-
『御主人様の狗』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:馨
-
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
「新君?どうしたの!?何!?」
「千夏…俺は、お前が好きなんだ!どうして分かってくれないんだ!」
「え………嘘…」
「嘘じゃない。本当だ」
「わ…私だって、新君のことが好き!」
カーット。
お疲れ様ー。
こんな台詞、こんなラブシーン…
こんな…彼。
○ジテレビのスタジオで、今度放送の「お決まりの恋物語」というドラマの撮影が終了した。
スポットライトがジリジリ照り付ける中、無事に第一話半分をおさめた。
「あー良かったよ都ちゃん。今回はいいものが撮れそうだ」
監督の源さんは私にそう言った。
小麦色に程よく焼けた肌に銀髪の短くはねた髪。
見た目チャラけた若そうなオッサンだけど、実は涙もろい人。
「ハイッ!ありがとうございますっ☆」
私はニッコリと笑顔を返した。
私はというと、この「お決まりの恋物語」のヒロイン「千夏」役の東堂 都。
身なりは白いワンピース(衣装)にブロンドの長い髪を靡かせております。
「都。台本で台詞合わせだってよ!」
舞台裏から出てきたのは目立たないAD…違う違う…
私のプロデューサー若杉 龍君です。
けど、ADと間違われるのも無理は無い。
髪は少し長くて後ろに縛っていて、淡い色のジーパンに黒のTシャツ。それと台本を持って、キャップをかぶっているのです。
私でさえ間違えるかもしれない。
「はーい」
私は返事をして楽屋へと向かって行った。
今の時期、たくさんのドラマ撮影があるのでテレビ局はドタバタしていた。
コンコン
真っ白いドアを叩いた。
『神宮寺 優人様』
神宮寺 優人君はドラマで共演中の役者さん。
私の彼、新君の役です。
「は………−ぃ。あ、来たか。遅せぇぞ」
ドラマの好青年ぶりとは裏腹に、本当の彼は恐ろしいものです…
「ごめんなさい〜」
「ま、良いや。早く入れ」
そう言って優人君はドアを開けた。
「じゃ、此処からな」
さっと台本を開いて私に顔を寄せた。
ドキ☆
どんな人でもドキドキするよ…こんなにキレイな顔してるもん…
黒い髪に何処か色っぽい目。えりのついた黒いノースリーブにグレーのパンツ。
「都?」
優人君はそっと話かけた。なぜ呼び捨てかは分からんが。
「あ、ううん。なんでもない」
へらっと笑うと台本を開いて台詞だけじっと見た。
「そっちからだよ。都」
「ああっ!そうだね、ゴメンゴメン」
フライングしちゃったカモ…
冷や汗をたらしながら台詞合わせは始まった。
早見ストーリー&&&&&&&&&&&&&&
お互い告白しあって付き合うことになったのだが、
新は医者を目指していて、見事留学が決定。
千夏にそれを継げ、去ろうとした時…
&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
「新君!待って!」
「何?」
「新君が留学してる間!私も新君も!浮気は無しだよっ!」
「じゃ☆おまじない♪」
此処で二人を静かな沈黙が包み込んだ。
台本一部
↓
&&&&&&&&&&&&&&&&&&
『じゃ☆おまじない♪』
新、千夏を引き寄せキスをする
&&&&&&&&&&&&&&&&&&
!!!!
台詞あわせで初めて気が付いたキスシーン。
「優…人君?」
「何だよ。次、お前」
私は一呼吸して優人君に聞いた。
「ねぇ?この…キ…キキキキキキ、キスって本番でするの!?」
私は中々舌が回らず、変な風に聞いてしまった。
「☆当たり前だろ!今のドラマは皆そうだっての」
あ…有り得ん。16歳までとっておいたファーストキス………………
好きな人とやりたかったぁぁぁ…
愕然とした私は脱力した。
「何だ?もしかしてまだキスしたことねぇの?」
クスクス笑って私を見た。
「ばかっ!!あるわよ!」
すくっと立ち上がって言った。
「絶対無いね。俺には分かる。お―めでたいめでたい。初キスが俺だなんて…なぁ?」
横目で見てまた笑った。さいっ悪。
私は優人君を背にして後ろを向いた。
しばらく経つと優人君が声をかけた。
「都」
「も〜何よぉっ!」
ふいっと優人君の方を向いた。
―――――――――――――――――――――――――――頭が真っ白になった。
唇と唇が重なり合った。
バタッ
優人君は強引に私を押し倒した。
「ん…ゆ…と、くぅ…………」
私が苦し紛れにそう言うと、優人君は楽しそうに言った。
「………逃がさない。お前は俺のものだ」
はァ!?
「ハァ…ハ…ァ。な!何なの!?勝手に!!!!」
半泣きの私の涙を拾って優人君は続けた。
「だから、お前が気に入った。お前は俺の犬だ」
い……………犬ぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?!
「い…犬って、あの柴犬とか、コーギーとかの…ワンって鳴くやつ?」
「あ、字が違う違う。犬じゃなくて狗」
し…下部みたいな…狗。ってこと!?
「よろしくな俺の狗」
そう耳元で囁いた。
これから…どうなるのかなぁ…
-
2004/07/27(Tue)12:44:03 公開 / 馨
■この作品の著作権は馨さんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
はい。どうも〜初投稿の馨です。
ラブバナで今回行きますっ!(気合
え〜…辛口甘口、何でもよろしいので感想を下さい。
新米なので、忠告も厳しいお言葉も勉強の一つですので…
では、失礼致します。次回、またお会い致しましょう。
作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。