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『麗華』 作者:相布鼓舞 / アクション 未分類
全角6047文字
容量12094 bytes
原稿用紙約20.9枚
アクションもの?女子プロレスラ―が主人公です。全9章。
第一章 一人旅
女子プロレスの会場。
女王麗華の軍団と、チャンピオンベルト争奪の試合は、悪役のきたないやりかたに
負け、ベルトを取られた。
控え室にもどった麗華は、おだやかでなかった。理由はそれだけではなかった。
彼女の彼氏でありマネージャーに対する不信がつもっていたようだ。
「お疲れさま麗華」
マネージャー大作の声を無視して、大作を睨みつける。
「なに、あの娘は」といってつめよる。
「な、何勘違いしてんだよ、ファンじゃないか、冷静になりなって」
「なんでマネージャーのお前にファンがつくんだ、おかしいだろう」
麗華はどなりながら、そのへんの手についた物を投げつける。
「ちょっと話を聞きなよ、ね」
麗華の投げる物を、上手く受け止めながらフォロー。
慣れた仕草が、よけい麗華の勘にさわった。
どうやら大作がファンから電話番号のメモをもらってるのを、たまたまリングから
麗華が目撃したのが原因らしい。
「もぅっ、頭っきた」といって、飛び出す麗華。
「まって、明日のスケジュールだけど…」
「うっせぃやぃ」
控え室のドアを激しく閉めると、それっきり、麗華は消えた。

宮城の田舎町は震災で、かつての美しい風景はなかった。
何もなかったかのように、おだやかな海をながめる麗華がいた。

毎日のプロレス漬けの生活、大作に対する不信、そして麗華自身の体…
気持ちを整理しようと、一人旅に出てのであった。

ふとおとずれた老夫婦が営むラーメン屋にひかれ
働かせてもらうことになった。
老夫婦には娘がいたが、災害で亡くしていた。
それでも食っていくためにがんばっていたのだった。
娘の部屋が空いていたので、住み込みで働く事ができた。

第二章 出会い
「麗華ちゃん、悪いわね、たいして給料もあげられないのに」
「いいんです、私、風来坊ですから、それより、すみません突然おしかけて
その上、住み込みさせてもらって」
「いいのよ、どうせ部屋は空いてたし、私らも寂しくなくなって
こっちがお礼いいたいくらいだよ」
もう70近いおばさんはきさくで面倒見もいい人だった。
「めしだけは、腹一杯食わしてやっから」
旦那も嬉しそうに、言い足した。
麗華が女子プロレスラーということは内緒にしても、筋肉質の体は
かくせなかった。
大切な人を亡くし、それでも明るく生きようとするこの夫婦に
麗華は人間の大切な物を見いだし、ここにいれば、なにかを得られる、
そんな気がして、ここに居たくなったのだ。

やがて地元の漁師や、長距離トラックのドライバーに人気が出て。
いつしか、店は繁盛店となっていった。

そんなある日、一杯のラーメンをすする少年。
食べ終わると、さっと無言でたちさる。
麗華は、あっと思った瞬間いなくなっていたので、
もしや無銭飲食?と思い、
「あのガキ、ようし捕まえてとっちめてやる」
袖をまくり上げ店を飛び出そうとすると
店の主人が
「あの子は、震災で両親を亡くしちまってよ
金なんかいらねえから、腹空いたら、いつでも食いにこいと、
言ってあるんだ、許してやってくれ」
「どうりで、なんだかさみしそうな目してた…」

第三章 チンピラ
いわゆる震災孤児は、数百人単位はいると見られる。
まだ7才のトシ坊はそんな一人だった。
客がとぎれ、麗華はトシ坊をみつけると、よく遊ぶようになっていた。

ある日、店の主人が、かたずけをしながら
ふと客の忘れた新聞記事に目をとめた。
『麗華女王陥落、失踪、』女子プロレスの記事をよく扱う、Tスポーツの記事だった。
彼女のアップの写真を見て、おや?っと気づいたのである。
わざわざこんな田舎へこずとも、…きっと何か理由があるとはず
、いずれ話し合う機会があるだろうと思っていた。

二人でサッカーをやっていて、ボールをうけそこなったトシ坊が草薮に入ってくと
うずくまる男がいた。ふりむくと
「この野郎、誰だ。おれにボールをぶつけやがって
 こらってめぇ。このくそガキ!」 どなる声がひびいた。
麗華がかけつけると、チンピラ風の男が、トシ坊をつかまえていた。
「手をはなせ、」苦しそうにもがくトシ坊を見て、
麗華は動揺することなく、大声を発っした。
威嚇するつもりのチンピラが、かえって驚いた。
「な、なんだこの女」といって、麗華の襟首をつかまえようとしたとき
一瞬にして、チンピラは地面に横たわっていた。
トシ坊も驚いた、あわてて麗華の後ろへ隠れる様にしがみつくトシ坊。
チンピラの銀次も、これはただ者じゃないと覚り、
長居は無用とばかりに、
「おぼえてろよ」と吐き捨てるように言い、
あっというまに、どこかえ去った。

第四章 襲撃
それ以来、時々不審な人間が、店を覗くようにうろつくようになっていていた。

ある夜、おきてはいけない事件が、とうとう起きてしまった。
閉店時間になり、いつものように麗華は、外の看板を片付けに外に出た時。
麗華の背後のから、ふいに、木刀がふりおろされた。
ゴツ、骨がくだけるにぶい音。
気を失いかけていたが再び振り下ろされた木刀を、
リングでの戦いに体が覚えていたのであろう、とっさに受け止めた。
頭からはすでに血がしたたり落ち、頭から顔面も真っ赤である。
木刀をもったまま、無意識の状態で相手に頭突きをくらわした。
「ぐわっ」賊は思いもかけない反撃に、あわてて、逃げ出していた。
麗華はそのまま気を失った。
やがて聞こえる救急車のサイレンの音。

気づいたのは病院のベッドの上だった。
心配そうにみつめるラーメン屋のおばさん。
「気づいたかい。難儀じゃったね」
「すみません、心配かけて…」
申し訳なさそうな麗華に
「それより、お腹の子は大丈夫だったよ」
なんと麗華は妊娠していたのであった。

病院の待合室で、思い詰めた表情の主人、公衆電話をとり、どこかへ電話していた。
手にはTスポーツの切り抜きが握られていた。

「いらっしゃーい」
数日後、元気に店ではたらく麗華がいた。
常連客が
「麗華ちゃん大丈夫かい。頭に包帯まいちゃって」
「ぜーんぜん、へっちゃらよ、こんなの。と、いてて」
「ほら〜無理すんなって。でも、物好きな痴漢もいるもんだよな。」
「なんだって?この野郎」
「ごめんごめん、ひゃ〜」

第五章 逆襲
ある日、スーツを着た、まだ30前後の
きざな雰囲気の男がラーメン屋によった。
麗華を見つけると、なめるように眺め
にやにやいやらしい顔をすると
主人と何やら話し、しばらくして立ち去った。
麗華はけげんな顔でふと、帰り際男の車に同乗している銀次をみつけた。
いつかトシ坊を虐めてた男だ。男の車が帰るのを見て主人につめよった。
「あいつ、なんなんですか?」
麗華はとっさに闇討ちの犯人とも関係あるのでは、と思い、主人に尋ねた。
「あれは弁護士でな、…実はこの土地を売れと、せまられているんじゃよ」

震災後、復興計画にともない、安全な高台の土地は、地上げ屋の標的となっていた。
そして、本来なら片田舎のラーメン屋も、地上げ屋に狙われていたのであった。
まずチンピラをうろつかせ、人をよせつけないようにし。強引に土地を手放す様に
もっていく、彼らの常套手段なのである。
トシ坊が出会ったのも、そんなチンピラであった。

数日後、ついに連中は凶暴な本性をむきだしにした。
店が終わって、かたづけをはじめようとしたとき
5〜6人のチンピラが店におしかけ
店の看板を倒し、気勢をあげ、店を壊し始めた。
麗華は、「やめろ〜」
おり悪く、遊びにきていたトシ坊が
「こわいよ〜おねぇちゃん」と麗華にすがる。
トシ坊を抱きしめると、さっと後ろに回し、気持ちはすでに戦闘態勢に切り替わっていた。
その時麗華は、銀次の額の傷をみつけ
「この間の闇討ち犯はやっぱりてめえだったのか、その傷」と銀次の額を指さした。
しまった、というように、慌てて手で額の傷をかくすように抑えながら
「おい麗華、おめぇ女子プロレスの麗華だろ。二度とリングにあがれねえように
 してやる」
銀次の啖呵が終わるかおわらないか、麗華のけりが、銀次の顔面を襲った。

第六章 別れ
多勢を相手にするには、体制をつくらせないようにする、つまり
囲まれないようにして、常に一対一の体制にもっていく作戦。
宮本武蔵を神とする麗華は、一乗寺の決闘で学んでいた。
その主導権を得るためには、先手必勝なのである。
もんどりうつように銀次はころがり、まわりの連中もたじろいだ。
しかし、それもつかの間、相手はヤクザ、ケンカのプロである。
手には、つるはしやバールなどの凶器を持っている彼らに
じりじりとおいつめられていった。
たまらず主人が止めに入った。
「やめてくれ
 いうとおりにするから、もうやめてくれ」
そして主人は麗華の方に振り向いて続けた。
「麗華さん、もうこれ以上、かかわらないでくれ、店にもこないでくれ」
「おじさん…」予想もしなかった、主人の言葉に麗華は唖然とした。
ざまあみろとばかりに銀次は
「わかりゃいんだよ、おぃ、かえるぞ」
帰り際に「明日、解体の重機がくるから、店かたづけとけよ」
と、吐き捨てる様に告げていった。

麗華自身、災いを運んだような自責から、何も言えず店を去るしかなかった。

田舎の駅は人影もまばら、ポツンとついた裸電球はよけいに郷愁をさそう。
やがて電車が入ってくる。
そのとき、トシ坊が改札をくぐって走ってきた。
息をきらし、麗華を探している、どこにいるのかわからず
鳴き声まじりに、「麗華ねーちゃーん」何度も叫んだ。
電車は発車した。
しかしホームには麗華の姿があった。
二人は抱き合った。トシ坊は、ただ、お別れを言いたくてやってきたのではなかった。
なんと、おばさんが、倒れてしまい、麗華をよびにきたのであった。

第七章 決意
叔母さんは、前から糖尿病の持病があり、今回の事件で
急に悪化したのであろうか、不安な気持ちを抑え、病院にむかった。

タクシーに乗り病院に向かいながら、
麗華はいままでの事がくるくると思い出された。

銀次にプロレスの事を言われ、急に弱気になってしまった自分。
見ず知らずの自分を、快く迎えてくれ、
さらに、麗華をかばい、あえて辛い決断を下した主人の気持ち。
なぜそれを解ろうとしなかったのか、すべてが悔しかった。
もしあの時、主人のとっさの機転がなかったら
血をみずにあの場はおさまる事はなかった。
結局、他人の役に立つどころか、ただ甘えてばかりだった自分に気づいたのだった。

病院につくと、手術室の前で主人が待っていた。
「おお、麗華ちゃん、さっきはゆるしてくれ、わしはひどい事をいってしまった。
 どうやら、脳梗塞らしい。
 うわ言のように、おまえさんを呼ぶんじゃ。 
 それでトシ坊に迎えにいってもらった」
主人は、おばさんが倒れて、すっかり動顛してしまい、
麗華に助けを求めるしかなかった。

「おじさん…。私の事は大丈夫よ、それより、おばさんが心配」
主人の手を握り返した。
何時間経ったのだろう手術は終わった頃、すでに深夜になっていた。
なんとか無事命はとりとめた。
少しおちついた表情で主人は
「わしは、このままついている。麗華ちゃんは
 少しでも寝たらいい」
「ありがとう」
麗華はと言葉をのこし、そっと病院を出た。
一人店にもどった麗華は覚悟をきめていた。

やがて空はしらじらと明けてきた。
太陽は輝きだし、照らされた大地は、かすかに朝靄をたてて答えている。
朝日をみつめながら、麗華の体中の血が、気が、充満するのを感じていた。

重機がきても、店を解体させない。死守すると、麗華は誓った。

第八章 決戦
朝7時頃、ブルドーザを積んだ20tトラックが到着した。
それに続き、作業員をのせた、バンが到着。
彼らにとって、こんな小さなラーメン屋など、一日もあれば
建物をつぶし、更地にしてしまう事など、雑作もない事だった。

車を降りて、いつもの事のように現場に向かおうとすると、
ラーメン屋の前に、誰か、仁王立ちしている者がいる。
麗華だった。
その姿をみつけると、銀次は前に出てきて
「なんだ麗華、東京に帰ったんじゃねえのか
 今更なんのまねだ、じゃまだ、どかねぇか」
麗華は無言のまま、すばやいタックル、
そして銀次の体をパイルドライバーにかかえ
「やーっ」
気合いとともに投げ捨てた。
銀次の体は5〜6mは飛び地面に叩きつけられた。
なんという敏捷な動き、そして怪力、
銀次にはまったく見えない、抵抗する余裕もなかった。
「いてて」
したたか腰をうちつけ、銀次は立ち上がることもできない。
作業員たちも、一瞬驚いたが
なにしろ、相手は一人、それもどうやら小娘らしいときて
それぞれバールを得物にしてつめよった。

前の襲撃のときは、夜だったが、今はちがう、すでに陽は昇っている。
多勢に無勢では、さすがに麗華もただでは済まない。

と、そのとき、後ろの作業員が
「うぇっ」
と、つぶされたような声をはいた。誰かが投げた石があたったのだ。

第九章 友情
「まてっ」
女の奇声が響いた。
作業員も麗華も、声の主を見た。
「麗華さん、遅くなってごめんなさい」
なんと、そこには麗華の後輩達がいた。
「おまえら、あたし達をなめんじゃないよ」
彼らを一喝するように叫び、現れた。
「あんた達、どうしてここに」
不思議そうな顔の麗華。
実は、麗華を心配した主人が麗華失踪の記事を読み
東京の事務所に連絡していたのであった。
「ご主人から、何もかも聞いたの
 でも話はあと、今はこいつらを」
これで五分と五分となり、にらみあった。
と、その時、パトカーのサイレンが近づいてくるのが、聞こえた。

到着したパトカーから、マネージャーの大作と警官が降りてきた。
「麗華、無事か、ご主人から連絡を受け、かけつけた。
 今、こいつらをしょっぴいてもらうから
 こいつらのような、悪質な地上げ屋を防ぐ為に
 この辺の土地は復興政策の一環で国が買い受ける事になってるんだ」
大作は事件を知り、通報していたのであった。
連行されて行く中には、銀次や生意気な弁護士もいた。

事件は解決し、二人は海岸を歩きながら
「ご主人から電話もらった時は、本当に驚いたよ
 でもまぁ、無事でよかった。東京に帰ったら
 宮城のみなさんにまけないよう、
 おれたちも二人三脚で、復帰戦がんばろう」
結局、大作に助けてもらった事で、観念するしかなかった麗華だったが。
「これからは3人よ」
大作は、思いもよらない返答に、とまどった。少し間を置いて
「…?えっ?…そ、それって…もしかして」
「そう、そのもしかよ、
 おとなしくもどるかわりに、
 復帰戦はこの宮城でやりたいの、
 ここへきて、みんなに力をもらった、その恩返しをしたいの」

麗華の復帰戦は海岸の特設リンクで行われた。
大々的な宣伝もせず、入場無料で、地元の人に楽しんでもらえばそれでいいつもりだったが
観戦にかけつけた車の列は、長蛇となり、訪れる人の波はやまなかった。
2012/01/09(Mon)21:29:30 公開 / 相布鼓舞
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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