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『Tea Time Lover(読み切り)』 作者:浪速の協力者 / 恋愛小説 恋愛小説
全角2137.5文字
容量4275 bytes
原稿用紙約9.7枚

「拓海(たくみ)〜、紅茶入れて〜。」


拓海の家に遊びに来ている私は、だらだらした感じで言った。


「あのな、ぐ〜たら姫。俺は今、仕事中なのだが?」


こちらに背を向けたまま、パソコンに向かって文字を打ち続けながら、彼は言った。


「だって、退屈なんだもん。」
「だから『今日は来ても相手できない』って言っただろ?」
「家にいたら、余計につまらないじゃない。」


彼は手を止め、私の方を向き、じっと見つめてから、すくっと立ち上がり、台所へと向かった。







短編小説 『Tea Time Lover』






私たちは付き合い始めてから、3年目のカップル。
彼とは高校2年の頃に知り合い、現在は同じ大学に通っている。
先ほど彼の発言にあった『仕事』というのは、執筆のことである。
実を言うと、彼は高校生の頃に、作家としてデビューを果たしているのである。
作品の売り上げも決して悪くは無い。


「お前、大学の友達とは遊びにいないのかよ?」


台所で紅茶を入れている拓海が言った。


「だって、遊びに行ったら、そっちが妬くじゃない。」
「男が相手じゃないだろ?」
「じゃあ、男だったら妬くんだ〜。」
「…………………………。」


何も返事が返ってこなかった。
どうやら図星だったようだ。
しばらくして、可愛らしいティーポット1つと、取っ手が金縁のティーカップ2つをお盆に載せて持ってきた。
その時、彼の顔が少し赤かった事は言わないでおいた。


「ありがと〜♪」
「ったく、紅茶ぐらい自分で入れろよな。」
「だって、拓海の入れる紅茶って美味しいんだもん。」


それは本当だった。
拓海の入れる紅茶は、そんじょそこらのカフェよりも数段美味しい。
『優しい』という表現がぴったり合いそうな味だった。


「じゃあ、お前はこれを飲むためだけに俺の家に来たのか?」
「うん♪」


私が元気良く返事すると、彼はやや残念そうな表情を見せた。
何がそう残念なのかは大体察しが着く。
要するに、私はただ遊んでいるだけだ。
というわけで、もう少しからかってみることにした。


「こんな可愛い彼女を放っておいて、自分だけ良い思いをしようなんて、そんなの不公平でしょ?」
「普通、自分で自分のことを可愛いって言うか?」
「うっ………い、いいの!」


逆にからかわれてしまった。
少し腹が立ったので、入れてもらった紅茶に口をつけた。
ふぅ………やっぱり拓海の紅茶は美味しい。


「美味いか?」
「もちろん♪」
「今日のは、いつものとは違って、特別な紅茶だ。」
「特別?」


そう言われてみれば、たしかにいつもと違う感じがする。
普段のと比べて、香りや風味が違う。


「出版社の人からの頂き物さ。本場イギリスの高級ブランドの物だそうだ。」
「え?!そんなの私が飲んでいいの?!!」
「紅茶飲むのが目的で来たくせに、何を今さら………。」


たしかに、それもそうだ。


「お前が、紅茶好きだという話をしたら、向こうの人も気を利かしてくれたみたいだ。その代わり、良い作品を書いてくれ、だとさ。」
「……………。」
「ん?どした?」


私が黙って、ジトーッと拓海の顔を見ていると、彼はそれに気づき、紅茶をテーブルに置いた。


「………拓海ってさ、出版社の人には私の事をどういう風に言ってるの?」
「ああ、そんな事か。」


彼はにやりと笑った。


「我が侭で、ぐ〜たらで、妙に意地っ張りで、まるで猫のよう。」


そう言って、彼は紅茶をまた一口飲んだ。


「………………………。」


ショックだった。
多少は自覚していたが、改めてそこまではっきり言われて、ショックを受けない人が一体どれくらいいるだろうか?


「でも、優しくて、可愛くて、甘えん坊で、俺にとってはめちゃくちゃ大切な彼女です、って言ってある。」


……………ハッキリ言って、恥ずかしい以外の何物でもなかった。
よくもまあ、それだけの事を、普段顔を合わす人に言えたものだ。


「嬉しい?」


彼は聞いてきた。


「し、知らない!」


と言って、ティーカップを持ったまま、身体ごとそっぽを向いてやった。
もちろん、嬉しいかと言われれば、嬉しい。
嬉しいに決まっている。
けど、あまりにも恥ずかしすぎる。
万が一、彼の職場を訪れる時があれば、どういう目で見られるか分からない。


「まあまあ、そう照れるなって。」
「照れてなんかない!!ってゆーか、あんたそんなこと言ってて、恥ずかしくないの?!」


彼は紅茶をテーブルに、ゆっくりと置いた。


「勿論、少しは恥ずかしいかなとも思うさ。でも、俺はそれ以上に、お前を自慢できて嬉しいという気持ちがある。俺にとっては、テレビで話題になってる芸能人や、アカデミー賞を取った女優とは比にならないくらい、誰よりも素晴らしい女性だと思えるから。だから、ちょっとくらい恥ずかしい事でも堂々と言えるんだ。」

……………。
あまりに褒められすぎて、逆にどういうリアクションをすれば良いのか分からなかった。


「え、え〜っと………あ、ありがと。」
「どういたしまして。」


彼の顔は、微笑んだままだった。


とある、昼下がり。
彼の紅茶はいつものように甘かったが、それは砂糖のせいだけではなかったと思う。






Fin
2005/04/05(Tue)21:48:28 公開 / 浪速の協力者
http://www.geocities.jp/c_naniwa/top.html
■この作品の著作権は浪速の協力者さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
3日間近くかけて書いたんですけど、あまりちゃんと考えずに書いたもんですから、オチがとてつもなく変になってしまいました(蹴)
しかも、背景が背景なもんですから、駄作な上に読みにくいという特典付き。前はそこまで言うほど短編って苦手じゃなかったんですけどね〜(かと言って、得意だったわけでもない)
もっと修行を積まねば、と思うばかりです。


<2005年3月9日〜12日 執筆>
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