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『中学2年生、斉藤ミキの物語』 作者:カスタム / 未分類
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-第1話-


それはどしゃ降りの雨の日のこと。一人の少女が傘を差して街道を歩いていた。歳は14歳程度。まだあどけなさの残る、かわいらしい少女であった。髪の色は少し茶がかかっており、肩ほどまでに伸びていた。無難な髪型だ。どこからか「クーン」と犬の声がする。彼女は歩く足を止め、辺りを見回した。電柱の右側に、ダンボールがあった。彼女はもしや、と思いダンボールに近づいた。
案の定、ダンボールの中には子犬が居た。毛は茶色、ひとみの色はしばみ色。見たところ雑種であった。
「捨てられちゃったんだ…でもうちでは飼えないの、悪く思わないでね」
彼女はそう言い残し、立ち去った。彼女が捨て犬に残したもの、一つはその言葉。そしてもう一つは、自分に差していたはずの傘であった。

彼女は濡れた姿で家に帰った。
「あらミキ、どうしたの? 傘は?」
「風で飛ばされちゃって…、もう散々っ」
彼女……斉藤ミキは、母にそう聞かれ、滅多につかない嘘をついた。彼女が帰宅したのは午後4時。彼女は二階に上がり、自分の部屋で濡れた髪をタオルで拭いた。暫く彼女は、ベットの上でぼーっとしてた。そのまま20分が過ぎ、彼女はある事に気付いた。
「鳴き声が聞こえる…」
そう、雨の音に混じって、犬の鳴き声がした。ベットから立ちあがり、窓を覗く。すると、さっきの犬が、家の前をうろうろしていた。
「さっきの子犬…」
そう呟き、彼女は一階に下りた。玄関の扉を開けると、あの子犬が入ってきた。彼女はどうしたものか、と考えた。とりあえず見つかるとまずいので、二階の自分の部屋に連れて行く。そしてさっき自分の髪を拭いたタオルとは別のタオルで、子犬の体を拭いてやる。子犬は「ワン!」と嬉しそうな声で鳴いた後、ベットの上に寝転んだ。もしこの犬が猫だったら、猫が寝転んだというギャグが完成したのに…、とミキは悔やんだ。彼女はそんな子犬を見ながら、この子をどうしようか考える。うちで隠れて飼うか…飼ってくれる人を捜すか…。色々考えたが、できれば保健所に連れて行く以外の方法にしよう、と彼女は決めた。携帯のメールを使い、友人達に子犬はいらないか、と訊ねまくるが、良い返事は無かった。彼女は困った。これほどまでに困ったのは久しぶりだ、だが食べ物に困るよりはずっとマシであろう、と彼女は考えるが、すぐにそんな事を考えている場合では無いと思い、必死に策を練る。…が、やはり良い案は出ない。彼女は頭を使った。これほどまでに頭を使ったのは久しぶりだ、だがどうやって飢えを凌ぐかに頭を使うよりはずっとマシだろう、と彼女はさっきと同じような事を考えた。それに自分でも気付き、プッ、と吹き出す。

それから数分また考え、一つの方法に辿り着いた。彼女には『高柳コウ』というボーイフレンドが居る。彼は切れ者で、クラスの学級委員も勤めているほどだ。もっともコウにとっては、その学級委員という役職は、自分が学校を休んだ日に勝手に決められた為、うっとうしいだけでしか無いのだが。それはともかくとして、彼女は、コウなら何か良い方法を見つけてくれるハズ、と考え、携帯でコウの携帯に電話をかける。コウはすぐに電話に出てくれた。

「なんだ? どうしたミキ」
「あーのーね、コウ、ちょっと聞いてっ!」
ミキは事情を説明した。するとコウはわざとらしく大きな溜息をついた。
「わあったよ、俺が飼ってやるよ、その犬。どうせもう3匹も飼ってんだからな、犬は。
親も超絶犬好きだし、OKしてくれるだろ、それに茶色い犬はうちに居ないしな」
思いもしなかったコウの返答に、ミキは嬉しくなり飛び跳ねたい気分になった。
「ありがとうねコウッ! 愛してるわっ! じゃあ、明日土曜日だから…そうね…。
1時くらいにその子犬持ってコウの家行くから、お待ちしててね!」
「愛してるって…フッ、わかった、じゃあお待ちしてるぜ」
コウは軽く言われた「愛してる」という言葉に笑ってしまった。
「うん、それじゃ、また明日っ」
そう言ってミキは電話を切った。
「さてと…」
ミキはダンボールに新聞を入れ、その中に子犬を入れた。
「今日一日はそこがあなたの家よ、ごゆっくりしてね。それと、後からミルク
持ってきてあげるから、おとなしくしててね、お願いよ」
犬に通じるはずも無いのだが、ミキはテンション少しが高くなっていた為、子犬にそう言った。
子犬の方も通じいてるはずは無いのだが、ミキの発言の後、「ワンワン」と返事をした。それから、特に何も無いまま一日は終わっていった。


-第2話-


彼女、斉藤ミキは子犬をリュックに入れ、首だけを出させて歩いていた。
「ええっと…」
ミキは時間を確認する為にポケットから携帯を取り出した。時刻は12時47分。コウの家までの距離を考えれば十分約束の時間には間に合うな、とミキは考えた。
「ニャーン」
曲がり角から黒い猫が現れた。その猫はミキの足に頬をすりすりさせる。首輪がついてるので飼い猫であろうことが分かる。でなければこのように人懐っこいのは珍しい。
「キャッ、なにこの猫、かわいいっ! なんて可愛いのかしら?いや、可愛いというよりは愛くるしいわ! 綾瀬はるか主演のドラマ『あいくるしい』の10倍は愛くるしいわっ!」
なんだかよく分からない解説をして、ミキは猫を抱きかかえた。ミキは犬も好きだが猫はもっと好きだ。家でも、ミキにだけ全然懐かない猫を飼っている。だがミキは、そんな事に全然気付いていなく、毎日その猫と遊んでいる(遊ばれている、と言った方が適切かもしれないが)
抱きかかえられた猫は嬉しそうにゴロゴロと、猫特有の感情表現をする。
「あ、でも今はコウの家に行かなきゃ…」
そう言い、ミキは黒猫を地面に下ろす。
「またね、猫ちゃん」
にゃーっ、と一声あげて猫はミキから立ち去っていった。
「かわいかったな…でもあなたもかわいいわ……よ?」
ミキは犬が入っているリュックを見る為、振り向いた。しかし、リュックから出てるはずの犬の顔は、そこには無かった。もしかしたら中に入ってしまったのかもしれない。そう思いミキはリュックを肩から下ろして中を確認する。
「いない…」
どうやらミキの元から立ち去ったのは、黒猫だけではなく、子犬もだったようだ。しばし呆然としていたミキだが、十数秒後、我に返った。捜さなきゃ。そう思いミキは、コウに「遅れる」、と連絡するのも忘れ、子犬を捜しに走り出した。


「遅っせえなあ…ミキ」
俺は時計を確認した、1時29分。ありえねえ、ミキが約束の時間から30分近く経っても来ないなんて。というよりミキが遅刻するなんてこたあ無かった。今までのデートの時も、約束の時間に遅れた事は一度も無かった。というより大体の場合約束の時間よりずっと早く来てた。
「まさか…なんかあったのか?」
俺は心配になった、というのもあったが待ちくたびれたという理由もあって、ミキの携帯に電話をかけることにした。出ないと困るな、と思ったが、幸いな事に、ミキは電話に出てくれた。
「もしもし、どうしたの? コウ?」
「どうしたの?じゃねえよ、約束から30分も遅れてるじゃねえか」
「あーーーーーーーっ!!うっそ!ごめん、すまないと、悪いと思ってるんだけど、犬なのよ!子犬が指名手配に……」
「はあ?指名手配?」
俺が聞き返すと、ミキは「アハハハ、間違えた間違えた、行方不明だった」、と笑いながら言った。
「笑い事じゃねえだろ!今どこだ?行く、今から」
「オスマン・サンコンの銅像が立ってる場所なんだけど……」
「知るかっ!! 別の場所に移動しろ! ソーロンあるだろ?あそこに行けっ!」
俺はそう言って電話を切った。ちなみにソーロンは、日本じゃ常識ともいえるコンビニの名前だ。
しかしあいつも鈍い奴だな……、居なくなったらすぐ気付けよ、バカ野郎!
俺は心の中でミキを罵倒しながら、ソーロンへと急いだ。


-第3話-


ミキはソーロンでコウが来るのを待っていた。かれこれ10分は待っただろうか。待つのに飽きて
ソーロンの中で立ち読みでもしながら待ってようか、と思った矢先、数十メートルほど先に走ってくるコウの姿が見えた。息切れをしている事から、かなり急いできたようだ。
「コ〜ウ〜〜〜ッ!!」
ミキが叫びながらコウに手を振った。周りの人間が数名、ミキに注目したがミキは気にもとめなかった。

「ミキ…ハァ、ハァ……お、おめえ…ハァ…ふざけんじゃ…ね、ねえぞ……」
1キロと約数百メートルを頑張って走ってきたコウにとっては、ニヤニヤしながら自分を見ているミキはバカにしているようにしか見えなかった。
「アハハ。さ、じゃあ子犬捜しにいこう!」
ミキはそう言ってスタスタと歩き始めた。コウは息を切らしながらミキの後を追う。すると突然ミキがピタッと足を止める。そして回れ右をしてコウの方を向く。
「あ? どうしたミキ…」
コウが疑問の声をあげると、ミキはポケットからミネラルウォーターを取り出してコウに投げた。
実はミキ、先程コウのために、自動販売機でミネラルウォーターを買っておいたのだ。
「なんだよミキ、気が利くなあ?」
「通称、学校一の気配り上手だからね」
そう言ってミキはまたスタスタと歩き出した。コウはボソリと「自称だろ…」と呟いた。その言葉は幸いなことに、ミキの耳には届いていなかったようだ。


ミキとコウは何時の間にか見知らぬ森に迷い込んでいた。
「おい、ここどこだよ?」
コウの問いに、ミキはぎこちない笑みを返す事しか出来なかった。そもそもどうしてこんな森の中に居るかというと、ソーロンを出発してから10分程、子犬を捜して歩いていたところ、道路から大きく離れたこの森に犬の鳴き声が聞こえたのだ。コウは、どうせ迷うから行くのはやめた方がいいんじゃねえの?、と言ったのだが、ミキの言う『女の勘』やらが発動し、結局この森に入る事になったのであった。
「だあーからやめた方がいいって言ったじゃあねえかよ?」
「この件に関しては本当に悪かったと思っているわ」
ミキはよくあるドラマの台詞ような返答をした。そのことから、ミキは全然反省していない事が分かる。コウは深いため息をついた。
「で、どうすんだよ?」
「大丈夫、いざとなれば携帯で助けを…」
「…ここ、圏外みたいだぜ」
「うそおおおっ!?」
ミキは慌てて自分の携帯を開く。画面の中には、圏外、という文字が見える。ミキの表情は一気に暗くなった。まるで、誕生日プレゼントをもらって喜んでいる男子が、いざ袋の中を見ると、中身は服であった時のように、一気に暗くなった。
「…………」
「ま、そんな悲観的になるなよ」
コウはニヤニヤしながら自分の背後を親指でビッと指す。ミキの視線がコウの背後に移る。そして、『それ』を見た瞬間、ミキの表情が豹変した。真一文字に口を結び、申し訳なさそうな顔から歓喜の表情へと。ミキの視線の先には、石が並べられてあった。そう、ミキとコウが歩いた軌跡が、そこにはあった。
「まあまあまあまあまあっ! 流石コウ! それでこそ私のコウよっ!」
「調子のいいこった…」
二人は迷う事なんて絶対に無い、と確信しながら、子犬捜しを続ける事にした。

2005/06/02(Thu)20:57:57 公開 / カスタム
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■作者からのメッセージ
タイトルはそのまんまです。
まだオチとかなんも決めてませんが、
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