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『罪』 作者:サイエ / ショート*2 リアル・現代
全角1453文字
容量2906 bytes
原稿用紙約4.35枚
 ゆっくりと、歩く。足取りはうんざりとするほどに重い。当然だ、これからすることを思えば。
 お父さん、お母さん、ごめんなさい。私は今日

 人を、殺します。



 私がその人の存在を知ったのは、今から二ヵ月半ほど、正確にいえば十二週間前のことだ。最初は、愕然とした。次に、恐怖した。自分が殺人という罪を犯さなければならないことに。その女――どうやらその人は女らしい。ひと月前に知った事実だ。――の存在を知った瞬間から、殺さなければならない事はわかっていたから。
 本当なら、この殺人には共犯者がいるはずだった。二年前に知り合った男だ。名前は――いや、ここで記すのは止めておこう。ここで男の名を出したとしてもそれは何の意味もないし、なによりそれは私にとって決して思い出したいものではない。
 共犯者となるはずだった男は、逃げ出した。自分には出来ない、そんなものは知らないと言って。その言葉の奥に、その殺人のことが周囲に露見した場合の『バレたらまずい』という感情が詰まっていることはすぐにわかった。『バレないようにうまくやればいいんでしょ』という私の言葉にも全く耳を貸さなかった。私に全てを押し付ける罪悪感はかろうじてあるようだが、自分の保身の方が何倍も大事なんだろう。私だって、この罪が人に知られたら大変なことになるのは間違いないのに。それは、彼も知っていることなのに。思い出すと、また怒りがこみ上げてきた。最悪の男だ。きっと、二度と会うことは無いだろう。連絡を取り合うことはもう決してないし、この広い町で偶然に出会う確率はきわめて低い。低いと、思いたい。絶対に、逢いたくなんてないから。逢ったら私の罪を嫌でも思い出してしまうから。

 ふう、と小さく溜め息をつき、これから殺す彼女のことを思い浮かべた。本当は、きっともっと早くに殺してあげるべきだったんだろう。私にとっても彼女にとってもその方がどれだけ楽だったかしれない。そんなことはとっくに知っていたけれど今日まで延ばしてしまった。ギリギリまで待ったところで自分がそれをしなくてもよくなるなんて都合のいいことを考えていたわけじゃない。限界まで遅らせたかったのは、出来るだけ長く生きさせてあげたかったからなんだろう。もちろん、自分がしたくないと思っているから先延ばしにしてしまった所為もあるけど、それが一番の理由。
 本当は、殺したくなんてない。でも、しなくては、ならない。私以外の誰にも出来ない事だ。出来るなら生きさせてあげたい、でもそれは出来ないことだ。彼女の存在を知った最初のときから、いや、生を受けた瞬間から、殺さなければならないことは決まっていたのだ。私の中に、それ以外の選択肢はない。有り得ないんだ。

 きっ、と前を向いた。ここが、彼女を殺す場所。
 
 心の中で小さく「ごめんね」と呟いて、白く綺麗なその建物に入っていった。知らず、腹部に手が行く。
 怖かった、たまらなく。これから自分の犯す罪に、その所為でいなくなる彼女に、心から恐怖する。この建物の中で、十五歳という私の年齢は、限りなく浮くだろう。周りの目と、もし学校に知られてしまった場合のことを考えると、それも恐い。きっと二歳年上の有名私立高校に通う彼がずっと危惧しているのもこれなんだろう。学校と、親にバレる。わたしも、すごくこわいよ。
 それでも、しないわけにはいかないから。

 そして私は、産婦人科の門をくぐった。






 お父さん、お母さん、ごめんなさい。私は今日

 人を、殺します。



END
2007/07/16(Mon)00:11:49 公開 / サイエ
■この作品の著作権はサイエさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんにちは、サイエというものです。よろしくお願いします。

読んでいる方になるべく主人公が妊娠していることを悟らせないようにと思って書いたのですが……話としてわかりにくくなってしまったかもしれません。未熟極まりないですね。生かせていない設定が色々とあるのも心残りです。そもそもssとはいえ短すぎでしょうか。

未熟すぎる自覚は十分ありますので酷評、批評、率直な感想など何でも頂ければうれしい限りです。是非ひと言よろしくお願いいたします。
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