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『桜の木』 作者:黒崎 凛 / 異世界 未分類
全角2500文字
容量5000 bytes
原稿用紙約8.8枚
 岡篠白兎。自分勝手。自信過剰。生意気。傲慢。冷静。妥協しなくても生きていける。そんな白兎の家は伝統ある家柄。岡篠家の血筋で、まれにしかいない、特殊体質『天真』。その体質を白兎はもっていて…。
 桜の木


第一部


 第一話 引越し

 
 吐く息が白い。
 外に出ると車の中の暖かさはもう無くなっていた。
「兄ちゃん、雪だよ。」
和樹が目を細めて笑っている。
『白兎、お父さんは転勤するわ。小学校のお友達とはお別れよ。』
転勤。岡篠白兎は小学1年。まだまだ子供だったが、転勤の意味くらいは知っていた。
「さ、行きましょ。…お父さんに会うなんて久しぶりね。」
お母さんが車から降りる。お父さんは車から降りてブルルッと震え、
「さむいな。」
と言った。
お母さんは家の方に行く。家は和風。今時珍しい家だった。
「お父さん…。」
お母さんが驚いたように言う。おとうさん、白兎にとってはおじいちゃんだ。
 背が低いな…。
 白髪で細い体だった。
「白兎、和樹、よく来たな。」
おじいちゃんが言う。和樹は笑って、
「うん。ぼくね、車酔いしなかったんだよ。」
と言う。いつも和樹は車酔いをするので今日酔わなかった事が嬉しいのだ。
「そうかぁ。ま、外は寒いから中に入りなさい。」
ガラガラと、戸を開ける。
「白兎、和樹とは違う部屋になったわよ。」
お母さんが微笑む。前にいたアパートでは部屋が小さかったため、二人で一部屋だった。
 あいつはまだ小学生にもなってないのに部屋が欲しいとか言うからだ。
 和樹は駄々をこねたのだ。
「部屋は二階で、白兎はつきあたりのところ。和樹は少し行った、左のところだ。」
おじいちゃんが言う。白兎と和樹は階段を上った。
  
 白兎の部屋は広かった。しかも和樹と同じ部屋ではない事が嬉しい。壁にはところどころシミがある。 
 コンコン、とドアをノックする音が聞こえる。おじいちゃんが入ってくる。
「白兎、この部屋気にいったか?」
「うん。広いね。」
「…白兎、剣道知っているか?」
ケンドウ。白兎はその単語をまだ知らなかった。そしておじいちゃんがいきなりその事を訊いたのを少し怪しんだ。
「ううん、知らない。ケンドウって何?」
自分の知らない事を知らないままにしたくなかった。
「竹刀で勝負するものじゃ…。まぁ、チャンバラみたいなもんじゃな。」
チャンバラ。白兎はふうん、と言う。同学年の男子や上級生が箒をもって戦うやつか。白兎はそれを以前から『アホラシイ』と思っていた。そしておじいちゃんがこんな事を言うのだから、『剣道』というものをやらせたかったのかもしれない。
「そうじゃ、白兎。明日にはベッドが届くと祥子が言っていたぞ。」
祥子とはお母さんのことだ。
「分かった。わざわざありがと。」
おじいちゃんはドアノブを掴む。そして出て行く前に何かを言った。「何て言ったの?」その言葉を言う前におじいちゃんは出て行った。

 第二話
  
 白兎がこれから通う学校は青葉小学校だった。見た目は前に白兎がいた学校と同じようなものだった。
 『1−2』
女の先生に連れられて『1−2』という看板がついているクラスに入った。
「皆さん、おはようございます。今日からこのクラスに新しい友達が増えるよー」
わあっ!いろいろな人の声が聞こえる。かっこいいね。あいつ、ゲーム好きかなあ。白兎はそういう声にうんざりしながら自己紹介をする。
「岡篠白兎です。よろしくお願いします。」
「じゃあ白兎君、原田菜桜ちゃんのとなりの席だよー」
ポツン、と空いている席に着く。教科書は隣の原田に見せてもらった。
「じゃあ、算数の用意しようね〜。」
甘ったるい、先生の声がした。

 一時間目の算数が終わり一人の男子が白兎に近づく。
「…なあ岡篠、友達になろ。」
その男子の名札にはひらがなで『わかばやし としひこ』と書いてあった。
「いいけど。」
白兎は普通に言う。
「じゃ、じゃあさ今日の放課後、俺ん家であそぼ。」
いきなり俊彦は言う。
「うん。」
白兎はうなずく。友達と遊ぶのは久しぶりだった。
「じゃ、帰ってすぐ、青葉小でな。」
こんなに人懐っこい人もいるんだな、白兎は俊彦の後ろ姿を見ながらそう思った。

 四時間目の授業は50m走だった。
「あ〜…白兎くん、かっこいいよねぇ。きっと他のクラスからも見物人くるよ。」
里奈が体操着姿の白兎を見ながら小声で言う。菜桜は冷ややかに里奈を見て言う。
「…そう?外見あれでも運動神経とか頭脳がダメだったら…。」
「はぁ、なーちゃんは希望多すぎ!そんな完璧人間、どこにいるのよ?」
菜桜のニックネームはなーちゃんだった。
「ふんっ」
菜桜はそっぽを向く。今は男子の50m走だった。
 寒いのによくがんばるねぇ。
菜桜は半袖姿の男子を見る。けれど女子は長袖は良しだった。
「あ!岡篠君、長袖じゃん。」
里奈が言う。確かに長袖だった。菜桜は、
「風邪ひかないかぎり長袖はだめって事、言う方がいいかなぁ。」
と里奈に聞く。先生も白兎の事に気づいたようだった。
「岡篠くん、長袖はだめなんだよぉ。」
さっそくの注意。ここで長袖を脱ぐのが一番いい方法だ。
「女子はいいんですか?」
白兎は女子を見ながら言う。
「うん、いいんだよ。これが学校の規則なんだからぁ。」
「…それって男女差別じゃないんですか?」
 ここまで口答えしたらヤバィ。
 先生にこんな事を言うとなにかしら不利になる。菜桜のお父さんも言っていた。
『中学はいるとなぁ、ナイシンショってのがあるんだよ。だから菜桜はきちんと行儀よく、先生の事を聞いてないといけないぞ。』
この言葉を聞いてから菜桜は善人の仮面を被っていた。先生のお気に入り。そんなお遊びに菜桜はもう飽きていた。
 
 先生が白兎の事を鋭く見る。
「どうしても着たいのだったら見学か親に風邪のために長袖を着る事のメモを持ってきなさい。」
白兎は体操着のズボンのポッケトから紙を取り出す。
「親からのです。」
お母さんが白兎に渡した物だった。
「…チッ。分かったわよ。」
先生が舌打ちする。
やっと本性見せたな。甘ったるい、生徒に好まれたいために努力している良いセンセイ。その嘘の仮面を外して今白兎を見ている。
「白兎、50m走やろうぜ。」
俊彦が無理やり白兎を引きずる。
「自分で歩ける。」
俊彦の手をそっとはがす。自分の足で歩きたかった。




2006/08/05(Sat)13:45:21 公開 / 黒崎 凛
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■作者からのメッセージ
 はじめまして。更新遅いですがこれからよろしくお願いします。コメント辛口OKです。
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