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『soldier of kingroad』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:蒼眼
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Prologue
此処は誰でも普通に魔法が使える世界。
誰もが学校で魔法を学び、誰もが普通に日常生活に利用している。
町の施設などにも、魔力が使われているぐらいだ。
そんな平和な世界、「ヴォルファム」のお話。
彗星暦 25xx年。
誰も知らぬような、とある森。
緑褐色の輝く木々。
まるでエメラルドやメノウとかいう宝石のような材質。
その森の奥の奥、1番奥に浮かぶ不思議な物体。
『ソレ』を求めてやまない1人の男がいた。
闇よりも黒いマントとフードで体を覆い隠し、ひたすら走り続ける。
彼は、闇の帝王。
『ソレ』を求める理由は何か?
答は簡単、野望を達成するため。
野望とは、『世界征服』。
言い方は古いが、ソレを我が物にしてしまえば簡単なのだ。
そして今まさに、ソレがある場所に辿り着く。
ここまで来るのに3日も走り続け、伝説と謳われる2匹の聖獣とも、魔力を駆使して戦い、ようやくココまで辿り着いたのだ。
自身の体には相当な疲れが溜まっている筈であったが、彼の心は完全に『ソレ』に向けられていて、疲れなど、微塵も感じていなかった。
目の前までソレに近づいた彼は微笑した。
カツ、カツ、と小さな足音をたて、ソレに歩み寄る。
ソレ、とは。
宙に浮いている、六角形の水晶。
殆ど透明で、ほぼ空気と同化して見えるだろう。
中から放たれる、淡い輝きがなければ。
彼はソレに両手でそっと触れ、少しずつ、自分の闇と化した魔力を注ぎ込み始めた。
人間の2倍以上の大きさはあろうかと思われる水晶は、彼の手の部分から、暗黒の紫色に染まっていく。
これを全て闇に染めれば、野望は叶う。――手に力が入る。
光以外、空気と同化していたはずのソレは、1番上の僅かな部分を残して、闇と化していた。
彼はその最後の部分を染めるため、より一層強く、魔力を注ごうとした。
しようとした、だけだ。
彼がそうしようと思った瞬間、その僅かな、5cm角ぐらいの部分が割りとられ、落ちた。
そしてそれは光となり、天へと昇り・・・・・・消えた。
彼はその瞬間を呆然として見つめた。
――アレは1mmの欠片でも失えば、全く効力を無くす――
かつて自身を創り、今や完全に相対する者が過去に口にした言葉が彼の頭をよぎる。
その場には、彼と、残りの闇の色に染まったソレが残る。
彼の膝がガクン、と落ちた。
無理もない。元々疲れている筈の彼を支えていた『野望達成』が、目前にして打ち砕かれたのだから。
彼は。
声に為らない絶叫を上げるしかなかった。
その時。
ある場所で、1人の少女が目覚めた。
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1 quest
変な夢。
少女の体は汗だくだったが、見た夢の記憶は曖昧であまり思い出せない。
男の人、水晶、森。
内容までは・・・・・・全く思い出せない。
考えていてもしょうがない、と少女は寝室がある2階から1階へおりた。
少女――スイ=ルーシェアは15歳。深い海のような青色の髪に、右は水色、左は紫のオッドアイ。両親は居なく、気付いたら生きてました状態だ。
1人で町を彷徨っていたころに拾われ、13歳まで育ててくれた人が2年前に他界してからアパートに1人暮らし。なんとか今日から高校に通えることになった。学校は全寮制なので、アパートの家賃はもう心配することはない。スイが通っていた中学は隣の町だったが、その町には高校もなく、生徒数も少ないため、卒業生はバラバラになって、色んな高校へ通う事になった。これから行く高校は、スイだけだが。
「あーあ、今日は入学式だっけ」
スイは少しため息交じりで呟いた。冷蔵庫の中の菓子パンと牛乳を引っつかみ、適当に口に運ぶ。そしてチラと時計を見た。
「・・・・・・!」
もう既に7時半を回っていた。学校からは8時までに登校しろといわれていた。
「やばっ!」
急いで食べ終わらせ、洗顔を済ませ、鞄を背負い、家から飛び出した。さっさと大家さんに鍵を返すと、ダッシュで学校に向かった。全力疾走ならギリギリ間に合うか。
「間に合った・・・・・・」
ハアハアあえいではいたが、なんとか校門まで辿り着いた。初日から遅刻ではかなりやばい状況となっていたが、ちょうど今は他の生徒も登校してくる時間帯のようで、校門は生徒でにぎわっていた。
「それにしてもでっかい学校だなー」
建物の方もかなり大きいが、校庭の面積もかなり広い。でかい温室も2、3個あるらしい。
スイが歩き出そうとすると、ポンと肩を叩かれた。振り向くとそこには男の子が1人、笑顔で立っている。
「君、見たこと無い子だね。新入生?」
「う、うん・・・・・・」
「そっか! 僕もなんだ。僕はルガ=サティーン。ヨロシク!」
「あ、わ、私はスイ=ルーシェア」
「スイって呼んでいい?」
「うん」
ドンドンと話が進み、ルガは色んな事を教えてくれた。ここの高校に入学してくる生徒の殆どは、付属中学校からくる生徒で、スイのように他の中学からくる生徒はあまりいないらしい、ということ。ここの寮は、男女関係なく、3人ずつ1つの寮で暮らすこと。その他、色々。
ちなみにスイは、ルガに自分の今までを簡潔に話した。すると、
「じゃあ君、教育費も殆どないのに、この名門校どころか、中学にもどうやって入ったの?」
「え・・・・・・!?」
言えない。
(12歳の時たまたま山で拾ったピカピカしている石ころが、実は物凄く珍しい鉱物で、一生暮らしていけるだけに十分なお金が手に入った、なんて言えない!)
「まあ、人生色々ありまして・・・・・・」
「え〜! 教えてくれたってい〜じゃ〜ん」
「う、あああぁぁ、ダメ!」
ルガがたくさん『知りたいオーラ』を出しながら迫って来たので、スイはのけぞりながら断った。
そんなこんなで学校内に入った2人は、宙に浮く青いモニターの様な物を目の当たりにした。
「これは?ルガ」
「これは連絡掲示板らしいよ。付属校を卒業する前に、『ここの学校について』みたいなもんをやったから知ってるんだけど。1週間の予定とかが表示されるんだって。ちなみに今は、ホラ」
掲示板にはたくさんの人の名前が表示されている。
「クラスわけ表示。僕は・・・・・・あ、あった!」
ルガが指差す先には、『ルガ=サティーン』と表示されている。1年B組だ。
「ホラ、スイもあったよ。同じクラスだ」
「ホントだー・・・・・・」
2人は一通り見た後、クラスへ向かった。廊下は清潔感が漂い、壁にはいろんな写真や絵が飾られている。(動いているような感じがしたのは気のせいか)
クラスには30個ほど机が綺麗に並べ揃えてあった。スイは自分の名前があるところを探し、見つけるとそこの窓際の席に座った。
生徒は既に10人ぐらい来ていて、それぞれ仲良しグループになって話をしている。
「ねぇ、スイ。戦士(ソルジャー)って知ってる?」
「え、ああ。魔物(オウグス)を退治したり、犯罪者を捕まえる、ってやつ? 詳しくは知らないけど」
「そう、そのソルジャーになる為の試験が、1ヵ月後にあるんだ」
「ふーん。・・・・・・って」
・・・・・・・・・・・・
「はあああぁぁぁ!? なんで入学1ヶ月早々!?」
「しかも1年生だけね。なんでこんな早いのかよくわからないけど。多分・・・・・・」
「何々? 何の話?」
2人の話に割り込んできた男の子がいた。茶色味がかった色の髪に、黄色い眼。活発そうな顔立ちに、背は少し高め。
「ああ、ライ。今、他の中学から来たこの子に色々と教えてるんだ」
「へぇー。名前は?」
「スイ=ルーシェアです」
「敬語は使わなくったっていいよ。まあ、いつも敬語の奴もいるけどな。オレはライ=クウァトル。ヨロシク」
にっ、と白い歯を見せてライは笑った。そこで「んで・・・・・・」とルガが話しを戻す。
「で、ソルジャー試験が早い理由なんだけど」
「皆は『素質ある者を、早いうちに見つけて、早いうちにソルジャー用の訓練、仕事を始めるから』と考えている奴が大多数だな」
と、ライがルガの(多分)言おうとしてた事を先に言ってしまう。
「ああっ! ライ、おいしいとこどりしないでよっ!」
「お前は今までスイにたくさん教えたからいーじゃねーか」
「ソルジャーについてが1番よかったの!」
「ああー悪い悪い」
スイはこんな2人のようすを笑顔で見つめていた。なんだかとても楽しそうで。
「ところでさー、合格する人は誰が決めるの? 先生?」
「ああー、違う違う、『ホウ=フェニック』って人。ソルジャーで1番偉い人なんだってよ」
「僕、あの人苦手だなぁ。なんかこう・・・・・・ゾクゾクしちゃって」
「そうか?」
スイは、ホウという人の名前を聞いてから、2人の話を聞いていなかった。『ホウ=フェニック』。初めて知った筈なのに、何故か聞き覚えがある。
「あ、ライ。もう直ぐ先生来るよ。席に座ろう?」
「ん? ああ、そうだな。んじゃな、スイ」
「え! あ、うん」
スイはライに呼びかけられ、フッ、と我に返った。同時に、学校に着いてから、結構時間の余裕があったんだな、とも思う。
「ホウ=フェニック、かあ・・・・・・」
スイは窓の外を見つめながら、先生が来るのを待った。
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2005/06/17(Fri)04:58:51 公開 / 蒼眼
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■作者からのメッセージ
更新遅れてしまいました・・・・・・。すみません・・・・・・。
小説を書くのはとても難しい、ということを痛感しています。
まだまだ未熟なので、辛口アドバイス、お待ちしております。また、誤字脱字などもありましたら、ご報告お願い致します。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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