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『負け……』 ... ジャンル:ショート*2 未分類
作者:人の火の粉
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あらすじ・作品紹介
負け組みと勝ち組みを定義づける物は何か。それを考えた物語
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人間の生き方で、勝ち組みと負け組みがあるというが、アレは大きな間違いだと僕は思う。
その勝ち組みと負け組みを定義づける物は存在するか。答えは否であろう。
だが、個人的に全ての人間の人生は全てが勝ち組みである。負け組みは存在しない。それが僕の考えである。
定義づけるならば、生きている。それだけで勝ち組みなのだ。
しかし僕は、死んだら負け組みとは定義はしていない。死んでいても勝ち組みである。なぜなら生きていたから。生きていないと死ぬという行為が出来ない。ならば、生きていたのだから勝ち組みなのだ。なんだか、中学の時に習った数学の証明のような感じがするよ。
ならば、僕が定義づける負け組みは、何だと思う? 答えは、罪ある者。
これが、唯一の負け組み。特に今も罪から逃げている輩。罪が出来るということは、法を破ったから。では、その法を作ったのは? 勿論人間である。
人間が人間の作った法を破るというのは、皮肉な物だ。
だからこそ、負け組みなのだ。憎しみだけで人を殺すと、後悔する。最初だけだ、快楽となるのは。僕はそう感じた。
人間は急に不慣れな事が起きると、困ってしまう。それと同じだ。
最初は殺す気で殺すとする。すると嫌な相手がいなくなった。その事で快楽が生じる。今まで何をされてきたかは、分からない。人それぞれだから。だが、今まで本当に、殺したい、死んで欲しいと願うほどの相手がいなくなると、清々する。だが、問題はその後。
罪という罪悪感に、嫌な相手が消えた不慣れな環境。すると、その嫌な奴の存在感を知ることになる。すると、今度は逆に戻ってきて欲しいと願いだす。もう既に遅いのに願いつづける。もしくは、罪を償いために自主をするかもしれない。
だが、いずれ罪悪感の重みにやられ、心が狂ってしまう。狂ってしまうと何を仕出かすか、分からない。
さらに、人殺しというレッテルを貼られ、社会に出れるレベルではなくなってしまう。
すると、自分で仮想現実を作り出してしまう。
仮想現実、それがどれになるかは、分からない。ネットになるだろうか、自分の頭の中だろうか、はたまた別の何か……。
だが、分かることは一つ。歯止めが効きにくくなってしまうことだ。
仮想現実は、俗に言う夢物語。もしくはゲームの世界。
死んでも蘇る。永遠に生き続けられる。過去の記憶に縛られ、そこから抜け出せなくなってしまう。
他人には理解が出来ない、出来るわけが無い。そんな空間である。
現実逃避といっても過言ではない。すると、どういう現象が起きるか。
答えは簡単だ。
自殺である。
蘇ってもう一度人生をやり直す。
蘇れるわけが無い。輪廻を繰り返すわけが無い。人生はたったの一度限り。
その人生を、自分で作り上げた世界と同じ感覚でしてしまう。
だが、そうなるともう一つの考えも浮かぶ。
また、罪を起こすのだ。しかも無差別で。
蘇るんだから、殺しても関係ない。そんな考えで起きてしまうのだろう。
だからこそ、罪を犯した者は負け組みなのだ。
自分勝手で、自分で作り上げた世界と現実世界をごっちゃにし、そのどちらとも崩壊させてしまう。
だから、こそ僕は
負け組みなのかもしれない。
僕は鉛筆の動きを止め、椅子から立ち上がる。
風が音を立てて部屋の中へ入って来ている。窓を開けてたからね。
僕はゆっくりと歩いていく。風は僕を拒むように吹き付けてくるけど、それでも、進まなきゃ。
負け組みは負け組みらしい、最後を迎えなきゃ……ね。
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2008/12/23(Tue)22:35:01 公開 / 人の火の粉
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■作者からのメッセージ
この物語は、私の予想という面でもあります。
てか殆どが予想、架空、空想です。鵜呑みにしないように。
しかし昔はよく、自殺者を貶した物です。何で死ぬんだ、人生を棒に振ってと。
しかし、実際に経験してみればよく分かります。死にたいと。
まぁ、全く持って物語と関係ない後書きでしたが、
これにて失礼します。
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等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。