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   『僕は僕を探してた。(1)』  ...  ジャンル:未分類 未分類
 作者:ヒカリ                 
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 第1話 当然のこと
 
 中三の二学期といえば、受験生にとって最も大切な時期である。
 夏休みに受けた、テストの結果の個票が返ってきた。いつも通りである。
 学校内順位も、地区内順位も、県内順位も、すべてに「1」が並んでいる。
 僕は、自分の顔が満足げになっていくのを感じた。心の中で、優越感に浸っていた。周りには、40位で凄いだの何だの騒ぐ奴もいるが、僕に言わせれば「ただのアホ」でしかない。
 「浩、お前どうだった?」
 勇が僕に聞いた。勇は、僕の知る中で一番頭が悪い。ダントツに悪い。しかし、僕の知る中で、一番人間性が良い。ダントツに良い。
 「おっ!!やっぱ一位か〜。お前凄いなあ」
 「うわっ・・・、勝手にみるなよ〜!」
 こうしたちゃかし合いをいつもやっている。僕にとって、勇といる時間が一番楽になれる。勇のまえでは、なぜかいつも、ありのままの自分でいれた。大した友達はいないけれど、勇は親友だった。
 
 いつだって、僕は一位をとっていた。塾の模試でも、学校のテストでも。
 通知表なんて、5段階評定の九教科中八教科が5だった。それが僕の自慢でもあり、
 誇りでもあった。いつしかそれが、当たり前になっていた。
 「一位になって凄い」そんなものはとうの昔に終わり、「一位になって当然」が今の僕。少なくとも、周囲は僕をそんな目で見ていた。
 
 ―僕が一位を落とすなんて、考えたこともなかった。―
 
 続く
 
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2003/10/02(Thu)17:54:13 公開 / ヒカリ
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■作者からのメッセージ
 読んで頂いて、有難うございました。
 初めて投稿します。ヒカリと申します。
 評価とか頂ければ嬉しいですね。
 
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