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『流れ星』 作者:捨て猫 / 未分類 未分類
全角2709文字
容量5418 bytes
原稿用紙約8.7枚






◆falling star




夏。ミーン、ミーン、と蝉のなく声が耳障りだ。海は人で賑わい、山は緑で生茂っている。子供は夏休みだと喜び、大人は暑くて耐えられない、一部例外はあるが・・・。そんな季節。朝十時になるかと言う時間、少年は神社の縁側に座り、カキ氷を食べている。年は十歳くらいだろうか。少年の名前は橘 賢太(たちばな けんた)、この田舎町、犬神村の住人だ。
「おーい!けんたー!」
そこに一人の同い年くらいの少年がやってきた。背は賢太より小さい。
「ん?おぉー!隼人じゃん!どしたのさ?」
俺はなにか慌てている隼人、菊池隼人にのんびりと返事をした。
「どーしたじゃないよ!お祭りの準備しないと!」
隼人は相変わらず慌てている。
おいおい、そんなにあわてて・・・ん?祭りの準備?しばらく時間が停止して、過去を思い出させてくれた。賢太と隼人は昨夜、村長に来週開かれる祭りの準備を頼まれていた。
「あーーーーーーーーーっ!!!!!」
賢太は大声をあげた。
「ったく、頼みますよ・・・。」
隼人はあきれながら言った。
そして俺たちは勢いよく、神社の階段を駆け下りて祭りの準備をしているはずの広場に向かった。祭りと言うのは、なんでも昔この町を救ってくれた犬を称えるとかいう内容の祭り、子供たちにとっては普通の祭りとなにも変わらないものだ。

その日の夜、家でご飯を食べてながら父さんに祭りの準備ご苦労さま、と褒められたのがとてもうれしかった。
そして翌日、父さんが倒れた。何でも癌らしい。正直なにかの冗談だと思った。だって昨日は笑顔で褒めてくれた父が癌で・・・倒れた?俺はその日祭りの準備もなにもしないで、ただ時間が過ぎるのをまった。時間が過ぎれば父の病気もよくなると信じていたからだ。
しかし、父の病気はそんな軽いものではなかった。医者の話によると、まわりくどい言い方だが、死ぬ可能性も否めないとのことらしい。父は2日寝たきりで、面会すらできずに俺の不安は募るだけだった。しかし、3日目、父は目を覚ました。俺はとても喜んでいた。だから、あんなことを言われるなんて思わなかった。
「賢太、お前祭りの準備してないんだってな。父さんはがっかりだ。」
病気を心配してた息子に言う台詞がそれか?俺はなにも答えられなかった。
「失望したぞ、村長と約束したんだろ?」
俺は無性に泣きたくなってきて、病室から飛び出してしまった。父から逃げるかのように・・・。そして、父は死んだ。
俺はたぶん泣いた・・・と思う。正直あまりのショックでなにがあったか覚えていない。しかし、あの時父は言った。
―村長との約束守らなくて、残念だと。
確かに言った。俺は父に何もいえないで、父は俺に言い訳させてくれないままこの世を去った。だから、俺は祭りの準備をする。それが村長との、いや、父さんとの約束だから。これは俺が唯一できる、父へ送れることだと思ったからだ。
周りの人は無理しなくていいよと言ってくれたが、それでも俺は準備をした。そして、祭りの日を迎えた。
俺はその日精一杯遊ぶつもりだった。父を忘れるため。父に心配をかけないため。隼人ははじめ俺を気遣ってくれていたが、俺がいつもと変わらないように振舞うとそれに答えるように隼人も次第に、明るくなっていった。俺は祭りを楽しんだ。嫌な事を忘れるために。そして祭りが終わった。俺は全部忘れた気でいた・・・。しかし、そんなことできるわけがなかった。
楽しんだ後に話を聞いてくれる人がいないとは、これほどまでにさびしいものなのか。
俺はふらふらと神社に行った。別に家に帰ってもいいのだが、父を思い出してしまうので
、少しためらった。母さんは俺を生んですぐに死んだ。男でひとつ状態で俺を育ててくれた父。俺はお礼を言うこともできずに別れてしまった。
せめて一言、お礼が言いたかった。しかしかなうわけもなく。
夜だと、昼間騒がしい蝉の声は聞こえてこない。俺は神社の縁側に座り空を見上げた。
「・・・・・・父さん。」
俺は誰に言うわけでもなく、つぶやいた。
「俺、約束・・・守ったよ?」
俺の声はかすれていたもう上を見ていられなかった。下を向きながらつぶやいた。
「神様、父さんに、父さんと話がしたいよ」
この時、空には賢太の顔を涙が流れるのと同じように、流れ星が流れた。
「父さん、ごめんなさい。」
賢太は気づかない。ただ、独り言を繰り返す。
「なんで謝るんだい?」
「―――っ!」
賢太は顔を上げて前を見た。するとそこには、死んだはずの賢太の父がいた。
「お前は約束を守ったじゃないか、立派だったぞ」
今まで堪えていた涙がどっとあふれた。とまらない。もう制御できるものではなかった。
「と、父さ・・・ん」
賢太はなんとかそれだけを言うことができた。
「俺はいつでもお前を見守っているからな。」
俺は泣き喚いた。ずっと泣いていた。そしてそのまま寝てしまった。
朝起きると自分の布団の中にいた。鏡で自分の顔を見ると目が真っ赤で泣いたことが一目瞭然だった。あれは夢だったのか。俺はそれを確かめようと神社に行こうとした。
「あら?おはよう、賢ちゃん、よく眠れた?」
居間から声をかけられた。確か親戚のおばさんだ。
「いろいろあってさぞ辛かったでしょうね。ごめんなさいね。もう少し早く着たかったんだけどなんせ、ここは地図にも載っていないようなところだから・・・。」
賢太はまだ状況がよくつかめない顔をしている。
「あっ!まだ言っていなかったわね、これからあなたの世話をすることになったの」
よろしくねと言っておばさんは手を差し伸べる。何でも、身寄りがない賢太は誰が引き取るかで言い争ったすえ、この人たちが引き取ることになったらしい。そして、賢太は引っ越すことになっている、らしい。
賢太はあれから神社に行っていない。家の片付けやら、挨拶などで、そんな暇がなかった。もちろん隼人ともお別れだ。
「そっかー・・・、引っ越すのか。」
「うん・・・」
「遊びに来るんだろ?」
「わかんない・・・」
おばさんの仕事の関係でこんな遠くまで来るのは難しいみたいだ。
「そっかー・・・。残念だな」
「うん・・・」
しばらく二人とも無言だった。蝉の声がやけに耳障りだった。
「けど、俺たちはずっと親友だよな!」
隼人が大声で言う
「あたりまえさ!」
賢太は負けないくらい大声でいった。
そして賢太は引っ越していった。遠くの都会に。きっと蝉の声もなかなか聞けないんだろうな。賢太はそれでも平気だった。別れても心はいつもそばにあることをしっているからだ。それがどんなに離れていても、だ。どんなにも・・・。



fin
2005/04/10(Sun)01:09:22 公開 / 捨て猫
■この作品の著作権は捨て猫さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はじめましてー!!いや、正確には2回目の投稿です!!一回目は詩になっちゃいました↓(ぇ
楽しくてまた書かせていただきました。正直、人に読ませるほどのものではないのですが、書くことが好きなのでついwつまらなかったら本当にすいません。アドバイスお願いします。もっとうまく物語をかけるようになりたいのです!!><でわでわ、
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