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『負け……』 作者:人の火の粉 / ショート*2 未分類
全角1458.5文字
容量2917 bytes
原稿用紙約4.6枚
負け組みと勝ち組みを定義づける物は何か。それを考えた物語
 人間の生き方で、勝ち組みと負け組みがあるというが、アレは大きな間違いだと僕は思う。
 その勝ち組みと負け組みを定義づける物は存在するか。答えは否であろう。
 だが、個人的に全ての人間の人生は全てが勝ち組みである。負け組みは存在しない。それが僕の考えである。
 定義づけるならば、生きている。それだけで勝ち組みなのだ。
 しかし僕は、死んだら負け組みとは定義はしていない。死んでいても勝ち組みである。なぜなら生きていたから。生きていないと死ぬという行為が出来ない。ならば、生きていたのだから勝ち組みなのだ。なんだか、中学の時に習った数学の証明のような感じがするよ。
 ならば、僕が定義づける負け組みは、何だと思う? 答えは、罪ある者。
 これが、唯一の負け組み。特に今も罪から逃げている輩。罪が出来るということは、法を破ったから。では、その法を作ったのは? 勿論人間である。
 人間が人間の作った法を破るというのは、皮肉な物だ。
 だからこそ、負け組みなのだ。憎しみだけで人を殺すと、後悔する。最初だけだ、快楽となるのは。僕はそう感じた。
 人間は急に不慣れな事が起きると、困ってしまう。それと同じだ。
 最初は殺す気で殺すとする。すると嫌な相手がいなくなった。その事で快楽が生じる。今まで何をされてきたかは、分からない。人それぞれだから。だが、今まで本当に、殺したい、死んで欲しいと願うほどの相手がいなくなると、清々する。だが、問題はその後。
 罪という罪悪感に、嫌な相手が消えた不慣れな環境。すると、その嫌な奴の存在感を知ることになる。すると、今度は逆に戻ってきて欲しいと願いだす。もう既に遅いのに願いつづける。もしくは、罪を償いために自主をするかもしれない。
 だが、いずれ罪悪感の重みにやられ、心が狂ってしまう。狂ってしまうと何を仕出かすか、分からない。
 さらに、人殺しというレッテルを貼られ、社会に出れるレベルではなくなってしまう。
 すると、自分で仮想現実を作り出してしまう。
 仮想現実、それがどれになるかは、分からない。ネットになるだろうか、自分の頭の中だろうか、はたまた別の何か……。
 だが、分かることは一つ。歯止めが効きにくくなってしまうことだ。
 仮想現実は、俗に言う夢物語。もしくはゲームの世界。
 死んでも蘇る。永遠に生き続けられる。過去の記憶に縛られ、そこから抜け出せなくなってしまう。
 他人には理解が出来ない、出来るわけが無い。そんな空間である。
 現実逃避といっても過言ではない。すると、どういう現象が起きるか。
 答えは簡単だ。
 自殺である。
 蘇ってもう一度人生をやり直す。
 蘇れるわけが無い。輪廻を繰り返すわけが無い。人生はたったの一度限り。
 その人生を、自分で作り上げた世界と同じ感覚でしてしまう。
 だが、そうなるともう一つの考えも浮かぶ。
 また、罪を起こすのだ。しかも無差別で。
 蘇るんだから、殺しても関係ない。そんな考えで起きてしまうのだろう。
 だからこそ、罪を犯した者は負け組みなのだ。
 自分勝手で、自分で作り上げた世界と現実世界をごっちゃにし、そのどちらとも崩壊させてしまう。
 だから、こそ僕は

 負け組みなのかもしれない。


 僕は鉛筆の動きを止め、椅子から立ち上がる。
 風が音を立てて部屋の中へ入って来ている。窓を開けてたからね。
 僕はゆっくりと歩いていく。風は僕を拒むように吹き付けてくるけど、それでも、進まなきゃ。
 負け組みは負け組みらしい、最後を迎えなきゃ……ね。
2008/12/23(Tue)22:35:01 公開 / 人の火の粉
■この作品の著作権は人の火の粉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
この物語は、私の予想という面でもあります。
てか殆どが予想、架空、空想です。鵜呑みにしないように。

しかし昔はよく、自殺者を貶した物です。何で死ぬんだ、人生を棒に振ってと。
しかし、実際に経験してみればよく分かります。死にたいと。
まぁ、全く持って物語と関係ない後書きでしたが、
これにて失礼します。
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして無花果です。読まさせていただきました。
私的に言わさせてもらうとこれは小説というより論文に近いなと思います。
最後の文こそ小説チックにはなりましたが、やはり小説ではないと思います。
この作品で語ったことを物語(空想もしくは現実で起こった様々な出来事)の上で語れるようになるといいなと個人的に思います。
では失礼いたします。
2008/12/23(Tue)23:21:000点無花果
感想どうもありがとうございます
ふむ……私としては最初の文は手紙、勿論遺書と言う意味で書いたのですが、微妙でしたね。と言うよりは、最後のところで手紙だと分かるような描写をもっと加えておけばよかったですね

さて、話は変わりますが、自殺者が書いた最後の言葉が書かれた遺書は三種類あると聞いたことがあります。
まぁ、種類と言うより書き方でしょうか。
一つは、皆さんご存知の、『私は生きるので疲れた』などの、言葉が入った自殺者の苦痛が書かれた遺書。
他にも、毒を飲んで、その後を実況のように書いていく遺書。そして、私が書いた論文に近い遺書もあります。
と言っても、私が集めた情報ですから、これらが本当に実在するとは限りません。
では、これにて失礼。
2008/12/24(Wed)15:13:230点人の火の粉
こんにちは!読ませて頂きました♪
私は、あまり主人公に共感できる部分が少なかったのですが、主人公の思っている事は、伝わってきたように感じます。自分の中でルールを作り、それに従ってしまう、それしか見えなくなるというのは怖いなと思いました。少しでも主人公以外を登場させて、二、三言でも会話を入れて主人公が周りをどう思ってるかなどを入れても良かったかも知れません。
では次回作も期待しています♪
2008/12/24(Wed)16:23:130点羽堕
はじめまして、人の火の粉様
笑う犬というものです。

遺書風味の小説で論文形式ということで、どんな論理を示してくれるんだろう、とわくわく読ませていただきました。
作者様が論文に近いとおっしゃっているので、論文内容に限って何点か気になったところを指摘させてください。えらそうに感じられたらスイマセン。謝ります。

まず、「輪廻を繰り返すわけが無い」が個人的に(?)少し引っかかりました。
次に「人間が人間の作った法を破るというのは、皮肉な物だ。」も疑問が残りました。
皮肉とありますが、人間が作った法律を人間以外が破ることは誰も想定してないと思います。
最後に、こまかいですが、「償いために自主をするかもしれない」です。

殺人者のその後は個人的に説得力があるように感じられました。
そうか、こうやって繰り返すのか、こわー、と。
なぜ生きていると勝ち組みなのか、それと法律の関係などを根拠づければ説得力のある論文(小説?)になると思います。
次回作もがんばってくださいね^^
2008/12/27(Sat)10:41:370点笑う犬
羽堕氏
どうも、毎度感想ありがとうございます
個人的には、あの最後のところで親でも出そうかと考えたんですが
描写などはしていませんが、結構夜遅くを舞台としていますから、結構あれでした
まぁ、読者にとっては夜とでも朝とでも昼とでも捉えられるんですけどね

笑う犬氏
どうも感想ありがとうございます
さて、貴方が引っ掛かった『輪廻を繰り返す』ですが
辞書では『生ある者が迷妄に満ちた生死を絶え間なく繰り返すこと。三界・六道に生まれ変わり、死に変わりすること』
となっていますので、一応意味的にはあっています。
まぁ意味がわかっていて、それでも何か引っかかるのでしたら、すみません
皮肉についてですが、意味としては「期待していたのとは違った結果になること」ということですので、
私的には人間が作ったのだから、絶対に守るべき物。それが法なわけです。それを守らない輩がいるから、皮肉ということで使ったつもりなんですが、巧く伝わってませんね。いえ、読者側に問題はありません。すべてこっちの問題ですから。
ん〜。なぜ生きていたら勝ち組かですか……いやね……それを法律の関係を加えると、結構長くなってしまい……それを加えてしまうと、完璧に論文的な感じになってしまい「これ遺書なのか?」的な雰囲気になってしまうんですよ。まぁこちらの技量がしょぼいという話ですが。

なんだか途中から、言い訳的な感じになってすみません……
では失礼します
2008/12/27(Sat)16:14:010点人の火の粉
作品を読ませていただきました。冒頭の勝ち組の理論は好きだなぁ。人間どんな形でも生きていること、どんな人生でも生き通したことは勝ちだと思います。
ただ、負け組の「罪」の部分は理解できないなぁ。「法」なんて国や状況によって変わる絶対的なものじゃない。殺人だって正規戦闘ならどんなに残虐な方法でどれだけ殺したって罪にならない。地域によっちゃ庭に洗濯物を干すことが「罪」になるところもある。
殺人の罪悪感はどのような理由(状況)で殺したかによって大きく変わるんじゃないかなぁ。詫間守とか勝田清孝は後悔せずに死刑になったみたいだしね。ま、殺人者の気持ちは殺人を犯した当人しか分からないだろけど……
よく分からない感想ですみません。では、次回作品を期待しています。
2009/01/03(Sat)12:05:590点甘木
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