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『思い出の傷跡。』 作者:秋澪 / リアル・現代 ファンタジー
全角1971文字
容量3942 bytes
原稿用紙約6.3枚
 いつかから白紙が続く日記。それはある日を境に文字が記され始める。 貴方の言の葉は今でも僕の心に残りつづける。残りつづけると同時にそれは、痛みを僕に落とす。 叶わない願いを願うのはだめですか。その願いを捨てるのは赦されますか。 いつまでも夢見ているのはだめな事ですか。 
 あの日から幾つの日が流れたのだろうか?
 今から日記帳を見ればその日の出来事も、まるで昨日の出来事のように鮮明に思い浮かぶ。
 僕の日記はその日を過ぎてから、一切筆をなぞらせる事がなかった。ずっと、白紙のままでいた。
 
 
 
 
 もう高校生活も終わりを告げようとしていた。
 見慣れているこの校舎ともあと半年でお別れである――、そう考えるとまだ夏休みなのだが寂しさを感じられずにはいられなくなってしまう。結局ずっと帰宅部だったなぁ、とか考えつつ放課後の校庭をぼんやりと眺めていた。
 夕焼けが差し込む教室というと聞こえはいいが、実際は補習で残されていたのだからそうは思えないのだ。
 帰宅部の俺は学校に、太陽が地平線に隠れこむまで居た事がないので、こんなに教室がオレンジに染まるのはあまりない。まぁ見たとき、といえば全て補習なのが自分的にショックなのだが。
「……歴史なんて本当にいらないよな、将来にこの知識を生かせる職につく気もないし……」
 寂しい空気の中一人ごちてみる。しかし相槌を打ってくれる相手もいないので帰ってくるのは静寂だけだ。
 補習の課題として出されているレポートの類も終わったのでもうそろそろ帰ろう、そう考え重い腰を上げたときだ。教室前方の扉を開け、我がクラスの担任の谷山が入ってきた。
「お、まだ居たか佐野……ちょうどよかった。お前に客がきてるぞ」
「……え、僕にですか?」
「ああ。しかしお前、いったいなにやらかしたんだ?」
 ……なにやらかした、と聞いて内心びっくりした。これまで僕は悪行という悪行など一切していない……はずだ。自分の知らぬところで人を傷つけてしまう、そんなことはあるかも知れないが、自分の知りうる範囲ではしていない。
 しかも客といえば一切合切に思い当たる節がない。わざわざ平日に学校まできて僕にコンタクトをとってくるような人物。もっと心当たりがない。
「場合によっちゃ退学かもしれんな……相手は警察だし」
 




 一瞬で景色が移動したように感じた。でも実際は瞬間移動などできるはずもなく、思考が停止した僕を先生が職員室の隣、つまり校長室に先導して今しがた気づいた、というだけなのだが。
 だがしかし警察だと? 僕に警察が用事なんて……有り得ない信じられるかよ。夢でも見ているかのようだ。太陽は既にその身を隠していて、すでに陽光はもう窓を照らしていない。白い蛍光灯が、校長室の贅沢とも思える装飾品を照らしている。今この部屋に居る者は僕も混ぜて二人。警察の人に僕。
「……僕に何のようですか?」
 警察の人は無言で名詞をコートから出して僕に差し出してきた。それを僕は受け取り軽く目を通す。
 ――警視総監、竹野圭一郎。……警視総監って確か、警察署内でもかなり偉い方じゃなかったか? そんあ人物がただの学生の僕という一個人になんの用事なんだか。
「佐野君だったな。少し聞きたいことがある、署までご同行願えるかな?」
 ああ現代社会を学んでいて良かった。確か任意同行は拒否できるはずだ。
「すいません、僕はそんなところまで行きません」
「……じゃあここで話を聞いてもいいということか?」
 別にそれでも僕はかまわない。とりあえずせっかくここまで高校生活を頑張って来たんだから、こんな変なことで退学などくらい卒業が出来ない、なんてオチは絶対に勘弁してほしい。
「……かまわないですよ。早くしてくれますか?」

「二年前。天宮雪帆殺害に関する事件についてだ」

 本当に目の前が暗くなった。平衡感覚がうせ嘔吐感すら腹の奥からこみ上げてくる。僕は立っていることが出来なくなって床に膝をついた。真っ黒なはずの視界がなにかで歪み、そしてぶれ始める。
「だ、大丈夫か!?」
 伸ばされてきた手を払いのける。少しずつ気持ちを鎮めていく。冷静に、あの日からの出来事をなぞり現実を現実と認識していく。
「……、それで何を聞きたいんですか」
「率直に言うが許せ、佐野秋。お前は犯人を知っているんじゃないか?」
「僕が、犯人を知っている? そんなわけないですよ。なんせ彼女が死んだとき……僕は自宅で机に向かっていましたから」
 そうだ。僕は彼女が助けを求めている時、のんきにも机でただ本を読んでいた。この先がどうなるのだろう、という期待を胸に抱いて、わくわくと表現できる気持ちで。彼女が、死にそうなときに。
 だから現場に居たわけでもないし、直前まで会話を交わしていたわけでもない。
「……それならいいんだが。まぁ思い出したことがあったら教えてくれ」
 それだけを言い残すと竹野という警視総監は席を立ち、この部屋から出て行った。扉の向こうで様子をうかがっていたらしき先生と軽く挨拶を交わし、廊下を歩き去っていく。
 それを見届けてから先生が校長室に入ってきた。
2007/05/30(Wed)15:57:10 公開 / 秋澪
■この作品の著作権は秋澪さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 いそいで書きました。ところどころ間違いあるかもしれませんがよろしくです。
 亀更新にならないようがんばりたいです。
 これはジャンルでいうと、中篇程度で終わる物語です。
 
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