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『虹色クレヨン・ぷろじぇくと』 作者:十魏 / リアル・現代 童話
全角7071.5文字
容量14143 bytes
原稿用紙約25.7枚
 私立安穏中学バスケ部面々の、賑やかな日常のお話。



   ピカピカ太陽、そして、溢れる笑い声

   私立安穏学園中学、その名の通りのほほんほわわんとした生徒たちとこの学校

   梅雨の訪れるちょっと前、五月のある穏やかな日

   明るく賑やかに進められた、あるないしょの「ぷろじぇくと」

   ちょろっと覗いてみましょうか――?



「アカリ! その赤色のクレヨン取ってくれない!?」
「あーちょっと待ってー……はい、赤色!」
 
 クルクル、ポン! 赤いクレヨンが宙を舞う。

「おっしゃーさーんきゅ。……あーでも。なぁなぁ、ここさー赤色で良い?」
「えー……うぅんどうだろー? オレンジ色のがいくない?」
「あ、それナイス! そっちでいこう、ヘイオレンジ色パース!」
 
 バチッと指鳴らして叫びます。
 今流行の、あまぁい芸人さんのように素敵な音はならなかったけど。

「んもー……自分で取れっての! 銀河!」
 
 キャアキャア、ギャアギャア叫びながら。
 キラキラ、ピカピカ笑いながら。
 どんどん進んでいく、ビックリ箱の中のような計画。
 オモチャ箱をひっくり返したような計画。
 まるで2人きりじゃないみたいに賑やかなその場所。

 「ぷろじぇくと」の仕掛け人は、賑やか天然双子銀河くんと灯ちゃん。



「……何やってんの、アンタら」
 
 さてさて、その場所に踏み込んだ呆れた声の主は、2年生の孝史くん。
 何だか来てはいけない場所に来てしまった気分。

「あっタカちゃーん、いいトコきたねぇ! 手伝ってくれるよね!?」
「は? 何をっすか銀河センパイ」 
 
 いぶかしむ、孝史少年。
 いつも小柄な銀河センパイ、だけど今日は地面に張り付いていて
 小柄どころか、見るのも一苦労。なんだかもう小動物みたいです。
 まぁ孝史くんもしゃがみこんでいるんで、そこまで遠くは無いんだけどね。

「はい、孝史はミドリ色、そっちの方担当ね!」
「だーかーら! 何やってんだって聞いてる……」
 
 ミドリ色のクレヨンをしっかりキャッチしながら相手に叫ぶ、孝史くん。
 だけど、しっかり者なんだか馬鹿なんだかイマイチ判らない灯センパイは
 今日も今日とて問答無用に話をすすめていくのでした。

「さぁてサギョウゾッコウー! ちゃっちゃとやろーかー!」
 
 灯の、孝史くんの言葉を見事に無視した一声に、おう! と叫ぶ銀河。
 そして2人して孝史くんに向かって、

「タカー気合が足りないよー!?」
「ほら、孝史もぼうっとしていないで!」

 
 哀れ、大守孝史14歳、

「……何やってるのかも判らないのに、どう手伝えって言うんだか……」


 第一の巻き込まれ人となってしまいました。



 カラフルな世界が地面に広がっていくよ、広げていくのは3人の少年少女たち。

「タカ、今日早かったねぇ。どうしたのー?」
「担任居なくてHRなかったし、今週は掃除当番じゃないですから。てゆーか、アンタらのが早いじゃないっすか。他の3年生はまだなんですか?」
 
 ミドリ色でかきかき。2人のセンパイと同様に、孝史くんは作業しながらきいてみます。

「うん、あたしと銀河だけ早かったのね、タブンみんな放課後補習まだ終わってないんじゃないかなぁ?」
「……ちなみに、放課後補習アンタらは早く終わったの?」
「えー、っていうか」

「「ぶっちゃけ、サボっちゃっえーってカンジかなぁ」」


「そうくると思った……」
 
 あきれ返る孝史くん、こんなにあっさりサボっちゃうなんて。
 アンタら一応受験生でしょう! とまぁ思うことは多々あるけれども。
 この人ら絶対馬鹿だと、心の中で暴言を吐きつつも。
 
 だけど彼は逆らえない、この無邪気な子供の計画に逆らえるワケが無いのです。



「あ、銀河! 皆来たみたいだよ!」
「よっしゃぁー燃えてきたぁー!!」
 
 ニコニコ笑ってまたもテンションヒートアップ、
 そんな二人をよそに、ため息をつくのはやはり孝史少年。
 それを見てついさっき巻き込まれたばかりの1年生の凪くん。
 クールで無口な彼は、ほんの少し苦笑い。
 彼も皆より早く来たために、もう作業のお仲間となっているのです。

「孝史さん、仕方ないから諦めな」
「〜〜ナギ、お前の方がよっぽどあの人らより大人っぽいよな……」
 
 青いクレヨンを手にした長身の後輩はこんなに、こんなにしっかり者。
 この子がクレヨンを手にしてる姿なんて、
 冷静で無口な姿しか知らないクラスメイトたちは一体なんて思うだろう。
 灯ちゃんと銀河くんはあまりにクレヨンがお似合いなんだけど。

 ――この部活は、年齢が下がるにつれてどうやらしっかりしていくみたいです。

 苦労人の後輩達はまぁ置いといて、さぁて現れた。
 銀河や灯の同級生。これまたちょっと癖のある、秋生(アキミ)さんと中尾さん。

「うわ、何やねんこれ! なにやっとんテメーら!?」

 全く、そのとおりだ。思わず心の中で同意する後輩2人組、

「孝史、これは一体何事だ」
「……俺に聞かないで下さい」
「いや、アイツラに聞いたかてロクな答えが返ってこんやろーがオイ」

 秋生さんの質問に、正直な心境を述べた孝史くん。
 そしてそれに答えた中尾さん、指差したのは勿論、灯と銀河の方向。
 格式ある旧家の息子、割と古典的で硬い言葉をお話なさる秋生さんと。
 アメリカ帰りの外人風ヤンキー(自称)、なのになぜか関西弁の中尾さん。

 ……何故この2人は仲良しなんだろう。
 てゆうか、そもそも何故、バスケ部なんだろう(特に秋生さん)。
 孝史くんはいつもどおり、その疑問を抱きます。
 と、いつのまにか灯が近くまで寄ってきていたのだから皆さん派手に驚いた。

「なぁにナイショ話してんの、ほら孝史も凪くんも作業に戻って戻って!」
「アカリー! クレヨン足りないから新しい箱開けるぞー!?」
「うん! ほら、皆も手伝って!」

 ワケも判らないまま、流されていく。
 中尾さんにも秋生さんにも、ムリなんだ。
 銀河と灯のペースは誰にだって乱せないんだ。

「とりあえず、黙って手伝ってあげてください」
 
 苦笑しつつ、孝史くんはそう言います。

「……孝史の言に従うが無難なようだ、中尾」
「へーへー、しっかしユウキが来たらまた呆れるやろぉなァきっと」

 秋生さんや中尾さん初め他のメンバーたちも、苦笑いしつつブツクサ言いつつ
 だけどクレヨンを手にすると、皆なんだかヤル気になるのは何故だろう?

 こたえは至極単純、だって皆ワクワクするのは大好きだから。
 すこーし大人になりかけの、でもまだまだ子どもの中学生たちは、
 ちょっと代わった事、刺激、そんなのを求めていたりするんだよ。


 私立安穏学園中学部バスケ部の面々を巻き込んで、
 「ぷろじぇくと」はどんどん進んでいく。

 虹色の世界、それは一体最後に何を作り出すの?


「あと、三十分ぐらいカモ」
 
 時計を見上げて、そっと片割れの妹に耳打ちする銀河。

「オッケーがんばろっ!」


 ゲーム終了まであと僅か、2人の思い描いた世界は完成するのだろうか……?


 ゆっくりと、お日さまが赤色を帯びてきました。




「あーくっそ……今日に限ってなんでこんなに長引くんだ!」

 ところ変わって、ここは校舎内の生徒会室内部、生徒会議室。
 放課後の時間、生徒会長率いる執行部と委員会の委員長と各クラス室長、そして各部の部長。
 みんな揃って、放課後の遅くまでなにやらお話し合いの時間。
 月一回の生徒議会が終わったようです。
 
 その部屋のすぐ近く。3年生の教室からは文句の声。

「俺みたいなの1人や2人居なくても、何ら変わらないだろうにさ」
「まぁそう言うなってー結城」

 ブツクサ愚痴をこぼしながら、予定黒板の内容を小さなメモ帳に手早く写す1人の少年。
 ――1音楽2数学3技術4英語5社会6総合

 数学の問題は、明日授業始まってからやればいっか、当てられてねぇしな。
 社会は今日もあったし置き勉してけば良いとしてー、
 英語は持って帰るか。今日カテキョあるしなぁ。
 あ……明日の6限理科から総合に変更かよ。ヤベェ、レポート出来てねぇジャン俺……

 色々考えながら鞄に荷物を詰め込んでいきます。
 それはそれは本当に良い手際。
 数名のクラスメイトがおしゃべりするなか、1人だけサカサカと。

「うわ結城、準備早ぇ! なに、そんなに急いで、今から部活?」
「おう! じゃぁまた明日な」
「あぁ、頑張れよー」

 教室を飛び出す、それはまるで風の如し。
 それを見て、友人の1人が苦笑い。

「すっげぇスピード。結城って、ホーント頑張るよなぁー流石キャプテンってカンジ」
「大変だけどな、バスケ部は。あの2人が居るんだぜ?」

 教室にいる人たちは、皆笑う。
 あの2人、それだけで充分伝わるいろんな意味での有名っ子。

「あはは、名物2人組ね、天然物級のお子ちゃまたち」
「次の大会で最後だもんね。結城くん頑張るのも当たり前だよぉ」
「なーんかさ、変わった個性的なのばっかなのになーぜか強いしなぁ、バスケ部って」
「結城の統率力と面倒見の良さが成す技だろうな」

 ブツクサ言いながらも、議会に真面目に出席して。
 議会が停滞しそうになると、すかさず良い意見を出す結城くん。
 そんな姿を思い浮かべ、皆はうんうんと納得。
 赤く染まる教室で、誰かが小さく呟いた。

「……結城って本当に大好きだもんね。部活」

 小さく同意する友人たち。優しい笑顔で誰かが言うよ。

「大会勝てるといいよな」
 

 みーんな、同じ気持ちで頷いた。
 教室の少年少女の優しい会話も、彼にはもう届いていない。
 バスケ部キャプテン結城 惣一郎。
 友人に別れを告げた彼はひたすら走るのでした、

 大好きな部活に、大好きなコートに、大好きな仲間たちのもとに。




   赤いお日さま、いつものボールの音が全くしない

   呆然とコートを眺める1人の少年、バスケ部キャプテン結城 惣一郎

   ――「ぷろじぇくと」は一体どうなったのでしょう?



 バスケ部の練習場、校庭横に作られた専門のバスケットコート、
 誰も居ない、バスケットコートは緋色に染まってゆくのです。

「何だよこれは……」

 呟くと同時に、後ろからポンッと肩を叩かれた。

「ユウキ、やぁっと来おったー」
「オイ、中尾! なんだよこれ。もう練習切り上げたのか? まだちょっと早……」
「そう取り乱すでない。結城、今日は何の日かわかっておるか?」

 そうこう言いながら、中尾さんと秋生さんは結城キャプテンを引き摺ります。
 引き摺られて、声を荒げる彼。

「はぁ!? ちょっどこ連れてくんだよ? 何の日って……」

 コートの裏側で、そんな彼が見たもの、それは。


 地面いっぱいに広がった自分の似顔絵と、七色の「HAPPY BIRTHDAY」



 バスケ部の皆が囲む中、地面に座り込んだ灯。最後の仕上げに取り掛かる。
 横にしゃがみこんでいた銀河が顔を上げ、
 中尾さんと秋生さんに引きずられている結城を見つけて声を上げる。

「うげっ! なに、もう来ちゃったのー!?」
「来ちゃ悪いかよ……」
「うそー!? マジ? まだ完成してないってー!!」

 銀河が叫ぶと灯も叫ぶ。
 バスケ部名物、天然双子のこのコンビネーション。

「大っ体、灯と銀河が悪いんやろォが! なんっで名前やのぅて"COURANGE"って書くねん!」
「……カッコよく英語にしようと思って」
「然れども、名前まで英語に変換する必要はないと思うのだが」
「秋生くんヒデェ! 折角アカリと2人で電子辞書取り出してまで調べたのにー!」

 ざめざめ、と泣く真似する銀河。
 灯もついでに一緒にざめざめ、ここまで来ると何かのコントのようですよ。

「……良いからさっさと書いちゃってください」
「大体、辞書見た割に綴り違うし。正しくは"courage"で、しかも意味は"勇気"……当て字じゃねぇか」

 同級生に突っ込まれ、凪くん孝史くんに急かされた上にトドメを刺され。
 だけど全く堪えずに、皆のいけずーとか言いながらケロッと泣く真似を止めちゃう2人。
 結城キャプテンが1人呆気に取られる中で、灯が最後の文字Iを書きました。


 HAPPY BIRTHDAYのあとにDEAR YU-KIと。


「「たんじょーびおめでとー! ユーキちゃん!」」

 銀河と灯、クレヨンで汚れた手で顔をこすったら、ほら顔もちょっとだけ虹色だ。
 赤い陽に染まった笑顔の2人は、

 大好きな結城くんに、おめでとうの言葉を贈りました。


 2人に続いて、仲間達も次々と。
 10人前後の言葉が、コートの方にまで響き渡って、

 いつも頑張り屋のキャプテンに祝福のコトバを贈るよ。

「ゴメンねーユーキ。お金無くってさ……プレゼント買えなかったの」
「だから灯と二人で”巨大似顔絵作っちゃおうぜぷろじぇくと”開始したんだけどー、何か皆も巻き込んじゃった♪」

 申し訳なさそうな灯の言葉、でもきっと申し訳なくなんか思ってないんだろうけど。
 銀河の悪びれない言葉、周りからはオイ! と鋭い突っ込み。
 何かもなにも、問答無用で巻き込まれた部員たちの努力を無碍にしちゃいけません。

 2人のペースに見事に巻き込まれたバスケ部のメンバー、
 突っ込みながら銀河や灯をもみくちゃにして、それでもみんな、笑顔だった。

 これは灯と銀河の才能だ。
 2人は周りの人々を協力させる何かを持っているんだ。

 無邪気な子供からの、あまりに無邪気なプレゼント。
 それはちょっと、ううん大分気恥ずかしいけれど

「……さんきゅ」

 ホントはとっても嬉しいんだよね、すっごくすっごく嬉しいんだよね。

「あ、結城さんがガラにもなく照れてる」
「ガラにもなくは余計だ! タカ。第一照れてなんかねぇよ、夕陽だ夕陽!」

 恥ずかしそうに叫ぶそんな彼と、笑い声溢れる、この空間。



 虹色のHAPPY BIRTHDAY 
 大好きな皆からの心のこもった 


 イチバンのHAPPY BIRTHDAY



―その後―


「しっかし、すげぇ量のクレヨン使ったなぁ……まさか学校の備品か?」

 面倒見良い結城くん、そういうところにも気の回る子なんです。

「あ、心配しなくて平気ダヨ結城ちゃん! ちゃぁんと自分達で買ったからね。高かったんだよー! クレヨンて意外に値が張るよねぇ」
「よっく言うよ! アカリは俺より金出してないでしょーが!」
「たかが300円の差でしょー」
「たかが300円!? 300円あったらジャンプ買えるじゃねぇかよー!」

夕闇の中、とりあえず全く練習なしはよくないので。
シュート練習しながら彼らの会話は。
いつのまにか来週のジャンプはどっちが買うかという兄妹ケンカに発展しちゃいました。

「……つーか、クレヨン買うお金はあるんだな」
「まぁ、楽しい事大好き人間ですからね」

 パス練しながら孝史くんと凪くんの容赦ない一言、さすがよく判っていらっしゃる。

「……まぁ良いけどな、何でも」

 呆れつつ苦笑しつつ、結城は呟く。
 今更、彼らの支離滅裂な行動に突っ込む気もありません。
 突っ込み続けたら、自分が疲れてしまうから。


「時に、結城」

 ふと、振り向くと。話し掛けてきたのは秋生さんと中尾さん。

「あ? 何だ? 秋生、中尾」
「実はオレらもさぁ、一応誕生日プレゼント用意してあんねんな」
「え? マジ?」

 ちょっと嬉しそうに顔をほころばす結城キャプテン。しかし。

「んー……やけどさぁ、さっきのプレゼント作りを手伝ったから、もうオレらも既にプレゼントあげたっつーコトやし、あげんくてもいいわけやな?」
「……は?」

 固まる結城、それを無視して続ける2人。

「うむ、では俺はこの……手首帯を頂く」
「最近、秋生ってば手首痛めやすい言ぅてたモンなぁ、しかし日本語変換に悩んで、んな苦し紛れの言葉言うなら素直にリストバンドて言えよ」
「む、俺はあまり外来語は好まないんだ」
「……とか言いつつ、オレ抜かして英語で学年1位取んなよなー。これでもオレ帰国子女なんやで?」

 世の中なーんかまちごぅとるわ、と文句を言いつつ。
 広げた小さな袋から、ちょっとお洒落なリストバンド。
 それを見つつ繰り広げられる2人の会話に、結城くんはハッとします。

「いやあの……お前らさ、ちょっと待って……」
「んじゃーまぁオレはタオル貰うな? 秋生」
「ああ、商談成立だ」
「さぁて練習戻ろォか……ん? どないしたん、結城?」
「……もぅ良いよ、何でも……」
「もっと明るくしていろ、結城。折角の誕生日であろう」
「そーそ、超ォハッピイなプレゼントもろたんやしな♪」
「〜〜〜あぁ、判ってる、よッ!」

 何だか無性に悲しくなって、半ばヤケクソに叫んだ彼は
 反対側のゴールに向けてボールを放りました。
 
 何故か見事に入ってしまったボール。
 おぉ〜と一斉に拍手する銀河と灯、
 複雑そうに突っ立っているのは勿論今日の主役の彼、
 そんな彼を見て笑いを噛み締めるのは秋生さんと中尾さん、


「流石、秋生さんと中尾さんですね孝史さん。良い性格してる」

 そう淡々と述べるのは、凪くん。
 実は秋生さんと中尾さんの行動の発案者は、この人事のように言う後輩だったりするわけで。

「……ホンット面白い部活だよなぁ」

 大きなため息をつきつつ、孝史くんは呟きました。



 私立安穏学園中学バスケ部、今日も仲良しこよしです。


2005/10/22(Sat)17:34:10 公開 / 十魏
■この作品の著作権は十魏さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 昔書いた話を、最近読み直して色々と書き直してみた作品です。物語というか童話的なイメージで書いてみたので、正規表現無視したスペースとかが多すぎてかえって読みにくいかもしれませんね。でもとにかく賑やかな楽しい中学生たち、を描いてみました。少しでも楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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