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『うちの兄貴は窃盗犯』 作者:一瞬はねた蛙 / 未分類 未分類
全角2574.5文字
容量5149 bytes
原稿用紙約7.05枚
うちのバカ兄貴は……――やっぱりバカだ。

 ――ねぇ、知ってる?

 何が?

 ここ最近、頻繁に出てる泥棒。

 え? ――何それ?

 夜な夜な日本刀を持って現れる『カタナオトコ』の話。

 そんなの、いるわけ……

◆日本刀小僧

 ―――居た。信じがたいが、どうやらうちのバカ兄貴がそうらしい。小学4年生の私はそう確信した。
 いや、いかにも銀行強盗みたいな黒尽くめのコートを羽織って、顔元を隠すために目にはサングラス、口元には大きいマスク。真っ黒い帽子を深く被り、ズボンのベルトを通すところに突き刺した日本刀。
 いかにも泥棒スタイルというような格好をした男性が私の目の前に立っているのである。119番か? いやいや、残念ながら――これが私の兄なのである。

 ひとめ観ればただの怪しいオッサンが、いい年して何がやりたいんだか。この格好が一度や二度ならまだしも、毎晩くり返しで同じものを羽織って多分、同じ事を厭きずに続けているに違いない。こうもなると警察沙汰になるのがオチだが、まさにそのとおりだ。
 私がまだ小さい頃から兄貴がこんなことをやり続けていたのかは不明だが――ただ今になっていえることは小さい頃からうちには良く警察の人が事情聴取をしに来ていた。これは確実だ。
 だけど未だかつて妹である私ですら理解できない兄貴の行動と結果。それはいくら警察側が兄貴に事情聴取をしても、証拠となる盗んだものが見つからないという、どこかで耳にした事のある話が思い浮かんだこと。

 12月。しかも夜中なんていったら、凍えるような寒さか雪が降るかの二択くらいだろう。私は勿論7月生まれで、この時期とは正反対に生まれた。だから私は得意の夏場じゃないと外出しない。冬場なんて身を投げ出して凍死するくらいの勢いの寒さだろう。
 こういうときはポッカポカの暖房に、ぬくぬくコタツの中に両足両手を突っ込んで、羽織りにはタンゼンを装着。後は猫背に背中を丸めてのんびりとくつろぐひと時。プラス・グッドポジションに、山積みにされたミカンとかアッツアツの緑茶が入った湯飲みとか置いてあると尚よろしいかと。強いて言うなら、テレビのリモコンとかも欲しい。こうしたら、もう言うことなしの100万点。ベリー・グッドだよ。
 というわけで、うちのバカ兄貴は独りで北極へ、私はぬくぬく南国へ。北極っていっても、本物ではなく冬場特有の冷気が吹き付けるただの野外のことで、南国は勿論コタツのある暖かい部屋のことである。快適か快適じゃないかの違いを身近な言葉にたとえたのだ。まあ、今頃くそ寒い外で兄貴が凍死しているかもしれないが、それはそれで「ガンバレ〜」と遠くで応援してるさ。

 江戸のねずみ小僧といえば、誰もが知っている話だろう。江戸時代後期に出没した窃盗犯のことだ。昔の話だが、大名屋敷を専門に荒らしたとされる。後日、彼が捕縛された後、役人による家宅捜索が行われたが盗まれた金銭は殆ど発見されなかった。一時上方へ姿を消した彼はその後に武家屋敷を90回程にもおよぶ回数で忍び込み、ついには日本橋浜町の屋敷で捕縛されたという。
 盗んだ金銭の総額については3000両以上と彼が供述したらしいが、その額は定かではないらしく諸書によっても違うので正確な金額は未だ不明のまま。結局、ねずみ小僧は『金に困った貧しい者に汚職大名や悪徳商家から盗んだ金銭を分け与える』という好印象の泥棒が定着していた……とまあ、これはこの物語だけのお話。
 事実、役人による家宅捜索が行われたが盗まれた金銭は殆ど発見されなかったらしいが、最近の研究の結果か何かで、ねずみ小僧は盗んだ金の殆どを博打と女と飲酒に浪費していたらしい。その為か今となっては『鼠小僧の墓石を持っていると博打で勝てる』だの何だの俗信があるような無いような。ねずみ小僧は博打の神様だ〜とか。そんな事が、いつだったかテレビで特集していたのを不意に思い出す。

 まあ、うちのバカ兄貴がそんな賭け事目当てで金目のものを盗み荒らしていたというのならば話は別だ。早いとこ自首してくれ。大方、手っ取り早くって経済的にも、私個人のためにも助かるから。
 とはいっても、バカでも一応は私の兄貴で。屋根の上をヒョイヒョイ跳び越えられるほどの身軽さは持ち合わせちゃいないけど、何かを値切るというどこかのオバチャンみたいな根性だけはある。後は今言ったようなねずみ小僧きどりとかね。こんな兄貴を上にしている私は、どんなに辛いか。無論、私の周りも兄貴の周りも誰一人として『日本刀男』の正体に気づいていない。というか、何故気づかない。……案外、レスラーみたいな覆面とかしてたらバレにくいものなのか?
 当然のことながら、日本刀男の正体を知っているのは小学4年の私。ただ独りなのである。普段、午前中は何の変哲もない24歳の何処にでもいるサラリーマンな兄貴は夜間の10時か12時くらいに自宅へ帰宅するのだが、その間は両親ともども仕事だ何だで忙しくて、早くても夕方くらいには下校する小学4年生にとっては家に帰るとこのとおり。ほんの少し周りが物静かで、いつも見慣れたテーブルの上に、埃が被らないためのラップが張ってある小皿がおいてある。小皿の上には私へと向けたおやつが置かれていた。
 こういうことは毎日のことなので慣れた。一人で何でも出来る年頃だから、別に寂しくなんてない。帰りが遅くなる兄貴や残業で帰れなくなる日が多いお父さんとお母さんが居なくても、私は平気。だって――慣れっこだから。

 しかし……今、思うとサラリーマンな兄貴が夜な夜な窃盗犯に似た行動をしていると考えると、なんともいえない気持ちになってくる。先ほどのねずみ小僧の話ではないが、もしうちのバカ兄貴がまんま物語の中だけの「ねずみ小僧」に似せた行動となると少し厄介になる。
 これが昔話だからいいものの、これを現代のこの御世代に実行すれば即逮捕。とどまらず刑務所……なんて言うことになったら一大事だ。少なからず小学4年生の頭でも思いつく大まかな流れだ。……そうしたら笑い話では済まされない上に、お父さんは激怒しだしてお母さんは涙を零しっぱなしだろう。それはなんとしてでも避けたい。お昼の推理ドラマみたいな展開に似ているようなないような……。現実はそう簡単に受け入れてくれなかった。
2008/09/25(Thu)18:05:48 公開 / 一瞬はねた蛙
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■作者からのメッセージ
2作目です。初めてのストーリー物(?)なので、色々とご迷惑をおかけいたしますが、
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
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