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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『雨の日の水曜日』
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- 『雨の日の水曜日』 作者：高岡央 / ショート*2 恋愛小説
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全角1730文字大学生カップルの京平と真奈。２人の朝のお散歩での一コマ。
容量3460 bytes
原稿用紙約5枚 -
雨降りの水曜日。京ちゃんと手をつなぎ、商店街を散歩する。
きっかけはあたしの大きくなったおなかだった。大きくなったといっても、赤ちゃんができたとかそんな喜ばしいことでは決してない。そう、ただ単に太っただけ。
昨日の夜はザーザーと音を立てて降っていた雨も、今朝には小降りになっていた。そろそろ梅雨入りが近づいてきているのだろう。あと数ヶ月で薄着の季節もやってくる。
夏がやってくるまでに何とかしたいと、京ちゃんにも付き合ってもらいながら毎朝30分のウォーキングが日課になって一週間。成果はまだでていない。だけど最近では、やせるかどうかってことよりも、二人で話をしながら歩く時間が楽しみになってきている。もともと朝も運動も苦手なあたしが、なんとか続けられているのも、付き合ってくれている京ちゃんのおかげだ。
とはいえ京ちゃんは一ヶ月で10kgの減量に成功したことがあるダイエット経験者だから、あたしのダイエットにも結構厳しい。
「やっぱり食べる量減らさなきゃ無理じゃないかなあ」
夕食をご飯とお味噌汁とキャベツだけにするという強攻策でやせた京ちゃんの言い分。あたしはそんなの絶対にいや。
「食べる量減らすダイエットなんて食事戻したらリバウンドするでしょ」
こんなことをいっても、2年前にやせて以来一度もリバウンドしていない京ちゃんにはなんの説得力もないのだけれど。京ちゃんがどうしてリバウンドしないのか、あたしには不思議で仕方ない。
歩くコースは毎日変えている。いつの間にか2人で一緒に住むようになったあたしのアパートを出て、気が向いたほうに歩き出すのだ。今のところ歩くのは30分と決めているから、15分行ったところで折り返す。今日は雨にぬれないように、アパートから5分の、屋根のついた商店街を何往復もしている。金物屋さん、魚屋さん、スーパーに、果物屋さん。朝早いから開店していないところも多いけれど、果物屋さんではもうおじさんが店に立っている。りんごに甘夏、グレープフルーツ。おいしそうな果物たちに目を奪われながら果物屋さんの前を通り過ぎると、隣で京ちゃんが吹き出した。
「今、ずるしてるのみちゃった」
「ずる？」
「果物屋のおじさんが、ベルトにつけた万歩計手でゆすってたんだよ」
ものすごくしょうもないなと思いつつ、なんでそんなことをしていたのか予想ごっこが始まる。
「男はああいうの目標の数字までもってって達成感を味わいたいんだって。真奈にはわかんないかなあ」
「いやいや、絶対奥さんに1日何歩歩きなさいとか言われてるんだよ！ 帰って怒られないようにせっせと歩数を稼いでるんだよ、きっと」
結論の出ない討論はなかなか終わらない。と思ったが、ケーキ屋さんを見つけたらおじさんのことなど頭の中から消え去った。おいしそうなイチゴのチーズケーキの看板が出ていたのだ。
「京ちゃん！ めっちゃおいしそう〜！」
「確かにおいしそうだけど、そんなの食べたら今まで歩いた分全部ちゃらになるぞ」
京ちゃんの言い分は正しい。彼は自分の役目をあたしの食欲を抑え、運動を促すことだと考え、やたらと使命感に燃えている。いくら食事制限はしないとは言っても、あのホールのチーズケーキは確かにまずい。
「でも食べたいよぉ」
と、少し上目遣いをして、甘えた声を出してみる。
「こら。そんなこと言われたら買ってやりたくなるだろうが」
あたしが甘えると京ちゃんは弱いのだ。われながら、知り合いには絶対に見せられないバカップルっぷりだと思う。だけど今は二人だけだから、これぐらいは許してほしい。
結局、チーズケーキはあたしがやせたら京ちゃんが買ってくれると約束をして、おとなしくケーキ屋さんから離れることにした。やせる目的が一つ増えてしまった。なんとしてもやせなくちゃ。
ケーキ屋さんを通り過ぎて、商店街の端、屋根の終わりまで来ると、いつのまにか雨は上がっていた。雲の隙間から太陽も顔を出している。帰ったら、洗濯物を干そうかな。
帰りに果物屋さんの前を通ったら、おじさんはまた万歩計を手で振っていた。それをみて今度は二人で吹き出した。
こんなことで幸せを感じることができる。雨の日の散歩も悪くない。
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2010/06/23(Wed)11:02:10 公開 / 高岡央
■この作品の著作権は高岡央さんにあります。無断転載は禁止です。 -
■作者からのメッセージ
はじめまして。ほのぼのしたお話が書きたくて書きました。
幸せそうなカップルの様子が書けているといいのですが。
感想いただけると嬉しいです。
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はじめまして。
いやー、良かったです。短い話なのに、ぐーーーっと世界が広がっていきますね。
気になったのは二ヶ所。
これは好みの問題が大きいと思いますが、せっかくさわやかでほのぼのしたお話なのに、空模様がどんよりしてちゃあ、なんかだかなあ、と。晴れの日のほうがふさわしいお話しのような気がしました。散歩の途中で雨があがるとかでも良いかなあ。まあ、ほんとうに好みの問題です。
で、もうひとつは、「ちなみにあたしは普段はさばさばしたキャラで通ってる。」っていう部分。
さばさばしたキャラというのがどんなのか描写するか、この文章を切っちゃったほうが小説らしいはず。
あと最後にもうひとつ(あれ？三つになってしまった)、「こんなことで小さな幸せを感じることができる。」ってところ。「小さな」がいらないように思います。
日常のちょっとしたことって、振り返ってみると本当に幸せですもん。
……二度寝とか(笑)
ではでは、ここらへんで。2010/06/20(Sun)18:22:44 1点 綿田みのる 綿田みのる様
感想ありがとうございます。お褒めいただき、すごくうれしいです。
また、ご丁寧なアドバイスも本当にありがとうございます。
納得できるものばかりでしたので、参考にさせていただき、直してみました。
また、自分で読み返してみてほかにも少し訂正を加えました。
天気については、「雨の日でも二人なら、」という感じにしたかったので、やはり雨のままで、ご意見を参考に、途中で雨が上がるということにしてみました。
雨が上がったところで二人の会話を入れようかとも思ったのですが、このような形をとりました。
またご意見きかせていただけるとうれしいです。
二度寝は本当に幸せですね。私は今日もしてしまいました。笑
では、またよろしくお願いします。2010/06/23(Wed)11:06:43 0点 高岡央 こんばんは。改めて読みました。ストーリーに関して特別な意見はもうないです(笑)
洗濯物を干すなんてのは、登場人物が生きてる世界がある気がしていいですよね。
で、文章について意見を言うのならば、
例えば、
「赤ちゃんができたとかそんな喜ばしいことでは決してない。そう、ただ単に太っただけ。」
なんていうのは
「赤ちゃんができたとかそんな喜ばしいことではない。ただ単に太っただけ。」
というように切れるところは切ったほうがスッキリしていて読みやすい。
「昨日の夜はザーザーと音を立てて降っていた雨も、今朝には小降りになっていた。そろそろ梅雨入りが近づいてきているのだろう。あと数ヶ月で薄着の季節もやってくる。」
・梅雨入りの時期ってすでに薄着の気が、すくなくとも数ヶ月の必要なく薄着になる。
・ザーザーというような擬音はできるだけ使いたくない。つかうのなら自分で表現した擬音にしたい。
とかなんとか細かいところをあげあし取りのようにつついていけば、売ってる小説でもないかぎり結構でてくるものなんですよ。
趣味以上を望むのなら、文章の学校にかよったりすると良いと思います。
じゃなきゃハウツー本のたぐいを読んでみるのも良いかもしれません。
……まーたプロでもないのに適当なこと言って、申し訳ないですね。2010/06/24(Thu)23:11:21 0点 綿田みのる 遅くなって申し訳ありません。
再びご意見ありがとうございます。
プロでもないのに…なんてとんでもないです。自分では気づかないことなので、うれしいです。
梅雨入りと薄着の季節に関しては確かにおかしいですね。
その他のご指摘も参考になるものばかりで、本当にありがとうございます。
今から書き直すとまた掲示板の上に上がってしまうのがなんだか忍びないので、
個人的に直させていただいて、ここに書き込むのはやめておきます。
趣味以上を望んでいないかといえばうそになりますが、
学校は敷居が高いので本はいずれ読みたいなと思っております。
では、失礼します。ありがとうございました。2010/07/01(Thu)16:22:20 0点 高岡央 合計 1点
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