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『ビバ★グルメ!!【読みきり】』 作者:ゅぇ / 未分類 未分類
全角6253.5文字
容量12507 bytes
原稿用紙約18.4枚

 『サーモンのクリームパスタ』

 
 パスタといえばやっぱりクリームパスタ。赤いのより白いのが好きである。だからつまり、トマトソースよりもホワイトソースの方が好きだということで。で、あたしは鮭が好きなのでサーモンと聞くと心惹かれずにはいられない。これはちょうど高校1年の春に彼氏と食べに行ってハマッた。
 その時の彼氏は、あたしよりも3つ上の大学生。美術の専門学校に通っている男で、何だか細かいことをやたら気にする女々しい奴だったと思う。
 今になっては顔さえ思い出せない。インパクトがなかったというか……背が低かったのだけは覚えている。で、だんだんあたしは苛々してきて。
 それに合コンで知り合ったせいなのか何なのか、住んでるところが微妙に遠かったし(兵庫と京都っていう微妙な距離)。その彼氏と一緒に、あたしは初めて『サーモンのクリームパスタ』というものを食べたのだ。彼と会ったらいつも聞かれる。
 「今日は何が食べたい?」
 「クリームパスタ」
 いつもあたしは答える。あの味が忘れられなかったし、どうせ勘定は彼氏持ちだし。
 「今日は何にする?」
 「クリームパスタ」
 とろっ、としたクリームソース。温かい湯気とかぐわしい香り。パスタは少し固めで、それをフォークで少しほぐす瞬間がたまらなく楽しい。
 口に入れると分かる、サーモンの仄かな味わい。大きな器にちょこんと盛られているようなのは厭だった。器は小さくてもいいから、見た目にボリュームがあるのが良かった。そしてその彼氏と1ヵ月付き合ってパスタもいい加減食べ飽きたし、この男にも飽きたし、そろそろ別れようかと思った矢先。
 「何かおまえ、合わない。パスタばっかり食ってるし、何かキモい」
 …………ふられた。
 あれほどカチンときた言葉はなかったと思う。言われなくてもこっちから願い下げじゃ、とキレた。そんな、あたしが3食パスタなわけなかろうが。学校で女の裸描いて喜んでるあんたのほうがよっぽどキモい。
 それからしばらくはパスタに口をつけなかった。


 
 『ハンバーグ』

 
 鉄板の上で焼けるあの独特の音色があたしはとても好きなのだ。あの音と香りだけで、ごはんが食べられると思う(大げさな話)。お弁当なんかに入っている冷めたハンバーグはアウト。冷凍のハンバーグもアウト。
 そんなのではなくて、もっとこうフォークを入れた瞬間肉汁が溢れてきて、それでふんわり感もあるジューシーなのが良いとあたしは常々思っている。ハンバーグはお母さんの作るやつと、ファミレスのやつが美味しいんじゃないだろうか。目玉焼きが乗ってるのもあるけど、あれは別にいらない。ハンバーグの横には絶対、ハッシュドポテトが添えられてあるべきである。あのカリカリのやつ。ありゃあ脇役と一蹴することはできない、あれがないとハンバーグは引き立てられない。ただの焦げ茶の物体になってしまうから。だからあたしは、ハンバーグの横には何かしらポテト類が必要だと信じてやまない。店で運ばれてくるときは、絶対にジュージューいってなければだめなのだ。そうでなければハンバーグなどメニューに出さんでよろしい。あたしがファミレスのハンバーグにハマっていたのは、高校1年の秋。
 やたら男前の男友達が出来て、お互い高1でお金がないからいつもファミレスにいた。
 「ファミレスに来たらやっぱりハンバーグ」
 そんなことを言う彼を、最初は阿呆らしいと思ってみていたあたし。
 たまたま彼と同じもの……つまりハンバーグを頼んで食べてからあたしが言うようになった。
 「ファミレスはやっぱりハンバーグ」
 癖のないイケメンで、人当たりもよく頭も良かったので最初はさすがにあたしも心惹かれた。優しかったし、カラオケは上手かったし、原チャに2人乗りしていて警察に追跡されても上手いこと逃げれるし、何せまあカッコいい。惚れた、と思ったら一瞬で冷めた。あたしたちは仲良くなりすぎて、恋だの何だのというレベルを超越しまったらしい。
 「あ、ハンバーグくさい」
 ハンバーグ食べた帰りに勝手にキスをしてきて、そうぬかした。何じゃコイツは、と思っているうちにどんどん彼の素顔を見えてくる。それはどうやらあたしにしか見せていない本性らしい。彼の周りには女の影が無数にちらついていた。
 アオイちゃん、ミサコちゃん、ユリちゃん、トモミちゃん、マイちゃん、フミちゃん、ハナちゃん、カナちゃん。
 どうやら彼は本気で8股をかけているらしかった。
 その男前にも関わらず女関係には愚か極まりない男。それがハンバーグを食べる光景は、何故かとても微笑ましいものがある。香ばしい香りを放つ鉄板の上のハンバーグを、器用にフォークとナイフで切りわける手つきがまた綺麗だった。その秋の恋は、芽生える前に消えて飛んだ。
 彼とは今でも大の仲良しである。


 
 『温玉ぶっかけうどん』

 
 高2の夏は、讃岐うどんの店に入り浸った。『温玉ぶっかけうどん』が妙に美味しくて、しかもそれが650円という低価格だったから最高である。冷たいおうどんが出汁にひたひたと浸かっていて、上に温泉たまごとカツオブシと大根おろしがどっさりと乗っている。どっさりなのはカツオブシと大根おろしで、決して温泉たまごがどっさり入っているわけではない。
 温泉たまごは1つしか乗っていない。その出汁が、濃くもなく薄くもなくちょうどいい味に仕立てられている。
 ちょうどこの時期、同じ団地の男の子に告白されていた。一緒に高校野球を観に行ったりもした。
 イアン・ソープがオリンピックで7冠か何かを達成するとかいう時期だったような記憶がある。
 「好きなんだけど。つきあおうって言ったらどうする?」
 彼はそんなふうにメールで告ってきた。あたしはその時、予備校で英語を教えてくれていた若い大学生の先生に恋心を抱いていたから少々鬱陶しいと思い、やんわりと断った。ごめんなさい、あたし好きな人がいるからって言って。
 「ああ、ふられた。ああ、ふられた。せっかく告白したのにふられた」
 ものすごい恨みがましいメールが2通続けてきた、同じのが。
 この彼とは、一緒に『温玉ぶっかけうどん』を食べた思い出がある。とりあえず今までに知り合った男の中で、彼が一番弱々しく、女々しかったのではないかと思う。志望大学のこと、高校のこと、両親のこと、友達のこと、今日の出来事。それらを彼女でもないあたしに延々と相談し続けてきた。
 あたしは確かにその相談には乗ったが……どっちが男か分からない、と親に言われた。そりゃそうだ、あたしは彼に相談したこともなかったし、彼に励まされたこともない。いつでもあたしが相談され、励まし、頼られていたから。
 そして少しきついことを言うと……泣かれた。
 2人でうどんを食べて帰った夜、メールが来た。それは再告白のメールだった。aikoの『花火』という曲の歌詞を全部、3通に分けて送信してきた。そしてその最後には『好きです』と打ってある。
 ……この歌詞、女の視点で歌ったものではなかったか。つるん、と喉をすべりおちる快感。後味の爽やかなうどんの食感。だが彼との別れは後味が悪かった。彼がその『花火』のメールを送ってきてから、思わずあたしはメールアドレスを変えてしまったのである。
 そして大学に入ってから、偶然電車で声をかけられた。……忘れたふりをしてしまった。申し訳ない、と今は思う。



 『ビーフシチュー』

 
 大学で知り合った先輩がいる。少々風変わりな先輩で、もともとタレント事務所に入っていたとか。何か、これは本当にすごい先輩だった。
 カラーコーディネイターの資格所持、美容師の資格も所持、ダンスは一級品でイギリスのグラムロックに妙に詳しい。バーで働いているため料理も上手で、細かいことにいろいろとよく気付き、そして何故かふぐの調理免許を持っている。何に使うのかはさっぱり分からないが、すごいと思った。
 そしてテコンドーで何かの賞をとり、サッカーでも全国大会に行ったとか。で、実家で猿を飼っている。その猿は女の子で、犬嫌いなんだという。あんな不思議な先輩には、この先なかなか出会えないだろう。
 その彼と何故か意気投合して、よく彼の家に遊びに行くようになった。一人暮らしの人だったが、ワンルームの癖にやたらと広い。無類の猫好きで、枕元には仔猫のポストカードが幾枚も貼られてあった。
 「今日晩御飯食べていく?」
 「うん、食べてく」
 男の一人暮らしの家に、女一人で上がりこんで。バカ正直に親に言ったのが良かったのか、心配されつつも怒られなかったのを覚えている。
 「ビーフシチューでいい?」
 「うん」
 どうやらバレンタインの義理チョコのお礼に、夕食を作ってくれると。
 彼が買い物に出て、新じゃがを買ってきた。で、台所に立ち、器用に皮をむく。あたしはずっとコタツでごろごろ転がりながら、テレビを見てけらけら笑っていた。あとで考えれば、女として最低だったんじゃないだろうかと思う。
 ビーフシチュー。あたしの家ではいつもクリームシチューだから、たまにビーフシチューをしてもらうととても嬉しい。あの深みのある色合い。
 とろとろのシチューの中から、美味しそうな新じゃがや牛肉、にんじんが覗いている。これは美味しかった。母親が作ると、少々水っぽくなるのが難点だったがこれは違う。この先輩が作るビーフシチューほど美味しいビーフシチューはない。少しどろっ、とした感じ。何ともいえない香りとボリュームが非常にあたしの心をくすぐった。先輩は一皿だけだったのに、あたしはおかわりまでした。それが祟ったのだろうか、今はあまり連絡を取らない。CDを借りっぱなしなのに、と近頃少し不安になってたまらない。



 
 『マグロの大トロ』

 
 分かるだろうか、この気持ち。この気持ち、というのはマグロの大トロを食べたときの気持ちである。あんなものは毎日食べるものではない、ないとわかっているが食べたい。滅多に食べられない豪華なアレである。
 たまに祖父が『トロづくし』というのを、寿司屋で買ってきてくれる。
 大学1年の冬、つまりビーフシチューを作るのが得意な先輩と懇意にしていた頃だが、遠距離恋愛をした。どうやらあたしは遠距離恋愛に向いている……というより、見知らぬ旅行先であれば意外とハメを外すタイプらしく、旅先でナンパされると平気でついていくという悪癖があるのである。
 それで付き合いはじめた男に、旅行がてら会いに島根に行った。島根といっても彼が住んでいるのは、ちょうど日本海に面しているところ。海の幸が美味しいということで、彼は寿司屋に連れて行ってくれた。何でも食べていい、というから大トロを食べた。隣で唖然とした……というより憮然とした彼の顔が忘れられない。
 あの薄桃色に輝くトロ。つやつやとしていて、何も文句のつけようがない。筋があるというわけでもなく、うっすらと煌めきを放つそれは口の中でふっ、と溶けて消えていく。消えた瞬間に舌に残る味わいが、あたしを虜にした。そのあと男に文句を言われた。男のくせにみみっちいな、とあたしは幻滅(だって大トロなんて回転寿司じゃ500円)。
 
 あたしたちは出雲大社にお参りに行った。彼は知らなかったらしいが、あたしは知っている。カップルで出雲大社に行くと、神様が嫉妬して別れさせるんだって。出雲大社の大きな注連縄には、たくさんのお賽銭が詰まっている。千円札を入れていく人もいる。少しジャンプして注連縄をたたけば、小銭がばらばらおちてくるのである。
 彼氏が、人目を盗んで落ちた小銭を拾い集めているのを見て、さらに幻滅した。あたしが500円の大トロを食べたから、そんな行動に走ったのだろうか。賽銭で何とか500円の大トロ分を埋め合わせたかったのだろうか。なら何でも食べていい、などという大言壮語を吐かなければ良かったのである。だいたいあたしが寿司好きなのとあたしの性格を知っていて、寿司屋に連れていくほうがどうかしている。
 それで数週間後、別れた。出雲大社の神様は、確かにカップルを別れさせることに成功したのである。



 『豆乳アイスと苺のクレープ』

 
 そして大学生活も佳境にさしかかり。バイト先の同僚と、しばしば買い食いして帰る癖がついた。おごってあげるから、という誘い文句に乗る。
 つい乗ってしまう。奢ってあげるからコーヒー飲んで帰ろう、奢ってあげるからクレープ食べて帰ろう。その言葉に乗せられ、この数ヶ月間で絶対数百グラムは太ったはずだ。だが、これがまた美味しい。バイト帰りの時間帯は、だいたい夜の9時半頃。その頃にはほとんど客もおらず、広い客席でのんびりと話をしていくことができるのである。
 ただこの『豆乳アイスと苺のクレープ』、豆乳の味がぜんぜんしない。あたたかな生地の中に、冷たいアイスクリームと苺のソースが入っている。温かさと冷たさの素晴らしいハーモニー。生地の温かさで程よく溶けたアイスクリームが、また口の中ですっと溶けていく。少し苺の味が濃すぎる気もするが、豆乳はやはり癖があるからこれくらいでいいのかもしれないと思った。さて、それを奢ってくれるのは大親友。仲の良い女の子。
 ハンバーグが大好きな性悪イケメン、この女の子はそいつに惚れた。惚れて、2回告白した。彼女は最初あたしにそれを言わなかったが、あたしは知っている。全部男のほうから聞いて知っている。だから余計にかわいそうに思った。
 この子は自分の胸にしまっていることだろうのに、あたしが全部知っていることを知ったらどう思うだろう、と。そして2回とも告白を蹴られ、彼女は敵意を燃やした。……例のイケメンハンバーグ男に。
 いつしか彼女は常にあたしの傍にいるようになり、そしてあたしの傍でイケメンにライバル心を燃やしはじめたのである。どうやらあたしとイケメン男が仲良いのが気に入らないらしい。それもあたしに嫉妬心を燃やすのではなく、イケメン男に対して嫉妬心を燃やしている。
 すぐ傍に一度は惚れた男がいるのに、完全に無視をして、あたしにだけ声をかけてくるようになった。女の子というのは、何故こうまでも不思議なのだろうか。最近思う。最近あたしは女の子の考えていることが分からない。

 ただ分かるのは友情は大切ってことと、男はあまり頼りにならないってこと、それから美味しいものはやっぱり美味しいってこと。わかってることだけでも、大事にしなきゃと思っていたりする。そんなあたしは、ついこの間スモークサーモンチップにハマッた。






 目が覚めた。驚く、何故こんな夢を見たのだろう。最近あまり食べていないせいだろうか、美味しそうなものが夢に出てくるのである。
 それにしても微妙な夢だと思った。過去に美味しいとハマッたものを、こうまで熱烈に一人語りする夢を見るとは。昨日の夕飯を食べていないせいかもしれない。おなかがぐるぐる、と鳴っている。朝の5時半。
 こんな年寄りみたいに早起きしたのは、やっぱりおなかが空いたせいだろう。朝ごはんは何だろうか、と思ってリビングに下りてみると、卵焼きとホウレンソウのカス。冷えて固まった少量のごはん。
 ああ、昨夜のおかずの残りカスだ。夢に戻りたい、とあたしは目覚めたことを後悔した。
2005/02/24(Thu)13:53:24 公開 / ゅぇ
■この作品の著作権はゅぇさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ほんっとうに申し訳ありません。何てバカなものを書いてしまったんだ、とこうして描いてみて激しく後悔してはいるのですが……とりあえず何が言いたいかというと『これ美味しいよね!!』ってことが言いたかっただけなのです。書いていくうちにどんどん随筆みたいになっていったので、無理やり最後で夢にしちゃいました。ごめんなさい。今まで最低の作品かもしれませんが、それでもやはり美味しいものが好きな私はついつい……。ですので、苦笑とともに読み飛ばしていただければそれが一番幸いです。半分実話だったり。ちなみにこんなものを書いていると勘違いされそうですが……これでも意外と少食なほうなんです(爆)すぐおなかがいっぱいになるので、美味しいものを好きなだけ食べられないという悲しい現状。さて、これをいったいどれだけの人が読んでくれるのか。恐怖にうち震えながら、連載のほうを頑張りたいと思います。そしてダメだしはしないでください。本当に(笑)ただ『パスタおいしいよね!』とか『シチューおいしいよね!』とか、共感していただけるところが一瞬でもあればそれだけでもう満足です……。
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