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『憂き身の悪魔屋さん』 作者:不伝 / リアル・現代 ファンタジー
全角13305.5文字
容量26611 bytes
原稿用紙約42.55枚
どうも。悪魔を貸し出す謎っ娘ヤノちゃんとは私のことです。今日も天下無双の悪魔さん達を驚天動地の安値でお貸しするべく、主に駅周辺とかで逍遥してます。気軽にお声をお掛けください。ただし踏み倒しはノーサンキューですよ? こちらも結構どん詰まりでしてね。さてさて今回は延滞金に振り回される可哀想な少年のお話。くれぐれもご利用は計画的に。
 00

 灰ヶ崎ヤノと初めて出会った日の朝。それはひどく冷えるはずの朝だった。
 実際冷えたのだろうけど、少なくとも僕にとっては季節相応、或いはそれ以上の暑苦しい朝だった。でも件の灰ヶ崎は薄そうなパーカーを一枚着ているだけにも関わらず平気の平左でキーボードを叩いていたし、僕のクラスの委員長に至っては勝手に衣替えまでしていた。もしかすると僕一人がお天気お姉さんに翻弄されていただけなのかもしれない。もっとも、灰ヶ崎が平然としていない様を、僕は見たことがないのだけれど。
 そういうわけで。GWが過ぎ去り、春まっさかりのこの時期。
 昼前には相応の気温になることくらい容易に想像できたのだけど、窓を開けた瞬間に頬を伝う冷気に耐え切れず、その日、僕は冬用装備で家を出た。
 長袖カッターシャツ+厚手のセーター。完璧すぎた。
 ところが服装選択で時間を割いた上に信号という信号にことごとく裏切られてしまい、ペダルを全力で漕ぐハメになってしまって、しかも近道をするには住宅地に堂々と存在する丘陵を超えなくてはならず、結局、駅に着く頃には僕のシャツは湿りまくっていた。さながら蒸し暑さのシンボルのような様相だ。
 息を整える暇もなくホームに駆け込む。
 同時に電車の訪れを知らせるメロディが流れる。
 その時間の上り電車にこの駅から乗るのは僕を含めてせいぜい三人か四人、多くても五人を超えることはないことを僕は知っていた。入学してからの一ヶ月間で分かったことだ。
 だからベンチに座ってノートパソコンをカタカタと叩いている女の子に見覚えが無いことはすぐに分かった。
 流れるような長髪が顔の八割を覆っている、少し不気味な女の子だった。
 座っていても背が高いことがよく分かる。僕よりちょっとだけ低いくらいだろうか。
 前髪の隙間から辛うじて見えた左目は、澄んだ鳶色をしていた。
 視線に気付いたのか、カタカタする指を止めて見上げられる。焦って視線を外そうとしたはずが、何故かその片眼から目が離せずに、僕はそのまま硬直してしまった。
 整った白い顔が覗く。
 蒼白と言ってもいい。
 だが不健康や寒さからきているものではないことが、なんとなく分かる。
 女の子は暫く僕の目の奥を覗きこむようにして見据えた後、口を動かした。
 口だけを動かした。
「悪魔、要りませんか?」

 01

 自転車で最寄駅まで二十分。
 電車に乗って四十分ほど揺られて降車。
 その後、停留所で十五分待ってからバスに乗り込む。
 漸く学園に着く頃には七時過ぎ。そんな時間から高校の授業が始まるわけもなく、当然今日も一年三組の教室は僕だけの貸切状態となる。毎日の早起きで重たい瞼をゆっくりと休ませてあげられる絶好の空間だ。
「おはよう」
 七時半きっかりにその女が扉を開けるまでは。
「相変わらず早いね、君」
 ため息交じりにそう言って、僕の前にある椅子を引き、座る。
 後方にいる僕にうなじを見せつけるかのように髪を後ろで束ねてポニーテールを作る。髪、そこまで邪魔そうには見えないけれど。
「お前も十分早いだろうが、いつも」
「私が朝の読書タイムを大事にしていることは昨日も言ったはずだけど?」
 家で読んでくればいいじゃんって昨日は言ったはずだけれど、『無理』って返されたんだっけ。深追いはしない方がよさそうだ。
 塔原比奈都。
 噂では入試成績全教科トップであり、一年生の春にして既に女子バスケ部のレギュラーであり、異性同性問わず尊敬の的である超人。
 しかもクラス委員長。
 といっても僕は彼女を世界で一番委員長らしくない委員長だと思っているし、多分、僕以外のクラスメートもみんな同じことを思っていると思う。
 所以は色々あるのだけれど、その最たるは、人の意見をほとんど聞かないことらしい。
 本人曰く、つまらない意見を言う奴は、口の開き方や目つき態度その他から一目で分かるとか。黙っていいと言ってあげているのに、それでもつまらない意見を堂々と言おうとする輩は遠慮なく潰します、とかそんな感じのニュアンスの言葉を委員長を務めることが決まった際に、教壇の前で冷たく言い放ったのをよく覚えている。
 簡単に言うと、ただのわがままなんだけれど。
「君さ。もう一本、電車遅らせればいいんじゃないの?」
 塔原は言う。
「そうしたいけどさ。一本遅らせると、朝のホームルームの真っ最中にここに着くことになるんだよ。電車の間隔とバスとの時間の齟齬のせいでさ」
「へえ。私に会うためじゃないのね」
 淡白にそう言って、塔原は何かの本を開いて読み始めた。
 なんて返せばいいのか分からないし、不用意に噛みつくと何を言われるか分からないので、黙々と黙る。
 僕は寝ることにして、鞄からタオルを取り出し、簡易枕を作った。ここで寝なくては、また明日も遅刻ギリギリになってしまう。まだ五時起きには慣れることができない。半月くらいすればすぐに日常になると安易に思っていたけれど、今となっては一生順応できないのではないかと半ば本気で思う。
 漸く寝付きかけてきたというときに突然ポンッと破裂音が聞こえて何事かと思ったら、塔原がフーセンガムをくっちゃりくっちゃりかましていた。教室内での菓子類の飲食は禁止されているはずだけど。あと机に両足を乗っけるのもどうかと思う。
 委員長らしくない要素をばら撒くのは勝手だけれど、こっちとしてはホームルームまでは眠っていたいから静かにして欲しい。
「鷺坂。君、どんなスポーツがしたい?」
「は? なんだよ急に」
 どうやら風船テロは僕を起こすためだったらしい。
「五月の半ばにクラスマッチがあるらしいのよね。それでクラス毎に、どんな種目を入れて欲しいか希望を出さなくちゃいけないんだけど」
「ふうん。フルマラソンとか?」
「オーケー。書いとくわ」
「おいおいおい。冗談だ! 消しといてくれ!」
 思わずタオルから頭を浮かせてしまった。
 クラスの希望がマラソンなんかになったら、僕は一瞬にして迫害の的になってしまう。
「んじゃあスタンダードにドッヂボールにしとこうか」
「……一応クラスでアンケート取った方がいいんじゃないか?」
「イヤだ。やりたいなら君がやっといてよ。どうせこういうのは上級生が自分たちの考えだけで決めるんだから。時間の冗長でしょ」
 気だるそうにそう言って、塔原は机上で組んでいた足を入れ替えた。
 前から誰かが教室に入ってきたら色々と見えちゃうんじゃないだろうか、と他人事ながら少しだけ心配になったりする。スカートの下に何か穿いていたりするんだろうか。いや、どうでもいいか。
 僕の案じを察したわけではないのだろうけれど、突然、塔原は机から足を下ろしてこっちに振り向いてきた。
「うわぁ。眠そーぅ」
 そしてそんなことを言う。
「そう思うんだったら寝かせてくれよ」
「……なんで君ってここに来たの? バカ?」
 ここっていうのはもちろん学校で、何故ここに進学したのか――ということだろう。
 無視して枕風タオルに顔を埋めようかと思ったが、塔原比奈都という女を無視して、あまつさえ無防備な後頭部を晒すことがどんなに恐ろしいことかを僕はよく知っているので、素直に止めておく。
「……ああ。バカだと思う。自分でも何やってんのって感じだよ」
 地元にも進学校はある。工業校だって商業校だってある。
 わざわざ自転車、電車、バスと三つの交通手段を駆使して片道一時間半の通学を果たしたところで、そこにあるこの学校はいたって普通の公立高校だ。まぁずば抜けた偏差値を誇る怪物高校だったら良かったとかそういう問題じゃないのだけれど。
 何故、僕がそんな遠いだけの高校に通うことになったかというと、九割は気まぐれというかなんというか。
「若気の至りだよ」
 そこは譲れない。今の僕があのときと全く同じ状況に相対したら、僕は間違いなく地元の進学校に通うことを選んでいる、はずだ。
 そんでまぁ残りの一割が問題なんだけれど。言えるわけ無い。
「さては騙されたんだ、君」
「は? 誰に何故にだよ」
「僕と一緒に間刻高校に行こう○○ちゃん! うん! 絶対に行こうね鷺坂くん! みたいな約束を幼少の頃に交したわけでしょう? それはバカだけど仕様がないと思うよ私は」
 安い演技を見せられた。
 まれにテンションがおかしくなると、塔原と中学が同じだったと言い張るクラスメートが言っていたけれど、今のこれのことだろうか。まれというかいきなりだった。前兆が無いにも程がある。
 僕は絶対にあんな風に鼻につく口調で話していないと思うけれど。それはまぁいい。
「その設定は何故、僕の約束した相手はこの学校に来てないことが前提なんだよ。大体それだと騙されてたんじゃなくて裏切られてるだろ、僕」
 まぁ。ほとんど正解なんだけど。
「同じことでしょ」
「塔原にとってはな」
「……へえ。安いプライドね」
 鼻で笑ってから、塔原は姿勢を前向きに戻した。
 ちょうどそのとき三人目の一年三組生が教室に入ってくる。
 大体いつもこんな感じだった。
 ここまでは。

 02

 事件は実験室から教室に戻った時に起きた。
 いや、事件そのものは授業の最中に既に起きていたんだろうけれど、少なくともその事件が最初に事件と観測されたのは、授業を終えた僕ら生徒が教室に戻った時だった。
 眠たくなるような物理実験を終えてから僕はまずトイレに向かい、眠気覚ましに顔を洗ってから教室に向かった。
 教室の前後の入り口が二つとも人垣で塞がれていて、いかにも何かあった≠ニいう様子だった。さながら満員電車に乗り込むようにして人混みをかき分けて何とか教室に滑り込むと、砂埃のようなものが舞っているのが見えた。
 教室の中央からやや窓側に位置する席、確か安岡君とかいう比較的真面目な生徒が座っているその席、席が――粉砕されていた。
 文字通り粉砕。粉レベルにまで砕かれていた。
 金属の部分はぐにゃぐにゃにひしゃげて転がっていた。
 周りの席に出ている被害も甚大で、右隣の確か石本さんとかいう女の子が座っている席は左側三分の一が消えて無くなっていた。よく見るとこれまたひしゃげた金属部分が遠くに吹っ飛んでいる。床に落ちているノートや教科書類も、もう使用できない規模の被害を受けていた。
 そしてそこから少し離れた位置に、二人の男子生徒がうつ伏せで寝ていた。もちろん本当に睡眠をとっているわけではなくて、多分、何らかの理由で倒れたのだろう。
 まるで。
 この教室の中央にだけ竜巻が発生したみたいだった。
 皆が唖然としている中、恐らくは僕一人だけ、恐怖に震えていた。
「貴様が借主か。約束通り、ここの財宝は守ったぞ」
 椅子の上に、でかいトカゲが座っていた。
 硬そうな赤色の背を丸めて、手の先に伸びる長い爪を研いでいる。
「な、なんだよあれ……」
 僕に言ったのか? なんかすっごい見られてるけど。
 どうしてかクラスの皆はその巨大トカゲに興味を示していない。粉々になった机を眺めてぽかんとしていたり、騒いでいたり。
 なんでだ!? いるじゃん変なヤツ!
「ふぅ……しかし、さみぃな」
 なんかいってる。
 まぁ確かにまだ入学してたった一月しか経っていないけれど、いくらなんでもこんな皮膚のごつごつした奴がクラスメートにいなかったことくらいは皆も覚えているはずだ。いや覚えているとかいないとかいう問題じゃないんだけど!
「一応言っとくが、貴様が右手につけているリング。それが無いと俺は観測できないぞ」
 絶対僕にだった。
 右手のリング……。今朝から付けている漆黒色のシンプルな指輪。
「ちょっとトイレに行ってくるかな!」
「なに急に」
 いつの間にか横に居た塔原が訝しげに言ってきたが無視して、僕はトイレに向かった。さすが人語を喋るトカゲだけあって、空気を読んでついてきてくれた。
 休み時間だしトイレは人が多そうだな。いや、独り言を言わなくちゃいけないんだから、多いどころか一人として近くに人が居ちゃいけない。となるとやっぱりあそこか。
 時々後ろを振り返って確認しながら、僕はトカゲを屋上に誘導した。
 びゅんびゅん風が吹き抜ける。少し寒い。お天気お姉さんはやっぱり正確だったみたいだ。
 さて。
「どこのトカゲだお前!」
「おう、随分態度のでかい人間だな」
 ギャハハハと口だけで笑ってトカゲは後ろ手に扉を閉めた。
 意外と律儀だ。
「俺はトカゲじゃねぇ。西洋竜、ドラゴンだ。あるいは――」
 そこでトカゲはふぅーと、長く息を吐いた。
 火!?
「悪魔だ」
 ニヤリと笑う。確かにそれはとても悪魔的な表情だった。
 しかし吐かれたのは火ではなかった。どす黒い排ガスのような煙。黒煙。
「名はリブラビース。『隠された財宝の悪魔』だ」
 そう言ってトカゲ――リブラビースと名乗るドラゴンは、僕に煙を吹きかけた。
「んごっ、っげほ、こほっ!」
「ヤノから借りたのだろう? 俺を。『教室に置いてある財宝を守って欲しい』と、言ったのは貴様ではなかったか?」
「けごっ、げほっ、んぇっほ!」
「あ、や、悪かった。そこまでむせるとは……」
 いきなりここまで苦しめられるとは、さすが悪魔を自称するだけあった。
 しかし、ヤノ。灰ヶ崎――ヤノ。
「財宝じゃなくて財布なんだけど……まぁ」
 言った。
 間違いなく。僕が。
「マジだったんだ……あれって」
「ギャハハ。まぁ無理もない。悪魔なんて言葉を比喩か小説以外で使う人間なんぞ、この時代にいるはずも無いからな」
 ……こんなファンタジーが、本当に。
 『悪魔、要りませんか』――その言葉を聞いて僕は鼻で笑った。
 だけど僕でなくてもそうしただろうと思う。だからこそ、僕がそう言ったときの彼女は無反応だったんだろうし。まぁ僕と話している間、電車内で詳しい話を受けている間もずっと、彼女は無反応の無表情といった感じだったのだけれど。
 このトカゲの言う通り、悪魔なんて単語をそのままの意味で使う人間は初めて見たし、何より悪魔を『要りませんか?』だ。『信じますか?』や『いたらどうしますか?』ではない。それは笑ってしまわずにはいられなかったし――
 気になって詳細を訊かずにはいられなかった。
 遊び感覚で乗ってみずにはいられなかった。
「しかし貴様も物好きだな。俺としてはラッキーだけどよ」
 トカゲは言う(……ドラゴンなんて臭くて言えないし、名前は長い)。
「灰ヶ崎に呼び出されることができたから……か?」
「ちょっと違うな。呼び出していただけたから、だ」
 どうでもいい違いだった。
 灰ヶ崎はご主人様ということなのだろうか。
「ふうん」
 でも。
 冗談みたいな灰ヶ崎のセリフが、冗談みたいに一致している。
「『隠された財宝の悪魔』なんて肩書きじゃあ、呼び出されることもない。捕らえられて以来の外界だよ。おい、今って何年だ?」
 悪魔に西暦を訊かれるというのも斬新だった。
 やっぱりただのトカゲなんじゃないだろうかと疑いながも教えてやると、トカゲは嬉しそうに驚く。『嬉しそうに驚く』。字面だけ見るといかにも愛嬌のある生物を想像するが、実際は一挙手一投足がとても邪悪だ。
「十年ぶりか。なるほど、節々が痛いわけだぜ」
 トカゲは腕をぐるんぐるん回しながら言う。
「それで俺の貸し出し期間はどれくらいだ? 一年か? 二年か?」
「一日」
「…………」
 少しだけ、本当に少しだけだけど、トカゲの顔から悪魔的な表情が落ちた。
「へ、へぇ。一日な」
「うん」
 なんかちょっと悪いことをした気分になる。悪魔に悪いことも何も無いのだろうけど。
「延滞料はサービスしとくように俺からヤノに頼んでみるぜ」
「いやいやいやいや!」
 トカゲが勝手なことを言い出した。
 悪徳業者じゃねぇか!
「なんだよ仕事はちゃんとしたろ? 貴様は財産を盗まれるところだったんじゃないのか?」
「……まぁそうだけど」
 間刻高校では連日、窃盗事件が横行している。
 体育や移動教室なんかの人が居ない時間を見計らって行われていることが、被害状況などから分かっていた。教員からは貴重品はできるだけ持ってこないように、持ってくる際はきちんと管理するようにと言われていたが、まっさかーと笑い飛ばしていると先週、僕もその被害にあったのだ。
 別に犯人を捕まえたいわけでも、もう一度狙われることを懸念したわけでもないが、前述の通り遊び感覚で――借りてしまった。
 いや。遊び感覚というよりは、冗談感覚と言ったほうが適切かもしれない。
 とにかく借りてしまったのだ――悪魔を。ご利用は計画的にしとくんだった。
「あの粉砕されてた座席の人の財布が盗まれそうだったのか?」
「ん? まぁそうだが。あれは貴様の座席ではないのか?」
 てことは僕は金銭まで払って他人の財布を守ったのかよ。いやそれはまぁいいけれど、あれほどの被害を出しておいて守ったといえるのだろうか。
「倒れていたのが犯人?」
「そうだ。俺の仕事は守ることだから外傷はいれなかったが、まずかったか?」
「いやいい。でもだったら机その他の破損もいれないことくらいできたろ」
「できたが、脅しはいるだろう」
 いらねぇよ。
 犯人の二人の生徒はさぞ怖かったろう。このトカゲの姿は僕にしか見えないらしいから、何も無いところで突然、座席が粉砕されたことになる。それもターゲットにしていた鞄の目の前にある座席で、だ。
 想像するだけで背筋が凍る。トラウマなんてもんじゃねぇ。
 もしかすると気絶はさせられたのではなく、驚きで勝手に意識を失っただけなんじゃないだろうか。
「まぁ次からは気をつけるぜ」
「いや次とか無いから」
 強引な悪魔だった。
 そんでトカゲはグルルルルゥゥと低く唸る。
「な、なんだよ」
「あと一週間だけでいいから借りててマジで頼むから」
「…………」
 プライド低っ。
 いやまぁ悪魔も意外と大変なのかもしれないけど。あんなよく掴めない謎っ娘を主人としているわけだし。考えれば考えるほど可哀想に思えてくる。
「でも爬虫類嫌いだし。第一、窃盗の犯人判明しちゃったわけだし」
「き、貴様……俺がこうして頼んでいるというのに。借りた悪魔が俺で本当に良かったな。気性が荒い悪魔なんていくらでもいるんだぞ。それと俺は爬虫類じゃねぇ!」
「お、お前だって僕を貴様呼ばわりしてるだろうが」
 『お前』と呼ぶのに緊張したのは内緒だ。
「だが俺は貴様の名を知らん。名乗れ」
 それもそうだった。
 悪魔に名前を教えるという行為はなんとなく怖いが、それだけで僕が呪われるようなことがあるなら、とっくに何かされているだろうとも思う。だから名乗った。
「鷺坂桐……か。なるほど。桐と呼ばせてもらおう」
 でもやっぱり勝手な悪魔だった。

 03

 翌朝。
 灰ヶ崎ヤノは駅のホームに居た。
 もっとも僕はトカゲ型悪魔をレンタルしている身であって、返却日が今日である以上、灰ヶ崎がここにいるのは当然とも言えるのだけど。とゆうかいないと困る。
 灰ヶ崎は相も変わらずノートパソコンの画面を見つめて、カタカタと気だるそうにキーボードを叩いていた。僕に気付いた様子は無い。
「あの、灰ヶ崎?」
 指が止まって灰ヶ崎が僕を見上げる。
 髪の毛も相変わらずのスーパーロングで片眼しか見えない。そして唯一見えるその鳶色の左目からは何も窺えない。
「えっと、詐欺罪さん?」
「鷺坂だ。似てるようでいてそうでもねぇよ」
「そっすか。おはようございますね」
 そう言って灰ヶ崎はパソコンに興味を戻す。髪がばっさあとパソコンに被るが、気にする様子はまるで無い。
「ございますねって……まぁ、おはよう」
「どうすか? トカゲは役に立ちました?」
 あ。やっぱトカゲだよね。
 飼主にまで種類を覚えてもらえていないのか、あのトカゲは。
「んー、ぼちぼち。そういや昨日の夕方にあいつ突然消えたんだけど」
「そっすね。九時から十七時までのタイムクォンタムにしておいたんすよ。あ、すいません。専門用語とか出ちゃってますね、自分」
「……指輪、返しとくな」
 トカゲには悪いけど、僕には悪魔を飼う余裕は無い。
 指輪を外して手渡す。灰ヶ崎は僕の手を見ずにそれを受け取りじーっと数秒眺めて、それから鞄に仕舞いこんだ。そしてまたパソコンの作業に戻る。
 興味本位で画面を覗き込もうとしたら、体制を変えられる。
「人のパソコン画面を易々と見るもんじゃないっすよザキ坂さん」
「僕は即死の呪文かよ。何やってるんだ?」
「なんでもないただのエロサイト巡りっすよ」
「嘘つけ! なんでもありすぎだ!」
 とそこで電車。
 車両が静止した途端にパソコンを閉じてスタスタと足早に乗り込む灰ヶ崎。うまくはないがはぐらかされた感じだ。本当にエロサイト巡りだったらどうしよう。いや別にどうもしないんだけど。
 僕も乗り込んでボックスシートにいる灰ヶ崎と向かい合って座る。
 田舎の電車らしくその車両の乗客は僕たちを除いて数名程度だった。その車両といっても全部で二車両しかないのだけれど。
 車両が鈍い音を立てて軋み、ゆっくりと動き始める。
 灰ヶ崎はパソコンを開いてまたカタカタし始めた。
「……鷺坂さん。料金の計算が終わりました」
「え? ……ああ」
 一瞬なんのことか分からなかったが、すぐにトカゲのことだと気付いた。
 悪魔のレンタル料。
 借りたんだから料金が発生するのは当然のことであって、そして僕の金はドブに棄てたも同然のことだった。だって僕の財布狙われてなかったんだし。
「二万二千と八百四十円になりますね。まいどっす」
「は!? なんだその額!」
 思わず立ち上がってしまった。
 ただでさえ先週盗まれたばかりだというのに、そんな額が払えるわけねぇ。
「いやぁ、計算ミスはないと思うんすけど」
 頭をぽりぽり掻きながらしれーっと灰ヶ崎は言う。
 とんでもない女だ。詐欺罪はどう考えてもお前の方が似つかわしい呼び名だよ。 
「ちょっっっと待て! 落ち着け! マジで!」
「はい」
「請求額は確か『守った金額の一割』だったはずだよな?」
「まぁそっすね」
「僕の財布には昨日から五千円しか入ってなかったわけだが!?」
「…………」
 灰ヶ崎は突然黙った。ぼーっとこっちを見たまま頭を掻き続けている。
 考え事をしているのか本当にぼーっとしているだけなのかは分からないけど、口を半開きにしたままそれをするのはどうかと思う。
 暫くして、ああ――と、何か納得した様子を見せて灰ヶ崎は再起動した。
「契約内容は『教室に置いてある財布を守って欲しい』だったんで、教室に置いてある財布は全部、あのトカゲに守らせておきました。てことでクラス全員のお財布の中身を加算した額の一割が二万二千以下略になりますね」
「…………」
 僕絶句。
 なんてことだ。僕は他人の財布を守るために、自分の財布に入っている以上の金銭を支払うことになるのか。
 いいヤツ過ぎるだろ僕! ナイチンゲールも感涙に咽び泣くよこれ!
「てゆうかなんでクラス全員の財布の中身知ってんだよ! いや僕の財布の中すら見せた覚えはねぇぞ!」
「それはこちらで調査させてもらった感じですね。いるんすよ。便利な悪魔が」
 そう言って灰ヶ崎はノートパソコンをくるっと回し、僕に画面を見せてくる。別にいかがわしいサイトなんぞではなかった。当然なんだけど。
 ディスプレイには画像。傭兵みたいな格好をしたおっさんが体育座りをして俯いている画像だった。滑稽すぎる。画面上には表のようなものもあって、僕の脳みそには存在しない言語で色々と表記されていた。
「『読み込みと計算の悪魔』、バタタルです。調査は彼にさせました」
「あ……そう……」
 だけどそれを僕に見せてどうなるんだよ。しかも財布を直接探ったのか、何らかの非科学的手段で料金データを入手したのかは分からないままだし。
 灰ヶ崎はパソコンをくるっと戻して再びカタカタに戻った。
 電車が止まる。外を見て駅名を確認すると、まだ僕が降りる駅の五つも前だった。そして乗客数をほとんど変えずに、また電車が動き始めた時。
「意外っすね」
 と唐突に灰ヶ崎が言った。
「僕が二万二千八百四十円を払わないことがか?」
「違いますよ。てゆうか払う気ないんすか鷺坂さん」
「じゃあ何が意外なんだよ!」
「そこで逆ギレされても……」
 まぁ払う気がないわけではなかった。いくらか絶対負けてもらおうとか、密かに企んではいるけれど。
「……冷静なトコです」
「冷静? 僕が?」
「そっすね。あの赤トカゲから聞いたんすけど、正体晒したときもだいぶリアクション悪かったとかなんとか。昨日は自分の喋ってること全く信用してませんでしたのにね」
「んー」
 そんなことはないと思うんだけど。
 やっぱり心のどこかで僕は望んでいたのかもしれない。悪魔が現れることを。でなけりゃそもそも昨日のように、見ず知らずの謎の少女の不思議トークに話を合わせて笑ったり乗ってみたりしないはずだ。いくら僕でも。
「それにお金のこともです。文句とか割と受け付けますよ、自分」
「じゃあ料金は僕の財布の一割だけにしてくれよ」
「そいつは無理です」
「いくらなら負けてくれるんだ?」
「まぁ四十円くらいっすね」
「端数じゃねぇか!」
 全然受け付けてくれなかった。何が割とだ。
 灰ヶ崎はただ財布がじゃらじゃらすんのが嫌なだけなんだろう。絶対そうだ。
「まぁ仕方ないじゃないですか。私だって必要なんですよ、お金。昨日お話しましたよね、私にはどうしてもお金が必要なその理由を」
「家賃が払えないっつう生々しい理由なら聞いたな」
 どうにもこうにもやっていけないらしい。
 まぁ切実だなとは思うけど。
「こんな地価の安いトコで一人暮らしなら、バイトでなんとかなるだろ」
「はぁ。まぁいくつかやってたんすけど、ことごとくクビにされちゃうんすよね、自分。結局自分にはやっぱりレンタル業が性に合ってるんすよ。きっと」
「……そうか」
 まぁ……うん。仕方ないのかもしれない。
「てことなんで、またのご利用お待ちしてますね。二日間ご利用が無い場合、ご自宅にダイレクトメールを送り付けさせてもらいますんで」
「早すぎるだろ!」
「因みにこれはご友人をお二人ほど紹介していただけるまで半永久的に続きます」
「ねずみ講じゃねぇか!」
 どんだけ金が必要なんだよ!
 てゆうか僕の住所調査済みなのかよ。質が悪すぎる。
「まぁ私が三匹を引っ捕らえるまでの辛抱なので、広告はメモ帳にでも使ってください。全部両面印刷なんすけどね」
「書けねぇ! てゆうか本当に送るのかよ! それに三匹って…………あ」
 そういえば、と僕は思い出す。
 灰ヶ崎ヤノは最初、僕に高校生なのかと訊かれて「悪魔ハンターです」と答えた。厳密に言うと「割と悪魔ハンターっすね」と答えた。因みにそのセリフは、僕が灰ヶ崎という人間に興味を持ってしまった一番の理由でもある。
 そして灰ヶ崎は言ったのだ。悪魔が逃げ出したので気をつけたほうがいい、と。
 それが確か三匹。
「『不和の悪魔』トルヴァタス。『強要する愛の悪魔』ヤゼ。『変更できない選択の悪魔』ゼイファル。まだ一匹も捕捉できてないんすけどね。ここに滞在してる理由がそもそもこれなんすけど、丸三ヶ月間、ずっと手掛かりゼロです」
 灰ヶ崎は言う。
 僕はどうやって捕まえているのかも、どうやって捕らえておくのかも、どうやってそれを意のままに操るのかも知らない。だけど信用していた。解かっていると言ってもいいかもしれない。
「悪魔に探させればいいんじゃないか? 同じ悪魔なら、案外あっさりと見つかると思うんだけど」
「根本的な部分で勘違いしてますよ、鷺坂さん」
「え?」
 灰ヶ崎は僕の疑問符を無視してパソコン操作を続ける。なんだよ喋り逃げかよと思って窓を眺めようと右を向いたその時――
 後ろから黒い何かが僕を襲って、顔が覆われる。
 視界が『悪』くなり、気分が『悪』くなる。
「一日ぶりだな、桐」
「…………あ」
 火のように真っ赤で木のように巨大で死のような虚無感、自称西洋竜の悪魔であるところのトカゲがいた。僕の左隣の席に。
 よく見ると、僕の左手には指輪がつけてあった。
「な、なんでお前ここに……」
「『なんでここに』。ああそうだよな。延滞の約束を反故にして一日で俺を返却したのだから、俺がここにいるのはおかしいよなぁ。そうだよなぁ、うん」
 なんか怒ってるみたいだった。
 てゆうか延滞の約束とかしてねぇ!
「トカゲさん、鷺坂さんを本気で殴ってください」
 そしてそんなことを言い出す灰ヶ崎。
 意味が分からない! 座席を消失させるほどの破壊力で殴られたら、怪我どころか入院でも済まない!
「すぉぉぉらああああああああああああ」
「ぎゃあああああああああああああああ」
 ボフッ。
「……あ、れ?」
 ちょっと痛かったが、痛いだけで済んだ。
「まぁざっとこんな感じで、悪魔にはその悪魔に見合ったことしかできないんすよ。そのトカゲの場合『隠された財宝の悪魔』だもんで、財宝関連の隠し関連のことしかできません。他はまぁ見かけ通りの能力だと思ってください」
「なんて使い道のねぇ悪魔だ……」
 つい本音を出してしまい、もう一発殴られた。
 いややっぱり結構痛いんだけどね?
「桐。お前はまさか俺が腕力で机椅子を破壊したと思ってんのか?」
「え、違うの?」
 トカゲはハイハイと言わんばかりに両手を挙げて首を振った。
 むかつく。
「どうしようもねぇ勘違いだ。悪魔は悪魔的な力しか行使しねぇよ。どんなに才能のあるヤツが努力を重ねても、そいつが人間ならば到達できない力。そういうものでしか悪魔ってのは動かないのさ。曲がりなりにも『悪』だからな」
「ふーん」
 僕は華麗にトカゲを無視して灰ヶ崎のほうに向き直った。
「ところでどうやっていきなりコイツを呼び出したんだ?」
「んぅ、あんまり公表したくないんすけどねぇ」
 横でトカゲがコイツ≠ニ呼ばれたことに腹を立てているけど気にしない。
 あんな腕力ならもう怖くないし。まぁ黒煙だけは勘弁願いたいけれど。
「このパソコンで起動させてるんすよ」
「……は? じゃあ悪魔もその中に入ってんの!?」
「あいつらはこっちです」
 灰ヶ崎はノートパソコンの脇にくっついてるものを指差す。
 なんとびっくりUSBメモリだった。しかも2GB。
「デジタル過ぎるだろ!」
「そっすねぇ。でもまぁ入ってるのはメタデータだけなんで。あ、すいません。また専門用語でちゃってますね、自分」
 なんかよく分からないけれど、灰ヶ崎が取り巻く悪魔たちは、世間一般に浸透している悪魔の定義とはかけ離れているらしかった。
 んー。全然見えてこないな。色々と。
「わ、おい、ちょっ、うあああああああああああああ」
 突然トカゲが騒ぎ始めたと思ったら僕の左手――指輪に吸い込まれていった。
「な、なんだ? 一体」
「目障りなんで引っ込ませておきました。失礼をば」
 灰ヶ崎はそれだけ言って、僕の指から指輪を抜き取った。
 これでまた十年くらいでてこれないのかあいつは。少しだけかわいそうだな。
「たまにでいいから外に出してやったらどうだ? なんかちょっと不憫だぞ……」
「嫌ですよ面倒ですし。それに自分、爬虫類とかスーパー苦手なんで」
「……そうか」
 苦手なら仕方ないよな。うん。
「ところで鷺坂さん。昨日はここで降りてましたけど、いいんすか? 降りなくて」
「え……」
 窓を見ると少しだけ見慣れた景色。いつの間にか目的の駅に着いていた。
「やっば。じゃあな灰ヶ崎」
「はい。取立ては後日伺いますね」
 片手で挨拶をして鞄を取り、走る。うまく誤魔化せたと思ったが、ちゃっかり取り立てはするつもりか。まぁ後日にしてくれるだけありがたいけれど。
 灰ヶ崎は指以外不動でノートパソコンに向かって、カタカタをし続けていた。利子の計算とかしていそうでちょっと怖い。だけど――
 もう少し、楽しそうな表情はできないのだろうか。
「灰ヶ崎!」
 ドアを目前にして僕は叫んだ。灰ヶ崎は動かない。
「ずばり、お前の目的って何なんだ!?」
 プルルルルルル――とブザーが鳴って、ドアが閉まることを知らされる。
 灰ヶ崎は――動かない。
「…………っ!」
 僕は駆け込み降車という行為を初めてした。
 ドアが閉まり、軋むような音を立てて電車が動き出す。やがて僕と灰ヶ崎が座っていたボックスシートの窓が通り過ぎ――
「悪魔図鑑のコンプリートです」
 僅かに開けられた窓から吹き抜ける空気のように、灰ヶ崎の声がホームに残る。
 どこかのRPGゲームのような目的だった。
2009/03/13(Fri)16:58:56 公開 / 不伝
■この作品の著作権は不伝さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
起承転結でいうところの起の走繞あたりまでの更新です。

覚えてる方はまさかいらっしゃらないでしょうけれど、その昔「猫の死んだ世界」という不吉なタイトルの作品を書いてまして、未完の状態のままなんとHDが吹っ飛びました。データはここにログとして残ってますが、微妙に書いていた続きと最後まで出来ていたプロットが消えたショックにより無期限延期とさせていただきます。
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして、河魚と申します。
作品を読ませていただきました。タイトルから私好みのコメディ臭(どんなだ)がしたのでのぞかせてもらったのですが、いやあ、すっかりはまってしまいました!
ヤノとザキ坂の掛け合いも楽しかったですが、なにより、悪魔の設定が面白かったです。USBにデータが入ってるとか、契約料金が守った財布の中身の一割だとか、やたらと現代かぶれなところが逆に新鮮でした。普通なら命とかを代償に求められそうなのに……。これだったら本当にいても気軽に借りれそうですね(笑)。

文章はテンポがよく、とても読みやすかったです。
ひとつ気になったのは、前半の「黙々と黙る」という表現。「右に右折」みたいな感じなので、ここは修正した方がよろしいのでは?


なんだか物語の内容ばかりの感想になってしまいましたね。申し訳ない……。

では、続きを楽しみにしてます。またドラゴン君の出番があることを信じて(笑
2009/03/14(Sat)01:17:380点河魚
こんにちは!読ませて頂きました♪
ヤノもトカゲって言っちゃうんだとか、ちょっと笑いつつ、とても読み易くてスラスラと読めました。桐の巻き込まれタイプなのか、これかも楽しみです。財宝の守護者といったらドラゴンだよなと思いつつ、親しみやすい悪魔の性格も良かったです。二日置きのダイレクトメールって超迷惑だよなとか思いつつ、ヤノの探してる三匹の悪魔は、使えそうな通り名で金にもなりそうだなとか思っちゃいました。それとヤノの目的が凄く好きです。
では続きともう一つの連載の続きも期待しています♪
2009/03/14(Sat)09:47:260点羽堕
はじめまして、デビルサマナー頼家と申します。
作品読ませていただきました。大変面白く、コメディーの命ともいえるテンポ良い展開と親しみやすい台詞に、突っかかる事も無くサクサク読めました^^弱冠高校生が使えるのかな?と思える言いまわしがありましたが、それもキャラクタの描写力でしっかりカバーされており、感心いたしました。私如きでは、最早勉強させていただくばかりで、特にできるご指摘は見当たりません。
『不和の悪魔』トルヴァタス、『強要する愛の悪魔』ヤゼ、『変更できない選択の悪魔』ゼイファル……なにやらドタバタラブコメの香りがそこはかと無く醸し出されるモノを司った三匹の悪魔に期待しつつ、続きをお待ちしております。
                 頼家
2009/03/15(Sun)08:53:360点有馬 頼家
>河魚様
拙作を読んでいただきありがとうございます。
掛け合いは割とそのときの思いつきで書いているのですが、設定はよく熟考して決めているので、褒めていただきとても嬉しく思います。
「黙々と黙る」というのは意図的に書いた部分もあって、なんていうんでしょう、「無音を聞く」とか「選ばないを選ぶ」のような矛盾した響きが気に入って採用したのですが、違和感バリバリですよね。次の更新までに直して置きます。ありがとうございました。
ド、ドラゴンくんの出番は実は……

>羽堕様
拙作を読んでいただきありがとうございます。
ドラゴンの奴はシリアスな雰囲気ゼロにしてやろうと初めから決めていたので、少し強引なくらいに愉快な奴になってしまって不安だったのですが、受け入れてもらえたようで嬉しいです。ありがとうございました。

>有馬頼家様
拙作を読んでいただきありがとうございます。
テンポを褒めて貰えたのは初めてです。ありがとうございます。
高校生らしくない言い回しですか。何分、私自身が学生の身分なので問題ないだろうと軽視していましたが、自然に見えるよう心がけたいです。
ドタバタかどうかは微妙ですがコメディ色は消さないつもりです。ありがとうございました。
2009/03/15(Sun)21:04:480点不伝
作品を読ませていただきました。文章に安定したリズムがあったから、すーっと読めて良かったです。登場人物(悪魔含む)の個性がはっきりしていて把握しやすかったのも良いかな。所々変な日本語表現があったのは作者の意図でもあるようですが、他の部分がちゃんと書かれていただけに違和感ありまくりでした。では、次回更新を期待しています。
2009/03/15(Sun)23:03:580点甘木
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