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『俺、枝桜、卒業式。』 作者:かがみ / ショート*2 恋愛小説
全角1082.5文字
容量2165 bytes
原稿用紙約3.75枚
主人公説明。・二条 悠斗(にじょう ゆうと)2008年3月11日時点で中学3年。その日、卒業式を迎えた。・菜月 彩華(なつき あやか)悠斗の友達。彼と同じ高校に進学。
2006年3月10日――。
俺、二条悠斗は中学1年で、2年先輩だった3年生の門出を祝い、見送った。
そのときは何が何だかまだ判らなくて、ただ世話になった先輩に礼を言うことしか出来なかった。
生徒会に所属していた為準備等に協力もしたが…
『卒業』のイメージが湧かなかった。
俺たちはまた明日、何時もの様に登校する。
しかし今日を境に二度と登校してはこない3年生の姿に、やり場の無い寂しさを覚えた…
そしてその背景には、開花も遠すぎる桜の木が映った…

2006年4月5日――。
進級式に、一月前とは別物のような満開の桜を確かに見た。
俺たちの進級を祝うように…

――そして春、夏、秋、冬、また春と季節は巡り。
2007年3月10日――。
俺は中学2年、1年先輩の3年生の門出を昨年のように祝った。
その頃には少し、卒業のことも意識した。
しかし何かまた寂しくて、俺は誰にも礼も言わず帰宅した。
俺の背中と別れを惜しむように写真などをとる3年生の背中に、また枝の桜はあった…

そしてまた巡ってきた2008年3月11日。
閏年だったから367日後。
俺は、この日をもって3年間の学び舎を飛立つ。
9年間居た義務教育という植木鉢を砕き壊し、大地に芽吹く。
そのための卒業式を済ませ、俺は別れを惜しむように友と話を交わす。
「じゃあまた宜しくな。」
そう同じ高校へ進学するクラスメイトの彩華に声をかけた。
「ねえ悠斗。」
「何だ?」
彩華からの質問に、俺は疑問系を返す。
「あれ…見て。」
彩華の指差す先、それは――。

開花も遠すぎる枝の桜。
しかし、芽の先は見て判るほど膨らみ、眼前の春を望んでいた。
想いの先に、彩華の声を聴く。
「あの桜はきっと卒業する私たち、だよね。」
俺はそれに言葉の返事は返さなかった…ただ、ココロでうなずいた。
…だよな。

硬く悴んだ掌を広げるように咲く。
その動きはあまりに微小で、誰の気にも止まらないし、見られることも無い。
しかし確実に動き、輝く花を咲かせる。
今はただ咲くのを待っているだけ。
新たな門出のように…
でも…
そして俺は彩華に言葉を返す。
「それはちょっと違うかな。桜は一瞬かもだけど…俺らは…ずっとだ。」
こくり、と彩華のうなずきが見えた。
「じゃあ、これからも宜しく!」
彩華はその言葉に言葉の返事を返さなかった…ただ、絡めてきた右腕が答えだった。

桜は何度散っても、やがてまた輝く。
俺も彩華も、いや誰もが皆絶望に締め付けられることはあるだろう。
でもそのたび、輝きを思い出そう。
そして改めて強くなろう。

何も無いようで、想いが詰まったある日のことだった――。
2008/03/11(Tue)20:05:10 公開 / かがみ
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■作者からのメッセージ
こんにちは〜☆
ちょいと、うちの学校卒業式だったから書きました。
よかったら感想願います。
ではまた何時か!
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