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『「かづき」という運命 U』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:夏李
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俺の名前は佐野架月、高校2年。この前出会った高3のある人に思いを寄せている。
その人の名前は、今井香月。偶然にも同じ名前の彼女は、とても良くできた人だった。
見た感じはとても綺麗だった。細めですぐぐしゃぐしゃになりそうな髪。
そして真っ黒で、肩より少し短め。目は真ん丸で、瞳は澄んだ感じの・・漆黒。
まさにお姫様のようだった。こんな時ふと思ってしまう。
「あぁ、香月さんが俺より年下だったらな」
どうしても彼女は高3で、俺よりひとつ年上なのだ。
「佐野くんだー。佐野くんっ、私、覚えてる??」
聞き覚えのある声。女子にしては少し低めの落ち着いた、少しハスキーな声。彼女だ。
覚えてる?だとさ。俺は最近香月さんのことばっかり考えてるというのに。
「え?スイマセン・・。どちら様でしたっけ?」
「あれ?あぁ、ごめんなさい。この前お世話になりまー・・」
(パシ)
頭を叩いた。思ったのよりいい音が鳴った。
「覚えてるに決まってますよ、今井香月さん。言っときますが冗談です」
彼女のなんともいえない顔が笑えた。左ひじにアザができているのが分かった。
この前出会ったと話したが、その時は衝突というムードの無い出会いなのだ。
「佐野くんってさ、意外とイジワルだよね。女子に嫌われちゃうよ」
女子に嫌われるのはそれなりに傷付くが、香月さんに嫌われなければいいと思った。
「それはちょっと悲しいですね」
彼女は小さく笑った。笑った顔もやはり可愛かった。彼女は時計を見て言った。
「ごめん。これから先生のところに行かないといけないの」
「あ、いえ、全然いいですよ。呼び出しですか」
また冗談を言ってしまった。対して面白くもない冗談を、何度も。
「はは、面白い。でも呼び出しくらったわけじゃないよ。生徒会のについて、ね」
「そうですか」
「じゃ」と言ってパタパタと走っていった。見る間にどんどん小さくなっていく。
あっという間に姿は見えなくなった。
今日もまた、くだらない話しかできなかった。情けないと思う。自分自身―
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2004/03/12(Fri)19:25:17 公開 / 夏李
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■作者からのメッセージ
第二段です。(笑)ってことで「U」って付け足しました。
架月くん、ちまい奴だな、と思った人、いると思います。
でもこれからがんばっていきますよ。
では>次もできたら見てくださいね。宜しくです。
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