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『〜Key Story〜  《序章》〜《第八章》』 作者:じゃがー / 未分類 未分類
全角15141文字
容量30282 bytes
原稿用紙約50.35枚
〜Key Story〜

〜THE KEY〜序章《旅人》

世界は汚れきっていた。かつての大戦の古代兵器・レヴントの復活により、世界は荒らせれた。しかし、大戦で世界中に飛び散った十剣の復活により大半のレヴントは消えた。しかし、残ったレヴントと、レヴントを生み出すものは異界へ逃げた。…このことを知るものは少ない。そして、三度レヴントが現れようとしていた…。
=ファルベル砂漠=
「暑ぃ〜〜〜…村とか無ぇーのかよ…」
一人の男がつぶやいた。
その男は背中に巨大な剣を抱えていた。
金髪で、青い瞳。
この辺りの地域ではこんな格好は珍しい。
ドサッ!
男が倒れた。
そしてそこにもう一人少年が車のような乗り物で来た。
「…もう少しだ…やっと村にたどり着いた」
どうやら少年はこの辺りに住んでいたらしい。
そして少年は倒れていた男を発見した。
「…!。あのぉ…大丈夫ですか?」
返事はない。
いや微かにその男は「水」といった。
「大変だ!!急いで村に連れてかないと」
少年は自分の乗っていた乗り物に男を乗せると、村に向かって一直線に走らせた。
「この人大丈夫かな…。ん?」
少年は男の胸の辺りに何か、小さい紙を見つけた。
「何だコレ?名刺?…浦木・・峰鈴?」
どうやら男は浦木峰鈴というらしい。
〜1時間後〜
=砂漠村・ソーリン(少年の家)=
「…ン?どこだここは?」
浦木峰鈴が目覚めた。
「ア…気がつきましたか?」
「誰だてめぇ?」
「僕は白山圭呂っていいます。圭呂って呼んでください」
圭呂は笑顔で答えた。
「…圭呂…ここはドコだ?」
峰鈴は辺りを見渡しながらいった。
「ここは砂漠村・ソーリンです」
「ソーリンか…じゃあこの辺りに…」
ドン!!!
峰鈴がそう言ったとき外から巨大な音が聞こえた。
「クソ!もう来たか!」
=ソーリン・繁華街=
「だ、誰だてめぇは!?何のためにこんなことしやがる!!」
店主の目の前にいたのは、フードをかぶった謎の人物だ。
その店主の周りには傷つき、倒れた人がたくさんいた。
「…宝玉…・・」
謎の人物は静かに答えた。
この声からするときっとこの人物は男だ。
「ほ、宝玉?まさか宝玉って領主様が持ってるあの…」
店主がそこまで言うと、店主はいきなり燃えた。
「ぎゃああああああ!!!」
「…協力感謝する」
男はそういうと領主の館に歩いていった。

序章《旅人》完

《第一章》
=圭呂の家=
「峰鈴さん来たってなにがですか?」
「おめぇには関係ねぇよ。じゃあな」
そういうと峰鈴は繁華街の方へ走っていった。
=領主の家=
この家には、この町を治める領主山中望が住んでいる。
「だ、だ、だ、誰だお前は!?今すぐ出て行け!!」
彼の目の前には先ほど繁華街をおそった謎の男がいた。
「…宝玉を…よこせ!」
二人の周りには、倒れた兵士が大勢いた。
「わ、分かった!分かったからその剣をしまってくれ!!!」
男はそういわれると静かに剣をしまった。
「つ、付いてきてくれ!」
望は微かに震えていた。
=繁華街=
「何だよ、コレ!?」
峰鈴は目の前にいる倒れた人々を見て立ちすくんだ。
「もしかして…俺の間違いか!?」
「峰鈴さ〜ん!」
圭呂が走ってきた。
「アホか、お前は!何で付いてきた!?戦えない奴なんか足手まといになるだけだ!帰れ!!」
「僕だって戦えますよ!」
圭呂は左手に剣を握り締めていた。
「これは国の問題だ!お前には関係ない!」
「国!?…まさか峰鈴さんって…!?」
「クソ…そうだよ俺は高楼者だ」
高楼者とはこの国の少し特別な部隊である。
「…戦えるんなら・・ついて来い!!」
「はい!」
=屋敷・銀の間=
「…これが…鍵」
男は宝玉を持ち、静かにつぶやいた。
そして、宝玉を天に掲げた。
「フハハハハハ!!」
宝玉は男の右腕に吸い込まれた。
男は手を望の方へ向けた。
「な、何を・・する気だ!?・・殺さないでく…」
望が言葉を言い終えないうちに、男は黒い衝撃波を生み出しそれで望を貫いた。
「…すばらしい力だ…」
男は銀の間を立ち去った。
=屋敷・エントランス=
「…やけに静かだな…」
二人は辺りを見回した。
すると、奥の部屋から、男が出てきた。
「だれだ?」
男は答えない。
男が近づいてくる。
そして、二人から、5〜6mほど離れたところで立ち止まった。
「お前ら…ここに何しに来た?」
「ハッ!それはこっちのセリフだよ。アンタ、見たところこの辺の人間じゃねぇな!?」
「…そこをどけ」
「嫌だね。お前をこの屋敷から出すわけにはいけねぇんだよ。それにもうすぐ高楼者が来る」
「仕方ないな…力ずくでもどかしてやろう。」
男は剣を抜いた。
それとほぼ同時に、峰鈴と圭呂も剣を抜いた。
「圭呂!お前は援護を頼む!」
「分かりました!!」
男が走ってくる。
「速っ!!」
「ハッ!」
男は峰鈴に斬りかかった。
峰鈴はコレをぎりぎりで受け止めた。
「クソッ!」
峰鈴が男に攻撃する。攻撃の手を休めない。
そして後ろにいた圭呂も攻撃の準備を始めた。
「…疾風の刃・真紅の雷、我が前に集いて闇を切り裂け!!ウィンドスパーク!!」
空から雷が落ち、煙が出た。
それは男に直撃した。
「よし!」
煙が晴れてきた。
男の姿が見えた。
傷ひとつない。
「ウソだろ!?」
圭呂は呆然としている。
そして、圭呂の方に男が走ってきた。
「クソ!」
剣を抜き、男の攻撃を受け止めた。
男は連続で攻撃してくる。
圭呂は体勢を戻すために後ろにとんだ。
「ダークネス!」
男が叫ぶと、辺りは闇に包まれた。
「何!?クソ!ドコだ!?」
何も見えない。
「ヴィジョンバーン!!」
今度は辺りが光だした。
そして、光の閃光が上から振りそそぎ、圭呂に直撃した。
「グァ!!」
景色が戻った。
そこには圭呂が倒れていた。しかし、傷ひとつない。
「…話にならんな…だが素質がある」
「…何…言ってんだ…よ…」
峰鈴もダメージを受けていた。
「…用は済んだ…私は帰る。最後に教えてやろう。我が名は雷法。やがて世界を統べるものだ。覚えておけ」
そういうと、雷法は消えた。
=高楼者第八支部=
ここの一室に峰鈴と圭呂の姿があった。
峰鈴はおきていたが、圭呂はまだ眠っていた。
「…ん!?ここは…」
圭呂が眼を覚まし、辺りを見回しながら言う。
「…起きたか…」
峰鈴のその言葉と同時に、一人の男が扉から入ってきた。
「眼を覚ましましたか…」
「誰?」
「私は、松本朗雨と言います。ここは、高楼者の第八支部です。あなた方は、ソーリンの屋敷に倒れていました。私たちが駆けつけたときは屋敷にあったのは、あなた方の体だけでした…」
「そんな話し方しないでいいよ。普通に圭呂って呼んでよ」
「とんでもありません!!あなたは高楼者の五輪にはいってるじゃありませんか!!」
「五輪って何だ?」
峰鈴が入ってきた。
「五輪とは、年に一度おこなわれる、軍主催の格闘大会で5位以内に入った者に与えられる称号です」
「へぇ〜…お前ってすごい奴だったんだな…ていうかお前って高楼者だったんだな」
「まぐれだよ…」
「…本題に入らせていただきます。あなた方にはこれから本部へといってもらいます」
「何で?」
「…五輪を上回る敵が出現したからです。あなた方が戦ったあいつです」
「あいつが!?何で!?」
「あいつはつい先ほど第六支部に現れて、第六支部を壊滅させました。あいつは炎魔と名乗りました」
「…峰鈴さん…そいつって…」
「ああ…あいつとは違う…あいつは雷法って名乗った」
「…ともかくあなた方はすぐに本部へ向かってください!」
「うん。峰鈴さん行こう!」
「…あぁ」
二人は第八支部をあとにした。

《第一章》完

《第二章》

本部は第八支部から北へ50キロほどいったところにある。
二人はとりあえず中間地点にある、レイヴンの首都レイヴンハートへ向かうことにした。
=砂漠=
もうほとんど日が暮れていた。
「アチぃ〜〜…」
「…こんなペースで歩いてたら日が暮れるよ。寝言ほざいてないでさっさと歩いて!」
二人がのんびり歩いていると前方に街が見えてきた。
「…!!峰鈴さん見えましたよ」
「どれだ!?」
街まではそんなに距離はない。
二人は少しペースを速めた。
と、そのとき、二人は気づいた自分たちが囲まれていることに。
「誰?」
「…コロス…・・」
一斉に切りかかってきた。
「…もう少しだったのに…」
峰鈴が刀に手をのばそうとした。
しかし、峰鈴は始めて気づいた。
自分の持っていた刀がなくなっていることに。
圭呂のなくなっていた。
「…屋敷だ…屋敷に忘れてきたんだ…」
「…どうすんだよ…」
「…峰鈴さん下がってて…・多分こいつら下の階級だから、武器なんてなくても…」
圭呂は魔力を自分の右手に集め始めた。
そして魔力の剣を作り上げた。
「へぇ〜、魔手使か…」
魔手使とは体内の魔力を自在に操ることができる者のことである。
ほんの数秒で圭呂は敵をすべて倒した。
<五分後>=首都・レイヴンハート=
「けっこうにぎやかだな…とりあえず宿探すか…」
この街はもう夕暮れなのにかなりの賑わいを見せていた。
「…その前に何か武器買わないと…」
「そうだったな」
=武器屋=
「…圭呂じゃねぇか」
「久しぶり」
二人は知り合いのようだ。
「何だ?知り合いか?」
「うんちょっとね。ところで、あれ来てる?」
「…ああ。ちょっと待ってろ」
店主は店の奥に走っていった。
「…そういえばお前さっき敵が来たときなんか『下の階級』とかいってたよな?お前なんか知ってんのか?あいつら…雷法と似た格好してたぞ?」
「それは…」
「おいあったぞ!!」
店主が戻ってきたようだ。
店主は刀の柄のような物を持ってきた。
「こいつは魔手使の力を数倍に引き上げる武器だ。だが、使い方に気をつけないと…喰われるぞ…!」
「?分かった。あとさ、この人にいい感じの剣ない?」
「昨日、いいのがはいったよ。そこの棚にあるから」
峰鈴はもう棚をあさっていた。
「…いいのがないな…アレでいい」
峰鈴は壁に立てかけてある紅い刀を指差した。
「…高いよ?」
「問題ない…」
「…フッ。いい眼をしてるね。いいよその刀はくれてやるよ。でもそれも…喰われる危険があるからきをつけな」
「分かったよ」
=レイヴンハート・裏通り=
圭呂がここで誰かを待っていた。
五分ほどすると、黒いコートを着た男が現れた。
「鍵を下さい」
圭呂がそう言うと、男は、小さな宝玉を二つ圭呂に渡した。
「…あの浦木という男は、信頼できるか?」
「分かりません。でも、今までの人たちよりはずっと心が澄んでいます」
男がため息をついた。
「…あいつらはもう来たか?」
「ソーリンでS級が一人」
男の表情が変わった。
「S級!?ってことはそこにあったのは…」
「はい…おそらく五大鍵のひとつ、『深海』です」
長い沈黙が続いた。
「…この鍵もお前に渡しておく。俺がさっき見つけた『天空』と『大地』だ」
今度は圭呂が驚いた。
「…もし、峰鈴さんが『大地』を使えなかったら?」
「…殺せ!」
「…分かりました」
=宿=
「…何だこれ?」
峰鈴は机の上においてあったものを見ていた。
何かの資料のようだ。
「…あいつのか。下手に触らないほうがいいな…」
峰鈴がベッドび横になったとき、圭呂が帰ってきた。
「遅かったな」
「…すいません。…峰鈴さんあなたに渡すものがあります。手を出してください」
圭呂は峰鈴にさっき男からもらった、宝玉のようなものと、『大地』と呼んでいたものをわたした。
「何だコレ?」
「…絶対に失くさないで下さい。いずれ必ず必要になります」
「…・・分かった」

《第二章》完

《第三章》

夜が来た。
二人のいる部屋は漆黒に包まれていた。峰鈴は熟睡していた。圭呂は…
「峰鈴さん…次は本部で会いましょう…僕は先に行きます」
圭呂はそうつぶやくと部屋を出て行った。
木の軋む音がする…。廊下をとおり、ロビーへと歩いていく。
ゆっくりと、一歩ずつ。
闇に包まれた村へ出て行った。誰もいない。時間はすでに2時をまわっている。
店はどこも開いていない。
ゆっくりと足を動かし、裏通りに向かった。
しばらくすると昼間の男が来て、圭呂にかばんと黒いコートを渡した。
そして、男は無言で闇に消えた。
しばらくすると、圭呂はかばんを開けた。中には白い小さなカプセルのようなものが入っている。その中の一つを手に取り、ゆっくりと開ける。
そして、「天空」と呼んでいたものを中に入れ、ポケットに入れた。そして街の外へ走っていった。
街の外へ出て、さっき見た遺跡へと近寄っていく。
圭呂が遺跡まで残り約5メートルほどのところで、遺跡からあのフードの奴らが出てきた。数はだいたい15人。
「…やっぱりここか……じゃあ、ここにA級と封印がある!」
魔力を手に集中させ、魔力の剣を作り上げた。
そしてあっというまにフードを倒した。そして遺跡の中へ入っていった。
中は街よりも暗かった。それほど広くない。
まっすぐ進むと奥に、光の球体のようなものがあった。そしてその前にはフードがいる。しかしそれは今までの黒いフードではなく、白かった。
圭呂に気づくとそのフードは立ち上がった。そして…
「ナニヲシニきた!?」
はっきりではないがしゃべることはできるようだ。
圭呂の足音が遺跡中に響き渡る。
「…なんでもないさ…お前を倒して封印を開放する。それだけだ」
圭呂は刀を抜き白フードに近づいた。
「(…時間は五分…・それまでに倒す…)ハ!!」
圭呂は後ろへ回り込んだ。
すると男は手を前に出した。
「ラージルバン!!」
白フードの手から白い光線が発射された。圭呂はゆっくりとこれをよけ、斬りかかる。
しかし、男はコレをよけ、また白い光線を発射した。
今度は剣で受け流し、魔力で剣を作りまっすぐ突きを入れた。
今度はきれいに入った。
「グァ…!」
白フードは光になって消えた。圭呂は剣を直した。
「くっ…!まさかここまで負担がかかるとは…これが…十剣…」
圭呂がそこにうずくまっていると、誰かが近寄ってきた。
今度は紅いフード…。
「ハハハ!A級も倒したか。なかなかやるな…。だがそれではその上には勝てんぞ!?」
圭呂はゆっくりと立ち上がった。そして、さっき男から貰ったコートを着た。
そして、ゆっくりと赤マントの男に近づいていった。
「…邪魔だ…・・何をしにきた…?」
圭呂の手はすでに武器をつかんでいた。この男を警戒しているのだ。
当たり前だ。こんな夜中に、しかもこんな場所に一人で来るんだから何もないはずがない。何かがこの場所にあると知っていて来た。おそらくは、さっき圭呂が言っていた、封印…。
「この場所に何があるか知ってるか?まぁ知らなぇだろうけどな。殺されたくなかったらさっさと消えやがれ!」
ずいぶん態度がでかい。やはりこの男は知っているようだ。何かを…。
「封印を知っているようだな?じゃあお前は人じゃない。レヴントだ。しかもそこまではっきりと話すことができる。ということはあんたは…S級以上ってことになるな。お前、名前は?」
レヴント…あのマント集団のことだ。
「…炎魔。…そこまでしってるってことは…俺はお前を殺すしかないようだな。…来い!!」
炎魔は武器を構えた。
=翌日・午前8時=≪宿≫
峰鈴はすぐに気づいた。圭呂がいないことに。
夜、寝るときまでは一緒にいた。残っているのは何もない。峰鈴は机の上に何か書類のようなものが置いてあることに気づいた。
10枚くらいつづってある。一枚目には「レヴント…十剣について」と書いてある。
峰鈴はその書類をかばんに入れ、急いで宿を出た。チェックアウトを済ませると、圭呂の行きそうな場所を考えた。しばらく考えていたが、圭呂の行きそうなところなど分からなかった。それでも考え続けた。
そして分かった。ひとつだけある。昨日行った、あの武器屋。峰鈴はいそいでその武器屋へ向かった。

《第三章》完

《第四章》

峰鈴はダッシュであの武器屋へ向かった。宿から武器屋まではだいぶ距離がある。表通りは人が多くて通行しづらそうだったので、裏通りを行くことにした。
裏通りは昼間でも表通りの夜と同じくらいの明るさである。暗くてよく見えない。
峰鈴は何度も壁にぶつかりそうになった。そして、ついに武器屋に着いた。武器屋の戸には「CLOSE」と書かれた札が掛かっていた。だが、鍵はかかっていない。
峰鈴は戸を開け、中に入った。レジには、あの店主が座っている。長い沈黙が続き、峰鈴が口を開いた。
「ここに圭呂が来なかったか?あいつ、こんなものだけ置いてどっかに行きやがった」
かばんに入れたあの書類を手にとり、峰鈴がたずねた。
再び沈黙が続いた。そして…
「…あいつからの伝言だ…。『その書類を見ておいて…。次は本部で…』だってさ」
=遺跡=
そこには圭呂がうつぶせになって倒れていた。
「ふん。所詮その程度か…。鍵も持ってねぇようだし、さっさと帰るか…」
炎魔は遺跡の出口へと歩いていった。圭呂にはその姿が見えたいた。まだ、はっきりと見える。ゆっくり、一歩ずつ進んでいく。圭呂はゆっくり立ち上がった。
「待て…!まだ…だ!!」
圭呂が声を張り上げていった。その声に反応し、炎魔の動きが止まった。そして、ゆっくりと、圭呂の方を向いた。
「ほぉ…。人間にしては手ごわいな…。お前、何者だ?」
圭呂にその声は届いていなかった。圭呂はただ、炎魔に勝つことだけを考えていた。そして、ゆっくりと、炎魔に近寄っていった。
「何者だって…。聞いてんだろうが!!」
炎魔は斧を振り回した。周りの柱が次々と倒れたいく。圭呂はその攻撃を全て、紙一重でよけていた。そして、炎魔が斧を大きく振ったとき、身を低くして、攻撃をよけ、下から、強烈な突きを入れた。その攻撃はたしかに炎魔のフードを貫いた。
「…お前、本当に人間か?十剣も使わないで、俺に攻撃を当てるなんて…人間じゃできねぇぞ?…お前が着ているそのコート…『ハルマン』のだろ?『ハルマン』は俺たちレヴントに対抗するために作られた組織だ。そのコートを着ているってことは、お前は俺の敵だ…。」
体勢を立て直そうとしている、圭呂に、手をかざした。そして…
「敵は殺す。消し飛べ!ブラストカノン!!」
炎魔の手から炎が発射された。そしてそれは圭呂に直撃した。圭呂はよろめき、そのばに倒れた。必死で体を起こそうとしている。
「…今のが何か分かるか?…今のは、『鍵』と呼ばれるもので、それはあらゆることができるようになる。『鍵』によって効果はさまざまだがな。コレは『火の鍵
』炎を生み出す力だ。」
圭呂に今までの話は全て聞こえていない。やっとのことで圭呂は体を起こした。
力を振り絞り、炎魔に突進した。しかし、炎魔は圭呂の頭をつかみ、壁に向かって投げた。圭呂は三度倒れた。そして、そのとき圭呂は何かを感じた。自分のコートのポケットで何かが光っていた。

《第四章》完

《第五章》
圭呂はポケットからその、光っているものを取り出した。あの、『天空』と呼んでいたものを入れたカプセルだ。圭呂はそのカプセルを開き、『天空』を取り出した。
「…やっと・・か…」
圭呂がつぶやいた。圭呂はゆっくりと起き上がり、炎魔の方を見た。
「それは・・まさか…『天空の鍵』!?…バカな!!ハルマンの人間が適合するとは…!」
圭呂は天空を握り締めた。すると、天空は圭呂に溶け込んで行った。圭呂の傷が少しだけ減った。そして、圭呂は地面に落ちていた十剣をとった。
「…不思議だ…。しにかけのはずなのに力が満ちている。…今ならお前に勝てる気がする。」
圭呂の魔力が跳ね上がったのを炎魔は感じた。炎魔は武器を構えた。それと同時に圭呂も武器を構えた。沈黙が続く。そして…。圭呂の姿が消えた。次の瞬間圭呂は炎魔の背後にいた。
「衝雷剣」
雷が炎魔を貫く。轟音が響く。再び、沈黙が続く。今度は炎魔の姿が消えた。どこにもいない。移動しつづけているのだ。しばらくすると、圭呂の上から炎の玉が落ちてきた。炎魔だ。圭呂は横へ飛んで、次の攻撃を繰り出した。
「衝雷陣!!」
圭呂は刀を地面に突き刺した。地面を衝撃波が伝わってゆく。炎魔が姿を現した。彼のフードはすでにボロボロだった。炎魔は息をはき、手を地面にかざした。
「…これが人間かよ…。悪いがお前には消えてもらうぞ。…喰らい尽くせ!ヴァンフェルデス!!!」
辺りが炎に包まれた。圭呂の周りも燃えていた。圭呂は剣をしまい、呪文を詠唱した。
「轟け、雷鳴。唸れ、暴風…レイニングスロウ!!」
爆音が響く。雷が落ち、竜巻が辺りを荒らしていく。炎魔と圭呂の力がぶつかり合う。何も見えない。視界が開けてきた。二人ともほぼ無傷だった。先に口を開いたのは、炎魔だった。
「三分の一とはいえ俺の力と互角とはな…。お前、名前は?」
沈黙が続く。そして、ようやく圭呂が口を開いた。
「…白山・・圭呂」
「面白い奴だな。今殺すのはもったいない。じゃーな」
そういって、炎魔は消えた。



峰鈴はあの書類を読み、だいたいのことを理解した。
あの、フードはレヴントといい、古代大戦の兵器で、C〜SS級まであり、C級とB級は、自我がない、ただの戦闘用。A級は各地にある封印を守護し、自我も持っている。S級は全てを超越した力を持っていること。そして、封印とは、レヴントを生み出すSS級を昔封印したものであるということ。それから、十剣や鍵のことなど、だいたいのことは分かった。しかし、それらのことは圭呂を見つけ出すこととは無関係だった。峰鈴はしかたがないので、一人で本部へ向かうことにした。本部で会おうと言ってきたのだ。本部へ行けば圭呂に会えるはずだ。峰鈴はそう考え、レイヴンハートを出発した。
本部までは、残り10キロほど。普通に歩いても今日中につく。峰鈴はのんびりと出発した。
「…あと、7キロくらいか。もうそろそろ村が…・。」
峰鈴の言ったとおり、前方に村が見えた。しかし、何か様子が変だ。峰鈴はすぐそのことに気づき、村に近づいた。
=十分後=
村は荒れ果てていた。あるのは、家の残骸や無数の死体。この村に何が起こったのかはわからない。もしかしたら、あの、レヴントというのがやったのかもしれない。峰鈴は無言で村を出て行った。
≪砂漠・北≫
この辺りは砂嵐で近づくことができないようになっている。ソーリンに住んでいる人々でこの奥に行こうとした人が何人も居る。しかし、戻ってきたものはいない。そんな場所に圭呂はいた。砂嵐を見つめている。そして、何か呪文を唱えた。すると、すなあらしはやんだ。圭呂は砂漠の奥へいった。しばらく進むと、洞窟があった。圭呂はその名中に入っていった。真っ暗で何も見えない。十五分ほど歩いていると、光が見えた。出口だ。洞窟の奥にあったのは、木でできた巨大な砦だった。圭呂は正面にある入り口から入っていった。中は迷路のようになっていて、すぐに迷ってしまいそうだ。五分ほど歩いていくと、すこし大きな場所に出た。中央には椅子があり、誰かが座っている。
圭呂に天空の鍵を渡したあの男だ。
「…目覚めました。」
圭呂が静かにいった。
「…封印は?」
あの遺跡のことだ。炎魔との戦闘でもう崩れているはずだ。
「遺跡が崩れたのでとかれているはずです。あと、遺跡にはS級もいました。」
「S級が!?で、大丈夫だったのか?」
男は驚いている。当たり前だ。S級は全てを超越した力を持っているのだ。
「あいつらは五大鍵を持っているものは殺しません。殺すとすれば、SS級が目覚めたときです。」
「…分かった。ではお前はすぐに本部へ向かえ。…高楼者がレヴントと関わりを持ったという情報がある。これが本当なら、世界は…滅ぶかもしれない。」

《第五章》完

《第六章》
峰鈴がレイヴンハートを出発してから3時間後、彼はようやく本部に到着した。本部に入るには、認定カードか、紹介状が必要。認定カードを入り口の機械に通し、峰鈴は中に入った。通路をまっすぐ進み、ロビーを通り過ぎ、階段を昇り、自分の部屋に入った。高楼者になったものには、部屋が与えられるのだ。峰鈴の部屋には、ベッドと机意外何もない。荷物を置き、机の上にある手紙を見た。『すぐに総主のもとへ』と書かれている。総主とは、全ての高楼者をまとめる存在である。階段をおりて、またおりて、さらにおりる。総主は地下にいるのだ。峰鈴は部屋の扉をノックした。
「入れ」
総主の声がする。圭呂はもう来ているのだろうか?そんな考え事をしながら峰鈴は「失礼します」といって扉を開けた。中には、二人いた。一人は総主。そして、もう一人は…圭呂だ。峰鈴は椅子に座った。峰鈴が椅子に座ると、総主はすぐに話し始めた。
「…第六支部の襲撃は知っているな?」
炎魔が壊滅させたというあの支部だ。圭呂は一度戦ったこともある。
「あの、襲撃を聞いて、私は二大主の者と三人で今後のことについて考えたのだ。そして、結論として我々は…」
二大主は総主を守護する二人の高楼者。雷神主と風神主がいる。
圭呂はこの後に続く言葉を考えていた。もし、総主がレヴントと関わりを持っているのならば、今ここで殺すつもりだった。
「…レヴントと手を組むことにした。」
この言葉に圭呂が反応した。彼は立ち上がり、刀を抜いた。
「…期待通りの答えだな…。それに、レヴントって言葉を知ってるってことは、あんたは、ハルマンってことになる。もし違うんだったらあんたは…」
ハルマンという言葉を峰鈴は初めて聴いた。そして峰鈴は総主がレヴントといっただけで総主に向けたことにとても驚いた。総主は五輪のはるか上のクラスだ。挑んだところでかなうはずがない。
「…ハルマンを知ってるのかぁ?」
総主の口調が変わった。同時に姿も変わってゆく。人間の皮膚がはがれ、どんどん大きくなってゆく。最終的に彼は巨大な発光体になった。
「やっぱり、レヴントか。」
圭呂が刀を構えた。発光体は部屋の中央にいて、動こうとしない。圭呂が飛んで、発光体を切ろうとする。刀は確かに発光体をとらえた。しかし、圭呂の一撃ははじかれた。
「何て硬さだよ…」
圭呂は剣をしまい、呪文を唱えた。
「疾風の刃・真紅の雷、我が前に集いて闇を切り裂け…ウィンドスパーク!!」
発光体に雷が落ち、部屋が煙で満ちていく。その間に峰鈴を剣を抜いていた。煙が晴れていく…。
「その程度…か。」
発光体を傷ひとつない。
「そろそろ死ね」
発光体に手が生えた。発光体を手を、圭呂に叩き落した。
「くっ!}
右へ飛んでよける。しかし、発光体は手を休めない。次の攻撃が来る。発光体は両手を前にかざした。
「消し飛べ!!」
発光体の手から閃光が出た。圭呂はうまくよけたが、峰鈴はよけれなかった。
「峰鈴さん!」
圭呂が峰鈴に近づこうとする。しかし、手に阻まれる。
「クソ!どけぇ!!衝雷剣!!」
手に雷が落ちる。
「少し痛いな。」
手は圭呂を撥ね退けた。
「私に勝てるとでも思っているのか?」
圭呂は仰向けに倒れた。
「思ってるよ」
峰鈴がたち、発光体をきりつけた。そして、上へとび、次の攻撃のために態勢をたてた。しかし…。
峰鈴が着地した瞬間あの閃光が来た。
峰鈴は再び倒れた。
「俺じゃ勝てないのか…?」
そのときだった峰鈴の頭に声が届いてきた。
「(…ツヨクナリタイカ?)」
峰鈴は辺りを見た。しかし誰もいない。
「(チカラヲアタエヨウ…)」
峰鈴の体が光っている。いや、光っているのは、彼が持っているもの…。そう、『大地』だった。圭呂のときと同じように、大地は峰鈴の体に溶け込んだ。
長い沈黙が続く……。
「…力が溢れてくる…。今ならお前に勝てるきがする・・。勝負だ、レヴント!」
峰鈴の武器が変わっていく。剣の刃の部分が岩になっていく。
「地絶剣…ハッ!」
手を切るつける。手に傷ができる。
「クッ…。なんという威力だ。」
峰鈴は地面を斬りつけた。地面が隆起し、発光体に突き刺さる。
「グアアァァァァ!!」
発光体が小さくなっていく。
「まさかここまでとは思ってなかったよ」
発光体が人と同じくらいの大きさになったとき、発光体が言葉を発した。
「私の名前は風時。覚えておけ、この屈辱は必ず晴らす。さらばだ。」
そういって風時は消えた。
「大変なことになったな。高楼者は終わりだ。おそらく、高楼者全員が向こう側につく。そうなる前に…峰鈴さん、あなたをハルマンの砦へ案内します。」

《第六章》完


《第七章》

二人は、他の高楼者が総主がいないことに気づく前に本部を出た。そして、十五分ほど歩き、レイヴンハートについた。二人がついたのは、もう、夜だった。圭呂が峰鈴と別れたときと同じくらい暗かった。そんな街を二人は、早足で歩いていく。泊まれる場所はどこにもなかった。しかたがないので、二人は、先へ進むことにした。街を出て、道なりにゆっくりと進んでいく。夜があけてきた。二人は第八支部の前まで来ていた。二人は立ち止まらず、話もせずに、ただもくもくと進んでいった。二人が思っていた以上に、第八支部とソーリンは離れていた。二人に少し疲れがみえてきた。それでも、立ち止まらない。ソーリンについた。もう、昼過ぎを廻っていた。ソーリンについても、立ち止まらないで歩き続けた。砂漠の北へ向かっていった。砂嵐が見えてきた。砂嵐の直前で二人は立ち止まった。峰鈴はどうやってここを通るのか気になって仕方なかった。圭呂が、呪文を唱えた。ゆっくりと、砂嵐がやんでいく。峰鈴はそのようすを見て、峰鈴は驚きでしばらく動けなかった。
「行きますよ」
圭呂の言葉で我に帰り、洞窟へ入っていった。暗闇を抜け、あの砦にたどり着いた。峰鈴は再び驚いた。村ひとつ分くらいはあるその大きさに。中に入り、峰鈴はまた驚いた。迷路のようなつくりになっている。あの大きさで、こんなつくりにしたら、もし、敵が来ても、敵はすぐに迷ってしまうだろう。峰鈴がそんなことを考えている間に目的の部屋についた。あの男の部屋だ。
「入れ」
男の声がする。二人は扉を開け、中に入った。男は前と同じ場所に立っている。
「彼が大地の使用者です」
圭呂が峰鈴を紹介した。
「お前がか…。俺はハルマンの指導者、新山九迅だ。よろしくな」
九迅はフードははずした。赤い髪で、長髪、瞳は緑色。歳は20代後半くらいだろう。
「新山さん、高楼者ですが…、総主が、S級でした」
九迅の表情が変わった。
「…高楼者はもう終わりだな…。…時間がないから単刀直入に言う。。お前は選ばれたんだ。俺たちと一緒に戦ってくれ」
その言葉を聴いて峰鈴の表情が変わった。笑っている。
「お前らなんかに協力するわけないだろう?」
いつもの峰鈴とは声が全然違う。
「九迅さん…、彼は、S級と戦い、認められました。。彼は精神を鍛えていない。おそらく、彼の意識の半分以上が奴にのっとられています。」
S級と闘い、認められたものは、意識がのっとられることがある。精神を鍛えていれば、跳ね除けることができるが、していなかった場合、少しずつ、体を蝕まれて、最後は死ぬ。
「…今のうちに助けておくか」
九迅はゆっくりと刀を抜いた。
「ハッ!助けさせるかよ!」
峰鈴が地面に手を置くと、九迅の周りの地面が盛り上がり、九迅を捕らえた。
「じゃあな」
そういって、峰鈴は窓から外へ出た。近くにいた者が峰鈴を捕まえようとする。峰鈴はよけ続け、その兵から逃げた。しだいに、峰鈴を追う兵が増えていく。どれだけ増えても、けっして戦おうとせず、よけ続けている。出口が見えてきた。峰鈴はスピードを上げ、出口を出た。洞窟を走り抜けていく。砂漠へ出た。そこには、砂嵐が待っていた。



≪十分後≫
九迅のところに兵が来た。
「逃げられました!」
これを聴き九迅と圭呂は驚く。あの砂嵐を一般人が超えられるはずがない。考えていてもしかたがないので、九迅は圭呂に話を始めた。
「圭呂…。ここから西へ8キロ言ったところに森がある。そこには古代大戦のときに十剣を使っていた英雄の子孫が作った村がある。そこへ行きS級以上の者を倒す術を身に着けろ」
圭呂はハルマンの砦を出て、西へと歩を進めた。S級を倒す術を身に着けるために…。

《第七章》完

《第八章》

圭呂は九迅のいった通り西へ西へと歩いていった。何時間もかかるわけではないし途中には村もあるようだ。圭呂はとりあえずその村へ行き情報を集めることにした。

≪圭呂出発から30分後≫
村見えてきた。大きな村ではないが、宿くらいはあるだろう。圭呂はそれから10分かけて村へ到着した。村の中心には大木が生えている。大木を囲むようにして民家や店がある。まずは宿へ向かった。通りはけっこう静かだった。宿へ入り、受付へ行き、部屋を取ると圭呂はとりあえず村を見ていくことにした。裏通りへ行った。裏通りに店は無い。人通りも少なく、とても静かだ。裏通りを歩いていくと、店が見えた。『武器』と書かれた看板が下がっている。圭呂は中へ入った。店の中はそんなに広くないがたくさんの武器があった。少しだが本もある。圭呂は店員に話を聞くことにした。
「ここから西にいったところに森がありますか?」
店員は新聞を読んだままで返事をしようとしない。
「ねぇ。」
圭呂が何度問いかけても返事はこなかった。圭呂はあきれて店を出て行った。商店街へ出た。商店街はけっこうにぎやかだ。ひとつひとつ店を見ていく。そしてそれぞれの店で情報を集める。いろいろなことが分かった。あの大木には人が住んでいてその人は西の森についての情報を持っているようだ。圭呂はその話を聞き村の中心にある大木へ向かった。時間はまだ昼過ぎだから急げば夕方には宿に戻れるだろう。しばらく歩き、大木の根の部分まで来た。よく見ると大木の周りには階段があり上へ上れるようになっている。
階段の足場は狭い。圭呂は踏み外さないように一段一段昇っていった。圭呂が思っていたよりも大木は高かった。昇り始めてから約1時間かけてようやく昇りきった。村人の言っていた通り頂上には民家があった。普通の家とたいして変わらない大きさ。圭呂は戸をたたき、中へ入った。
「スイマセン。」
圭呂が言っても返事はない。圭呂はしばらく玄関にたっていたが誰も来ないので家を出て裏へ廻った。家の裏は大木の幹の部分があり、果実がいくつか実っている。圭呂が果実を見ていると玄関が開く音がしたので圭呂は玄関に戻った。圭呂は再び玄関の戸をたたき中へ入った。そしてさっきと同じように、「スイマセン」といった。今度は返事があった。
「入ってください。」
老人の声だ。圭呂は家の中へ入った。家の中は書物が散乱していて歩けるスペースはほとんど無い。老人は椅子に座っていた。手に書物を二冊持っている。そして老人の足元には五冊あった。圭呂はすぐに気がついた。あの本は圭呂がさっき入った武器屋にあったものだ。
「あなたは?」
圭呂はさっきまで考えていたことを切り捨てた。
「・・・私は矢迫 針雨。西の森の奥にある村から来た者だ。」
「西の森について教えてください。」
圭呂がそういうと沈黙が続いた。そして針雨は息をはき、言った。
「・・・古代戦争はいつあった?」
圭呂は驚いた。いきなり戦争のことを言い出したからだ。
「確か・・・二百年前に・・・。」
圭呂はそういいながら床に座った。
「・・・本当は50年前なんだよ。五大鍵のひとつの力で時空が歪んだんだ。」
50年前ならば、十剣を使っていた戦士で一番若かったのは13歳の魔術師。もしかしたらまだ生きてこの世にいるかもしれない。
圭呂が驚いていたとき外から爆音が聞こえてきた。窓から様子を見てみる。裏にあるあの果実が砕けていた。
「矢迫さん・・・」
矢迫は急いで家を出た。圭呂も後を追う。外に出るととても焦げ臭かった。辺りを見回してみる。どうやら囲まれているようだ。圭呂は辺りを見回し、主犯を探す。圭呂の後ろにそいつはいた。青い瞳に真っ黒な長髪。そして彼が右腕に巻いているものには『高楼者』と書いてある。まさかこんなにはやく敵が来るとは圭呂は剣を抜いた。
「・・・ザコはわしが引き受ける。お前はあの男を・・・!」
矢迫は上着を脱いだ。
「戦えるんですか!!?」
矢迫は圭呂の言葉を無視し、両手を前にかざす。矢迫の手に眼に見えるほどの魔力が集まっていく。
「まさか・・・魔手使!?」
「はぁあ!!」
矢迫の手から魔力の玉が放たれる。その玉が敵に直撃する。敵は悲鳴をあげて吹き飛んだ。玉に触れてない敵も玉が近くを通るだけで吹き飛ぶ。目に見えない魔力もあの玉の周りにあるのだ。敵が次々に減っていくのを確認して圭呂は男の方へ走り出した。男も剣を抜く。圭呂が男に突きを入れる。男はこれを刀で止め、払いのけた。次は男が攻撃する。手を休めずに斬りつけている。圭呂はそれを全てぎりぎりのところでよけていた。よけ続けていると圭呂は家の壁にぶつかった。
「貰った!」
男は大降りになった。圭呂は身を低くした。男の攻撃は圭呂の頭をかすめた。圭呂はよけた位置から男の顎めがけて突きを入れた。刀は雷をまとっている。
「破雷衝。」
「くっ・・!」
男は大きく刀を振った後だったので防御が遅れた。圭呂の攻撃は男に直撃した。・・・ように見えた。男は無傷だった。
「俺を誰だと思っている?五輪の一人だぞ!?鍵の制御なんか簡単にできんだよ。」
男の首にはアクセサリーがぶら下がっていた。

《第八章》完
2005/09/24(Sat)21:34:26 公開 / じゃがー
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■作者からのメッセージ
ここで書くのは初めてです。
少しセリフが多いですが…
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