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『天使と悪魔は友達でした。』 作者:紫乃 / リアル・現代 ファンタジー
全角1347文字
容量2694 bytes
原稿用紙約4.35枚
赤津仁音と薙木健也、二人は先輩と後輩という仲であり、傍から見れば普通の少年だった。よくある設定の間柄の二人だが、お互いが知らない秘密があった。赤津仁音は、人を些細なことでも良いから不幸にするためにやって来た悪魔。薙木健也は、人を些細なことでもいいから幸せにするためにやって来た天使。二人は、真逆の敵対した仲にも関わらず、日々を過ごしていく。何も知らずに。
 普通の町で普通の学校に通う二人の少年は、普通では無かった。
 先輩と後輩という関係であり、親しい仲でもあったのに、お互いがどんな存在か知らなかった。
 天使と悪魔。
 普通は出会ってはいけない、敵対しなければならないはずの種族であり、人では無いもの。
 人の形をしながら、人とは異なる考えを持つ、人外のもの。
 ただ、少年達は知らなかっただけなのだ。
「先輩、先輩、おはようございます!」
「おー、おはよう」
 道端で見かける様な、微笑ましい挨拶の風景さえも、同じ種族の者が見れば憤りを感じてしまうのかもしれない。

「仁音先輩っ!おはようございますっ!」
「ん…おお、健也、おはー」
 赤津仁音と薙木健也。
 とある普通の町にある普通の中学校に通う少年だった。
「先輩、昨日のテレビ見ました?面白かったですよね!」
「あー、見た見た。久しぶりにテレビで笑ったからな。やっぱアレ一番面白いわ」
「ですよねー!」
 そんな他愛の無いありがちな会話をしながら、学校へと入って行く。
「ひとちゃん、けんちゃん、おはよー!」
 仁音と健也の先輩、三年の浅村美智が玄関を忙しそうに走っている。
 ひとちゃん、けんちゃんというのは、二人の渾名だ。二人はさしてこの渾名を好いてはいないが、気に入ってしまった先輩が勝手に呼び始めている。
「じゃあ健也、また部活でー」
「あ、はいっ!」
 という感じで部活時間まで飛びたい所だったが、一年の健也のクラスと二年の仁音のクラスは体育で合同、バスケットボールの試合をすることになっていた。
 チームは一年と二年でごちゃまぜ、とりあえず実力は等しくなるように。そしてまた偶然にも、健也と仁音は同じチームになっていた。
 まず最初に準備運動をして、次にアップ、ドリブル、シュート練習、最後に試合。
 シュート練習までは皆だらだらしていたのに、試合となると全員が応援なんかに全力を出す。
「勝つぞ〜っ!!」
「…おー…」
 健也はやる気満々だったが、仁音は対照的にやる気なさげだった。
「いいねーけんちゃん!ほらほらぁ、ひとちゃんもやる気出して!けんちゃん見習って!いくぞっ、えい、えい、おーっ!!」
「仁音先輩、せーのーで、」
『えい、えい、おおぉーーーっ!!!』
「ついていけねぇ…」
 仁音はため息をついて、コートに出てジャンプボールに参加する。
 仁音と健也のチームは、比較的平均身長が低め。他のチームには仁音より背の高い生徒が多く居るが、このチームで一番背の高いのは仁音だった。
 ピリリ、と大きく高い耳をつんざく音が鳴り響く。試合開始、ジャンプボールの合図だ。
 センターサークルの中には、ジャンプボールに参加する仁音と、相手チームの早河由宇。由宇は仁音よりも身長河幾らか高く、運動神経もなかなか。こいつがチームに入ればラッキー、みたいな奴だ。
 審判がボールを仁音と由宇の間に高々と放り投げ、コートの外にそそくさと外れて行く。
 投げられたボールは、僅かに仁音の方に逸れた。
「よっしゃ!」
 試合前にはついていけねえ、とか言っていた仁音も、いざ試合となれば真剣に取り組んでしまうのだ。
 丁度いい高さに降りてきたボールを狙い、ジャンプして手を伸ばし、ポンと由宇の向こう側、健也の方にボールを送った。
2011/03/08(Tue)20:25:26 公開 / 紫乃
■この作品の著作権は紫乃さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ありがちですね…知ってます。
こういうのが好きなので、お粗末ながら書かせていただきました。
「みてやってもいいよ」という人は上から目線でどうぞ構いません、この駄文を見て行ってやってください。
この作品に対する感想 - 昇順
人をちょっと不幸にする悪魔と人をちょっと幸せにする天使が一緒にいるから
相殺されて、何もない物語になりました。ってこと?
2011/03/10(Thu)14:20:530点毒舌ウインナー
合計0点
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