『人造少女   〜T章〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:NEO                

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「よろしくお願いします」

その子は綺麗な銀の長髪。瞳はブルーで小柄。

「じゃあ・・・三上は黒澤の隣・・・・・あの冴えない顔したやつだ」

先生は俺の事を指差す。

と同時にクラス中が笑い出す。

「うるせぇな!笑うなよ!」

俺は立ち上がって吼えた。

しかしそれも新たな笑いを呼んでしまう。

しょうがなく俺は席につく。

『ガタッ』

俺の横からイスを引く音。

三上だ。

何故かその音と同時に教室中に響いていた笑い声が止む。

「よし、じゃあ授業を始めるぞ〜。教科書58ページを―――」

いつものように授業を無視し、隣の三上に話し掛けた。

「俺『黒澤 恭助』。よろしくな!」

俺は先生に気づかれないような小さな声で、精一杯元気に言った。

「よろしく・・・」

良く言えば冷静に、悪く言えば無情に一言。

から元気をかっこ悪く思う俺。

「―――じゃあこの数式を解いてもらおうかな・・・」

ふと先生はそっぽを向いている俺を見る。

「黒澤!これ解いてみろ!」

怒り混じりに言った。

俺が解けないのを分かっていながら。

「は、はい!・・・え〜〜っとぉ・・・」

当然わかるはずがない。

その時。

「28・・・」

「え?・・・えっと・・・2・・8・・?」

静かになる教室。

「正解だ・・・・・それより・・・どうした?・・・お前・・・」

皆の視線が俺一点に集中する。

「お、俺だって勉強すればできるんすよ!「どうした?」とは失礼な!!」

「そ、そうか・・・すまん・・・じゃ、じゃあ続けるぞ。次は―――」

先生が黒板の方に向くと、俺も席につく。

「今教えてくれたの三上だろ?サンキューな!」

また授業を無視し、三上に言う。

「ええ。大した事じゃないわ・・・」

こっちを見もせずにまた一言。

しかし・・・三上とは絡みにくい。





          『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン』





チャイムの音が鳴るなり、皆が教科書を閉じる。

「―――はい、今日はここまで。日直は黒板消しておくように。」

「せんせ〜、黒板は消せませ〜ん!」

絶対こういう奴がクラスに一人はいるもんだ。

「屁理屈を言わない!じゃ、号令!」

「気をつけ!礼!」

と、同時に皆がランチルームへ向かい駆け出す。

ここの学校は給食をランチルームで食す。

俺も「もうそんな時間か」と思いながら、歩いて教室を出ようとする。

しかし、一人だけ教室に残っている奴がいた。

「おお、三上、一緒に行こぉぜ?ランチルーム」

「いい・・・私、お腹すいてないから・・・」

「そうか・・・?じゃ、いいや・・・」

ごく普通の一連の会話。

しかし、これ彼女にはちゃんと理由があるのだ。

一緒に昼食を食べることができない、理由が。


2003/11/05(Wed)20:57:48 公開 / NEO
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■作者からのメッセージ
コメントありがとうございます!
短かったやつは序章編っつー事で勘弁してください・・・(汗
今回ももしよかったらコメント下さい。

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