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『殺人予告』 作者:ずっぽぱ / ショート*2
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原稿用紙約枚
 ある日、警察当てにファックスが送られてきた。刑事の一人が何気なく取り、その内容を見て、仰天して警部に見せた。そのファックスには、こう書かれている。

――殺人予告。この一行目で既に緊張は最高点に達しようとしている。続きはこうだ。

――殺人予告。明後日、午後三時、T橋にて俺は殺人を決行する。俺が殺すのは奴、O山O男。こいつにはかなりの恨みがある。簡単には死なせん。もはや、止める事はできない。
 さて、どうやって殺してやろうか。橋から落としてやろうか。それとも、体に火を付けてやろうか。いやいや、首を絞めて苦しませながら殺してやろうか。今から考えるのが楽しみだ。明日のうちに準備しておこう。今から動いても遅いぞ。俺の計画は絶対失敗しない。
 俺は午後三時、十分前にT橋にいる。俺は、緑のラインの入った帽子。パ―カーと、青いダボダボのジーパンを穿いている。もう一度いう。絶対に止める事はできない。

 一気に部屋が蒸し暑くなったように感じたのは新米刑事・山田だけではないだろう。警察への挑戦だ。と言うものもいた。悪戯かも、というものもいたが、何かあっては困るので、それなりの対応をすることになった。

 二日後、複数の私服警官が、T橋に来ている。今は三時四十分前。殺人予告にあったような服を着ているものはいない。そして、緊張の中、時間は過ぎていき、ついに十分前になった。
「あ、いましたよ!」
 山田が指差した先に、帽子を被った、パーカーに青いジーパンという服装の男(おそらく)が橋にやってきたのだ。
「捕まえますか……」
 山田がそう言うと、先輩刑事が、
「馬鹿、待て。何もしてないのに捕まえられるわけないだろう。ギリギリまで待つんだ」
「……はい」
 すると男が、ジーパンのポケットからカッターナイフを取り出し、刃を何回も出し入れしている。その目は狂気を帯びていた。
「! ……何かやる気ですよ。銃刀法違反?」
「カッターナイフ位誰でも持ってるだろ。落ち着け。ミスったらこっちが訴えられるかもしれないんだぞ」
「そ……そうですね。あ、もう一分前です!」
「!!」
 緊張が支配した。刑事たちの目は、帽子を被った、パーカージーパン男に釘付けだ。
「三時です! 男は!?」
「あっ……!」

 一瞬の出来事であった。刑事たちは、すぐに飛び出せる心構えでいた。男が、誰かに襲い掛かろうとする素振りを見せたら……
 しかし、男は誰も襲わなかったのである。代わりに、自らを川の中へと導いた。その顔は、一瞬「してやったり」とでも言う様な怪しい笑顔であり、一瞬、恐怖に引きつった顔を見せた。
 ドボンという音と共に、水しぶきが上がる。橋にいた人々は、自殺だ事故だ殺人だとわいわい言いながら壁を形成し始めていた。何分かの後、警察が川から上げたのは既に死体であった。

 その日の夕方、ニュースでこの事件のことが報道された。
『今日、午後三時ごろ、K町M市T橋で、男性が自殺する、という事件がありました。この男性の名前はO山O男さん、二十七歳。O山さんは普段から二重人格という特異体質に悩まされており、一昨日には警察に殺人予告とされるものを送っていたということで……』
2005/05/21(Sat)22:47:21 公開 / ずっぽぱ
■この作品の著作権はずっぽぱさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
思いついたので書いてしまいましたが、大丈夫かなあ……心配です。警察の事は良く分からないので、あてずっぽで書いちゃいました。
誤字、指摘などがありましたらなるべく易しい言葉、言い回しでお願いします。
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