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『五つの社 一、二章』 作者:烈沙 / 異世界 ファンタジー
全角21671文字
容量43342 bytes
原稿用紙約64.05枚
髪の色が周りと違う少年が描き出すアクションファンタジー。一つの物語に異世界は5つ……。
 序章

 七月二十二日。
 その日は関東にある公立高校のほとんどが、終業式とともに夏休みを迎える日だ。
 普段、学校へ向かうほとんどの生徒が重い足取りであるが、今日という日は足並みが軽やかである。それもそのはず。今日のこの退屈極まりない行事を耐え抜くことが出来れば、後は待望の夏休み。海へ行くことも、プールへ行くことも、花火をしようとも、女性をナンパしようとも自由なのだから。むしろ、一年の行事のほとんどを夏休みに済ませてしまう人も多いのではないだろうか。夏休みは本州に住まう学生にとって、最高の一ヶ月となるのである。
 そんな、学生達が夏休みどんな楽しいことをしてやろうかとアホ面を浮かべながら登校する中、ひときわ目立つ存在がいた。
 千葉県立青海坂(おうみざか)高校一年“錦織 春隆(にしきおりはるたか)だ。
 何が目立つと言っても、制服を特に乱している様子はなく(Yシャツは出ているが)、ピアスや指輪をしている様子もない。ならば刺青かと思っても首、肩、腕。どこにも見当たらない。ならばなぜ目立つ。それは、髪の毛だ。そう、彼の髪の色は緑色なのだ。
 一言に緑と言ってもたくさんの種類がある。彼の髪の色具合は、まず、基本的に深緑だ。だが、髪の毛を頭皮が見えるほどにかき分ければ、黄緑色になっている。もみあげと、後頭部付近はいわゆる緑色である。この時点で、ただの緑髪よりも目立つことは請け合いである。ここまで鮮やかに彩られていれば誰だって故意にやったとしか考えられない。だが、生活面ではきわめて真面目な彼は当然地毛である。
 そして、彼が目立つ極めつけは瞳の色だ。鮮やかな緑色の髪の毛に、あろう事かスカイブルーの瞳。これではどっからどうみてもビジュアル系バンドの一員である。
 彼はこの髪と瞳の色が災いして、売られなくていい喧嘩を売られに売られまくっている。決して虐められているわけでもないが、逆に好かれてもいない。女子の黄色い声が聞こえたと思えば今度は男子から赤黒い罵声が飛んでくる。ビジュアル系の髪瞳に、さらにはアイドル張りの容姿と来たら、女子に騒がれないはずがない。が、物事に無関心な春隆はもてていることなどまるで気付いていない。なぜ罵声が飛んでくるのかと、常々不思議に思っているのである。
 そんな彼にも、夏休みには計画があった。
 つい先日、長野に住む祖母から連絡があったのである。その内容は、“夏休みの間こっちで軽いアルバイトをしないか”というものだった。高校に入ったばかりで、そうそうバイトが出来ない春隆にとっては願ってもいないことであった。祖母からの連絡にはその場で二つ返事でOKを出した。別に、こっちにいても何もすることがないし、休み中ごろごろして過ごすのが関の山だろうからちょうど良い。春隆は終業式の直後に向かおうと決めた。
 ――が、その前に難所がある。当然のことながら終業式だ。こんなもの退屈なことこの上ない。別に生徒自身が何をするわけでもない、ただの休み前の節目だから、と言うだけで行われるのだ。その証拠に、二期生の高校では終業式など行われない(ごく一部を除く)。終業式など、校長が夏休みにだらけすぎないように忠告をするだけだし、その言葉も恐らくほとんどの生徒が聞いていないことだろう。それでなくとも、夏休みのことで頭がいっぱいなのだから。
 数十分後。ようやく数十分が数時間に感じられた校長の話が終わり、司会の先生の号令で多くの生徒がハッと顔を上げ、そこでようやく式が終わった。当然、春隆もその中の一員である。
 式が終わり、春隆はいつもより一層騒がしい帰宅集団を抜け、帰路についた。
 ところが、学校を出、家までの距離およそ3kmを半分に差し掛かったときだった。ふいに、春隆の視界が360度回転したのである。
「あ〜。すげぇめまい」
 左手を左膝に付き、右手で顔の右半分を覆い、春隆は歩みを止めた。普通、視界が360度も回転すれば倒れるはずだが、運動神経が人並みはずれている春隆は何とか持ちこたえた。きっと疲れているのだろうと、自分に言い聞かせ――というか決めつけ、とっとと自宅に帰ろうとしたそのときだった。
 前屈みになった状態から立ち直り、ふと視界を前にやると、二人の男が立っていた。片方は身長が160cm程の小柄で春隆よりも20cmは小さい。背中には×字を作るように刀らしき物が二本背負われている。
 もう片方の男は慎重190cmほどで、相当大柄な男だ。双方の身長差、合わせて30cm。なんとも不釣り合いなペアである。
 二人は明らかに春隆の進路を塞ぐかのように立っていた。
「……俺何かしたか?」
 春隆にこんな奴らから恨みを買った覚えはない。と言うより、片方は明らかに銃刀法違反に引っかかっている。こんな奴と関係を持つはずがない。
「……何か用か?」
 不審の目をあからさまに二人にぶつけ、質問を問う。が、そんな春隆の問いかけなどまるでなかったかのように男は会話をし始めた。
「おいぃ。こいつで良いんだよなぁ? この前みたいなぁ、ハズレぁもうご免だぜぇ?」
 少々間延びした声を放ったのは小柄な男の方である。それに対し、大柄な男は顔だけを大きくうなずき小柄な男の質問に答えた。そのうなずきに気をよくした小柄な男は顔をランランと輝かせ、その瞳を春隆に向けた。それに対し、春隆はがんと、正面から受け止めた。
 ………………。
 しばらくの間双方は見つめ合ったまま動かない。春隆はめまいの間食から完全に抜け出し、何が来ても対処出来るように心構えを万全に取った。
「ッハァ!」
 何の前触れもなく、小柄な男が春隆に突っ込んできた。もちろん、背中のある物を片方引き抜いて。
「くっ!」
 それに対し、春隆は身を後ろにのけぞらせ、かわす。柔らかいもので、春隆の頭は地面すれすれまでに下がっていた。その反動を使い、両足を思いっきり蹴り上げ、ちょうどバク転の形を取るようなった。
 右手で刀を突き出した状態で下から蹴り上げをかわすのは至難の業である。小柄な男は蹴り上げられた春隆の両足に、両足で乗り、こちらもバク転の形を取り受け流した。
 小柄な男はさらに数回バク転を繰り返し、大柄な男のところまで戻っていった。
「おいぃ! こいつ少しぁ、やるようだぜぇ!楽しめそうだぁ!」
 小柄な男はうれしそうに大柄な男に話しかけた。
「…………時間だ」
 大柄な男は一言だけそうつぶやくと、すっと身を翻した。
「なぁ! おいぃ! ……ちぃ。つまんねぇなぁ」
 ぶつくさ文句を言いながらも、刀を渋々と背中のさやに収め、小柄な男は大柄な男に付いていった。
 バク転後から戦闘態勢をとり続けていた春隆はぽつんと取り残された。しばらくの間現状把握に戸惑い、把握しきった後一言だけもらした。
「なんだったんだ?」




 オレンジ色の車体に緑色の屋根。走るスピードは80km前後という鈍行ローカル線の中で、春隆は揺られていた。あの後、気味の悪くなった春隆は早々に寝ることを決め夜の、いや夏ならば夕方と考えてもいい7時というかなり早い時間で寝入ったのだ。おかげで朝早くに目が覚め、5時前半代の始発電車に乗り込むことが出来たのである。8時半頃には長野県内に入り、朝早くに出過ぎたため朝飯を食べていないことに気が付いた。何処かで食べようと心で決め、ただひたすらに目的の駅へ着くことを待っていた。
 祖父の家は頭に‘ど’がいくつ付いてもおかしくない程の田舎に住んでおり、その生活はさながら昭和初期である。
 AM9時ようやっと目的の駅へたどり着いた春隆はここでようやっと辛い現実を思い出す。
「……しまった。ここから婆さんの家まで店はおろか家が一軒もないんだった」
 そう。ここはど田舎。駅から村に着くまで建物が何一つ無いのだ。あるとすれば道をマモル道祖神位なものである。ここでうなだれていても何も始まらないのでとりあえず歩くことにした。
「しかしまぁ、こんなとこでアルバイトなんてたかがしてれるんだろう。涼しい山の気候でも楽しむ以外無いだろうな。正に避暑ってやつだ」
 数十分歩き村まで五分の一は来ただろうかここにきて空腹が限界を超えようとしていた。空きっ腹を通り越し、今度はだんだんと気持ちが悪くなってきた。そんなとき、春隆の視界に赤い鳥居が目に入った。
「……こんなとこに神社なんてあったか?」
 そう思いつつもお供え物があると信じ、神社の階段を一打一段上って行く。その階段一段一段が空腹に刺激を与え、さらに吐き気を促してくる。
「これで何もなかったら最悪だな」
 独り言も絶え絶えに、やっとの思いで神社にたどり着いた。
 春隆の視界に入って来る物はただの、そこら辺にある神社と何ら代わりがなかった。ただ、違うのは一つ。明らかにさっきいた道よりも涼しい。いや、と言うよりこれは、少し肌寒い。神社など、気に囲まれた中にはいると涼しくなる物だが、これは涼しすぎる。社の前にある狛犬の胴体部分に赤い色で五芒星が描かれていて、社の障子にも左右対称になるように五芒星が、これまた赤い色で描かれている。
 信仰心のまるでない春隆には何が祭られているかまるで分からないが、ただ一つ分かることがある。それは――
「とりあえずここにはお供え物すらないな」
 さっき思ったことがあたってしまったのだ。まさに最悪。観念し、こうなったらはいつくばってでも村まで行き着いてやると春隆は再度決心した。
 そして、ここを出ようと振り向いた。すると春隆の視界に不可解な物が目に入った。穴、と言うにはおかしく、神社から見える景色にしてはあり得なさすぎる。これは亀裂、と言った方が正しそうだ。先程くぐった鳥居の下に亀裂らしき物が入っているのである。
「全く、昨日と言い変な物ばかりを目にするな」
 と言いつつも少し鳥居に近づき、鳥近くで亀裂を見てみる。亀裂の先は何も見えず、ただ黒が広がっている。恐らく何かを入れれば何かが起きるのは間違いないだろう。とりあえず春隆はそこら辺に落ちていた小石を入れてみる。
「……」
 何も起きない。その後、木の枝を入れようとも木の葉を入れようとも何も起きない。このまま放っておいて鳥居を迂回しても良かったのだが、そうはいかなかった。それには理由がある。それは、さっきから、鳥居に近づいたときから、亀裂の中から声が聞こえるのだ。上手くは聞き取れないが確かに人の声だった。
「…………まだ聞こえる」
 もう一度耳を澄ませると確かに聞こえる。今度はさっきよりよりはっきりとしていた。
「……ケ…。…ね…い」
 ……。繰り返し声が聞こえ、そのつどはっきりとしていく声に、春隆は静かに耳を傾けた。

「タ…ケ…。お…がい」

「タスケ…。おね…い」

「タスケテ。おねがい」 

 最後にはっきりと声が聞き取れた瞬間。春隆の視界は真っ白になった。何も、見えなくなった。




 一章 

  1

 春隆が目を覚ましたのは数時間後と思われる。思われる、と予想的なのは春隆の意識は完全に飛んでいるため陽がもう暮れかけて、夕暮れになりかかっている、と言うことでしか時間を把握出来ないためだ。ならば携帯を見ればいいだけの話なのだが生憎と電源が切れている。ど田舎のここは圏外な為、電池の消耗が激しいのだ。
 春隆はうつ伏せの状態で目を覚ました。そして、最初に感じることは――
「重い」
 春隆は背中に異様な重みを感じる。記憶では背中に小さいリュックをしょっていたが、これと言って重いものは一切入ってない。まず、どんなものを入れてもこの重みは明らかにリュックの大きさから言ってあり得ない。
 重みを感じるのは肩甲骨から腰に掛けて感じる。春隆も非力ではないので――と言うより小さい原チャリを片手で持ち上げる怪力を誇る。そんな力を持つ春隆が重みで動けなくなることなどほとんどと言っていいほど無い。腕立て伏せの要領で軽々と体を起こすと重みは転がるように腰から足へと移動した。
 その重みから完全に抜け出し、重みの正体を確認する。そこで、春隆は絶句した。
「……女……だと?」
 意識不明の春隆に感じられた重みの正体は春隆と同年代と思われる少女だった。少女が一人、春隆の上に乗っかっていたのだ。金髪のツインテールで、結び目は見たことのない物で結ばれている。服装などこの世にはなさそうな服装で、明らかに普通ではない。容姿は“綺麗”と言うよりも“かわいい”が的確で、学校に通っていればモテモテは確実な容姿だった。
「……どうするべきか」
 この時点での春隆の選択肢は3つだ。
 @放っておくのは心配なので村まで背負っていく。 これは即座に否定。腹が空いて限界の春隆に少女とはいえ人一人をどうやって運べよう。
 Aこんな少女とは関係ないので放っておく。 このまま死なれても後味が悪いのでこれも否定。
 B目覚めるのを待ち、一緒に村へ向かう。  
「……これが一番無難か」
 そうと決まれば行動のみだ。……まぁ、起きるのを待つだけなのだが。
 ふと、ここで春隆に一つの不安がよぎった。このまま目覚めなかったら? 確かに、このままでは少女が目覚めるのが先か春隆が空腹で死ぬのが先か。ただでさえ今すぐに村へ歩き出して到達出来るか怪しいのに、これ以上待てば確実に不可能になるだろう。よって、Bの考えを少し変更した。
「起こして一緒に村へ向かうとするか」
 そこで、春隆は少女の両肩を掴み揺すってみる。何か声を掛けようとも思ったが、いかんせん名前を知らない。おい、と声を掛けながら起こす努力をしてみた。途中少々顔に見とれてしまうことがあったが、まぁとにかく少女は無事?目を覚ました。
「っん〜」
 うなり声とともに少女は目を覚ます。が、目を覚ましたタイミングが悪かった。目を覚ましたのはちょうど揺すっている最中に肩を引き寄せたときで、春隆と少女の顔の距離はpにして一桁だ。
「…………」
「…………」
 両者、沈黙する。少女は春隆の顔が目の前にあるというのを把握するのに数秒を要した。
「こンのぉっ変態!!!」
 少女は容姿とは裏腹な声の大きさとともに、右手で春隆に殴りかかった。春隆はこれを易々と顔をのけぞらしかわす。
 ――やれやれ。今日は厄日か?
「助けてやったのにずいぶんな挨拶だな?」
 自分の顔の前にある少女の右腕を左手で掴み、話しかける。
「な、なによぉ。助けてやったって――フェイルは!? フェイルはどこなの?」
 突然何かを思い出したように少女は声を荒げた。その表情からはよほど緊迫した状態のようだ。
「悪いが、そのフェイルとか言う奴は知らんな。お前が俺の上に乗っかっていたんだ。お前のことも、俺はまるで知らない」
「し、知らないですって? フェイルはあんな奴だけどクアール大陸一の武導士(ぶどうし)じゃない!」
 今の一言に知らない単語が二つも出てきた。
 ――クアール? 武道士? んだそりゃ?
「知らない物は知らない。クアールだろうが武道士だろうが知らない。ここは長野県だ。大体、なんでお前が俺の上に乗っていたのかが知りたい」
「ナガノケン? なによそれ!それこそ知らないわよ! 私はただ……その……ラギサ様の部屋に忍び込んで……鏡を使おうと……」
 最後の方はなんだか訳の分からない言葉になり聞き取ることが出来なかったが、そんなことは今の春隆にはどうでも良いことだった。今はただ、空腹を満たしたい。それだけだ。
 春隆はふぅっと軽くため息をつくと、傍らに置いておいたリュックを掴み立ち上がった。そのままクルリと身を翻し鳥居下の階段を下って行く。
「ちょ、ちょっと。どこ行くのよ!」
「…………」
 少女の言葉などまるで無視を決め込むと、村へと歩みを進める。腹の足しにもならない少女との会話を続けていても意味がないと思ったからだ。これが満腹、いや、少しでも腹のふくれている春隆ならば話を続けていたのだろうが、春隆にとうとう空腹の限界が訪れたのだ。
 ――飯、飯、飯、飯。
 春隆の頭の中は今はそれでいっぱいだった。
 階段を中程まで下りると、上から少女が付いてきた。
「あの……」 
 おずおずと少女が話しかけてきた。だが、それでも春隆は無視する。
「ねぇ……ねぇってば」
 少女も簡単に引き下がらずに食らいついてくる。
「なぜ付いてくる?」
 いつまでも声を掛けられてもうざったいと感じ、淡々と心を込めずに言い放つ。と言うか込めることなど出来ない。今はしゃべることさえも億劫に感じられるからだ。
「なんでって……意識失って、目を覚ましてみれば見たこともない景色で、何をしたらいいか分からないんだもん。だから、とりあえずあなたに付いていこうかなって」 
「……俺は意識を失う前に亀裂を見た。何か心当たりは?」
 もしかしたら関係があるのかも、と春隆は聞いてみることにした。が、期待ははずれたようだ。
「き、亀裂? ご、ごめん、わかんないや」
「そうか」
 それきり春隆はまた無視し始めた。もう本当に限界だ。話すエネルギーがあるのなら今は足へと向けたい。この思考さえももったいなく感じるほどである。
 ふと、
「ん? まてよ?」
「え? 何?」
 不意にあげられた春隆の声に少女は少々驚いたようだ。あわてつつも質問に答えられるよう心の準備をする。人見知りはしない方だが、見知らぬ土地ではやはり緊張する。
「お前、何か食べモン持ってないか?」
「え? 食べ物? あ、あるにはあるけど」
 あまりに予想していた質問とかけ離れていたために少し戸惑いながらも、何とか答えることが出来た。
「ほう。聞いてみるモンだ。悪いが、少しくれないか? 空腹で倒れそうなんだが」
「あ、それで無口だったの?」
 そう口にしながらも少女は人の胴体ほどもある荷物入れらしき物を取り出し、中を探り始めた。ようやっと普通の会話らしくなってきたことが少しうれしいのか、その表情は先程よりは明るくなっている。
 ――今どっからだした? 
 あんな大きな物を背負っていたのならいくら何でも気付くだろう。いや、“取り出した”と言う表現そのものがおかしいのかも知れない。だが、春隆から見ればやはり“取り出した”に見える。少女がいきなり現れたことと良い、この人物に対しての謎は深まるばかりだ。
 ――本人は知らないらしいが、亀裂と本当に無関係なのだろうか? それにあの声は一体……。


  2

「はいコレ」
 そう言って差し出されたのは板チョ……コ? 
「……コレは一体?」
 春隆がとまどうのは無理もない。その板チョコ、七色なのである。
 せっかく何かを食べるのだから何か安定した場所が強いと思った春隆は“どこか良い場所は”と思って探すのを止めた。田舎なので道もクソもない。そこら辺に座っていても何ら差し支えはないのだ。そこで、先程の神社の階段下に座って食べることにした。
 先程不可思議に取り出した袋からいそいそと何かを取り出し、春隆に食べるものを渡した。そうして差し出されたのがこの七色板チョコである。
 外見からまるで味が想像出来ない。一体どんな味がするのだろうか……。
「ナニって……キミがお望みの食料だけど?」
 ――それは分かるがこれは……。
 見るからに味が悪そうなそれは春隆の食欲をわずかながら失わせた。だが、背に腹は代えられない。人間極限状態に陥れば木の根さえも食すのだ。春隆も腹を据え一口、かじりつく。
「……味わったことのない味だ。だが……これはなかなか」
 これは意外も意外。悪い味ではなかった。だが、これは表現の仕様のない味だ。強いて言えば、シナモンとビーンズを混ぜたような味か。春隆は残りを一口でほおばる。
「当たり前だよ。私たちはこれを普通に食べてるんだもん。見たこと無いの? パルミッシュって言うお菓子だよ?」
「……普通見たこと無いだろうな。味も初めての味だ。そうだ、アンタの名前、聞いてなかったな――」
 わずかながら空腹が満たされて余裕が出来たのか。春隆が来た道の方から二つの足音が聞こえた。
 ――こんな田舎に人? 俺のような奴以外滅多に通らないはずだ。しかもこんな時間に……。
「え、ちょっ」
 人間としての本能が春隆に忠告を出した。“ここは身を隠しておけ” 原っぱにうつ伏せになり、少女の頭を抑え強引に伏せさせる。
「少し黙れ」
 その一言で少女は緊迫した空気を読み取ったのか。春隆が手を放した後も静かに身を潜めていた。
 足音は着々と近づいてくる。そして腰ほどの高さのある草の茂みの向こうに二組の足を確認することが出来た。一つはおおよそ23cm前後と小柄。もう一つは30cmはあろう、大柄だ。
 ――まさか……な。
 春隆の今日の運勢は最高に厄日らしい。少し視線をあげるとまず刀を背負った背中が見えた。
 ――大丈夫だ。気付いている様子はない。このままやり過ごせる。……だが奴ら一体何の目的だ? 俺を襲ってみたり、俺に付いてきたり。……俺に付いてきた? それはないな。俺に付いてきたのなら俺が気を失っている間黙ってみていたと言うことになる。襲ってきたことから考えてみて今ここにいるのは俺が目的じゃなさそうだな。ならばなんだ?
 春隆は脳をフル回転にして考える。しかし、何も浮かばない。すると、男達が急に立ち止まり立ち話を始めた。
「おいぃ。ここであってるんだろぉなぁ? 頼むからよぉ、ハズレだけは勘弁だぜぇ?」
 ――間違いない。この口調、さっきの奴らだ。
「……あぁ。……恐らくここで……間違いない」
「恐らくじゃぁ困ンだけどよぉ。本当ぉにここに錦織の家があるんだろぉなぁ?」
「……ならば……訂正しよう。……ここで……間違いない。……なぜなら」
「あぁわかぁってるぅって」
「「本人がここにいるからなぁ」」
 最後の言葉は二人でハモった。高い声と低い声が絶妙に重なり、言い得ない恐怖を感じた。
 春隆は自分の右手にいる少女の肩を思いっきり突き飛ばした。その反動で自分も左へと転がる。瞬間。さっきまで春隆がいた場所に、少女がいた場所に一本ずつ刀が振り下ろされていた。転がった勢いで春隆はそのまま立ち上がり、直ちに戦闘態勢を取る。
「おぉ、おぉ、おぉ、おぉ。かわしてくれたよぉ。嬉しいなぁ。ようやっとぉ楽しめるぜぇ」
 男の顔は明らかに狂っている。俗に言う戦闘狂と言ったところだろう。戦いに楽しみを見いだすタイプだ。
 自分で適当に突き飛ばしておいて何だが、少女か心配になって少女の方に目をやる。だが、少女を視界に捕らえることは出来なかった。その視線に気付いたか。小柄な男が言った。
「安心しなぁ。あの小娘の相手はぁ、俺の相棒『グライス』がやってくれてるぜぇ。まぁ、安心して良いかはわからねぇけどなぁ?」
 その言葉にはこれからの戦闘に楽しみを抱いている狂喜が見えた。
「へぇ。あいつ、ラクセルって言うのか。なら、ついでにアンタの名前も聞きたいな」
 春隆も負けじと不敵な笑みを見せ対抗する。
「あぁ、そうだったなぁ。自己紹介がまだだったぜぇ。ゴーボルン所属Bクラス『ラクセル』だぁ。よろしくなぁ!」
 最後の言葉と同時にラクセルは踏み込んできた。昼間の先程とは違って、太陽が落ちかけているため視界が普段より悪い。が、見えないわけではない。先にも話したが春隆はずば抜けて運動神経とともに身体能力も高い。ついでに言えばそれも妬みの的となっている。
 ラクセルは右手に持った刀を突き出し、左手の刀は胸に構えている。
 ――うかつに踏み込めば対処されるってワケか。……剣道三倍段か。素手で刀を持つものに勝つには三倍の力量が必要だと聞く。……二本もたれている場合どうなんだろうな。 
 などと軽いことを考えているうちにすでにラクセルは眼前まで来ていた。すかさず左手の反撃を受けづらい左手でフックを繰り出す。右手の刀を右に流そうという魂胆である。
 だが、手が刀の側面にあたるや否やのところでラクセルは刀の切っ先をわずかに下げた。拳の急激な方向転換は効かないので、これで刀を流せなくなった。
 もうすでに、右手の刀は春隆の左胸をえぐり取ろうかという距離まで近づいてきている。心臓を直に狙いにこないのはいたぶって楽しむためか。何にせよ今の春隆には好都合だ。左足で思いっきりけり出し、右足を相手の左側面に向けて大きく踏み出す。刀を脇の下にかすらせようとしたのだ。しかし、これは裏目に出る。右手ばかりに集中し、左手の刀の存在を忘れていたのだ。ラクセルはわざわざ自分の左に踏み込んできた愚か者に向け、左手の刀を突き出した。踏み込んでから気付いた春隆は右足が地面に付いた瞬間に後ろに飛び跳ねるという考えを一瞬にして考えついた。いや、本能でよけたのが正しいのか。何にせよ、春隆の何かしらが優れていることに代わりはないのだが。ラクセルの左刀は春隆の胸をかすめ、わずかにどす黒い血を出血させた。
 今の一瞬の攻防で分かったことがある。ラクセルは刀で切りにはこないのである。刀で突いてくるのだ。これはただ斬りかかられるよりたちが悪い。切られるのは喰らってももろに喰らわない限りは出血のみで済む。点では無く、線で捕らえることが出来るためものを使って受け止めるのも容易い。だが突きは違う。当たったのが胴体であれば致命傷は免れないし、点で捕らえなくてはならないため受け止めるのもそれ相応の熟練が必要となる。
 ――さて、どうしたものか。
「ッンくくく。いいねぇすげぇなぁ楽しいぃなぁ!!」
 春隆が上手く戦うたびに彼はボルテージが増すようだ。その証拠に、段々と突きの速度が増してきている。今は後ろへのステップでかわせているが、これもいつまで持つものか。バランスの一つでも崩せば終わりである。体を射抜かれジ・エンドだ。
 ――大体、素人の俺が刀に勝つなんて無理も甚だしい。一度で良い。奴の刀をかわして懐に入れば接近戦で行ける。だが今は俺の射程外に奴はいる。蹴りを繰り出そうにも刀に切り伏せられておしまいだ。反撃のしようがない。
 ――ならっ!
 春隆はバックステップでかわしつつも後ろに飛ぶと同時に地面にあった石をすなと同時に蹴り上げた。これで奴の動きが止まれば反撃出来る。
 案の定ラクセルは片手で石をはじき、もう片方の手で目に入った砂を落とそうとこすっている。その時間は一瞬だが、その一瞬あればこの距離だ、歩数にして一、二歩瞬時に詰められる。そして春隆は左足で思いっきり地面を蹴り、右足で踏み込むと同時に左手を右手首に添え、突く!


「……やるな。あの小娘」
 そう言ってグライスは腹を両手で押さえうずくまっている。どうやら少女にやられたようだ。少女対グライスの戦闘のすさまじさは辺りの風景が物語っていた。まず、グライスを中心とし、半径2,30mは焼け野原だ。そして、周りの木々は根本から折れたり、黒こげになり幹だけが黒く残っていたり、中には削り取られているものもあった。8割形のものは少女がやったものだ。何をどうしたかは分からないが、少女が普通ではないことだけははっきりと分かった。

 グライスとの戦闘を終え、勘を頼りに少年の元へと戻ろうとする。やり方は多少痛かったにせよ助けられたことには違いない。お礼を言うためにも少年を捜す。
 そして、この草をかき分ければ開けた原につくと思い、最後の草をかき分けた。思った通りその先には先程の原っぱが広がっていた。その先に少女は2つの影を見つける。恐らく、少年と襲いかかってきたもう一人の方だろう。
 助太刀しなければ、と二つの影に近づく。二つの影は交差し、襲ってきた小柄な男の手からは血が滴り落ちている。少年がやったのだと思った。少年の拳が男にめり込んでいるからだ。だが、少女はもう一つ血の滴る場所を見つけた。少年の口である。少年の口の両端からは真っ黒な怪我したときに流れる血とは全く違った色の血が、少年の口から流れ落ち止まることを知らない。
 少女は目を疑った。小柄な男の獲物が少年を貫いているからだ。刺さっている場所は恐らくみぞおち。そこから斜め上に突き上げるように突き抜けている。
 少年はゆっくりを右足を振り上げ、小柄な男の腹に足の裏をあてがったと思うと、思いっきり蹴飛ばした。男と同時に刀も少年から離れていく。抜けた刀の剣先から少年のどす黒い血が引いていた。刀が抜けると少年は今度は口の端からこぼれる程度ではない量を一気にはき出した。
 蹴り飛ばされた男はもうまともに戦えないであろう瀕死の少年を見て、もはや興味を失っているようだった。先程までの狂喜はどこへやら。けだるそうに右手に持った刀を高々と上げ、とどめを刺そうとする。
 と、そこへ少女が両手を広げ割り込んできた。少年の盾になるつもりだろう。
「これ以上やるなら。私があいてよ」
 その表情は凛とし、小柄な男をわずかながらひるませた。だが、それも一瞬。男は構わず振り下ろそうとした。
「ラクセル!!」
 声の発信源は先程少女がかき分けて通ってきた場所だ。無口な彼からは想像も出来ない大声でラクセルの行動を止めた。その声に驚いたのか、ラクセルはすっと刀を下げ、背中の鞘にしまうと、少年に向かって一言漏らした。
「興ざめだぜぇ」
 少女はラクセルに向けて睨み付けると、今度は大柄な男に向けて睨み付けようとし、すでに男がいなくなっていることに気付く。ハッとし、ラクセルへ視線を向けようとしたがすでにラクセルさえも姿はなかった。

  3

「ねぇ。死んじゃダメだよぉ。こんな場所で知っている人なんてあなたしかいないんだから死なないでよぉ」
 少女の目にはうっすらと泪も見える。声も涙声である。無理もないだろう。少女の言うとおり、春隆が死んでしまえば少女は頼りどころなど無い。見知らぬ土地でさまようことになってしまう。
 いや、それ以前にせっかく友達になりかけた少年を死なせたくない。そう思っていた。
「お……い。アン……タ」
 少年が意識を取り戻したようだ。
「ね、ねぇ。大丈夫? 死なないでね?」
 少女は必死で懇願する。
「このままじゃ……確実に……死、ぬ」
「死なないで! お願い!」
「聞け! うっ…………」
 やはり、当然と言うべきか、相当痛いはずだ。
「さっき……夕日見たろ? その方……向に道なりに……進んでくれ」
 ここでしばらく呼吸だけをする。一気に話すには傷が重すぎるようだ。少女は必死に覚えようとうなずき、耳をそばだてる。
「そう……すれば婆さんが……看て……くれる。忘れる……な、錦織……だ」
 そこまで言うと少年は体力を使い果たしたのか、また意識を失ってしまった。 
 少女は涙をぬぐうと、少年の傷口付近にどこから取り出したのか、包帯を巻く。そして少年を自分の背中に負ぶさるとその包帯で、今度は自分へと巻き付け始めた。ものの数分で自分と少年の体の固定は完了した。
 少女はもう一度涙をぬぐうと先程の凛とした顔で、答えるはずがない少年に向かって言った。
「絶対助けるから。死んじゃダメだからね!」
 その言葉を言い終わると、少女はもう完全に沈んだ太陽の方角を頼りに走り始めた。



  二章

 1

 部屋に入ったときは壁という壁に血が散布していて、当時幼かった春隆は理解するのに数分を要したのを覚えている。何が起きたのか分からず、一歩部屋の中へと踏み込んだときだった。春隆の足に何かが当たった。何だ? と思いつつ足元を見ると、人の右手だった。手首付近から切られており、だが断切面は刃物で切った割には荒々しかった、と今思い起こせばそう思える。その時点で恐怖におののき、春隆はそのまま視線をあげる。その視界に飛び込んできた光景は地獄絵図もいいとこである。ぱっと見、数えられる『人』のパーツは十数点。そのパーツは肩から切られていたり、肘であったり、くるぶし付近かと思えばスネで切られていたり、その様はまちまちであった。そのときの一番鮮明に残っている記憶がある。広がる血の海の中堂々と立つ“存在”だった。シルエットしか確認することは出来なかったが、人形ではないと言うことだけは幼い春隆にも認識することが出来た。
 人間にしてはあり得ない頭の形をし、人間にしてはあり得ない手の形をし、人間にしてはあり得ないしっぽが生えていた。
 それを見た瞬間。春隆の自営本能が働き、意識が飛んだ。『恐怖』のあまり、これ以上意識を保っていられなくなったのだ。それ以降の記憶はない。
 次に意識が目覚めたのは数日後の孤児院の中だった。奇跡的にも春隆には傷一つ無かったため、病院ではなくここに直接送られてきたのである。
 その後、春隆に一つの考えが何日も何日も同じ考えが渦巻いていた。僕はこうして生きている。だから、だからあの時、恐怖で倒れなければ犯人の顔を見ることが出来たのに。そうすれば敵討ちだって出来たはずだ。倒れなければ――。
 ――目の前にあるもののことを何も考えなければ『恐怖』を抱くことはないのかな。
 思えばそれ以来だ。春隆が世の中にまるで無関心となったのは。

  2

 長野県南東部に位置する、この『散里村(さんりむら)』は世から隔離された存在である。下界の情報はほとんどと言っていいほど入ってこない。逆に、この村の情報、及び存在も世間にはまるで知られていない。特に何か妨害策をしているわけでもなく、ただ自然に存在が知られなかっただけのことだ。散里村での生活はさながら江戸時代の農民か。夜露すら防げるかどうかも不安にさせる藁で出来た屋根に、玄関の扉に至っては扉ではなく、わらのすだれのみである。大きさはそれぞれで違いはあるものの、ほぼ全ての民家が同じ作りをしていた。
 田舎と言うこともあってか、村の端の家から外へ一歩踏み出せばそこはもう別世界である。人にまるで触れられていない木は高々と生長し、葉が高いところになっているために差し込む光はほとんど無い。そのため、松明等の灯りでもない限りは村の住民ですら踏み込むことは不可能である。
 散里村の入り口から最も近い民家には一人の女性が住んでいる。白髪と表現した方が良いのか、銀髪と表現した方が良いのか、兎に角その女性の髪はそんな色だ。白ではあるのだがわずかながら銀の艶の良い特性を含んでいると言った感じだ。さらに、その女性の顔つきが二十代後半というのだからよけいに強い印象を受ける。腰元まで伸びた美しい髪は無造作にただ鬱陶しい髪を束ねるためだけに結んだようだ。
 今、その女性の顔つきは男性でもひるむような鋭い目つきと迫力が見られる。その理由はその女性の目の前にある二つの存在だ。女性の目の前には昔ながらの敷き布団が女性に対して真横に敷かれている。布団の向こうには火のついた囲炉裏がある。その囲炉裏では少年が目覚めた時用であろうか、小さめの鍋がぐつぐつと音を立てている。布団の中に眠る少年は、周りの古い木造建築とはあまりにそぐわない鮮やかな緑色の髪をしている。
 布団の中で眠る少年は安らかな顔で眠っている。まるで昨日の出来事が嘘のように、何事もないような顔をしている。少年の腹部辺りに頭を置き、突っ伏した状態で寝ている存在もある。金髪ツインテールの少女である。これまた古い雰囲気のこの建物にはまるであっていない。このあまりにもこの村にあっていない二人がなぜこんなところで寝ているのかというと、昨日の夜中の出来事があったからだ。
 女性は昨日の夜中の出来事を頭の中で思い浮かばせた。

 女性はあの時、一つ気がかりを残しながら眠りにつこうとしていた。それは孫の春隆である。予定では今日の夕方にはここに着いて、支度をし、明日から働く予定であった。それが春隆は未だにここに着いていない。何かあったのでは、と思い考え直す。私の孫はそんなに柔な奴じゃない。多少のトラブルもいつもの無頓着さで抜けきれるハズだから。
 それでも女性はわずかながらも不安を覚えながら、布団に潜り込んだときだった。足音が聞こえた。ペースと音の大きさから言って走っているのであろう。奇妙である。この時間、村を出歩く存在など無い。あって獣だ。しかしそれもあり得ない。村へと降りてくる獣は大抵が勇気ある四足獣だ。だがこの足音から言っても人間だ。獣の二重音ではなく、人間特有の一定リズムの音である。
 警戒心を怠らぬように起きあがり、囲炉裏に立てかけていた杖術用の杖をとり、それを入り口へと向け奇妙な存在に備えた。
 だが、その警戒心は一瞬消し飛ぶ。
「助けてください!」
 その大声に一人で静かさに慣れていた女性の耳の鼓膜は破れそうになった。
 その声にわずかにひるみつつも女性は警戒心を決して解かなかった。なにせ下界から完全に遮断されているこの村だ。部外者からの進入はあまり好まれない。あるとすれば住民の家族だけである。だから、飛び込んできた少女の髪の色を見た瞬間さらに警戒心を高めた。この村に金髪の家系を持つものなど居ない。人口の少ない村なので住民の家系ぐらい簡単に把握出来てしまう。女性の覚えている限りでは金髪の家系など居ないはずだ。よってこの少女は部外者と言うこととなり、女性の警戒心を高めたというわけだ。
 ところが、その少女の背中の存在を見た瞬間、警戒心が百%を占めていた女性の頭を、驚きが占めた。少女の背中にある存在は一人の緑髪の少年だ。女性の覚えている限りでは緑髪の孫を持つものは一人しかない。よってこの少年の正体が確定する。
「春隆!」

 それからはあっという間に時が過ぎた。少女の説明からと、外見からとで、春隆の腹部に穴が開いていることを知った。背中にまで達するほどの深い傷だ。これだけ傷が大きいと消毒液など使う訳にもいかず、包帯とタオルで止血をし春隆の自己治癒能力に頼るほか無かった。
 一通り出来る限りの春隆への治療を終えた女性は左手を支点とし正座した状態で、左九十度回転し金髪の少女へと向き直った。
 ほんのわずかの沈黙の後、女性が口を開いた。
「さて、説明をして貰おうかな?」
 ただ普通に問いかけただけなのに、何とも言えない威圧感を醸し出している。
「せ、説明と言われても……先程説明したのですけど……」
 少女は女性の威圧感に完全に挙動不審に負われている。先程大の男一人を完全に伸した少女からは想像しがたい表情をしている。
「それはこやつの傷を負った経緯のみ。お前に関しては何一つ説明がされていないのだが?」
 女性が胸を張って問いかけるのに対し、少女は完全に縮こまってしまっているためほぼ同一の体格を持つ二人でも少女の方が圧倒的に小さく感じる。
「まず、こやつとの関係を教えて貰おうか」
 ここで少女はいきなり言いよどむ。自分と少年の関係など自分でも理解していないからだ。まず、名前をお互いに知らない。年齢も、出身地も何もかも、だ。ただ、神社で少女が少年の上で気を失っていた、ただそれだけの関係だった。
「か、関係と言われましても……。友達、と言いましょうか……知り合いと言いましょうか。自分でも分からないんです」
 その返答に、女性はあからさまな疑いのまなざしを少女へと向ける。そしてそのまま少女をにらめつけるかの如く少女を見続けた。
 いや、実際女性が少女を見ていたのはほんの数秒。だが、女性の威圧感に少女が数秒を数分と勘違いしただけの話だ。
「……ふん。まぁ良いだろう。次だ小娘……いや、名前を聞いてなかった。とりあえず自己紹介をしてみろ。私が納得いく、な」
「は、はい」
 返事の後、少女は緊張をわずかでもほぐすために両腕を大きくゆっくり上下させ、深呼吸を数回繰り返す。しっかり深呼吸して、少女は自己紹介を始めた。
「わ、私の名前は『リン・シェースト・カナシス』です。年齢は十五歳。出身地は『クアール大陸 “王都ジグナ”』で、そこの一応……姫をしています」
「……」
 女性は額を人差し指と親指で押さえ、下を向いている。無理もない。名前、はまだ許そう。外人ならばこんな名前一人くらいいるかも知れない。だが、それ以降は信じがたい。とりあえずクアール大陸などこの世界に存在しないし、王都なんたらというのもまるで知らない。今の自己紹介は本当に自己紹介の内ににはいるのだろうか……。紹介どころか謎をさらに作っただけであった。
「あ、あの。今度はそちらに自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「……いいだろう。私の名前は錦織 紅『くれない』。年齢は今年で七十六になるか。生まれも育ちもここ、散里村だ。一応、こやつの祖母だ」 
 そう言って春隆を顎で指した。
 未だ正体不明な少女への皮肉だろうか、自己紹介の順序を同じにして答えてやった。
「あ、じゃぁこの人が言ってたこの村のニシキオリって方で、怪我を看てくれるって人は……」
「……私だろうな。この村で錦織など私だけさ」
 そう言うと紅は今度は右手を支点とし、右九十度回転し再び春隆の方へと向き直った。
「一寝入りすると良い、リン・シェースト・カナシスとやら」
「リンか、カナ、と呼んでくだされば結構ですよ」とわずかにつぶやいた。
 そのつぶやきが聞こえたようで、紅はリンの方へは見向きもしないで言った。
「ふむ。ではリン。今お前が座っている座布団を半分にして枕を作ると良い。生憎とここには客人用の敷物はないのでな」
 それを聞いたリンは即座に座布団で腕を挟み込むようにして座布団を折り曲げ、即席の枕を作り出した。
 リンが即席枕に頭を置き、目をつぶろうとしたのを視界の端で確認し、今一度春隆へと注意を戻したときだった。
「あの……治り……ますよね」
「……」
 その問いに紅は沈黙で返した。紅は多少なり手当に関してはかじってあるらしいが医者ではなさそうにみえる。体を貫通するほどの傷に対し、包帯だけでしのげる確率は相当に低いだろう。だから、リンは心配で仕方がなかったのだ。
「その人は……見ず知らずの私にも何の違和感もなく接してくれたんです。だから……これでお別れなんて嫌なんです……。名前だって聞いてないんですよ? だから、もう一度話してちゃんとした友達になりたいんです」
 言葉に感情を込めるあまり、気が付いたらリンは半身を起きあがらせていた。その目にはうっすらと透明なものがリンの目の付近を濡らしており、囲炉裏の火がわずかながら写り淡い橙色をしていた。
 その瞳を紅は横目ではなく正面から堂々と受け止めると、こう言った。
「春隆は必ず助かる。明日朝にでも目覚めているだろう。心配するな。……もう寝ると良い」
 なぜかやたらと自信のある紅の発言に疑問を覚えながらもその言葉を信じることにした。紅の言うことが正しいのならば、明日は春隆ときちんと話が出来る。そう思うと何を話そうか迷ってしまった。とりあえず名前だ。先程紅にした自己紹介をすればいい。他には……。
 目をつむり、思考をしている内にリンは深い闇へと落ちていった。

 3

 最初は真っ暗闇だった。だが、次第に筋肉がひくひくと脳の命令に反応し、脳内に数ミリ程度の細さの光が入ってくる。その隙間はだんだんと広がっていき、終いには完全に開いた。まず最初に目に入るものは薄い影を携えた藁の塊だった。所々に太い綱が張ってあり、それが藁の塊をとどめているようだった。この景色には確か見覚えがある。そう新しい記憶ではない、だが確実に記憶には入っている。
 ――そうだ……確かここは……。
「目、覚めたかい?」
 不意に右方向から声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。感情があまりこもっていない、しかしそれが逆に特徴となっている。
「紅婆さん?」
「ふん。遅いと思ってたら大けがなんぞして来てからに。そこの娘に礼を言うんだね。お前のようなでかい男をここまで背負ってきたんだ」
 そう言って紅婆さんは顎で少女を指した。顎で指された少女は自分が話題に上がっているとも知らずに、静かに寝息を立てていた。
「そうか。こいつ、ホントに運んでくれたのか」
 春隆にしては実に珍しく優しい顔で微笑んでいると、紅婆さんから最もらしい質問を受けた。
「で? この娘は一体なんなんだい? 自己紹介させたら私は姫だなんて答えたよ。裕福に育ってきて自分を姫様だと勘違いしてるのか?」
 初めて来る下界の客がいきなり外人と言うこともあってか、紅婆さんはすこし気が立っていた。これ以上紅婆さんに考えさせると少女に危害が及びかねないと踏んだ春隆は、神社での出来事を全て白状しだした。
 ところが、春隆と少女が出会った神社の話をすると、紅婆さんの目つきが急激に変わった。あまりの変化に春隆ですら驚いたほどである。
「その神社……五芒星が描かれてなかったかい?」
「五芒星? ……あぁ、あったな。確か赤だった気がするな。場所が場所だけに少し不気味だった」
 春隆の言葉を聞いて紅婆さんは覚悟を決めたように深いため息をついた。それは実に深く、肺の空気という空気を全てはき出してしまうのでは、と思わせるほどだった。
「春隆。怪我の具合はどうだ?」
 話題の急激な変化に少しばかり戸惑いを覚えつつも、しっかりと返答する辺りは冷静な春隆だからか。
「あ、ああ。特に問題はない」
 昔から怪我の回復が人より遙かに早かった春隆にとって、あれくらいの傷が一晩で治ってしまうのはさして驚くほどでもないのであろう。まぁ、あれほどの傷を負ったのは初めてなのだが、以前は交通事故による両腕両足複雑骨折を一晩で治してしまった経歴を持つ。
 一応紅婆さんもそのことは知っているはずなのだが……。
「……そうか。ならば容赦は要らないな。今日の昼頃から働いて貰う。それまでは休むなり体を動かすなりしてな」
 そう言い放つと紅婆さんは玄関から外へ出て行った。
 すると、紅婆さんの動く気配に気付いたのか、傍で座布団を枕にしていた少女が目を覚ました。寝ぼけ眼をしばらくこすっていると、次第に目が完全に覚めてきて最後に春隆を視界に捕らえた。
「あ……目、覚めたんですね。怪我の具合は大丈夫なんですか? 昨日は大変だったんですよ? もうこのまま目を開けないんじゃないかって位に」
 少女は言葉を放ちつつゆっくりと体を起こしていった。
「ああ。心配掛けて済まない。それと、ありがとう。ここまで俺を本当に背負ってくれたなんてな」
「あ、いいよ。それよりも、怪我の具合は本当に大丈夫なんですか?」
 昨日の怪我の割にはずいぶんと顔色の良い春隆に少し疑問を抱いたのか、怪訝な顔をして聞いてきた。
「俺は昔から自己治癒能力が高いんだ。大抵の怪我は一日で完治する。問題はない」
 腹に穴が開くほどの傷を一日で治してしまうのを、単に“自己治癒能力が高い”で済ませてしまうのもどうかとは思ったが、無事だったことだしあえて口に出さないことにした。
「あ、自己紹介……まだでしたよね。私の名前は『リン・シェースト・カナシス』です。リン、でも、カナ、でも好きに呼んでくれて構わないよ」
 そう言ってにこやかに自己紹介を済ませ、少年の焦点が自分に合っていないことに気が付いた。
「あの……聞いて……ました?」
 その声に虚ろになっていた春隆の目が不意に呼び戻された。
「あ、ああ。聞いてる。それじゃリン、とでも呼ばさせて貰うことにする」
 春隆は聞いていると答えたが実際は聞いていない。先程紅婆さんに教えて貰っただけなのである。
「俺は錦織春隆だ。どうとでも呼べ」
 お互いに軽すぎる自己紹介が終わった直後に、玄関から紅婆さんが戻ってきた。
「リン。お前、ここで働きな。どうせ行くとこもないんだろう? 住まわせてやっても良いが、働かざる者食うべからず、だ」
「ハタラカザルモノクウベカラズ? えっと、どういう意味?」
 ここで春隆と紅婆さんはお互いに目を合わせた。まさかこの言葉の意味を知らない者がいようとは……。
「……働かない者は食べることを許されない、と言う意味だ。それくらい知っておくんだな」
 ため息混じりに軽い説明をしてやると、意味を理解したらしく、紅婆さんのところで働くことを決めた。
「そうかい。なら、早速仕事だ。村の中心の井戸から水を汲んで来な。それが今日使う水になるから、何度も往復したくなかったら一度で、この時間に行ってしまうんだね」
 ここで、春隆に疑問が浮かんだ。
「俺は昼からじゃないのか?」
 その答えはすぐに返ってきた。
「知らないね。そんなこと。そこまで元気なら大丈夫だろう」
 そう言い残すと再び外へと出て行った。 
 お互い上半身が起きているだけの状態で顔を見合わせると、春隆が覚悟を決めこう言った。
「行くしかない、な。紅婆さんはいい人だけど、割と頑固だからな」
 笑っているリンを横目に春隆は布団から這いだし、掛け布団と敷き布団を分け、それぞれを三つ折りにすると家の隅に重ねて置いておいた。布団を片づけ終えると再びリンの方を見た。
「行くか」
 素っ気居ない春隆の言葉に対し、帰ってきたのはこの上ない元気な言葉だった。
「はい!」


 4

 散里村は隠れ村にしては意外と広く、錦織家から中心に位置する井戸までは、ざっと1.2kmはある。さらに、わずかならが傾斜にもなっているため空の瓶を持って行くだけでもかなりの体力を必要とした。これで、帰りは水が入っている分体力が倍は必要となるわけだ。最初は数往復分の距離を覚悟して数回に分けていこうかと考えたが春隆の現在体力を考慮し、一度で行ってしまおうと考えたのだ。
 ――昨日のリンの様子からして非力、と言うわけでもなさそうだしな。
 確かに春隆はグライスとの戦いは見ていないが、リンはグライスを無傷で叩きのめした。春隆の勘はあながち間違ってはいない。
 当の本人は春隆の横で物珍しそうに首を左右に動かし、辺りを見物している。まるでここらの家を初めて見るかのようだ。先程のことわざを知らなかったことと言い、本当に姫、とは言わずとも何処かの箱入り娘ではないかと思ってしまう。
 ――……ま、どうでもいいか。
 春隆が思考を、リンがせわしなく首を動かしている内に村の中心、つまり目的の井戸までたどり着いた。
 途端。
 春隆は思考を止め、リンは首を動かすのを止めた。
 二人の目に映っているのはずたずたに切り裂かれた井戸。桶を吊している綱は切れ、井戸枠はほぼ三頭分にされている。ここまでは二人の反応は驚く程度だっただろう。だが、それを凍り付かせるモノに変えているのが次の存在だ。
 井戸枠に洗濯物の様に垂れ下がっている人だった。頭が井戸の中にあり、足が地面に着いている。
 真っ先に反応したのはリンだった。春隆の横からいきなり走り出し、ものすごい早さでその人へと駆けつける。
 そのリンを春隆は固まった場所で遠目に見ている。しばらくリンを見ていたが今度は辺りを見回す。すると直ぐさま異変を見つけた。井戸より向こうの家がボロボロになっている。吹き飛ばされている家もあれば、所々切り裂かれている家もあった。春隆は目をこらして家をよく見た。春隆の視力は9.6と、これまた超人的。2km先の文字を読むことが出来る。その春隆にとって百十数bの家を見ることは容易かった。
 春隆が見た家の壁にはべっとりと赤い物が着いていた。これが都会ならば落書きかと思うがこの隠れ村で落書きなどあるわけがない。この赤い物は間違いなく血だった。
 そのれをちと判断した瞬間、春隆は井戸にいるリンへと走り出す。持っていた瓶はそこらに投げ捨て、全力で向かう。足もずば抜けている春隆は物の数秒で井戸へと着いた。これは恐らく世界新ではあるがまぁ別の機会に。
 春隆が井戸へ着くと、足音で春隆が来たのだと分かったリンは青ざめた表情で左側に振り返る。
「こ、この人……死――」
 一目見て、井戸枠に垂れ下がっている人が死んでいると判断した春隆はリンの左腕をひっつかみ、来たスピードと同じスピードで走り出した。
 ここで春隆はわずかに驚く。最初は引っ張っていたが、走っている内に同じ早さになっていて、一緒に走っている形になった。それを確認した春隆は手を放した。
「付いてこい」
 その一言だけ伝えるとさらに速度を上げた。

 行きは十数分かかった道のりを、数分で帰ってきた。
 家にはいると同時に春隆は叫んだ。
「紅婆さん!」
 だがその声には緊迫は含まれていない。普通なら緊迫した叫び声だが春隆は動じず、落ち着いた声で二階にいる人を呼ぶ程度の叫び声だった。
 呼ばれた紅婆さんは囲炉裏の傍で昼飯を作っていたらしく、吊された鍋をかき回していた。
「なんだい? 叫ぶなんてお前らしくもない」
「井戸で人が死んでいた。それと、井戸とそれより向こうの家が崩壊してた。傷口から言って恐らく昨日俺を襲った奴らだ」
「「!!」」
 春隆の言葉に紅婆さんとリンが驚いた表情を見せる。
 直後。三人が一斉に玄関を振り返る。人の気配がしたからだ。
 すると、玄関に一つの影が現れた。2mを越す長身、グライスだ。
「……うむ」
 さらに、玄関と対角線上にある家の隅がひゅばっと音と共に、崩れ落ちた。そこにも影が一つ。小柄な身長に十字の獲物。春隆を串刺しにした男、
「……ラクセル」
 春隆が珍しく苦々しい声を立てる。昨日の今日だ、当然である。対するラクセルは再び狂喜の声をあげる。
「ッンくくく、ビンゴォ、だぜぇ」
2005/10/23(Sun)23:08:27 公開 / 烈沙
■この作品の著作権は烈沙さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
一ヶ月ぶりの更新。遅くなって申し訳ございませんm(_ _)m テストがあり、PCを開いている暇がありませんでした。

さて、今回散里村が出てきましたが全体像は都合上書くことが出来ませんでした。ご了承ください。

今回も付き合っていただきありがとうございました! 今後ともよろしくお願いします。
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