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『兄貴と俺』 作者:ずっぽぱ / ショート*2
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原稿用紙約枚
 兄貴は何でもできたよ。テストの点はいつも九十点以上だし、百メートル走だって十一秒台。歌はプロ並、演技もプロ並、ルックスだってそこいらのタレントには負けてない。兄貴は俺の憧れだったんだ。

 羨ましいよ。俺には何にも無かった。双子なのに。

 小学校の時、算数のテストで、俺、八十点とったんだ。俺にしちゃあ記録更新かって位なのに兄貴は同じテストで百点とってたね。悔しかったよ。母さんの目はいつも兄貴を見てた。俺のことは申し訳程度にしか見ない。父さんも同じく。
 小六の時の運動会では同じ組になってドキッとしたよ。百メートル走、頑張って走ったよ。いつもより速かった。けど、負けたよ。二秒位差があったっけ。兄貴は一番で、俺は三番だった。今思うと二番じゃなくて良かったかもしれないな。
 卒業式のとき、ピアノ弾いたね。きれいな旋律で、みんな聞き惚れて、危うく歌うのを忘れる所だったんだ。俺はみんなと一緒に別れの言葉を言うだけ。誰でもできることさ。

 中学では、陸上部でエースだったね。一年生で十二秒台出していて、部のみんなから慕われてた。気取らない性格で、非の打ち所が無かったよ。影で先輩が悪口言ってるの知って、いい気味だと思った自分を呪ったよ。でも兄貴は気にせず練習に打ち込んで記録を伸ばしていったね。部長も勤めていたし、凄いよ、ホント。
 俺は野球部で、三年間ポジションはベンチ。スタンドのね。笑っちゃうよ。双子の兄弟で、どうしてこうも違うんだろう。

 百メートル十一秒台、成績優秀で推薦入学した県トップ校。そこでも兄貴は輝いてた。俺は三流校にギリギリ受かって慌てふためいていたっていうのに、兄貴は陸上に打ち込んでいるんだ。勉強は大丈夫なの?って聞いたら、ああ。と即答したよね。成績は学年でトップ。百メートルも十秒前半で大会を勝ち抜いていった。なんでだ。何でここまで違うんだ? 何もかもが、兄貴より数段劣っている。
 そういえば、小学校の時から通っている空手の道場、そこでも凄かったなあ。自分より大きな人を倒してた。カッコ良かったよ。今でも続けてるんだっけ?

 兄貴は楽々一流大学に合格。俺はやっぱり三流にとどまっている。この頃からかな、兄貴と俺は、忙しさのあまり、長く会話する事がほとんど無くなってしまった。兄貴は夜遅く帰ってくるし、俺は帰ると直ぐ寝ちゃうから。

 だから、仕方なかったんだと思う。兄貴への憧れが、羨ましいという気持ちに変わり、それが、劣等感になり、挙句の果てに憎悪が湧き上がるなんてことは。
 そう、仕方なかったんだ。兄貴が凄すぎるから。俺に与えられるべき才能を、根こそぎ持っていってしまったから。
 だから……だからやっぱり仕方ないんだ。こうして俺が、兄貴に買ったばかりでぴかぴかの、一度も何も切ってない包丁を向けているのは、避けられないことなんだ。

 俺は、そう、手をこう……ぎゅっと握って兄貴に近づいていった。あの時の感覚がまだ残ってる。ベランダの淵に手をかけて、外をぼんやり眺めている兄貴に、俺は何時の間に会得したのか足音を消して近づいていたんだ。このままなら、やれる。そう思ったら急に力が入って、後一歩という所でダンッと大きな音を立てて床を踏んでしまったんだ。兄貴は振り向いて、すごい顔してたなあ。かっこいい顔が台無しだった。やっぱり兄貴は笑っている方がいいんだ。

 俺は自棄になって思いっきり包丁を突き出した。兄貴は、急に目つきを変えてこっちに手を伸ばしてきた。何するのか分からなかったよ。でも、止めるわけにはいかなかった。もうこの憎しみは消えることは無くて、止まる事も無い。俺を止めたければ、そう、殺すしかない。兄貴だって、直感でそう感じたのかな、頭いいもんな。俺の手に触って、そしたら体に雷が落ちた。雷を食らったことも無いのにそう思った。不思議だな。
 その後見たのは、怯える兄貴の顔、赤い水玉、それと真っ暗な、闇……何も見えない。何も無い。目が開かない。何も触れない。力が、抜けていく。これが走馬灯ってヤツかな? ああ、俺は――

 もう、解放されたんだ。全てから。
2005/05/28(Sat)23:10:52 公開 / ずっぽぱ
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■作者からのメッセージ
なんか読みにくそうですね。どうなんでしょう。誤字脱字等がありましたら易しい言葉で教えてください。よくわかんねえってとこがありましたら言ってください。できるだけ分かりやすく補足しますので。
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