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『脳内ファンクション』 作者:皆倉あずさ / ショート*2 未分類
全角1339.5文字
容量2679 bytes
原稿用紙約3.95枚
 え?
 いや、別に何でもないよ、
 顔赤くなったって……もう、ミキって直ぐそういう方向に話を持って行きたがるよね、そんなんじゃないってば、
 だから、彼氏とかそんなのどうでもいいの、私は手越〜クンに生きてんだから。
 ……まあ、何かあったってのは当たってるんだけど、聞いてくれる? 今朝ちょっと変な奴見かけて。変な奴っていうか、変態? ……アハハ、それはない、そこまではない、ちゃんと服は着てた。
 そんな分かりやすい感じじゃなくて、朝学校来る途中で、電車待ってる時に同じホームで同い年位の男の人が居たんだけど、その人が何かいい感じっていうか、いや、そうじゃなくて、やっぱりって顔しないでよ、もう、そういう話じゃなくて、見た目性格良さそうっていうか、こういう人には嫌われたくないって思わせるような、さ、分からない?
 あーもういいよ、だからそんな顔するなってば!
 ねえ、ちょっと、聞く気ある? それで、不可抗力みたいな感じでちょっとその人の事を気にしてチラ見したりとかしてたわけ。そしたらその人が鞄から文庫本取り出して、カバーかかってたからタイトルは分からなかったんだけど、とにかくそれを読み出したの、音読で。
 ……意味不明じゃない⁈ 駅のホームで小学生みたいに真面目くさった顔して、
 ゆりこは、まさおをおいかけた。まって、おいてかないで、
 とか読んでるの、
 え? 今の、モノマネ。何かね、すごい下手だった、単調だし、でも声はやたらいい声してたんだけどね。福山〜みたいな、
 嘘じゃないよ。まって、おいてかないで、あーでも本人が言ってるとこ想像できないな……
 あ、それでね、しかもなんだけど、その小説がさ、何というか……そっち系っていうの? そういう描写が結構がっつりあったんだけど、それもお構いなしなんだよね、おんなじ調子でべらべら喋って、周りの人の事なんか全然気にしてないっていうか、何か自分だけの世界に入り込んでるっていうか……
 それでまあそれも聞いてたんだけど、
 仕方ないじゃん!
 そしたらメールの着信があったの、その人に。ほら、まさかって思うでしょ、まさか、その人やっぱりメール大声で読み出して、もう笑っちゃった、あのさ、空で言えるってすごくない?
 おべんとう、いえにわすれてますよ、ははより。
 ……おべんとうとか、もう、何それって感じじゃない? ものすごくしっかり読みあげちゃって、はあってため息ついて、帰ってった、やたら姿勢よかった、背筋がぴーんって、もう笑いこらえるの大変で、………
 んー、多分近所の人なんだろうけど、最寄り駅ちっちゃいし、でも初めて見た感じだったと思う、っていうか見てたら嫌でも気づくって……ああ、引越しかあ、そういう可能性もある? 明日も居たら完璧だよね、あ、そうだ、もし居たら写メ撮ってきてあげようか、割とね、カッコいい系の人だったし、黙って座ってる限りイケメン、みたいな、
 え?
 いや別に期待してるわけじゃないって、そんなわけないじゃん、そんな毎日毎日そっち系小説の朗読なんか聞きたくないし、いや、だからさ、朗読を抜きにしたらいい感じの人だったとは言ったけど、ちょっと、何で話最初に戻ってるの? いや笑うトコじゃないって。
2010/11/05(Fri)21:34:56 公開 / 皆倉あずさ
■この作品の著作権は皆倉あずささんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
久しぶりに投稿します。
長編の片手間くらいに読んでもらえたら嬉しいです。
この作品に対する感想 - 昇順
 こんばんは。
 うーん、村上春樹の超短編小説みたいな雰囲気だなと思ったんですが、惜しいところで何かがちょっと足りない気がします。じゃあ何が足りないんだろう、と考えてみるんですがなかなか難しい。オチ話にしてしまうのもつまらないし……。
 日常の中に進入してきた小さなブレ、みたいなものがこの小説のキモじゃないかと思うんですが、それってホラーの一歩手前なんですよね。実際、この語り手の過剰な無邪気さは奇妙に怖い。実は異常なのはホームの人ではなく、それをカッコイイ系とかイケメンとか言ってしまえる語り手のほうなんじゃないか、そんな怖さが微妙ににじみ出る感じがあれば(はっきりそれを前に出しちゃうと白けるので)、一つの方向性は出てくるのかな、と今はこれくらいしか思いつかないんですけども。中途半端な感想ですみません。
2010/11/05(Fri)22:13:360点天野橋立
こんなに早いコメントありがとうございます!
正直、私の考えていた裏側とかなり違っていて驚いたし、何より新鮮でした。あ〜、こういう考え方もあるのか〜って。
でも何か足りない、っていう気はしてました。一人で悩んでも行き詰まるばかりで、勉強させてもらおうと思って投稿したので、踏み込んだ意見はとても助かります。
天野さんのおっしゃる感じって何となく想像つきます。村上春樹の作品は少し読んでいるので……ああいう「深い感じ」とか、短編だったら分かりやすいエグみ(?)みたいなものが必要なんだと思います。例えば「牛乳」みたいな。
ちょっと実験してみた作品で、こんなのでも小説って言われるのか不安だったのですが、そこはクリアで大丈夫でしょうか?

とても参考になりました。またよろしくお願いします。
2010/11/05(Fri)23:44:370点皆倉あずさ
 文字によって書かれ、虚構性を有する創作物。これが即ち21世紀の現代における小説の定義だと思いますから、これは小説です……。
 などと、変に理屈っぽい話をするまでもなく、実際こういう形式の小説は時々みかけますしね。村上春樹なら「鏡」なんてのもありますし、それこそ有名なところでは太宰の「駈込み訴え」もこういう告白体みたいな小説ですよね。「ウェルテル」とか、書簡体小説なんてのもあります。実際、小説において実験的なことはほとんどやりつくされているのですよね。何かというと「これは小説じゃない」とか言い出す人は、読書経験が足りない気がしています。と、不勉強な僕が言っても説得力がありませんけども。
 想像されたとおり、僕が思い浮かべたのは「夜のくもざる」収録の短編群です。あれ、いいですよね。
2010/11/06(Sat)00:25:140点天野橋立
あ〜、「駈込み訴え」は見逃してました。そう言われればそうですよね……
自分が新しいと思ってやってももうすでに誰かがやってるっていうのはモチベーション上がりませんが、いい練習だと思って頑張ります。
そういえば「夜のくもざる」図書館で借りて読んだのは先月でございました。へへへへへ……分かりやすっ!
2010/11/06(Sat)01:04:510点皆倉あずさ
作品を読ませていただきました。日常のワンシーンを切り取っていて面白いと思いました。難しく解釈をせず、あるがまま、見たままを主人公の普通の言葉で語らせているのは良いですね。このことが逆に読者の想像力をかき立てる。こういう短編が連なった作品というのを読んでみたいです。
では、次回作品を期待しています。
2010/11/07(Sun)13:53:090点甘木
 ライトノベル物書きakisanです。読ませていただきました。
 一つ面白い描写がありました。「見た目性格良さそうっていうか、こういう人には嫌われたくないって思わせるような、さ、分からない?」これ、参考になります。嫌われたくないって思わせるような、って部分が特に。嫌われたくないってかなり受身でネガティブなこといってるわけですね。なのに口調はやけに明るい。
 しかも、この語り手は小説とメールの文面を声に出している男性をここまでこき下ろせる――「もしこの男性が障害者で、彼なりに一生懸命生きているとしたら?」という想像力が欠如しているおそろしい語り手です。天野橋立さんのいうように、実は語り手が世間とズレているという読み方がぴったりくるな、と思いました。
2010/11/09(Tue)20:22:270点akisan
>>甘木さま、akisanさま
コメントありがとうございます。
自分で書いた作品のはずなのに、他の方の感想に「はぁ〜なるほど」と納得してしまっております。
彼女の内面的なものは私も一応考えてはいたんですが、皆さんの感想を読んで、あれ、むしろこっちの方がいいんじゃない? あれ? てな状況です。多分この小説の形式として、そういう解釈が成り立ちやすいんではないかと。というわけで今回暖めていた主人公の内面はまた別の話にまわして……作品の一人歩きは作者としては嬉しいんだか悔しいんだか複雑です。もっと表現力を磨いて、この話は出直したいと思います。

……失礼なことを申しました。すみません。次もよろしくお願いします。
2010/11/09(Tue)20:52:420点皆倉あずさ
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