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『なつのてがみ。』 作者:Red Evangelist / リアル・現代 未分類
全角2842文字
容量5684 bytes
原稿用紙約10.25枚
16歳の夏。 おじいちゃんからのおくりものを探す旅。おじいちゃんは鼎に何を残したのか?

-prologue-

平成11年、初夏。 祖父が、他界した。
家に帰ると何時も笑って「お帰り」、と言ってくれた。
祖父は、縁側で日に当たりながら、笑顔で逝ったという。
そのころ私は、学校での授業中だった。

祖父は焼かれ、煙になって消えていく。
祖父は、何を思ったのだろう。
寂しかったんだろうか。
悲しかったんだろうか。
私に、会いたいと思ってくれたのだろうか―――?

祖父の残した、ちいさなてがみ。
私の、三日間の小さな旅が、始まる。


7/21 1stday A.M.
-おもいで ひろって。-

蝉達の声が、少しばかり聴こえる様になった。
一週間。
それが、彼等に与えられた"一生"。
短い一生を謳歌するかのように、謡っている。
「…髪、切ろうかなぁ」
学校は昨日から夏休みに入り、
私―――大羽鼎は、自室の畳の上で無為に時を過ごしていた。
可愛がってくれたおじいちゃんが他界し、隣の和室ががらんとしている。
聴こえていた浪曲のCDも聞えて来ない。
「……ひまー」
そう言ってから、ごろん。と一度転がってゆっくりと立ち上がる。
そのまま歩を進めて襖を開け、縁側に出る。
私の家は、由緒正しい純和風の邸宅だ。
今まで生活に不自由したことはないし、進みたかった高校へも入学できた。
父は私に、おじいちゃんから習っていた金管楽器の事もあってか、
音楽系の高校をしきりに進めてきたのだが、私はそれを突っ撥ねて普通の高校へと来た。
それも、おじいちゃんが父に言ってくれたからだとは思うけれど。
―――一度、部屋にもどってトランペットを持ってこよう。
それで、おじいちゃんの作った歌を奏でよう。


「ありゃ? これ、なんだ?」
おじいちゃんの部屋の書架に並べられていた楽譜ファイルを開くと、
封筒が挟まっていた。
白い封筒に、達筆な文字で『愛する孫、鼎へ。』としたためてある。
開くと、中には手紙。後は手書きの地図が同封されていた。
上質紙に書かれた手紙には、やっぱり達筆な筆文字で、こう書かれていた。

『鼎。おじいちゃんはもう長くないと思う。
 これを書いてるのは五月の二十二日だ。
 行き着けのお医者さんに、覚悟するように、と言われた。
 さて、おじいちゃんは悔いの無いように生きるようにしてきたんだ。
 だから、こんな風に書くことは無いと思ってた。
 でも、鼎に、最期の贈り物をあげたくなって、書いている。
 一緒に入れてある地図の場所に、おじいちゃんの"宝物"を隠してある。
 今もあるかは分からないが、ね。
 夏休みになったら行くといい。 
 一人で行くのもいいし。お友達と一緒に行ってもいい。
 …もしいるのなら、恋人でも良いよ。
 そろそろ筆を置こう。 それじゃあ、鼎。 バイバイ』

最期の文字は、少しゴワついていた。
そこに新しい水が落ちたのを、私は見た。
目尻を拭って、地図を見る。
地図には、『大羽本家』と書かれた家の絵が真ん中に。
あとはいろいろ書いてあって、地図の一点に○印。
「…おくりもの?」


7/21 1stday P.M.
-旅立ちのその為に。-

簡単なお昼ご飯を食べて、出かけることにした。
まずは図書館へ行こう。

この町は、都会という部類に入る。人口1100000人。面積94,113ku。
その中でも、この周辺は中心地となっており、公共施設も豊富だったりする。
市営プール、大病院、図書館、体育館。
この街は一時期、乱立された某軍事国家の基地のおこぼれで、
相当なお金を持っているらしい。
だから、図書館には外国の小説やら歴史書やら。
それこそ正に『全ての本の集合体』といって過言が無い。
借りるのも、身分証明書で作ったカードがあれば10冊まで借りれる。
夏休みになると、勉強という名目で高校の友人教師、果ては校長までもがやってくる。
私は辺りを――― 特に日本文学コーナーを中心に見渡した。
「やっぱり居た…」
フローリング張りの床を踏みながら、日本文学コーナーに立っていた、
長身の少女、というか友人なのだが。 に話しかけた。
「や、由宇。元気してた?」
「鼎か。元気も何も、昨日あったばかりだけどな」
黒髪ポニー、ジーンズ、長身、男口調。
特徴的な風貌をした彼女の名を、草薙由宇という。
小学校のころからの友人で、彼女には相当親しい友人が―――
「あ、鼎ちゃん。こんにちはぁ」
居た。
こちらは、若干薄い色の黒髪を肩口で切り揃え、格好は至って普通なカジュアル系。
彼女の名は朝見夏樹。
同じように小学校からの友人だったりする。
よく三人で勉強したり、遊んだり、街に繰り出したりする。
俗に言う親友、なのだろう。

「しかし、鼎が来るとは珍しいな。どうしたのだ?何か調べ物でも?」
「うーん、ちょっと地図を探して、ね。 手伝ってくれない?」
なにせ、この図書館は半端なく広い。
地図という分類だけでも日本全国のローカルマップが揃っているくらいだ。
一人ではそうそう見つけられまい。
由宇と夏樹は、何もためらうことなく答えた。
「私はいいよ?」
「何を今更。"手伝わん"と言っても手伝わせるのだろう?」
私は、由宇の言葉に不敵に笑って見せた。

  #   #   #
からからと音を立てて、キャスター付きの脚立は滑っていく。
後を追うように、夏樹がぱたぱたと走っていく。
「夏樹ー。 脚立は必要ないと思うけどー?」
「え? そ、そうなの?」
「…うむ。大方二段目か三段目だろう。 それならば脚立も必要あるまいて」
「うぅ…」
夏樹がしょんぼりとしながら脚立を戻し、また同じ棚を見直していくのを見ながら、
同時に地図を探し続ける。図書館に入ってからかれこれ1時間が経過していた。
大羽本家の位置は大体わかっているのだが、
無節操に突っ込まれた地図の中からピンポイントに探し出すのは至難の業だ。
「鼎よ。これでは無いのか?」
そう言って由宇が持ってきたのは、小さなローカルマップ。
礼を言って受け取り、パラパラとページをめくると…
「あった。」
そこには、おじいちゃんの地図と寸分違わぬ地形があった。
「ありがと、由宇。 …夏樹もね?」
再度礼を言うと、由宇は満足そうに一つ頷き、『うむ』と一言。
夏樹は心底嬉しそうに笑顔。 尻尾があったら引きちぎれんばかりに振っているのだろう。
「犬、かな」
「犬、だな」
私と由宇は、同じ考えのようだった。

  #   #   #
カウンターでローカルマップと電車の時刻表を借りてから、
由宇達の元へ戻る。
「鼎、どこかへ行くのか?」
「ん。ちょっと、ね」
ショルダーバッグに借りた本を詰め込んで、肩にかけなおす。
「鼎よ。手伝えるなら手伝うぞ。 どうせ神社も暇だ」
「んー、手伝う、っていうか。 小旅行みたいなもんなんだけど…」
「旅行? いいなぁ。 私も行きたいなぁ」
この空気になってしまえば、回避など不可能だったりする。
夏樹はバイト、由宇に至っては神社での巫女として収入あり。
金銭面に問題がないのならば、断る理由などもない。
16歳の夏。三人の夏。ちいさなぼうけんが始まる。
2005/11/06(Sun)23:53:52 公開 / Red Evangelist
■この作品の著作権はRed Evangelistさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして、このように投稿するのは初めてなものでして
大分緊張しながらこの文章をタイプしています。
普段扱わないような表現を多用してみたり、
色々と冒険してみたり。 
面白ければ是非にご感想を。
つまらなければ是非に叱咤と御指南を。
皆様、このような私の描く
小さな物語にしばしのお付き合いを。
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