた。
40過ぎのオバサンは歓喜に満ちた表情でこれよこれよと
連呼している。
変わったオバサンだな。
そうおもい、私は聞いた。
「すみませんがこれがあなたのものだと特定できると言う
 証拠はありますか?」
こんなオバサンがそんなもの持っているわけは無いな、とおもって聞いたが
その予想はよう方向に裏切られた。
「あ、ああ。これでどうですか」
オバサンは、私に一枚の写真を見せた。
それにはオバサンと彼女が持っているくまが
並んでうつっていた。


2003/11/12(Wed)20:26:52 公開 /
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■作者からのメッセージ
初めてで未熟者です。
右も左も分かりませんがよろしくお願い
します。

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