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『彼女と僕と1〜3』 作者:夕陽 / リアル・現代 恋愛小説
全角7041文字
容量14082 bytes
原稿用紙約24.5枚
僕は彼女に恋をした。だけど彼女は鬼で、全てを恨んでいた。当然僕も。だけど僕は彼女に憧れ恋した。鬼は僕に答えてくれるのかな…?
 1 桜の木の下で


 僕は急いでいた。
がらにもなく寝坊をしてしまったのだ。
何がもとで寝坊したのかは知っている。テスト前だったので徹夜で勉強したのだ。
僕の成績は中の下程。
今度のテストを落とせば小遣いが抜きになるどころか、成績が上がるまで家事をしなければならなくなる。
そんなのは絶対嫌だ。
だってやりたいことが山ほどあって、二十四時間じゃまったく足りないっていうのに、さらに自分の時間を削られてしまうのだ。
耐えられない。

走っているために眼鏡が上下に揺れて視界が弾んでいる。
実に走りにくい。
かといって眼鏡を外せば何も見えない。
遅刻してしまうのはプライドが許さない。
悪い成績は皆出席と提出物で稼いでいるのだから。
「あーもう!なんで姉貴は起こしてくれなかったんだよー!!」
僕は叫ぶと、近道しようと横道にそれた。
細くて薄暗く、普段なら絶対通らないような道だ。
壁にぶち当たり、積まれてある箱に足をかけ、よじ登る。
ぎりぎりまで手を壁にかけたまま、足が地面に近づいたら離して着地。
坂の上の学校の裏門はもう目の前だ。
「よしっ」
僕はガッツポーズをして一気に坂を駆け上った。
坂を上がりきったところには、一本の桜の木がある。
桜の季節は去ってしまったので今は青々とした葉がついているだけだ。
息も絶え絶えに裏門のすぐ横にある桜の木の前を走り抜けた。
と言ってもふらふらで走っていたのか歩いていたのかは判断しかねるけど。
裏門の柱にひじをつき、あと少しだ、頑張れと自分を叱咤激励した。
ふう、と大きな息をついてから裏門をくぐり校舎へと歩き出した。
ホームルームまであと十分ほど。
焦らずとも十分に間に合う。
そうして僕は桜の木を横切った。
――あれ?足?
桜の木から足が生えていた。
「いやいやいや違うだろ」
自分に突っ込みを入れて、僕は桜の木から生えている足の主を見た。
女の子だ。
僕と同じくらいの。
短い髪は黒々としていてつやがあり、その一房は赤く染めてある。
その子は目をつぶっていた。
耳にはピアスとウォークマンが光っている。
制服はうちの学校のもので、夏服の襟をぴっちりとしめてある。
投げ出されている足には黒いソックスと薄汚れた運動靴を履いていて、足が小刻みに動いている。
顔はうつむいているので分からない。
ふとその子が足を止めて顔を上げた。
そして睨みつけてきた。
僕は生まれて初めてだったそんな目で見られたのは。
激しい憎しみと恨み。
何者をも拒絶する冷たいまなざし。
激しい感情が渦巻いているが、同時に冷めた感情も宿っている。
すっと彼女は立ちあがり僕の前へ来た。
その動作を僕はまるでスローモーションのように感じた。
ゆっくり近づきながらウォークマンを耳から外し、ぴたりと僕の目の前で止まった。
彼女の目が僕の目をひたりと見据えた。
「何のよう?」
彼女の声は程よい低さで耳にしっくりとなじむ音だった。
「べ…別に」
僕はかみながら答えると、そそくさと彼女の威圧するような目から視線を逸らして教室へと走っていった。

「桜の木の下で?だったらそいつは鬼麓翔子(おにふもとしょうこ)だよ!まじで見たのか?」
「え…?うん」
友達の和久がすげーとかよかったなとか言っていた。
「すげぇな義則(よしのり)殺されなくて」
「うん…は?」
「知らねぇの?」
和久が驚いたように声を上げて、隣に居た将兵までもがくちをぽかんとあげて僕の顔をまじまじと見た。
「何だよ?」
「マジで知らねぇの?」
「だからなんだよ?」
いらいらして僕が声を荒げると、将兵がぽんぽんと肩を叩いた。
そして一言。
「知らぬが仏」
「はあ?」
「とにかく射殺されないでよかったな」
和久がそう言ったところで担任の先生が教室にはいってきたので、僕は彼女のことを聞くことが出来なかった。
彼女はいったい何者なのだろう?
あの怖いもの知らず(無知とも言うが)の和久と将兵が殺されなくてというほどの実力の持ち主なのか?
それともただたんに僕をからかっているだけなのか…
いずれにせよ僕は異性よりもテストの方がさしあたっての障害だったので、彼女のことは忘れてしまった。

「お…おのれぇ」
僕はほとんど埋まらない数学のテスト解答用紙を睨みつけながらうめいた。
「紙のくせして人間様に逆らおうってのか?」
鉛筆を握り締めている右手にはいやーな汗が玉になってふきでている。
「たかがインクと紙のくせになぜ私を苦しめるのですか?」
「佐藤。静かにしろ」
背後から試験監督の吉田(担当は国語)先生が冷ややかな目で僕を見下ろしている。
僕は先生にへらりと笑うと解答用紙に向き直った。
――くそう

今日はテストだったので早めに学校は終わった。
「あーあ、明日は国語に英語かー…しかもその後の二時間の授業は数学と理科だぜー?ありえねー」
和久が盛大にため息をつき、将兵をみた。
「どーせお前はよかったんだろうけどな。テスト」
「まーね」
将兵はくくっと笑い「お先に」と帰っていった。
「たーく信じらんねーぜ。あいつより俺のほうがいい男だってのに、あいつのほうがモテるんだぜ?おまけに頭もいいし。天は二物を与えてはくれないようだよ。世の中不公平だぜ」
「ははは…ところでさ、朝言ってた鬼麓翔子って?」
「ああ?ああ、あの子ね。よく知らないけどさーここあたりじゃ無敵だぜ?」
「無敵?」
「そ。喧嘩は無敵。男相手にも一歩も引けをとらず、逆にのしちまう。噂じゃヤクザの跡取り娘だってよ。ネンショーにも入ってたことがあるとか。学校じゃ有名人だぜ」
「ネンショー?」
「少年院だよ」
「ああ」
ありえそう。だって彼女のことだもの。
あの目は絶対狩人の目だ。
間違いない。うん。絶対。
僕は眼鏡を押し上げると和久と別れた。
「はあ…」
帰路をとぼとぼと歩きながら僕は今日のテストのことを思った。
散々だった。
今日のテストは社会に理科と数学。
社会と理科は何とか半分以上解答欄をうめることが出来たが、数学にいたっては半分うめたかうめられなかったか。
「はあ…」
入りたかった中学校に入学できたのはいいけどこの学校はレベルが高すぎる。
三年生まで在学できたのが嘘のようだ。
そもそもこの学校に入りたいと思ったのは周辺の学校で美術部があるのがこの学校だけだったからだ。
城の内市立中城(なかしろ)中学校。
中学校で最初に友達になったのが和久。
和久についてくるように将兵がいた。
僕は小学校では根暗なほうだった。
いつも机に向かって勉強するではなく絵を描いていて、喋らず、質問されてもうんかいいえ。
もしくはジェスチャーで答えて。
そんな自分を変えたくて、美術に打ち込みたくて城の内市の中にあった僕の小学校のなかではおそらく誰も受験しないであろう(遠いから)この学校に受験して、ぎりぎりで受かって入学した。
遠いから通学は大変だけれども、ほとんど運動しない僕には程よい距離。
「邪魔」
自分の考えに浸っていた僕の後ろから声がした。
「え?わっ…ごめん」
僕はあわてて脇にどいた。
僕の横をすっと通り過ぎていったのは今朝の桜の木の下にいた鬼麓翔子。
「あの」
僕は、
気がついたら彼女に声をかけていた。かけたくなったのだ。
彼女が振り向いた。
あの目で僕を見据えて。
「ええと…君はあの鬼麓翔子…さんだよね?」
彼女、翔子さんは目を細めた。
「あ、いや、その今朝あの木の下にいたから…えっと…気になって友達に聞いたんだ」
ああもう!一体何を言ってるんだ僕は!
「ええとだからその…とも…ともだ…」
僕のろれつは史上最悪だっただろう。
「…声をかけたのはそのう…」
うん、そうだ僕はおそらく彼女に一目ぼれしたんだ。
「とも…とも…」
僕に無いものを彼女は持っている。そこに惚れたのだ。きっと。
「ともだちに…」
じゃないと僕の行動の意味がつかめないもの。
「友達になってくれませんか?」

2 もう一度

 重い沈黙が流れていた。
僕は気まずくなってもじもじとして彼女のことをみつめた。
「…っぷ」
彼女が笑った。
僕は真剣なのにひどい。
だけど彼女の笑顔は正直、とても可愛いと思った。
今までの冷ややかな顔が一瞬だけ明るく光る。
すばらしい瞬間だ。
「あのう…」
彼女がおかしそうに肩をゆすっているのをみて、僕は恥ずかしさと気まずさを吹き飛ばすべく声をもう一度かけた。
「友達になってくれますよね?」
再び言った。
とても真剣に。
僕のありったけの勇気をふるいおこして。
けれど彼女はおかしそうに肩を震わせながら右手を振っていってしまった。
その後の帰り道はとても気が重かった。
勇気を振り絞って彼女に声をかけたのにまるで僕を子どものようにあしらって行ってしまったしまったから。
――変な人だと思われたかな…
彼女にそんな風に思われたら僕は終わりだ。
あの友達になってほしいという言葉は僕の史上初の告白と言ってもいい。
一目ぼれした相手に無碍に扱われたという事実が重くのしかかる。
しばらくは重い気持ちだったけど、しだいに気恥ずかしさが顔を覗かせてくる。
明日、彼女にあったら、あってしまったら、一体どうすればいいのだろう?いきなりあんなふうに声をかけたのだ。僕が彼女のことを知らなかったように彼女も僕のことを知らないのだ。まったくの赤の他人からいきなり友達になってくれといわれてはい、いいですよと答える人がいるわけないのだ。
「ああ、なんて馬鹿なんだ僕は!せめてもう少し時間をとるべきだったのに!」

次の日、早く起きた。
家族はまだ眠っている。
学校に行かなければならない。
今日もテストだ。
テストだという以上に彼女のことを思い出すと気が重くなる。
学校に行きたくない。
でも行くしかない。
重い足取りで僕は家を出た。
彼女に笑われた。馬鹿にされた。
恥ずかしくてたえられない。
昨日のことを思い出すと、学校に背を向けて逃げたくなる。
だけどテストは受けなければならないし、彼女のこともまだ気になる。
――別にいいじゃないか。彼女は僕のことを笑った。そのほうがよっぽどテストよりも重大だ。彼女にもう一度笑われるくらいならテストを放棄して逃げたほうがいい。
「そうだ。そうしよう」
僕は学校に背を向けた。
――テストなら後でもうけられる。
学校とは正反対の道を歩く。
小学校からずっと学校に休むことなく通っている。だから学校に行くことが習慣化し、行かないとなると気持ち悪いし落ち着かない。

結局僕は学校への道を歩いていた。
行きたくないという気持ちと、行かなければという気持ちとが入り混じって頭がぼうっとしていて、
僕は昨日と同じ道を半分ぼうっとしながら歩いていた。
無意識に歩き、裏門への坂道をのぼり、桜の木を目指して機械的に足を動かす。
気がついたら裏門の桜の木の下。
鼓動が早くなった。
彼女の足が昨日と同じようにある。
朝の早い、生徒もまばらなこの時間に。
僕はふらりと彼女に近づいた。
どきどきする。
怖い。彼女を見るのが。けれど同時に見たいという気持ちがわいてくる。
僕は彼女が好きなのだ。
怖い。怖い。怖い。
彼女の全貌が目に飛び込んできたとき、不思議と僕にもう一度勇気があふれてきた。
怖い?怖くないさ。彼女だって人だ。僕が気持ちをしっかりと伝えれば彼女だって分かるはずだ。
友達からはじめればいい。諦めるんじゃない。今を逃したら次は無い。
「翔子さん」
僕の口からは僕でも驚くような大きな声が出た。
彼女はやはり昨日と同じでウォークマンを耳にかけていた。かすかに音が漏れている。それほど大音量で聞いているのだろう。
だけど僕の声は届いたようで。
彼女は右の耳からウォークマンを外した。
そしてじっと僕を見据えた。
昨日のような目は向けては来なかったが、相変わらずそのめには激しい感情と冷めた感情とが渦巻いていた。
「何かよう?」
心臓が早鐘を打つ。
大丈夫だ。彼女に僕の声は届いた。僕の言葉も届くはずだ。絶対に。
「しつこいようだけど、僕と友達になってください」
昨日とは違うはきはきとした力強い声が僕の口から流れ出た。
「僕のことを変な人だと思っているのならかまいませんけど、友達になってください」
後一押ししたら「付き合ってください」と口から飛び出そうだったけど、そこはこらえた。いつかは友達以上になれないだろうかと思ってはいるが、まだはやい。
僕も彼女もお互いのことは知らないのだ。
彼女はじっと僕の目をみつめ、それから思わぬ答えを返してきた。
「なぜ?」

3 答え

僕は戸惑った。
そんなことが聞かれるとは思わなかった。せいぜい嫌だとか分かったとかそんな程度の答えが帰ってくるだろうと思っていたのだ。
だがそんな僕の予想を裏切って、彼女は僕に質問してきた。
なぜ、友だちになるのかと。
なぜか?その答えはでている。好きだからだ。彼女のことが。
だが、露骨に言うのはかえって彼女との距離をひらいてしまうかもしれない。
――どうやって答えればいいんだろう
僕は頭の中で幾つかの答えをはじき出し、同時にこれではダメだと却下する。
そうして無難な答えを導き出した。
「友だちになりたいから。それではだめ?」
彼女が立ち上がった。
僕は反射的に身構えた。
どういう答えが返ってくるのか。
彼女は僕を一べつしてから、背を向け言った。
「そう。だったら勝手になったら?オトモダチに」
僕はむけられた彼女の背を信じられない気持ちで見つめた。
それから我に帰って彼女の背にむかって叫んだ。
「これからもここで会おうよ!」
彼女はうっとうしそうに手をふって校舎の影のなかへと消えた。
彼女が消えた後も、僕はしばらく彼女の消えた方向をじいっと見ていた。
けれどそれも長くは続かなかった。
ふつふつと喜びが胸へこみ上げてきたのだ。
気がついたら僕は両のこぶしを空へと高く、高く突き出していた。
――やっと一歩が踏み出せた!

その日一日中僕はにやけていたらしい。
和久と将兵が気味悪そうに僕を見ていた。
悪い気はしなかった。
僕の胸と頭は喜びでいっぱいだったから。
しまいには下手くそな鼻歌まで飛び出してきた。
「なあ、お前大丈夫か?」
和久がたまりかねてかそんな僕に声をかけてきた。
「え?」
僕は口元をゆるめたまま和久の顔を見た。
「お前一日中にやけてて、おまけにへったくそな鼻歌まで歌ってるぜ」
「へえ」
「おい、聞いてんのか?」
「聞いてる聞いてる」
聞いてはいなかった。和久の言葉は僕の耳から耳へと流れ出ていき、僕の脳内ではわけのわからない文字の羅列となっていた。
「そうか?聞いてないみたいだけど?」
将兵が横から口をはさんできた。
「聞いてる聞いてる。聞いてるよー」
「げっきも!」
和久がそんな僕に率直な意見を言ってくれた。
でも僕は気にしなかった。
やっと彼女に近づけるようになったのだから。

放課後僕はあの木の下まで軽やかに歩いた。
彼女がいた。
「やあ」
僕は彼女に声をかけた。
彼女は視線を手のひらから顔をあげ、僕をちらりとだけ見てまた視線を手のひらに落とした。
笑顔を向けてくれることを期待したわけではなかったが、それども少しがっかりした。
なにかが変わってくれるといいなと思っていたから。
「どうだった?」
そこで僕は自分から声をかけることにした。
「……何が?」
彼女がしぶしぶという具合に返事をした。
「テストだよ。国語と英語の」
彼女は鼻で笑うと言った。
「別に。普通」
「そっか」
会話がなくなってしまった。
次の話題はどうしようかと僕が考えをめぐらせていると、彼女のほうから話し始めた。
「不思議だ」
「へ?」
「あんたといると落ち着く。何でも言いたいことが言えるような気がする。まだ初対面もいいところだってのに」
僕はそんな彼女の言葉に舞い上がった。
彼女は僕を認めた?
うん。そうだ。絶対にそうだ。
僕は彼女に認められたんだ。
「あんた、名前、なんていうの?」
「え?ああ、はい。僕は鈴木義則っていうんだ」
「へえ」
彼女はそれきり喋らなかった。
僕らの間に沈黙が下りた。
でもその沈黙は気まずいものではなかった。
僕は彼女との友だち関係がそれ以上のものなるのではないかと期待した。
そうしてその期待は膨れていった。
けれど予想に反して友だち以上、にはならなかった。
二学期が終わった。
僕は半分がっかりしながら三学期にまた会おうと彼女に言った。
彼女はあったときから全く変わらなかった。
屈託に笑うことも無ければふざけることも感情を表に出すことも無かった。
ただ気が向いたときにだけ話、僕の言うことに耳を傾け、疑問に思ったことを簡潔に聞き、それに答えるとただ一言「へえ」とだけ言ってまて自分の没頭していたことに戻る。
笑わず、ふざけず、感情を表に出さないのが彼女の地かと思ってしまうほどだった。
だが、そんな考えも冬休み中には消え去ってしまった。
もっと重大なことが持ち上がったからだ。
父さんが観ている僕の家の居間にあるテレビが『鬼麓』といった。
僕はどきりとしてテレビを見た。
テレビの中のアナウンサーが続けた。
『昨日未明鬼麓組組長の鬼麓芳次郎(よしじろう)さん四十八歳が娘で中学生三年の鬼麓翔子さん十五歳に刺されるという事件がおきました。警察では……』
僕はそれ以上まわりの音が聞こえなくなった。
「翔子さんが?」
僕はそうぽつりと呟いた。
その声は誰の耳にも入ることはなかった。
2006/11/15(Wed)18:37:05 公開 / 夕陽
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■作者からのメッセージ
久々の更新です。
気持ちだけが先を行ってとても展開が早くなってしまいました。
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