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『僕らの背中【読みきり】』 作者:影舞踊 / 未分類 未分類
全角1986文字
容量3972 bytes
原稿用紙約6.35枚

「やっぱり外見より中身だよね〜」
―よく言う
「あんたそんな事言って結局は顔じゃん」
―そうそう。そんなものだ
「んなことないわよ失礼ねぇ。私の選ぶ男は顔もイイだけですぅ〜」
―神はなんというひいきをするのだろう
「はいはい」
―君も呆れるならば僕らを見てくれ



    「僕らの背中」



 人は必ず人を見る。人に触れ、人を感じ、人を好む。だがその間に生まれるのは様々だ。可愛さ故、哀れみ故、性欲故。僕らも同じように見られている。口ではなんと言ったってやっぱり人はかっこいいものが可愛いものが好き。いくら人前でごまかしてみたところで、1人になれば隠せない。どうしたって人によく見られようとするし、好まれようとする。誰であっても当たり前のことだ。
 僕らも同じ運命。そりゃあたまには違う人もいるさ。でも大抵人は外見しか見ない。中身なんて知ったこっちゃないんだ。ただ自分の周りを明るくしてくれるものを求めている。
―大丈夫。僕は君を楽しませて上げることが出来るよ。僕の事を見て…
 …やっぱりダメだ。僕らはいつもこうさ。そうそう、子供は親の背中を見て育つって言うよね。だけど僕は背中を見れば大概のことが分かるんじゃないかって。確かに詳細なことは分からないよ。もしかしたら想像していたのと全く違ってたってこともあるかもしれない。でも分かるんだ。彼らが今までに歩んできた道のり、苦労、そして今。それら全てが詰まったようなものなんだよ。僕の周りの彼らもこのことには賛成してくれた。でも結局背中を見れるのは自分じゃ無理なんだけどね。だからみんなにそれを見てもらいたい。僕らがここにいるよってことを教えたいんだ。
―そうそう。僕らの中身を見てごらん。きっと好きになってもらえるか…
 …やっぱりそう上手くはいかないものだね。何が起こるかわからないのが常な世の中だけど、そうそう変わってくれるものも意外と少ないもんさ。話を戻すけど、背中の話だったかな。こんなに僕らは静かで、大人しくて、見向きもされない様な所にいるんだ。背中ぐらいは出させてくれてもいいんじゃないか。でもそれは無理。スターって言う存在があるもの。輝いて、着飾って、彼らの周りはいつも賑やかで、僕らの存在をいっそう薄くさせる。中にはちょっと疲れたスターもいるけれど、それはとっても名誉なことなんだ。僕らは違う意味で疲れていくからね。
「おいまじかよ。どれどれ?」
「ばかっやめろって!声でかいんだよっ」
「何顔赤くしてんだよ」
 年頃の中学生か。彼らには僕らはきっと見向きもされないだろうな。同じなのにどうしてこうも扱いが違うんだろう。そうか、彼女らもスターだからだ。彼女らは美しく、僕らは醜い。だから僕らは顔を見せちゃいけないんだ。僕らの方が先輩だとか、彼女らは僕らよりも今の君達に悪影響だよ何てことは口が裂けてもいえないし、もともと言うことはないけどね。それでもやっぱり目の前でそういう行為を見せられるとちょっとジェラシーを感じちゃうよ。
「でさぁ〜」
―今度は女子高生(大生)か…どっちも今時の娘だなぁ
「やっぱり外見より中身だよね〜」
―よく言う
「あんたそんな事言って結局は顔じゃん」
―そうそう。そんなものだ
「んなことないわよ失礼ねぇ。私の選ぶ男は顔もイイだけですぅ〜」
―神はなんというひいきをするのだろう
「はいはい」
―君も呆れるならば僕らを見てくれ
 しばらく話をした後、彼女らは目的のものがあるらしく1人はスターの方へ、そしてもう1人はなんと、僕らの方へ来た。我先にとばかりに騒ぎ始める僕の友達達。こんな機会はめったにない。
―さぁぼくの背中を見てよ
―僕の方が広いでしょ
―何を、僕の方が綺麗だよ
 口々に思いのたけをぶつける。目の前の彼女は僕らの背中を見つめじっと考えるように目だけを動かす。ゆっくりと細く長い指で僕らの背中を撫で、何かを探すように見つめる。
―僕らの背中に何かついてる?
 何も分からないまま、彼女は指をはたと止めた。ゆっくり腕を下ろすとその場を後にする。
―あぁいかないで
―僕らを見てごらん
―きっと楽しませてあげるから
 声が届くはずもなく、僕らの望みは費える。きっとはじめからこうだったんだ。彼女は僕らに興味なんてなかった。ただ暇だったからさ。そうさ僕らは背中しか見せれないんだから。



「あった?」
「う〜ん、残念。売り切れか仕入れられてなかったみたい」
「そっか。ていうかマジレポートウザイよね〜。なんで名前も知らないやつの面白くもない本読まなきゃなんないのかねぇ?」
「あぁ〜めんどくさいなぁ。…遊びにいこっか?」
「おっけ〜!カラオケ行こっ、カラオケ!」





「おいっこの背表紙のやつもういいわ。古本に出すか、廃棄しといてくれ」
「は〜い。わかりやした」

―やっぱり背中だけじゃ語れないことが多すぎる……
2005/01/06(Thu)11:05:40 公開 / 影舞踊
■この作品の著作権は影舞踊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
果てしなく土下座(スイマセン
意味不明な分を投稿してしまい(じゃぁすんな 特に言いたかったことは最後の1文だけなんですけどね。
人間にも本にも言えると思ったんで、結果このようなやつが誕生したわけです(笑
感想・批評等頂ければ幸いです(ヘコヘコ
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