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『ミッドナイトコール』 作者:山茶花 / ミステリ 未分類
全角14675.5文字
容量29351 bytes
原稿用紙約45.05枚
死を知らせる、あの世からの迎えの電話。ある男が嵌った罠とは。
「ミッドナイトコール」


 最後のあがきとも思える豪雨が上がると梅雨明けを宣言した。
 真透明な空気の塊をシャープに切り裂いた夏の日差しがアスファルトの路面に突き刺さる。重石をつけたような梅雨空がのたうつあいだはいくらか過ごしやすい温度を保ってくれたが、クリアになった青空は一気に熱帯気候へ突入し、三十五度を超える猛暑日が続いた。
「アヂイ!」
 外回りから帰ってくるとエアコンの吹き出し口に体をさらした。たまらんと言ったようにシャツのボタンを外し汗で濡れた肌を冷風で冷ます。
「お帰りなさい、冷たい麦茶でもいれましょうか?」
女子社員の花村ミズキが気を利かす。入社五年、短大卒だから、二十五のはず。抜群のプロポーションに、ちょと上を向いた小鼻、小さくふっくらとした唇は俺のお気に入りだ。
「いいね、お願いするよ」
「じゃあ待ってて」
立ち上がって切れ上がった尻を振りながら給湯室に向かうミズキの後ろ姿を眺めた。なんとも色っぽい、一度は抱いてみたい女の一人だった。恋人と別れ、今は空き家ともっぱらの噂、この上ないチャンスだが、今のところは他の女でつっかえている。それが終れば乗り換えてもいいか、カタログを掴むと団扇がわりに使った。はだけた胸から熱気が零れ落ちているようだ。
「どうだった今日は?」
 向かいの川内が黒縁の眼鏡の奥から売り上げの成果を尋ねてきた。俺と同期の入社だ。二人とも三十五歳、主任の肩書きは付いているものの営業用に過ぎない。それでも手当てがつくだけましかと慰める。お互い結婚をし、子供もいた。
「だめだ、どいつもこいつもぐったりしている。仕事の話なんかうんざりだとさ。まあなんとか一軒だけは付き合せたが」
俺、清水邦明は食品会社の営業マン。百七十五センチの身体は食っても太らないと自慢していた。だがこのところ急に下腹部に肉がつきだし、それって中年太りですよと女子社員にからかわれた。だからといって運動をする気にもなれない。もともと怠惰に出来ている。そのくせ口だけは達者だった。
今日も新製品の加工食品を売り込むのに、街中の販売店周りをしていた。一日五店舗の訪問、課せられたノルマである。靴の中は暑さと汗で蒸れている。水虫への対策と通気性の良い靴を買ったが効果はなさそうだ。そんな苦労をして訪ねても、店の担当者は話半分も聞いてくれない。
「そうか、でも一軒でも取れたなら俺よりましだよ」
 川内が半分やっかみの色を見せた。おいおいお前と一緒にすんなよ、と言いたいのを飲み込むと、
「緑川は?」と尋ねた。
「あいつか、あいつは別格だよ。今日もかなりの注文をとったみたいだ」
 川内にはやっかみというより諦めの気持ちが含まれている。
 緑川、俺と同期だがトップセールスマンであった。あいつだけには負けたくないという思いがあるが、俺はいつも二番手か三番手と後塵を拝している。
たっぷりと皮下脂肪を蓄えたからだの上に、ニコニコと丸い顔が乗っている。付いたあだ名はアンパンマン。一度会ったら忘れない暑い夏には遠慮したくなる顔だが、見ていると、つい笑顔が出てくる得な顔をしていた。
 営業日報を書いて、メールで上司に送る。売り上げのない日は辛いものがある。少しでもましな情報をと、ない知恵を絞って文を作成する。多少後ろめたさを感じるが、これも生きるためだと言い聞かす。パソコンを閉じたときだった。
「どうだい、この後?」
 川内は手でグラスを傾ける格好をした。
「いいな、冷えた生でもグーっといくか」
こういう話はまとまるのが早い。
「緑川も誘うか?」
「そうだな、声をかけてみたら」
 会社帰りのOLや、若いサラリーマン、学生たちで込み合っていた。暑いときに考えるのは皆似たようなものだ。無機質なコンクリートの壁に囲まれたビアガーデンだがオアシスを思わせる緑があちこちに配置されている。鉢植えの人工栽培だろうが、それだけでも火照った気分が癒される。
 両手に余るほどのジョッキをかかえ、テーブルの間を器用にウエイターが走り回っている。仕事とはいえ上手いものだと眺めた。
 三人は、隅っこの席に案内された。喧騒がうすれている分ゆっくりと話すのに都合がいい。
 運ばれてきたジョッキを手に取ると「乾杯」と傾けた。
「たまらん、やはり夏はこれに限る」
 感極まったように川内が言った。俺と緑川も咽喉を鳴らして冷えた飴色の液体を流し込んだ。
「これで、風でもあってくれたら、最高だけどな」
「贅沢は言わんこった。汗をかきながらのビール、だからうまいんだよ」
 緑川は焼き鳥に七味唐辛子をかけると、一気に口に咥えた。幸せそうな表情をしていやがる。こいつが食べると何でも美味そうに見えるから不思議だ。食品を売るには、得な顔をしている、と羨ましそうに眺めた。
「緑川、今日はどうだった?」
「三軒から貰ったよ」
 さらりと答えを返す緑川に、この野郎、と拒否反応が起きる。負けん気の強い俺は、思わず表情にだしていた。
「お前、大したもんだよ」と川内が感心したように呟いた。
「お前の回っている区域はいい店が多いからなあ、それに比べ俺のところはけち臭いやつばかりだ」
 営業する場所は担当ごとに分けられている。成績が悪いのはテリトリーのせいだと俺は愚痴をこぼした。
「あれ、緑川のテリトリーはお前が以前回っていた所だろう、それをお前があの地区は嫌だと言って今のテリトリーに代えてもらったのじゃなかったか?」
「それは二年前だ。二年もすれば状況は変わるさ」
「相変わらず身勝手なやつだな」
 呆れたように川内が言った。
「馬鹿を言え、俺は事実を言ったまでだ。なんなら元に戻してくれたら、緑川と同じくらい売る自信はあるぞ」
「課長にどやされてお終いだよ」
「それより、大阪の保険金殺人、あれよくあんなことを考えたよな」
 二人の言い合いを収めるように、緑川がニュースの話しを持ち出した。自営業の夫婦が失業し行き場のない若いホームレスを自分の養子とし、それに保険金を掛け、事故を装うって殺害し、保険金三千万を騙し取ったとい事件だった。
「三千万か、それだけあると助かるな」
 家のローンで苦しんでいる川内を知っていた。そのくせ、五歳の娘を劇団に通わせている。タレントにでもして稼ぐつもりか。
「誰だって欲しいさ、金の要らないやつはいない」
 今の俺には特に欲しい事情があった。女と密会を重ねるには、余分な出費がかさむ。
「そうだな。しかしこう暑いと仕事をやる気もおきらんし、ますます給料も少なくなる。早く秋が来て欲しい」
 川内は枝豆をつまむと、「そうだろう」と俺に顔を向けた。
営業の給料は毎月の成績が加算される。とりわけボーナス時には大きくものを言う。
「確かに、これだけ続くといやになる。おかげで睡眠不足だ。何か涼しくなる話でもないかね、ぐっすり眠れるように」
 このときは何気なく口にしたが、まさかこの言葉がとんでもないことになるとは予想だにしなかった。
「涼しい話しか。昔だったら身の毛もよだつ怪談話ってこともあっただろうが、いまどきそんなんじゃ子供も驚かないからな」
 夏ばてとは縁のない緑川はそう言うと、もくもくと食い物を口に運んでいる。
「いや、そうとも言えないぞ」
 ウンチクについてはうるさい川内がぼそりと呟いた。
川内は大の本好きで通っている。政治や歴史、経済からミステリー小説まで本という本を愛読している。その分いろんな知識を持ち合わせていた。びっくりするような海外の面白い話も披露してくれる。眼鏡の奥の瞳が勿体ぶったように色づくのである。そんなときは驚いてみせる。そしてますます話は興に乗るのだった。だが営業の場でそれをやりすぎ、逆に客から敬遠されているのも知っている。過ぎたるはなんとかというやつだ。
「なんだ、得意のウンチクか、聞きたいね」 
「うん、奇妙な話なんだが」
「おいおい、まさか幽霊が出たなんて話じゃないだろうな?」
 緑川が笹の葉のような目をさらに細めて言った。
 だが川内は意に介していない。
「幽霊とはちょっとちがうが、だが似たようなものかも知れんな。俺も最初これを聞いたときはそんな馬鹿なと笑い飛ばしたのだが、今ではこれは本当の話じゃないのかと思っている。ちょっと信じられない話だが」
「へー、面白そうな話じゃないか」
 俺はまだこの時点では軽く考えていた。
 どうせ雑誌か週刊誌から仕入れた話だろう、退屈しのぎの、よもやま話くらいに思っていた。
「なんだ、どうせ馬鹿みたいな話だろう」
 緑川も同じ思いのようだ。
「いいじゃないか、下手な音楽聴くよりずっとましだ」
 ステージでは、アマチュアに毛が生えたようなバンドがやたらと派手にエレキギターの音を鳴らしていた。微妙にはずれた音楽を聴いていると気分が苛立つ。やってるやつらの自己満足に付き合う気はしない。
「川内、話してみろよ」
 すきっ腹に大ジョッキを一気に飲んだせいか、いくらか酔いが回っていた。
 川内は残ったビールで舌を湿らすと、
「これは先輩から聞いた話だが」と切り出した。
 川内は学生時代にスポーツ部に所属し、テニスをやっていた。四年の最後の合宿でY市の高台にあるホテルに全員で宿をとった。夏の後半、土日を挟んでの三日間の合宿にはOBも参加するのが慣わしであった。
 その中の一人に大塚という、二年先輩の愉快なOBがいた。川内はこの先輩とは気があった。
 合宿最後の夜だった。全員で野外バーベキューをやり、最後の夜を惜しんで遅くまで盛り上がった。
 宴も終わり、ホテルのロビーで大塚と川内はくつろいでいた。ほかの部員やOBは部屋に戻って、酔いに疲れたのか早々と眠りにつくものもいた。
「楽しい合宿でしたね」
 川内は大塚に話しかけた。
「ああ、いい合宿だった」
「来年もまた参加されるんでしょう?」
 当然「そうだ」という大塚の返答を期待していた。だが大塚の口から言葉が出てこなかった。苦痛に歪んだような顔をしている。そんな顔を見るのは今日が初めてであった。いつも楽しく、冗談を言って人を笑わせている大塚に似つかわしくない表情であった。
「どうしたんですか」と目顔で尋ねた。
 思いつめたような沈黙の後で、
「おまえは聞いたことがあるか、迎えの電話というのを?」と呟いた。
「はい?」
 大塚の言っている意味が理解できなかった。「なんだ、迎えの電話って?」
川内の不思議そうな顔を見て、大塚は説明を始めた。
「丑三つ時って言葉知っているよな、つまり今で言う午前二時から二時半。真夜中っていう意味もあるけど。この時間にあの世からお迎えの電話がかかってくるそうだ。一度、そしてもう一度。その電話を受けた人間には死が訪れる。二度目の電話から二十四時間以内にあの世へ旅立つと言われている」
「そんな…」口元に笑いが浮かんでいた。
「馬鹿なと言いたいのだろう、確かにな。誰だってそう思うよ。俺も話を聞いたときは半信半疑であった。いやまったく信じていなかった。そんな子供騙しのような話を。だが現実に起きたのを知ってしまった。俺の先輩にもこの迎えのコールがあったそうだ。そしてその人はまもなく死んだ」
 信じられなかった。川内は大塚が自分を担ごうとしていると思った。
 いつものジョークじゃないのか。だが大塚は硬い表情をみせていた。
「でも、それと先輩と…」
 どんな関係があるんですかと言おうとした。
 大塚は弱々しい顔をすると頭をふった。
「来たんだよ、俺のところに」
「何が…」と言いかけて、「まさか」と言い直した。
「ああ、昨夜だった」
大塚の目は宙の一点を見つめていた。
十一時ごろにベッドにはいると、すぐに意識が途絶え深い闇に落ち込んでいった。だが心地よい眠りは耳元で鳴る異様な音に無理やり破られた。覚醒しきれない脳でぼんやりと周りを見ると、枕元においた携帯が淡く光り着信を報せるように震えていた。
こんな時間に誰からと、むっとしながら携帯電話を耳にあてた。酔っ払いの間違い電話じゃないのか、文句のひとつも言うつもりだったのだが、聞こえてきたのはか細い女の声だった。いや女というより、まだ小さい女の子と言ったほうが正しい。
「助けて、助けて」
 すがりつくような幼い声に驚いた。こんな遅い時間に幼い子供がどうして。この子の親は何をしている。眠気は吹き飛んでいた。優しい声で尋ねた。
「どうしたの?」
「助けて、お願い」
 異常とも思える時間に電話を寄越している。それも幼い子供が。何があった。連想したのは、生々しい現場であった。この子の家で殺人事件が発生した。両親は殺され娘一人が残った。そして、この子が受話器をとって適当な番号を押した。それが俺の携帯にかかった。勝手な想像であったが、大方そんなところだろうと思った。
「きみ、どこから電話しているの?」
 まず場所を知ろうと尋ねた。
「怖いの、一人ぼっちじゃ怖いの。寂しい、助けて」
「うん、助けてあげる。すぐに助けてあげるから、その前にきみの名前教えてくれないかな?」
 詳しい住所を聞くのは無理かも知れないが、名前くらいは言えるだろう。場所が特定できることを少しずつ聞くしかない。
「真っ暗で誰もいないの。何にも聞こえない、怖い、こっちに来て」
「うん、すぐに行くから、君の名前は?」
 焦りを覚えていた。
 自分の名前もいえない年頃なのだろうか、いや声からすると、五歳か六歳に思える。受話器に当てた耳は汗が浮き出ていた。
「こっちに来て、早く」
悲しげであった。そういうと後は何も聞こえなくなった。ツーと線が切れた音だけが耳にこだましていた。それでも受話器を下ろした音はしなかった。
「もしもし、待って。ねえ君、もしもし」
 それっきり返事はなかった。時刻を見ると夜中の二時であった。
 携帯電話を見つめた。なんだったのだ、この電話。急にぞくぞくと寒気が襲った。体が震え毛穴という毛穴に鳥肌が立つのが分かった。普通ではない電話。闇の奥底から聞こえてきたような女の子のこえ。聞こえるはずの受話器をフックにかける音がしなかった。大塚は思い出した。先輩から聞いていた迎えの電話と同じだ。真夜中に幼い女の声で電話かかってくる。「助けて、助けて」と。
 するともう一度電話があって、それから二十四時間以内に俺は死んでしまうのか。そんな馬鹿な。いやだ、そんなこと。大塚は怯えたような目をした。
 そこまで喋ると、川内はジョッキを手にした。もう殆ど残っていないビールを咽喉に流し込む。冷めてしまった焼き鳥を頬張ると、ゆっくりと噛み砕いた。
 俺と緑川は引き込まれたように川内の顔を見ていた。周りの喧騒が停まっている。
「それで、その先輩はどうなったんだ?」
 俺は焦れたように先を催促した。
「死んだよ」
「本当か?」
「ああ、俺もその話が気になっていて、合宿が終わって一ヶ月が経ったころに大塚先輩の家に電話をした。すると、おふくろさんが出て、亡くなったと言ったよ。驚いた、迎えの電話は本当だったと思った」
 川内の顔を見ていると気まぐれや冗談で言っているようには見えなかった。だがそんなことがあるのだろうか。素直には取れなかった。
いや何かの偶然だ。たまたま重病を患ったか事故にあっただけのことではないのか。それが、電話がかかってきた時期とかさなったに過ぎない。それだと理屈が通る。それに電話だってどこまで本当か分かりはしない。いたずら電話だったか、それとも大塚という先輩は川内を担ぐつもりで喋ったことも考えられた。
「二度目の電話って、あったのか?」
「それは分からん。聞いてないから」
 そうだろうなと胸で頷く。
「それで、その先輩の死因はなんだったんだ?」
「突然の心肺停止だったらしい」
「ふうん、心臓でも悪かったのか?」
 やはりそうか、持病が急に悪化したのだろう。一人納得していた。俺はどうしても迎えの電話と結びつけるのはできなかった。
「いや、ずっとランニングはやっていたらしいから何かあれば分かるだろう。それに定期健診では何も悪いところはなかったと聞いている」
「まあ、昨日まで元気な人間が今日は死んでいるってこといくらでもあるからな」
 そんなのはあてにならない、俺は緑川に視線を向けた。
「お前気をつけろよ。それだけ太っているとある日突然ってことがありうるからな。若年の生活習慣病って増えてるらしいぞ。そう言えば、この前病院に行っただろう、どうだったんだ?」
 軽いジョークのつもりだった。だが緑川の表情は曇っていた。いや、もっと濃いものであった。川内の話の途中から顔色が変わっているのを感じていた。それまでは盛んに食べ物に手を出していたのが止まっている。
 気分でも悪いのか、
「どうした、いつものお前らしくないな」
 見ると緑川のジョッキは空になっている。川内のも俺のも同じだった。通りかかったウエイターに「ビールを頼むと」手を上げた。
「いや、俺はもういい」
 大食漢の緑川が断るのは珍しいことであった。
「何だよ、情けないことを言うなよ」
「そうだ、大きいのが駄目だったら、中にしたらいい」
 川内もまだ飲みたらない顔をしている。
「いや、もう今夜は止めとく」
 緑川にはその気はなかった。
 仕方なく、俺と川内で中ジョッキを頼むと、緑川に遠慮しながらジョッキを傾けた。
 帰りの道は川内だけは別の方角だった。俺と緑川は同じ電車に乗ると、つり革にぶら下がった。
「お前、あの話どう思う?」緑川が突然切り出してきた。
「うん、何の話だ?」
「いや、さっき川内が話していたやつ。あの世からの電話ってやつだ」
 笑い飛ばそうと思ったが、緑川が真顔なのに気づくと、
「あいつ俺たちをからかったのと違うか。俺が涼しくなるような話がないかって言ったから、これ幸いと、作り話をしたんだろう」
 と、さりげなく話した。
「そうだろうか?」
「そうに決まっているだろう」
 何を馬鹿なことを言っていると顔を向けると、緑川の横顔は暗くどこか遠いところを見つめているようだった。
 途中の駅で緑川と別れた。
「あいつ、どうしたんだろう」
 饒舌な緑川ではなかった。電車に乗っても殆ど喋らなかった。心配事でもあるのかな、もっともこの世の中生きていれば二つや三つあって当たり前だが。
「お帰りなさい、あなたお食事は?」
 成美がキッチンで洗い物をしていた。今年三十二になる体にはずいぶんと肉が付いている。結婚当時はほっそりとウエストのくびれも持っていたが、出産後瞬く間にふとりだした。本人は気にしていろんなダイエットを試しているようだが、今のところ功を奏していない。
五歳になる娘の千尋はもうベッドに入っていた。
「軽く貰うよ」
 呑んで帰っても、少しでも家で食べないと落ち着かない。
 シャワーで汗を流すと、食卓に着いた。ソーメンが涼しげなガラスの器に盛られている。胃の弱っているこの季節にはもってこいだ。
 ずるずると音を立ててすする。
「あなた、今週の木曜日から一週間ほど田舎に行こうかと思っているんですが。父や母が千尋にあいたいって」
「いいんじゃないか」
 夏には妻子で帰郷するのが常だった。
 一週間ではなくもっと長くてもいいぞ、と言いたいところだが、余計なことを言えば、勘ぐられかねない。女の鼻は特殊だと聞いていた。
同じ会社の女子社員、久保香織と付き合い出してまだ半年と日が浅い。二十八歳の香織は美人とは言いがたいが、身体が素晴らしい。それにベッドでの乱れ方も成美と違って奔放だった。肌も滑らかで男の征服心を満足させてくれる。それに何よりこちらが既婚者だと知って体を任せる。揉める心配がないだけに気楽で手放すには惜しかった。
 食事が終わって夕刊に目を通していたときだった。電話が鳴った。
「あなた、緑川さん」
「緑川?」
 さっきまで一緒だったのに、今頃何を。
「よう、どうした?」
「さっきは言えなかったが、実は…俺のところにも電話があった」
 思いつめたような暗い声だった。
「なんだい、電話って?」仕事の話かと思った。
「…川内が話したやつだ、…迎えの電話」
 思わず受話器を落としそうになった。「嘘だろう」その言葉を吐きそうになる。
 どう答えていいのか、頭の中がもつれていた。こいつ暑さのせいで頭がおかしくなったのではないのか。何を言い出す。受話器を持ち直してもつれたものを整理する。
そうか、そのせいだったのか、あいつが途中からふさぎ込んだのは。しかしそんな話が。
「本当に、その電話がかかったのか?」
 俺はまだ半信半疑であった。まさか、緑川のやつ俺をからかっているのではないだろうな。それにしては非常識な時間だ。
「ああ、まるっきり同じだ。幼い女の声、そして助けてくれと言ったこと」
 緑川の声はかすれていた。
「…それは、いつ?」
「五、六日前だった。やはり夜中の二時に」
 緑川はまだ独身であった。マンションに住み、優雅な独身生活を楽しんでいる。稼いだ給料は好きな趣味に使っている。ハーレーのバイクが大好きであった。そんな緑川の生活を羨ましくも思った。
「どうしよう、俺。怖いよ」
 独り身の緑川は相談する相手もいなく、俺のところに電話を寄越したのだろう。
 訊かれても答えようがなかった。第一あんな話、頭から信じていない。
「誰かのいたずら電話じゃないのか、最近変なやつが多いから」
「そうかなあ」
「そうだよ、うちにも時々かかってくる。出ると黙って何も言わない。気味が悪いってうちのやつが怖がっていた」
「そうか、そうだよな。あんな話あるはずがないよな。あいつの作り話だよな」
 おかしそうに笑った。だが俺には彼が無理して作り笑いをしているのが分かった。
「当たり前だろう、理屈で考えれば分かるじゃないか。どうしてあの世と電話が繋がるんだ。非常識もいいところだよ。だいたいあいつの冗談に乗るほうがおかしい」
「そうだよな、ちょっと考えすぎた」
「心配しないでゆっくり休め」
「ああ、そうする。夜遅く悪かった」
 いくらかは安心したのだろうか。それでも完全に納得しているようではなかった。
 可哀想に、川内も罪作りなことをしやがって。
 大きな図体をしているが、緑川の肝っ玉はノミの心臓よりも小さいのを知っていた。今夜は不安に駆られながら眠りにつくのだろうな、明日川内に言って本当のことを言わせないと。
「どうしたんですか?」
 成美が心配そうに見つめた。
「いや、なんでもない」
 俺は受話器を下ろした。何を馬鹿なことを、いい大人がくだらない話に踊らされて。夕刊を閉じると床に就いた。
 目がさえて眠れない。今夜はどうした、それに胸の奥で広がるこの不安はなんだ。水面に落とした石が波の輪を作るように、体の芯が波立っている。何度も寝返りを打っていた。
 次の朝、会社に出るとまだ緑川は出社していなかった。始業時間になっても現れない。
珍しいなと女子社員に尋ねた。
「緑川から連絡があった?」
「ええ、今日は気分がすぐれないから休むとのことです」
 まだ昨夜のことが気になっているのだろうか。
 早いとこ気分を楽にしてやらないと本当の病気になってしまう。出社した川内を捕まえると、緑川に連絡を取るように言った。
「何だって、あいつのところに電話があったって?」
 川内は顔色を変えていた。
「そうだよ、たぶん誰かのいたずら電話だろうが。おかげであいつすっかり怖気づいて今日会社を休んでいる。自分の部屋にいるだろうから、電話して、あの話は作り話だと言ってやってくれ」
「あれは作り話でも、嘘でもない」
「だって、お前、そんな話が…」
 あるわけないだろうという言葉を飲み込んだ。川内は俺の下手な反論を許さないような真剣な表情をしていた。
「緑川はいつ電話を受けたと言った?」
「えーと、えーと、確か五、六日前だと言ったと思ったが」
「すると、昨夜二度目の電話を受けているかもしれない。そうだとすると今日が危ない」
 川内は電話に飛びつくと、緑川の自宅の番号を押した。
「早く出ろ」
 川内の足が貧乏ゆすりをしている。
 十秒、二十秒と経つが受話器は外れない。
「部屋にはいない。外出したのだろうか? それとも…」
「馬鹿なことを言うな。これからあいつの部屋を訪ねてみる」
 俺は立ち上がると、緑川のマンションに向かった。仕事も気になったが、今は緑川のことを優先させるしかない。課長にどやされるかもしれないが、黙って放っておけなかった。
 川内も一緒だった。途中緑川の携帯に電話を入れたが電源が切れていた。不安は大きくなる一方だった。
 ドアのインターホンを押した。返答がない。二度三度と繰り返す。
 叩いた、最初は軽く、そして段々と強くなった。この扉の向こうにあいつは倒れているのだろうか。悪い思いばかりが浮かんでくる。
「あのう、どうされたんですか?」
 隣の部屋のドアが開いて、女性が顔を出した。
 不審者に向ける目をしていた。
「今日会社を休んでいるので気になって見にきたんですが」
「緑川さんなら出掛けられましたよ。何でも病院にいくとかおっしゃっていましたが」
 女性は今朝ごみを出すときに緑川と会ったといった。
 そのとき、緑川が病院に行くと告げたらしい。
 事情が分かると、ほっと力が抜けた。川内の言葉を真に受けてやってきたのが急に馬鹿らしく思えた。病院にいっているなら携帯電話が通じなくても不思議はない。
「どうする?」
「とりあえず仕事をしないと。昼ごろにもう一度携帯に電話を入れてみるよ」
 なんでもないと分かると、現実が襲ってきた。
 営業用のかばんは事務所に置いてきた。仕事をしていないのは課長に筒抜けになっているはずだ。どう言い訳をしよう、頭が痛くなる。
「そうだな」
 俺は会社に取って返すと、大急ぎで営業に飛び出した。これから五件も回れるだろうか。重い気を引きずりながら得意先リストに目を走らせた。その日は、ついに緑川と連絡は取れなかった。
 次の日も矢張り、緑川は無断欠席をした。一体何があったのか、あの電話があっただけに俺には不安が付き纏っていた。夕方遅くに会社へ戻ると、すでに川内は帰っていた。ほかの営業マンはいない。課長の高幡も席にはいなかった。
 もう全員帰ったのだろうか。
 川内はコンピューターの画面を見つめていた。俺が帰ったのも気づかない様子だ。
「もうみんな帰ったのか?」
 その声に川内ははっとして振り返った。暗い表情をしている。いやな予感がした。
「あいつが、死んだ」
やっと聞き取れる声であった。
「え、何だって?」
「死んだんだよ、緑川のやつが」悲痛な、吐き出すような言葉だった。
 俺はそこに立ち竦んだ。脚が小刻みに震えているのが分かった。
そんな、あの話は本当だと言うのか。
「どうして、どうして死んだ。死因は?」
 口の中が乾いていた。
「自殺だ。あいつ田舎の海に行って、崖から飛び降りたらしい」
「自殺、どうして?」
「あいつ癌だったらしい。昨日病院に行って自分の病気を告げられたそうだ。それで、その足で田舎に帰って、崖から身を投げたそうだ。癌だと知って、ショックを受けたのだろう、馬鹿が」
「そんな!」
 不安が現実となった。すると、一週間ほど前に緑川が病院を訪ねたのは、検査を受けるためのものだったのか。
「おまえ、じゃあ、葬式はどうする、行くんだろう?」
「いや、密葬で済ませたいからと、向こうから断ってきた。無理もない、自殺したんだから大げさにはしたくないのだろう」
 葬儀は彼の田舎で執り行われることになった。
「あいつが死んだのは電話のせいなんだろうか?」
 帰りの電車のなかで川内に話しかけた。ずっと頭の端にこびりついて離れなかった疑問であった。
「分からない、俺もずっと考えていた。そして一つの結論に行き着いた」
「何だ、その結論って?」
「たぶん、電話はあくまでも予知のひとつであって、原因ではないということだ。電話を受けたから死ぬのではなく、死ぬ予定の人間に電話がかかってきた、そう言うことじゃないのかなと思った。それだと話の筋が通る」
 俺は黙った。
 頭の中では色んな思考が錯綜していた。「迎えの電話」は「死の予知の電話」そんな馬鹿な話しがあるのだろうか。偶然だ、何かの偶然だ。死を予知するなんて、そんなことが出来るはずもない。それにあの世から電話など、誰が信じる。
だが、緑川の死は現実だった。
緑川は間違いなく俺に電話を寄越して、自分にも同じ電話があったと言った。そして翌日病院を訪ねている。
 癌の宣告をされ、余命少ないとでも言われたのだろうか。そうでなかったら、あいつが自殺するなど考えられない。そうだ、これは「迎えの電話」とは関係ない。あくまでも、不治の病にかかったやつが考える一つのケースに過ぎない。
それとも、それもこれもみんな予定されていたというのか。
 だが、あの世からの迎えの電話、あまりにも現実離れをしている。
「やつのところに二度目の電話もあったのかな?」
「あったのじゃないか」
「…」
「その顔は信用してないって顔だな、無理もない、誰だって信じられない」
 それには答えなかった。
 確かに緑川は奇妙な電話を受け取ったかもしれない。それから何日かした後で癌と宣告され自殺をした。だが自殺で死ぬ数はかなりのものだ。借金に追われ、職を失い、将来への夢を無くし、毎日どこかで百件ほどの自殺が発生している。珍しいことでもなければ驚くことでもない。明日自分の身に起きてもおかしくないほどであった。
「止めよう」
いくら考えても、答えは見つけられない。川内の先輩の死も、そして緑川の自殺も、日々そこらじゅうで起きている一つの死だ。不幸なことだが、それは誰にでも明日起こることなのだ。死は必ず訪れる。ゆっくりと、またはある日突然に。
 窓の外は赤黒い夕暮れが閉じようとしていた。一日が終わる。人生が終わるときもこんな悲しい色なのだろうか。俺はまだ死にたくない、いや死ぬはずがない、胸の中で呟いた。
「俺、今夜から暫く独身なんだ」
「あら、奥さん、里帰り?」
「ああ、だから今夜はゆっくりと相手できるぞ」
 頭の中では、既に二人の痴態を思い描いていた。
「ごめんなさい、今夜は早く帰らないとダメなの。田舎から母が出てきたのよ」
 香織は申し訳なさそうな顔をした。駄目だと思うと、なお更目の前の女を抱きたくなる。俺はレストランのテーブルの下から香織の大腿部に手を差し込んだ。その手を香織は握り締めた。
「うふ、明日まで我慢して」
「おふくろさん一時間ぐらい待たせてもかまわんだろう」
 すぐにホテルへ行こうと誘う。
「また、わたしを困らせて。今夜はお願い、我慢して。その代わり明日はたっぷりサービスしてあげる」
「ちぇ、じゃあ触らせろ」
 香織が手を奥へと導くと薄い下着の横から指を差し込んだ。ざらっとした手触りを楽しみ、更に奥へと進める。すでに熱くぬかるみ始めていた陰部をこすり上げる。目を閉じた表情が色っぽく変わり香織の吐き出したため息に牝の匂いがした。
「だめ、欲しくなるから」
香織が手の動きを抑えた。
この場で押し倒したい欲望をかろうじて止めると、レストランを出た。爆発できない宙ぶらりんな本能、満たされない欲望に、俺はテーブルに載った雑誌や新聞を投げつけた。
「くそ、面白くない」
がらんどうとした居間は開放感よりも、苛々を募らせるだけだった。居間のガラス戸を開けると、夜風を呼び込んだ。
冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出した。肴にとチキンの唐揚げとえびシュウマイをレンジに放り込む。テレビのスイッチを入れた。
 せわしなくチャンネルを廻す。どれを見ても下らない。テーブルの下からパソコンを取り出し、ネットを立ち上げた。「女子高生」と打ち込む。適当なURLをクリックした。画面に若く弾ける肉体があられもない姿態を曝け出す。
足の付け根に食い込む下着、俺は次々と画面をクリックしていた。
 飲み物はビールからウイスキーに変わっていた。多量のアルコールを摂取しながら画面に没頭していた。
 突然の電話音にドキリと心臓が撥ねた、妻の成美からであった。
「無事着きましたから」
「そうか、ご苦労さん。お父さんやお母さんは?」
「元気にしてます。千尋と会えてほんと嬉しそう。ごめんなさいね、あなたには一週間不便をかけますけど」
「なあに、心配するな、俺も独身を楽しむから」
 言って、アッと思ったが成美は気にしていないようだ。ほっと胸を撫で下ろし「ゆっくりしてこい」と言葉を繋いだ。
 最後に千尋が「パパ、お休み」といって電話は切れた。
受話器を下ろすと、ソファに埋もれるように倒れ込んだ。アルコールが脳を急激に麻痺させていく。手足の筋肉が溶け出しふわふわと体が浮いたようだ。テレビの音がやたらうるさい。薄れ行く意識の中で電源を切るとすぐに黒い幕が落ちていくのが分かった。
どれだけの時間が経ったのだろう、無理やり闇から引き戻された。
白濁した意識の中で電話の音を聞いていた。いったい誰だよこんな時間に、重い体をソファから引き剥がすと、受話器を握った。 
「ふぁーい」口の中が粘っこい。それに少し頭も重い。
「助けて」
「え???」
「助けて、助けて」
 朦朧とした意識に冷水を浴びせられたようだった。女の子の声? まさか…。まどろんでいたすべての細胞がたたき起こされ、全身の毛が逆立っている。急激に心臓の鼓動が速まっていた。そんなことが、息苦しさを覚えた。
「もしもし」確かめるような声を出した。
「助けて、怖いの、助けて」
 間違いない、迎えの電話だ、間違いない。「うわー」声にならない声を上げた。瘧のように全身が震えると、体が凍りついた。
「どうして俺のところに、どうして、どうして、助けてくれ、死ぬのは嫌だ、死にたくない、助けてくれ!」


「川内さん、どうもありがとうございました、それに緑川さんも」
 二人は邦明の遺影の前で、成美と向き合っていた。線香の香りが部屋中に漂っている。もう通夜の客はみんな帰り、真夜中を過ぎようとしていた。
「いいえ、思ったより楽でした」
「そうだな、こんなにすんなりと行くとは」
 緑川が出された饅頭を口に運んだ。
「それで、警察の調べは無事終りましたか?」
「ええ、近所の方に色々と聞かれていたようです」 
 成美は刑事から聞かされたと話をした。
「するとなにやら訳の分からない言葉を叫びながら、走って行ったというのですね」
「ええ、そのままエレベーターに乗ると下へ」
 廊下ですれ違った住人だった。
「びっくりしました、声を上げながらパジャマ姿で走ってこられたと思うと、そのまま車に乗って急発進して出かけられました」
 地下の駐車場で見かけたという女性が証言した。
「すると、酒に酔って運転し、スピードの出しすぎでガードレールを突き破り、谷底へ落下したということか」
 車は全焼、邦明の死体は丸こげで炭となっていた。そばに結婚指輪が落ちており、本人に間違いないと警察は判断した。
 アルコールによる、発作的行動での交通事故、警察が下した捜査結果だった。
「これ、お約束のものです」
 成美は二人に厚みのある封筒を渡した。二人は中を確かめると、「確かに」と背広の内ポケットに仕舞った。
「じゃあ、我々は」
川内と緑川は立ち上がろうとした。そのとき、けたたましく電話が鳴った。
「こんなに遅く、非常識ね!」
 成美が怒ったように電話へ向かう。
「ひょっとしたら、あいつが、あの世から電話を寄越したのかも知れませんよ」と、川内がふざけて見せる。
「迎えの電話じゃなくて、恨み言の電話かも」
「冗談じゃないわ、その時は言ってやります、愛人なんか作ってわたしを裏切るからよって」
「そうですよ、あいつはあまりにも身勝手過ぎた、こうなったのも当然の報いです」
「もしもし」
 成美は非難するような口調で電話に出た。
「助けて、助けて」
「え?」
「助けて、助けて」
受話器を持っていた成美の手が震えた、顔が引きつっている。
「どうしました?」
「これ、迎えの電話が!」
 喘ぐような成美の声に、二人の顔が凍りついた。
 了
2010/10/19(Tue)20:53:15 公開 / 山茶花
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この作品に対する感想 - 昇順
山茶花様。
御作を拝読しました。
いや、おもしろい! 非常に面白かったです! とても安定した文章に最初から最後まで引き込まれるように読んでいました。
お話は、『世にも奇妙な物語』などでよく耳にする類のもので、なんとなく落ちは読めていたのですが、それでも楽しめました。
途中、川内や緑川たちとの会話のテンポの良さには脱帽いたしました。まるでリアルタイムで彼らの輪の中に入って話を聞いているようでした。
ただ、短編故か、川内や緑川が成美の犯罪(多分、法律学上犯罪になると思います)に加担した思惑等が投げっぱなしになっているように思えました。些細なことですけどね。ていうか何とでも理由づけくらいはできるか。
あと、ところどころに改行の後文頭を一マス開け忘れていらっしゃるところがありました。
とても楽しめました。次回作を待っています。
2010/10/20(Wed)13:40:091ピンク色伯爵
ピンク色伯爵様

コメントありがとうございました。やはり先が読めましたか、まだまだですね。先の分かる小説
って詰まらないものですから。
頭の部分のマス空けですが、ファイルからコピー、ペーストした際に省略されたようです。次から
気をつけます。
2010/10/20(Wed)21:43:100点山茶花
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