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『小さな別れ』 作者:五月 / 未分類 未分類
全角2010.5文字
容量4021 bytes
原稿用紙約6.95枚
「なんやて!?」
早太は思わず絶句した。
「聞いてへんで!ゆきちゃんが引っ越すなんて!」
しかし母親は息子の絶句などおかまいなしにのんびりと洗い物をしている。
「ちゃんと言ったで。昨日あんたがガチャライダー見とるときや」
「うそや!」
「うそやあらへん。おまえちゃんと返事したやん。それで今からお別れ言いにいかんでええか?って聞いたのに「ええ」って言ったやろ。覚えてへんの?」
早太は必死に、その小さな頭を働かすがその記憶は一切なかった。
そして一気に脱力し、わざとらしく膝と手を床についた。
「…うそや…。そもそもうちがガチャライダー見とる時なんて真剣に聞いてるわけがないやん…。だってガチャライダーやで?信じられへん…」
母親は早太の驚きっぷりを横目にため息をついた。
「おおげさやで、あんた」
早太はきっと母親を見上げ、口をとがらした。
「おおげさやないっ。ガチャライダーは世界一のヒーローやねん!そないなときにそんな大切なこと言うなや!」
「んな逆ギレされても」
そこで早太は、はっとして手を口元に持ってゆく。
そして母親の服の裾をつかんで揺さぶる。
「そうや、母ちゃん、いつ行きはるんや!?うち、今からお別れ言いにいく!」
「それは無理やで。もう昼のうちに出る言うてたもん。今は…もうバスのっとるやろなぁ」
「ええええっ。もう行きよったんか!?うちにお別れ言わんと!?」
「だから昨日行ってこい言うたのに」
早太は母親の服を放し、一目散に玄関へと走った。
「早太!どこ行くんや!?」
母親のするどい声が飛ぶ。
早太はお気に入りのガチャライダーのくつをはき、ドアを開けた。
「早太!!」
「ゆきちゃんとこ行ってくる!昼に行ったんやったらまだ追い付くはずや!!」
そして外にでると、買ってもらったばかりの新品の自転車を急いで引っぱりだし、全速力でこぎ始めた。
ここいらは都会の方なので、たくさんバスの停留所がある。
もし、運がよければ追いつけるかもしれない!
ゆきちゃんにお別れを言うために、早太は全速力で自転車をこいだ。
今までで一番早いスピードが出ている気がする。
早太はただひたすらにバス停留所へと自転車をこいだ。
       * * *
「ゆきちゃん!!」
3つめのバス停留所へ行くと、幸いにもバスが止まっていた。
窓側にゆきちゃんの顔がうつっている。
早太はバスに近付き、自転車を乗り捨て、車掌さんに少し止まってくれるよう頼んだ。
「お願いや、おっちゃん。少しだけやねん」
早太は手をあわせて頼み込んだ。
車掌さんは少し悩んで「少しだけやで」と言って許してくれた。
幸い、バスの中はゆきちゃん達しかいなく、時間にも余裕があるからだそうだ。
早太はお礼を言って、バスの中へと踏み込んだ。
そして、ゆきちゃんとお母さんが座っている座席へ行くと、ゆきちゃんに外に来て、と頼んだ。
ゆきちゃんは驚いた顔をしたが、車掌さんが「待ってますので」とお母さんに言ったのでなんとか
許してくれた。
二人はバスからおりると、向かいあった。
「どうしたんや?早太くん」
「うち、昨日お別れ言いにいけへんかって…。だからお別れ言いにきた」
するとゆきちゃんは「そうなん」といって微笑んだ。
「ありがとう。忘れられてるかと思ったで」
「…うん。それで、どこ行くん?」
「九州に行くねん。だから今から空港に行って。……もうお別れやね」
バスの中から車掌さんが二人を急かしていた。
タイムリミットが近付いている。
「あの、その、向こう行ってもがんばりや!うち、応援してるで!」
早太が手を出すと、ゆきちゃんがそれを握って笑った。
その小さな目には涙がきらめいていた。
「うん、ありがとう。がんばるな!」
しかし、早太にとってこれだけではなんか物足りない感じがした。
しかし、何も持ってきていない。
早太は短パンのポケットを探った。
「どうしたん?」
すると、そのポケットから小さな、しわくちゃになったたんぽぽが出てきた。
今日の朝公園に行ったとき、きれいだな、と思ってつんだものだった。
早太はそれを急いでのばして、ゆきちゃんに差し出した。
「これ……お別れのしるしや」
ゆきちゃんは、それを受け取ってみつめた。
そして笑顔でもう一度「ありがとう」と言った。
その握りあった小さな手が互いに離れた。
ゆきちゃんはバスに足をかけて、手をふった。
「バイバイ!」
早太もそれにこたえるように手をふった。
「バイバイ!」
そして、ゆきちゃんはバスにのりバスはゆっくり動き出した。
窓でゆきちゃんが手をふっていたので早太も体をつかって、大きく手をふった。
途中まで、バスを追いかけるように走りバスが本格的に動き出してからその場に立ち尽くした。
「……………」
早太はゆきちゃんと握りあった手をみつめていた。
そして、もう一度「バイバイ」と小声でつぶやいた。

こうして早太は別れをひとつ経験し、大人へと近付いたのであった。
2005/04/06(Wed)13:46:17 公開 / 五月
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■作者からのメッセージ
こんにちは。
これは子供同士のほんわかとした雰囲気を描いてみました。
どうでしょうか。
前より少しは精進(?)しているでしょうか。
いろいろなコメント、お願いします。
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