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『御主人様の狗』 作者:馨 / 未分類 未分類
全角1976.5文字
容量3953 bytes
原稿用紙約7.2枚
「新君?どうしたの!?何!?」

「千夏…俺は、お前が好きなんだ!どうして分かってくれないんだ!」

「え………嘘…」

「嘘じゃない。本当だ」

「わ…私だって、新君のことが好き!」

カーット。

お疲れ様ー。

こんな台詞、こんなラブシーン…

こんな…彼。

○ジテレビのスタジオで、今度放送の「お決まりの恋物語」というドラマの撮影が終了した。

スポットライトがジリジリ照り付ける中、無事に第一話半分をおさめた。

「あー良かったよ都ちゃん。今回はいいものが撮れそうだ」

監督の源さんは私にそう言った。

小麦色に程よく焼けた肌に銀髪の短くはねた髪。

見た目チャラけた若そうなオッサンだけど、実は涙もろい人。

「ハイッ!ありがとうございますっ☆」

私はニッコリと笑顔を返した。

私はというと、この「お決まりの恋物語」のヒロイン「千夏」役の東堂 都。

身なりは白いワンピース(衣装)にブロンドの長い髪を靡かせております。

「都。台本で台詞合わせだってよ!」

舞台裏から出てきたのは目立たないAD…違う違う…

私のプロデューサー若杉 龍君です。

けど、ADと間違われるのも無理は無い。

髪は少し長くて後ろに縛っていて、淡い色のジーパンに黒のTシャツ。それと台本を持って、キャップをかぶっているのです。

私でさえ間違えるかもしれない。

「はーい」

私は返事をして楽屋へと向かって行った。

今の時期、たくさんのドラマ撮影があるのでテレビ局はドタバタしていた。

コンコン

真っ白いドアを叩いた。

『神宮寺 優人様』

神宮寺 優人君はドラマで共演中の役者さん。

私の彼、新君の役です。

「は………−ぃ。あ、来たか。遅せぇぞ」

ドラマの好青年ぶりとは裏腹に、本当の彼は恐ろしいものです…

「ごめんなさい〜」

「ま、良いや。早く入れ」

そう言って優人君はドアを開けた。

「じゃ、此処からな」

さっと台本を開いて私に顔を寄せた。

ドキ☆

どんな人でもドキドキするよ…こんなにキレイな顔してるもん…

黒い髪に何処か色っぽい目。えりのついた黒いノースリーブにグレーのパンツ。

「都?」

優人君はそっと話かけた。なぜ呼び捨てかは分からんが。

「あ、ううん。なんでもない」

へらっと笑うと台本を開いて台詞だけじっと見た。

「そっちからだよ。都」

「ああっ!そうだね、ゴメンゴメン」

フライングしちゃったカモ…

冷や汗をたらしながら台詞合わせは始まった。

早見ストーリー&&&&&&&&&&&&&&

お互い告白しあって付き合うことになったのだが、

新は医者を目指していて、見事留学が決定。

千夏にそれを継げ、去ろうとした時…

&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&

「新君!待って!」

「何?」

「新君が留学してる間!私も新君も!浮気は無しだよっ!」

「じゃ☆おまじない♪」

此処で二人を静かな沈黙が包み込んだ。

台本一部
  ↓
&&&&&&&&&&&&&&&&&&
『じゃ☆おまじない♪』

新、千夏を引き寄せキスをする
&&&&&&&&&&&&&&&&&&

!!!!

台詞あわせで初めて気が付いたキスシーン。

「優…人君?」

「何だよ。次、お前」

私は一呼吸して優人君に聞いた。

「ねぇ?この…キ…キキキキキキ、キスって本番でするの!?」

私は中々舌が回らず、変な風に聞いてしまった。

「☆当たり前だろ!今のドラマは皆そうだっての」

あ…有り得ん。16歳までとっておいたファーストキス………………

好きな人とやりたかったぁぁぁ…

愕然とした私は脱力した。

「何だ?もしかしてまだキスしたことねぇの?」

クスクス笑って私を見た。

「ばかっ!!あるわよ!」

すくっと立ち上がって言った。

「絶対無いね。俺には分かる。お―めでたいめでたい。初キスが俺だなんて…なぁ?」

横目で見てまた笑った。さいっ悪。

私は優人君を背にして後ろを向いた。

しばらく経つと優人君が声をかけた。

「都」

「も〜何よぉっ!」

ふいっと優人君の方を向いた。

―――――――――――――――――――――――――――頭が真っ白になった。

唇と唇が重なり合った。

バタッ

優人君は強引に私を押し倒した。

「ん…ゆ…と、くぅ…………」

私が苦し紛れにそう言うと、優人君は楽しそうに言った。

「………逃がさない。お前は俺のものだ」

はァ!?

「ハァ…ハ…ァ。な!何なの!?勝手に!!!!」

半泣きの私の涙を拾って優人君は続けた。

「だから、お前が気に入った。お前は俺の犬だ」

い……………犬ぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?!

「い…犬って、あの柴犬とか、コーギーとかの…ワンって鳴くやつ?」

「あ、字が違う違う。犬じゃなくて狗」

し…下部みたいな…狗。ってこと!?

「よろしくな俺の狗」

そう耳元で囁いた。

これから…どうなるのかなぁ…
2004/07/27(Tue)12:44:03 公開 /
■この作品の著作権は馨さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はい。どうも〜初投稿の馨です。
ラブバナで今回行きますっ!(気合
え〜…辛口甘口、何でもよろしいので感想を下さい。
新米なので、忠告も厳しいお言葉も勉強の一つですので…
では、失礼致します。次回、またお会い致しましょう。
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