『ON/AIR(プロローグ)』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:君野友彦
123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
誰かが僕の肩に触れた。
冷たく不思議な感触のするその手を払いのけると
ON/AIR
「純ちゃーん?」
一人の少年が体育倉庫としか思えない場所に向かって声をかける。
歳は十四、五。中学生と言った所だろうか。
呼びかけても返事は無い。
「じ・ゅ・ん・ち・ゃ・・・・・・」
少年の頭を、バレーボールが直撃した為、言葉は途中で遮られた。
鼻血を撒き散らしながら倒れた少年が青空を眺めていると、その上に影が重なる。
「ウゼぇよバカが」
出てきた少年も歳は同じく、ただ対照的なのが二人の表情の違いだった。
”純ちゃん”と呼ばれた少年、石間純太は、あからさまに怒っており、
もう一人の中性的な顔立ちの少年、倉田惣一朗はニコニコと、
それはもう何が楽しいんだと言いたい位にニコニコしていた。
「あ゛ー・・・えほっ」
鼻血が気管に入ったのか、惣一朗はむせると、鼻をつまんで上体を起こした。
純太は立っているので、上を見上げる形になる。
「木ノ下先生が呼んで来いって言うから呼びに来ただけなのに・・・」
「誰も呼びに来いなんて頼んでねーよ」
間髪入れずに言葉を返される為、惣一朗は話をするのを諦め立ち上がると、
砂の付いた短パンをはたいた。
「もういいよ。あ〜あ・・・せっかく”使用回数”増やしてくれるって言ってたのに」
『使用回数』という言葉に、純太が反応する。
そして、回れ右をして帰って行こうとしていた惣一朗の肩を掴んだ。
「ああ゛、痛い、純ちゃん痛いってば!!!」
純太は叫ぶ惣一朗に目もくれず、方に置いた手の力を強める。
「本当だろなぁ・・・?嘘だったらオマエ・・・・・・」
「嘘じゃないよぉ!!!」
その瞬間、耳をつんざく様なサイレンの音が、響き渡った。
2003/11/19(Wed)21:42:53 公開 /
君野友彦
http://www.geocities.jp/t_kimino/
■この作品の著作権は
君野友彦さん
にあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
始めまして。
プロローグなのでまだ少ないとは思いますが、感想等頂けたら嬉しいです。
作品の感想については、
登竜門:通常版(横書き)
をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で
42文字折り返し
の『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。