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『夜勤』 作者:柳 / 未分類 未分類
全角808文字
容量1616 bytes
原稿用紙約3.2枚

「スミマセン。落し物なんですけれど」
夜の交番。
暖かそうなマフラーをした女の子が、おずおずと入ってきた。
「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
私は書きかけの報告書を机の上に放り投げて、
女の子に近寄り椅子をすすめた。
「えーと?何を拾ったのかな?」
緊張している様子の女の子に優しく尋ねる。
「あ。これ」
女の子が差し出したのは、年季の入ったくまのぬいぐるみだった。
「これ?」
「はい」
内心私はため息をついた。
今日は泊まりの勤務である。
しかも、まだ右も左も分からないような新人が、
当直を決めたので、私は泊まりプラスの日勤。
つまり、1日、朝から次の日の朝まで働きそれから、
その日の夕方までの勤務である。
なるべくなら、仕事をしたくない。
体力を温存したい。なんせもう年だ。
しかも、ぬいぐるみなんて物は持ち主が特定できない。
仮に持ち主が出てきたところで、証拠が無いなら
こちらとしてはどうする事もできない。
つまるところ、この女の子は私に数枚書かねばならない書類を
増やすためにここまで来たようなものだった。
(まあ。この子には彼女なりの善意もあるのだろうが)
そう思い丁度、女のこに当時の状況を聞こうとしたそのとき、
どう見ても40過ぎとしか見えない女性が入ってきていった。
「ここにくまのぬいぐるみがとどいていませんか」
私は少女から受け取ったぬいぐるみをそのまま掲げ
「これですか」
と聞いた。
40過ぎのオバサンは歓喜に満ちた表情でこれよこれよと
連呼している。
変わったオバサンだな。
そうおもい、私は聞いた。
「すみませんがこれがあなたのものだと特定できると言う
 証拠はありますか?」
こんなオバサンがそんなもの持っているわけは無いな、とおもって聞いたが
その予想はよう方向に裏切られた。
「あ、ああ。これでどうですか」
オバサンは、私に一枚の写真を見せた。
それにはオバサンと彼女が持っているくまが
並んでうつっていた。

2003/11/12(Wed)20:26:52 公開 /
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■作者からのメッセージ
初めてで未熟者です。
右も左も分かりませんがよろしくお願い
します。
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