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『漆黒の語り部のおはなし・4』 作者:夜天深月 / ショート*2 異世界
全角6115.5文字
容量12231 bytes
原稿用紙約17.7枚
皆様は世の中は地球一つだけだと思っていませんか?
 御機嫌よう。此処では時間の感覚が完全と言っていいほど麻痺してしまいますが、確か其方の世界では御正月かまたは御正月が過ぎてしまっているぐらいですかね? それぐらいの時期だと思いますので取り敢えず、明けましておめでとうございます。ちなみに、お年玉はありませんよ。
 さて、今回来て下さった方々は―――前回とお変わりないようですね。私のお話がもう一度聞きたいと思って頂いて嬉しいですよ。語り部にとってはこれ以上に嬉しいことはありませんので。ちなみに、この次に嬉しいことは私の話を聞いて頂く皆様の喜怒哀楽が浮き彫りになっている顔を見ることですかね。
 おや? そこの貴男。どうなされましたか? 浮かない表情をされていますが。大方私の話を聞いているときに表情を観察されていると思うと良い気分にはならない、そういったところでしょう? 図星ですね? はは、申し訳ありません。人をからかうのが結構好きでしてね。特に貴男のような拗ねた表情を見たときの快感が堪りませんね。
 少しばかり口が過ぎましたかね? 申し訳ありません。
 さて、今回お話しする世の中ですがきっと貴方達が知らない世の中でしょうね。何故なら、今から私が話す世の中は地球でのおはなしではありませんからね。おや? 皆様驚きのようですね。それもそうですね。私が話す世の中は『絶対』に地球での出来事だけ。このように思っている方も少なくないと思います。寧ろ当然のことですね。ですが、私は貴方達と初めて会ったとき言いました。『絶対』はこの世にはない、と。……え? ……まあ、確かに貴女が言うとおり『絶対』はこの世にはない、という言葉は言っていませんでしたけどそれに近いことは言っていましたよ。まあ、細かいことは気になさらずに。
 少し話が脱線しましたね。それで、話を戻しますが今回の世の中は貴方達の世界にあるRPGというゲームそのものと言って良いですね。おやおや、今回はとうとう呆れてしまいましたか? 別に良いですよ。信じる、信じないは其方の自由なのですから。
 なにはともあれ、おはなしを始めますか。
 それではおはなしの始まり、始まりぃ。


第四の世の中『ディーケ』


 ミネイル洞窟。十年ほど前までは仄かに青白く発光する壁が幻想的で訪れる者は多かった。だが今では怪物が巣くう場所で有名だ。絶対に単独で行く馬鹿はいない『はず』。
「あり? 怪物なんていないじゃん」
 ミネイル洞窟内の入り口から五〇〇メートルいった所で響く、戯けた口調の無邪気な声。そんな無邪気な声を発したのは、無邪気で子供のような声とは裏腹に年齢は二十歳の男だ。
 大きな岩や水晶と宝石がゴロゴロしている幅二〇メートル程の洞窟内を再度男は見回す。
「こいつを使うことはなさそうかな……?」
 視界にちらつく金の長髪を掻き上げ、浅紅の瞳で腰に差している二本の剣を見る。その剣は一八〇p近くの男とは不釣り合いな刃渡り四五p程の反りのある剣だった。確かに、男の言うとおりその二本の剣を使うことはなさそうだ―――永遠に。
―――シャアァァァァ!!!
 岩影から威勢良く飛び出したのは細長く全長五メートルはあり白色の蛇に似た怪物、ホワイトポイズン。毒牙にひと噛みされればジ・エンド。この男が、ホワイトポイズンに気付いていた『可能性』は低いのでこの男は二本の剣を使うことは永遠に無さそうだ。
―――ガアァァァァ!!
 断末魔の叫び―――ホワイトポイズンの。
 確かに彼は二本の剣は使わなかった。だが、彼は飛び出してきたホワイトポイズンの胴体を両手で鷲掴みにし思いっきり引き千切った。彼は、汚らしい黒い血をモロに浴びる。
「このヘルハ・メネティ様に喧嘩を売るなんて十年早いよ?」
 顔に付いた血を美味そうにペロリと舐める彼―――ヘルハ・メネティ―――は不気味だ。
「さてと、それじゃぁお宝目指してレッツ・ゴー!」
 ヘルハは鼻歌を歌いながら奥へと進んでいった―――黒い血を纏いながら。



 枝分かれする道が延々と続く―――嘘、本当は五q程しか続かない―――天然迷路のミネイル洞窟。宝石や水晶、鉱産物といった資源ゴロゴロ転がっているその洞窟は怪物が現れる前まではルック帝国の大事な資源場所だった。その迷路のような洞窟を迷わずに、なおかつゴロゴロ転がっている宝石に目もくれず進んでいくのがヘルハ・メネティだ。
 何故迷わないか? そんな疑問は、ヘルハのベルトに挟まれている先月にルック帝国第一図書館で盗まれたミネイル洞窟の地図を見ればその疑問は直ぐに吹っ飛ぶ。
 何故そこら辺にある宝石には興味がないのか? それは―――
―――シャアァァァァ!!!
「だから、うざいんだって」
 先ほどと同じように勢いよく飛び出してきたホワイトポイズンをヘルハは引き千切る。
「嗚呼、雑魚を相手してたら月黒石(げっこくせき)を拝めなさそう……」
 ヘルハが返り血でデトデトになった髪を掻きむしりながら、深い溜息をつく。
 ―――そう、彼がそこら辺にゴロゴロ転がっている宝石に興味がないのはこの洞窟の奥でしか採れない月黒石にしか興味がないからだ。月黒石とは魔力を秘めミネイル洞窟の奥にしかない漆黒の色をした水晶のことだ。豆粒台の大きさでも城一つ買える程高級な物だ。
 ヘルハは、再び溜息を吐く。その溜息はいかにも子供らしい仕草。しかし、そんな仕草は二十歳の体になっているヘルハとは見事にあっていない。
(しかし、妙だなあ……。情報屋の爺さんに聞いた話だと怪物はウジャウジャいるって聞いたのに、今を含めて二匹しかホワイポイズンに会ってない……。不気味だなあ……)
 ヘルハは目を閉じて、溜息をつく。その溜息には不気味だと思う憂鬱な感情も込めたが、主に込めた感情は―――全方向から受ける殺気に対し、鬱陶しく思う感情だった。
 右目をゆっくりとヘルハは開き、その右目で辺りを伺う。三つに別れている道が前方にあり、周りは宝石や水晶、大きな岩がゴロゴロと転がっている。壁は青白く発光している。
 ヘルハはギョロギョロともう一度辺りを伺う―――演技をする。実際のところ、使っていたのは目ではなく自分の身体そのものだった。身体で受ける殺気の濃さで数は大体解る。
 フウゥ、とヘルハは息を吸い目を閉じた。数は五十以上。……逃げるに決まっている!
(右……、右……、左……、右……、真っ直ぐ……、右……。大丈夫、多分これで良い)
 ヘルハは呪文のような言葉を心の中で呟き、確信をした後―――行動を起こした。
 ヘルハが行動を起こした時と共にホワイトポイズン共はヘルハに飛び掛かっていた。
 飛び掛かった結果―――襲撃は見事に失敗した。ヘルハは消えていた。



「ハァ、ハァ、ハァ……」
 息をほぼ一定に吐く主―――ヘルハは壁に寄り掛かる。何やら疲れたようだ。
「全力疾走は……キツイ……」
 そう、実のところ彼は消えたのではなくただ単に走って逃げたのだ。彼の戦闘タイプは体格に似合わずアサシンで、スピードに関してはルック帝国の精鋭でさえ歯が立たない。だが、消えたと錯覚させるほど速い訳ではない。ただ単に、用意しておいた洞窟の壁と同じ色のマントを被って消えたと錯覚させたのだ。こういうところは用意周到である。
 息も整えたヘルハは、現在地を確認するためベルトに挟んである地図を見る。一応脳内で記憶を頼りに道を進んできたが……。ヘルハは地図を一目見て前方を見る。前方には途中で道が分かれていない真っ直ぐ一本道が続いていた。ヘルハは口の両端を持ち上げる。
 ヘルハは一歩一歩の足音を強調させるように歩き始めた。
 タン……タン……タン……タン……タン……タン……タン……タン…………。
 足音の木霊が止む。つまり、ヘルハは立ち止まったということだ。
 ヘルハは、前方に広がる物を見てみる。唖然した。前方に広がるのは、人工的に創られたと思える縦、横、高さがそれぞれ三〇メートル程の立方体の空間。壁は青白く光っているので洞窟の壁と同じ物だろう。誰でもこれを見れば唖然としてしまうだろう。しかし、ヘルハが唖然した理由はこれではない。ヘルハが唖然した理由は―――
「月黒石が……ない……?」
 ヘルハが目を最大限に開く。だが、目の前に広がる空間は何も変わらない―――否、たった今変わった。『其奴』は怖いぐらいに落ち着いて、まるで煙のように地面から―――
「下等な人の仔が何か用か?」
 ―――湧いてきた。『其奴』は人に近い形をしていたが両肩と両肘から棘が生えている。何より全身が真っ白で彩られているところを見れば『其奴』が何なのか解る―――怪物だ。
 こういうところだけは用意周到なヘルハの脳内には、事前に調べた魔物の名前が浮かぶ。
「ホワイトマザー……。ホワイトポイズンの親御様がいらっしゃるとは……」
「ほう、よく調べたな。……ん、貴様に付着してる血は……?」
「ああ、これね。アンタの息子さんの血だよ。……それよりアンタなんで喋れる?」
「簡単だ。此処にある全ての月黒石を喰って知能が発達しただけだ」
 やっぱり。舌打ちと共にヘルハは思う。そして、思考をさらに展開させる。
(どうする? 相手は月黒石ごと喰って魔力を得ている。それにより自我を持つまでの知能がある。逃げたいけど相手は地面をすり抜けて追っかけて来るだろうし……。でも。相手にも一応弱点はある。まあ、頑張りますか)
 分析して僅かな希望ありという結果を出したヘルハは、腰に差してある二本の剣の柄に手を掛け鞘から剣を抜く。そして、姿勢を低くして二本の剣を逆手に持つ。
「戦うか……? 賢いと思ったがどうやら違ったようだな」
「…………」
「……だんまり、か。……まあいい。我が息子を殺した罪を―――」
 ホワイトマザーはそこまで言うと音もなく地面にすり抜けていった。
(しまった!!!)
 ヘルハがそう思い、慌てて後ろに飛び退いたときにはもう遅かった。
「―――償って貰うぞ」
 ホワイトマザーは不気味な微笑をしながら地面から湧いてきた―――ヘルハの目の前に。
 ヘルハは胸を締め付けられるような感覚―――恐怖―――を一瞬覚えたが、右手の剣でホワイトマザーの左腕、左手の剣でホワイトマザーの右腕を斬りつける。
―――シュッ!!
 肉を斬る音。ヘルハの予想に反しホワイトマザーは避けもせずにそれを受け止めた。……痛覚がないのか? 黒い血を浴びたヘルハはぼんやりと呟く。未だに不気味な微笑を浮かべているホワイトマザーと、モロに浴びた血が再び恐怖を覚えさせるのには充分だった。
 ヘルハの身体が逃げろと叫んだ。ヘルハの身体が殺されると呟いた。
(黙れ……。黙れ。黙れ! 黙れ!! 黙れぇ!!!)
 身体を心の叫びで無理矢理黙らせる。身体の声が静まっていくのがヘルハには感じ取れた。解放されていくようでとても心地が良かった。不意にあることに気付く。
(あれ? なんで目の前が真っ暗なんだ?)
 過ちに気付き目を開いた時には胸に右足の蹴り、次に間を空けず腹に左足の蹴りをホワイトマザーからくらった。胸と腹が痛みの源のように痛みが身体中に浸透する。そう、ヘルハは身体の声を黙らせる為に目を閉じてしまうという自殺行為をしてしまったのだ。
「馬鹿か? 戦いの途中で目を閉じるなど、馬鹿にも程があるわ!」
 倒れ込んだヘルハはぼんやりとそれを聞き流し、跪いて胃袋にある全てを吐き出す。喉がまるで熱した鉄を押しつけられたようにヒリヒリする。だが、深呼吸をして立ち上がる。
「まだ立つか? ……仕方ない。それでは敬意を払うか」
 ホワイトマザーは立ち上がるヘルハに幾分か感心をし、敬意を払う構えをとる。右肘の棘をヘルハに向けているその姿から、敬意という物がなんなのかが解る―――殺すことだ。
「串刺しは嫌だね。自分は絶対安らかに逝くって決めてるんでね」
 まだ死なないけどね、とヘルハは付け加え後ずさってホワイトマザーと距離を空ける。だが、その空けた距離もホワイトマザーの地面をすり抜ける能力で無駄になるのだが……。
(勝負は一瞬だ……)
 ヘルハは両手に握りしめる剣をより一層強く握り、全てを見逃さないよう目を見開く。
「安心しろ。貴様の肉はちゃんと息子達に喰わせてやる」
 ホワイトマザーは穏やかな声で言い、再び音もなく地面にすり抜けていった。
 ヘルハはホワイトマザーが地面にすり抜けていったのを見届けると、自分の身の回りを警戒する。ヘルハには、その身の回りを警戒している時が自分だけ時間の感覚が麻痺したのかと思った。窓も時計も無い時間の手掛かりがない部屋に放り込まれた感覚に陥った。
 何秒、いや何分経ったのだろうか? そうヘルハが思い始めたときだった。
(後ろ!!!!)
 後ろに気配を感じた。身体を一気に後ろに向け屈み込んだ。身体を後ろに向けた時には案の定ホワイトマザーの顔と首だけが地面から出ていた。このチャンスを逃すわけがない。ホワイトマザーは驚きに目を見開いているが知ったことではない。身を屈めたその状態で穏やかな声を発しながら、右腕で握っている剣で―――
「安らかに眠るんだよ」
―――ホワイトマザーの首を切り裂いた。ホワイトマザーの首から上がポロッとあっけなく地面に転がる。ヘルハはその瞬間だけがゆっくりと時間が流れていくように感じられた。
「今みたいな首から下は地面に埋もれてい首から上が出ている状態の時に攻撃せよ。その時が無防備な状態だからね。ディーケ、ホワイトマザー」
 ディーケ。意味は眠り等とあるがその言葉のみで使われる場合は、眠れという意味だ。



 その日を境にある噂が流れた。髪は金の長髪で、瞳は浅紅の色をであり、一八〇pぐらいの二十歳の青年についての噂だ。噂の内容はその青年がミネイル洞窟から怪物を倒して生きて帰ったという噂だ。噂の源は解らない。信憑性があるかも解らない。その青年がヘルハ・メネティなのかも解らない。だが、その青年の噂の最後では、
『それでな、首だけになったホワイトマザーにこう言ったんだ。ディーケってね』
と、伝えられているらしい。





 皆様どうでしたか? 今回の世の中は。私が思うには皆様にとってこの世の中は飛躍し過ぎた物だったと思いますね。ですが、私が皆様の立場ならば飛躍しすぎたとは思っても結構楽しめたと思いますよ。なぜなら、貴方達が住んでいる世界と全然違うのですから。自分達の世界と全然違うと結構新鮮味があると思います。まあ、私個人の意見ですからお気になさらずに。
 さて、そろそろお別れの時間です―――あ。そういえば其方の貴女。私に何故私があなた方を此処に来させたか、と質問をなさいましたよね。今回はその質問に答えられませんけどヒントをあげようと思いましてね。一回しか言いませんからよく聞いて下さいよ。
 ヒントは私は皆様を此処に招いて何をしているか、です。ヒントはこれです。後は自分で考えて下さい。質問も一切受け付けませんからね。
 それでは、さようなら。また会いましょう。
2006/01/06(Fri)14:17:39 公開 / 夜天深月
■この作品の著作権は夜天深月さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
こんにちは、夜天 深月です。
今回の作品はお読みになられたとおり異世界モノです。
どうも異世界モノは苦手で結構苦労しました。
世界観の設定が不十分だったと思うのでよろしければ世界観についての感想を頂けると嬉しいです。
感想、アドバイス、批判は随時お待ちしていますので。
それではこれで失礼します。
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