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『Midnight Vision』 作者:一日君 / リアル・現代 未分類
全角2411文字
容量4822 bytes
原稿用紙約7.25枚
不思議な一晩のお話です。
 目が覚めた。ずいぶんと長い時間眠っていた気がする。
 暗闇の中で重たい布団と瞼を片付け、セットしておいたはずの目覚まし時計を手で探り当てる。
「二時。……深夜の二時!? ……また起きれなかった」
 カーテンの隙間から漏れる月明かりを頼りに、私はテーブルの上のクッキーに手を伸ばした。掴んだクッキーをそのまま口の中に放り込む。
 ほのかに甘いクッキーの味が口一杯に広がる。
「美味しい……けど、クッキーを作ってくれたのなら、ラップを掛けておいてくれればいいのに。やっぱり乾燥していない方が香ばしくて、私の好みかな」
 テーブルの奥にあるベッドに向かって、私はぼやいた。
 向こうからの返事はない。こんな時間だし、きっと眠っているのだろう。
 私は家の構造を思い出しながら、気付けの焼酎を呑みに一階へ降りた。
 足元はふらつくし、頭は重たい。
「たくさん寝たはずなのにな」
 昨夜はナマケモノと言われてからかわれたのに、まだ寝足りないなんて話をしたら、呆れられてしまう。
 できれば呆れられた顔は見たくない。
 リビングに着くとコーヒーカップが置いてあった。こっちもラップはされていない。
 このカップにコーヒーが注がれるシーンをイメージして、私はちょっとだけ可笑しくなった。
「普段は不器用なくせにっ。まあ、嬉しいけどさ」
 急きょ焼酎をやめて、代わりに眠気覚まし用のコーヒーを口に含む。
 すると、口の中でさっき食べたクッキーの味が不思議と蘇り、絶妙に美味しい。
「クッキーはこれを見越しての伏線だったわけね。可愛いことしてくれるじゃない」
 唐突に沸いてきた照れ臭さを、私は我慢した。だけど、結局口から「フフフッ」と噴き出してしまった。とっさに緩んだ顔を元に戻す。一人きりでなにバカやってんだろと思う。
「昨日行くはずだった遊園地を寝過ごした罰にしては、これは甘すぎるんじゃない?」
 もしやこれは、いったん持ち上げてから落とす作戦なのだろうか? その方が私への精神的なダメージが大きいとでも考えたのだろう。相変わらず発想が単純だ。
 悔しいことに、私はその見え透いた術中にまんまと嵌っている。
 次にどんな罠が私を待ち受けているのか、正直言って不安だ。
 まさか、今回の件を理由に別れ話でも持ち出されたりしたら……また一人ぼっちになるなんて、イヤだ。後でちゃんと謝ろう。なんだかんだ言うだろうけど、最後は笑って許してくれると思う。
 眠いのにコーヒーを飲んだせいか、頭痛がし始めた。どんどん痛みが増していく。今までも頭痛が起こることはあったけど、ここまで酷いのは初めてだ。全然収まらない。
「やだ、怖いっ」
 いったん部屋に戻ろう。
 私は頭を手で抑えながら、体をUターンさせて来た道を引き返した。
 途中の階段が歪んで見える。それだけじゃない、実際に歪んでいるかのように足元が揺さぶられる。
「なんなのよ……」
 私は必死になった。
 目を開いているだけで、目を棒で貫かれたかのような鋭い痛みが襲う。その場で蹲りたくなる欲求に抗いながら、足であって足でないようなものを持ち上げては前に押し出していく。激痛に苛まれながらも、果てしない作業を繰り返していく。
 もしここで死ぬのだとしたら、それでも構わない。酒は飲むしタバコは吸う、そのくせ真面目に働かない。私を悲しんでくれる人はきっと少ないだろう。
 ここで死んだら後悔は残るけど――よく考えてみれば、私には端からどうしようもない願いばかりだったし。
 だけど、せめて死ぬんだったらその前にもう一度、こんな私を笑顔でからかってくれる人の顔を見ておきたい。そしたら目に焼き付けるからっ。たとえ今後の行き先が地獄であっても気にならないからっ!
 部屋のドアを開ける。
 騒然とした部屋に、ほんのりと白い光が混じり始めていた。
 激しい頭痛と睡魔で、一瞬でも気を抜くと意識が途切れてしまいそうになる。
 なんとかベッドに縋り付いて、ほとんど気力だけで覆いかぶさっている布団を退けた。
 一瞬、頭の中が真っ黒になる。
 ベッドの真新しいシーツを私の手が何度も叩く。何度も、何度も、何度も。
――あるはずの何かがない。
 悲しくて涙が溢れ出す。わけも分からず感情的になりたがる自分を抑えきれない。
 そもそもあるはずの何かってなんのことだろう? ここには初めから、ベッドが置いてあるだけじゃないか。頭じゃ理解しているはずなのに、私の手は何かを求めるかのように、ベッドのシーツを叩くのを止めようとしない。
 寝起きで変な妄想でもしていたのだろうけど、どんな妄想だったのか思い出せない。
 何故だか、ベッドのシーツが妙に温かい。私が手で何度も叩いていたせいだろうか?
 シーツから嗅ぎなれた匂いが漂ってくる。私の匂いでもなければ、持っている香水の類とも違う。凄く身近で懐かしい感じのする匂いなのに、どこで嗅いだものなのか思い出せない……。

 どのくらいの間、私はベッドの傍らで泣いていたのだろう。
 放心状態だった私を、早朝に鳴るようセットしておいた目覚まし時計が、現実まで引き戻した。
 気付けば頭痛は無くなっているし、涙もピタリと止まっている。
 私は小鳥のさえずりに誘われるようにして、久しぶりに部屋のカーテンを開けた。これまた久しぶりの日の光に、思わず丸まった姿勢が伸びていく。そのまま胸を張って、手を横にぐっと広げる。
「んあー。……いい気分」
 一人暮らし初日に感じたあの開放感を思い出す。そういえば、初日の日もここの窓に向かってこうして大きな伸びをしたんだっけ。
 泣いてスッキリしたこともあってか、何もかもがクリアに見える。根拠はないけど、今ならこれまでのだらしのない生活を変えられる気がする。
「せっかくの朝だし、散歩でもしてこようか」
 いつの間にか置いたらしいテーブルのクッキーを齧って、私は散らかった部屋を出た。
2011/10/24(Mon)23:26:14 公開 / 一日君
■この作品の著作権は一日君さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
久々に投稿。
って、もう誰も自分のことなんて覚えていませんよね。
忘れ去られるって、なんだか切ない……

感想ありましたら、よろしくお願いします。

10/24追記:
微修正を行いました。
この作品に対する感想 - 昇順
感想です! 
一人言多い……ですよね、主人公。
仮にそういうキャラなのだとしても地の文とテンションとか口調の差が、なんか、あの、非常に申し上げにくいんですけど、ちょっとある時があったかな、と思いました。
2011/12/20(Tue)16:43:080点水山 虎
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