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『折れたナイフは光らない』 作者:うしゃ / 未分類 未分類
全角7549.5文字
容量15099 bytes
原稿用紙約27.5枚
 
 折れたナイフに人は切れない。
 それは当たり前の事実。
 
 はじめ
 
 僕にせんべいとチョコレートを買ってこい、と彼女は言った。
「せんべいは塩せんべい、チョコはビターチョコ」
 そう注意して、彼女は五百円玉を僕に投げた。僕は時速八十キロほどで飛んでくる物体をぎりぎりで受け止め、彼女を見た。
「寄り道しちゃダメよ」
 彼女はそれを最後に僕を寒い外へ締め出した。
 
 まぁ、いいんだけどね、と僕は歩き出した。そろそろ外に出たいな、とか思っていたんですけどね。ちっともこの寒さは僕の体にはこたえていないよ。
 塩せんべい、ビターチョコ、塩せんべい、ビターチョコ……。
 どうも組み合わせが悪いような気がした。彼女の舌に文句をつける気はないが、これでは糖尿病にでもなるような気がした。
 僕は悩みながら、歩いた。あと四百五十歩も歩けばコンビニについてしまう。どうしようか?
 僕はジャケットのポケットに手を突っ込んで、まぶしい空を見た。
 もしかしたら、錯覚かな、とか思った。
 そうかもしれない。光の屈折かもしれない。
 だから、とりあえずこの五百円玉で、お使いを済ましてこよう。そうしたら、なにか変化があるかもしれない。
 コンビニには三百九十五歩で着いた。
「ありがとう、ございましたー!」
 ツナマヨおにぎりと雪見大福とじゃがりこと他いろいろを買ってコンビニを後にした。
 僕は心配になりながら、道を歩いた。少し早足だ。
 案の定そこにはさっき見たものが転がっていた。
 よくわからないが、ここに横たわっているのは人らしい。そして女の子みたいだ。
 僕はしょうがないので連れて行くことにした。

「ただいまー」
「おかえりー」
 彼女は早速コンビニの袋を取った。
 中身を見て、目を鬼のようにしたが、予想の範囲内みたいだったので、別に怒るとか、殴るとか、蹴るとか、そういうことは少しだけだった。
 それより、と彼女は僕が担いでいるものに注目した。
「落ちてた」僕は正直に言った。
 彼女も正直に答えた。
「誘拐?」
 違います。僕は十分ほどかけて必死に説明した。今、そういうのすごくやばいんですよ、と説明した。そういうのを書くのって度胸いるんですよ、と説明した。そして、僕にその度胸はないことを説明した。
 十分経つと、彼女は全然納得していない顔でこう言った。
「つまり、誘拐?」
 僕は諦めて、背中の女の子を下ろすことにした。
 とりあえず、家に入れてください。このままじゃ、凍え死にます。
 彼女は全然納得していない様子だが、家に入れてくれた。
 女の子を下ろした僕に、彼女は胡散臭そうな目で僕を見た。
「それ、どこで拾ったって?」
 女の子を指差しながら言う。
「コンビニの前」
「サカイさんのうちのところ?」
 僕は首を振った。
「コニシさん?トコロさん?」
 僕は首を振った。
「もっと正確な場所は?」
「ここから十五歩のところ」
 彼女は律儀にいまいる場所から十五歩歩いた。そうすると自分の家の前に着いた。
「ここ?」
「うん」
 彼女は女の子をじっと見た。
「……捨て子?」
 僕は、違うと思うよ、と彼女に言った。
「なんで?」
「怪我してるもん、足」
 女の子の足を彼女は注意深く見ている。僕はそのうちに雪見大福を冷蔵庫に入れた。喉が渇いたので、ついでにお茶を入れる。
「ほんとだ」彼女は台所まで来て、そう報告した。「怪我してる。……つまり、行き倒れ?」
 ファイナルアンサー?と彼女は聞いた。
 僕はそれでいいんでない、と答えて、コンロのつまみを回した。
 私、コーヒー、という声が聞こえたが、残念ながら、僕が入れているのはお茶なので無視した。
 居間に戻ると彼女はコタツに入って、テレビを見ていた。
 僕もそれに倣って、コタツに入った。
 彼女はじゃがりこをぽりぽり食べながら、こっちをチラッと見る。
「なーんで拾ってくるのかな、こんなもの」
「邪魔だったから」通行の。
「ウソツケ、それならなんでコンビニまで行ってんのよ」
 痛いところを疲れたので、僕もテレビを見ることにした。
 他に何か言われるかと思ったら、何も言われず、彼女はテレビを見ていた。僕は、彼女を見て、そして女の子を見た。
 いつの間にか、足には包帯が巻かれている。
 僕はコンビニ袋を見てみる。そこに入っていたはずの包帯とガーゼがなくなっている。
 彼女はじゃがりこをぽりぽり食べながら、こういった。
「おつり返してね」
 僕が自腹を切って買ってきたものを食べながら言うセリフではない。
 しかし、この場合、どっちが自腹のものなのかを考えたら、微妙なので僕は何も言わないことにした。
 
 その日から同居人がひとり増えた。

 まずは、女の子の名前を考えることにした。コタツに両手と両足を突っ込みながら会議をする。
「名前はリン、りりしい子になるようにって」
「それ、さっき見てたドラマだよね」
 第一案不可。
「目が青いから、アオはどうかな」
「安直、そういうことだから、子供は親を恨むのよ」
 彼女の一方的な攻撃で、第二案不可。
「よく見れば、ていうか、よく見なくても、この子可愛いわね。なんだろう、アニメに出てきそう」
「その表現NGじゃない?」
「うるさいわね、考えなさいよあんたも」
「いや、きみ考えていないじゃん」
「うーん、目が青いから、あおはどう?」
「さっき、僕が言った……」
「よく見なさいよ、ひらがなでしょう」
 第三案、というか、第二案´不可。
 そういうことで、一時間ほどの話し合いの結果。僕らには名づけのセンスがないことがわかり、こういうことは本人に決めてもらうことにした。
 それが一番いい。
 そういうことで、女の子が起きるのを待つ。
 その五時間後ぐらいに女の子は起きた。
「あ、起きた起きた、って、きみも起きなさい」
 僕は彼女の頭をつついた。
「うが」
 彼女は女の人が発する言葉ではない言葉を吐いた。
 そんな事をしている間に、女の子は起きて、こちらを見ている。
「こんにちはー」
 取りあえず挨拶した。女の子は警戒しているようだ。
「じゃなくて、こんばんわー」
 受けなかった。
「それでさ、早速だけど、君の名前を決めてもらえるかな、僕たちだけでは決められなかったんだ」
 女の子は訳がわからないという顔をした。
 僕はいろいろ説明した。
「……わたし、名前あるんですけど」
 女の子は俯きながらそんな事を言った。
 そういえば当たり前だった。
 僕も生まれて気付いたときには名前が付けられていた。誰の所為だ。
 僕は彼女をもう一度起こすことにした。
「が」 
 さっきより一文字短い。
「君も入ったら、コタツ」
 ストーブも付いていないこの部屋は寒いので、僕は手招きした。
 女の子は二十分ぐらい警戒したあと、寒さに耐え切れなかったようで、コタツに入った。
 コタツの四つの席が全部埋まった。
 僕は聞くことにした。
「君、名前は?」
「……アズサ」
 全然にあっていない名前だけど、僕は、そう、といって頷いた。
 名前なんてそんなものさ。
 僕は手元にあったツナマヨおにぎりをアズサという名の女の子にあげた。
「うまいよ、マジで」
 そうしているうちに僕も寝た。
 
 夜は更けて、朝が来る。                   つづく

 つづき

 朝が来れば、夜は来る(繰り返し)。

「アズサ?なんか甘そうな名前だねー」
 彼女はいつも僕より起きるのが早い。ここら辺計算しているとしか思えない。
 それは、小豆……、と僕の横で声が聞こえる。
 当然のごとく、彼女は気付かずに話し続ける。
「んでさー、今日の朝ごはん何?」
 彼女は雪見大福を食べながら話している。それだ、とか言ったら怒られるんだろうか。
 この部屋には時計がないので、細かい時間はわからないが、腹の減り具合からいって、もう朝だ。
 彼女は、アズサに雪見大福の片方の四分の一を器用に切って渡している。
 アズサは複雑そうな顔でそれを受け取って、どうしようかな、これ、みたいな顔に続けた後、僕のほうを見て、この人何?といわんばかりの表情をした。僕に問われても困る。付き合いは僕のほうが長いが、理解度では底辺その一だ。
 彼女は更にその四分の一をコタツの使者にくれてやる。コタツの使者は、ふん、といわんばかりのパンチを繰り出し、毛づくろいを続ける。
 どうしたもんだろうか、このままでは僕がご飯を作らなくてはいけないような気がするんですが。
「ご飯作りたい人ー」
「ノー」「……」「にゃー」
 三者三様。
 しかし、作りたくないという意思は共通している。
 つまり、
「いってらっしゃい」
 僕が作ることになる。
 いえ、いいんですよ。料理は趣味みたいなものですから、毎日作っていますから。ただ、台所が寒いとか、水が冷たいとかは、まぁ、小さいことなんでしょうなあ。
 誰に語るでもなく、愚痴を心の中の自分(二号)に伝えながら、僕は米をとぐ。
 そういえば、と思い出す。
 コタツで丸くなっている女の子の姿を見て、一つ気が付いた。
「なんで、あんなところで寝てたの?」
 僕の気持ちは、彼女が代弁してくれた。しかし、寝ていたわけではないだろう。
「……眠かったから」
 寝てたのかよ。心の中でチョップを水平に繰り出す。しかし、誰にも気付かれない。
「なんで眠かったの?」
 彼女はしつこかった。
「睡魔がやってきたから」
「なるほど」彼女は頷いた。「しかし、それは答えにはなっていないわね」
 彼女は急に立ち上がり、アズサに向かって指を突きつける。
 突きつけただけだった。
 困惑するアズサ。何も言わないのかよ、と突っ込む僕。餌欲しさに僕の足に纏わり付く一匹。
 空気は凍りついた。
 しかし、いつものことだった。 

 僕は作った飯を机の上においた。チャーハン。
 四つの皿にもって、各々の前におく。
 無言で食べ始める。かにチャーハン(缶詰)なので、一応無言作用があるのかもしれない、しかし殻付ではないので、そんな事ではないのだろう。
 問題は、
 夢中で食べ続ける彼女。
 夢中も何も、それが生きがいのコタツの使者。
 ただ黙々と、感想もなく食べるアズサ。
 全てだ。
 この部屋を構成する全ての物体、あるいは物質が問題だ。
 僕はそんな事を思いながら、自分が作ったチャーハンに点数をつけた。八十二点。
「いた」
「なにが?」
 アズサが急に口を開いた。そして、彼女はすぐにそれに反応した。
「何かいたの?何がいたの?それは動物?」
 彼女はチャーハンにがっつく可愛い耳の持ち主を見る。
「……そうじゃなくて、……足」
「あ、めんご」
 どうやら、彼女がアズサの足を蹴飛ばしたらしい。鈍い女だ。
 彼女は僕の頭にチョップを叩き込んだ。鋭い女だ。
「怪我した方?」
 僕は舌をかんだけど、何とか発音した。
「うん」
 コタツの布団をめくってみた。
 見てみると、血がドバドバ出ている。僕の足も血まみれだ。
「…………」←僕
 自分の足をあらためて見るアズサ。
「…………」←やっぱり、僕
 なんじゃこりゃー、と叫ぶ場面である。
 しかし、声が出ない。
「きゅうきゅうしゃ、きゅうきゅうしゃ」
 文字変換すら出来ないほど、僕は焦っていた。こんな大量の血は見たことがない。
 彼女は僕に右手を差し出した。
「慌てるな」
 妙にハスキーボイスで彼女が言った。
「……こういうときゃ、慌てた方が負けさ……」
 僕は深呼吸を二回して、あらためてアズサの足を見る。
 血だらけだ。
「救急車ー!」
 救急車を呼べ、と騒ぐ僕。
「だから、慌てるなって」
 彼女は横柄な態度で、僕を突き飛ばし、アズサの近くへ行く。ていうか、お前が血だらけにしたんじゃねーのか?
「救急車は、呼ばないでください」
 アズサがはっきりとした声でそういった。こんなにはっきりとした声を聞くのは、ツナマヨおにぎりに評価を下したとき以来だ。
「……大丈夫、すぐに止まります」
 落ち着いた声だった。
 その言葉の通り、血はすぐに止まった。
 訳の分からない数秒の沈黙が降りてきたが、それは彼女の声で去った。
「おい、包帯とガーゼかって来い」
 彼女は五百円を投げた。僕はそれを受け取り、買ってくることにした。

 包帯とガーゼを巻いたのは彼女だ。アズサは黙って巻かれている。僕は血だらけに出したコタツ布団をクリーニングに出しにいってくる。ちょっと興奮したんで、とか言い訳してきたが、鼻血にしては明らかに出血多量なところだが、後は野となれ山となれ。ついでに見晴らしのいい展望台にもなれ。
 僕が戻ってきた頃には二人と一匹は残ったチャーハンを全部食べていた。
「えーと、怪我は?」
「治った」
 アズサは答えず彼女が答える。
「早、ってそんなわけないだろう。どんなナノマシンを搭載しているんだね君は」
「いいから」
 彼女は僕の手を引っ張って、台所に連れて行った。
 僕の手と顔がこわばる。彼女は真剣な顔をしている。
「…………」
 僕は彼女の顔を見て、手を振り解こうとする。
 彼女はなにを言おうとしているのか?
 彼女は離さない。
 そして、こういった。
「昼ごはん」
 僕は、メニューを考える。
                               つづく

 つづき 
 
「ここか」
 あらゆる意味で謎の男は言った。
「面倒なことにならなければいいが」
 男はそういって、目の前にある家を見た。

「ほうら、これがペンギンだ」
 僕は群れているペンギンの群れを指差して言った。
「トサカがないな」
「それは違う種類のペンギンだ」
「ペンギンはみんなトサカが立っていて、眉毛が濃いもんじゃないの?」
 彼女はペンギンを勘違いしているらしい。しかし、わからないでもないので放っておこう。
「……大きい」
「うん、地味に大きいな、近くで見るとすごい迫力だね」
 アズサより大きいペンギンを見ながら、僕は頷いた。
「……かわいくない」
「かわいくないな」
 女性たちは、どうやら気に入らなかったらしい。「トサカねえしなぁ」気に入らなかったらしい。
 しかし、
「なんだよ、見たいって言ったのはアズサだろう」
 なんだか、しょんぼりするお父さんの気分を味わって、僕は話しかけた。
 そう、ペンギンが見たい、という言葉があったので、つれてきたのだ。
 しかし、アズサの反応は芳しくなかった。何がいけなかったのだろう。羽毛か?確かに海に入ったばかりはペタンとしていて、がりがりの少年を思い出させる。余りに群れすぎると気持ち悪くなるからか?あれが襲ってきたら、と想像すると恐ろしい。えーと、後は……。
「……しょせん飛べない」
「言うな!それは言うんじゃないよ!奴らは飛ぶことに意義を持たなかったんだ。奴らは陸で暮らすことを選んだんだ。その英断を、飛べない、の一言で片付けるんじゃねー!」
 僕は寒さの中叫んだ。
「奴らは飛べないんじゃない。飛ばなかったんだー!」
 僕は力の限り叫んだ。アゴヒモペンギンがこちらを見ている。
 ポン、と肩に手が乗せられる。
「熱くなるなよ、坊や」
 彼女は例のハスキーボイスで言った。
「あ、ああ、すまなかった。いや、すまない」
 彼女の手が暖かかった。彼女を見ると、彼女の口は確かにこう動いた。
『わかってる』
「はらへった」
 うん、いや、いいほうに考えよう、何事も。さ、行こうか、アズサ。
「次は何が見たい?」
「……トラ」
「トラはここからじゃちょっと遠いな、他は?」
「……キリン」
「いや、キリンも遠いよ」
「…………」
「じゃあ、熊を見に行こうか、ここからなら近いし」
 なんだか見間違いかもしれないが、アズサが溜息をついたような気がした。ついでに言うと、勝手にすればいい、とかいったような気がした。
「はらへった」
 とりあえず熊だ。熊。
 
 五十二回目のチャイムを鳴らして、男は扉を見た。
 すると、三十回目ほどの音がした。
 がりっ。
 なんだか扉が削れるような音だ。
 がりっ。
 気のせいかその音がするたびに、「ふぎゃ」という猫科の鳴き声が聞こえるような気がする。
 そして、
 ガチャ。
 ギィ。
「にゃー」
「…………」
「にゃー」
「……失礼します」
 猫科の動物は男を招きいれた。

「しかし、寒いな」
 僕はもふもふ付きのコートを来ているか確かめた。
「寒いね」
 彼女は非常にまれなことだが、素直に頷いた。
「……寒い」
 アズサもそれに続く。
 白い空だけが現実を語っていた。
 
「にゃー」
「ああ、すんません」
 それっきり、猫はコタツの中に入って出てこない。
「…………」
 俺にどうしろと。
 しかし、ここにいるはずだという情報を聞いたのだが、誰もいない。もしかして、事前に気付かれたのだろうか。しかし、今の二十一号にそんな能力は残っていないはずだ。
「おかしいな」
「にゃー!」
「あ、ごめん」
 俺は脚をずらして、当たらないように調節した。
 すると、
「何だこれ」
 コタツの中に紙が入っていた。くしゃくしゃに丸められている。
「こんなものを入れておいて、火事になったらどうするんだ」
 俺はそれを取り出した。ついでのようにその紙を開いてみる。
『机の裏』
 と書かれていた。
「…………」コタツ机の上の部分を持ち上げてみた。
 紙が張ってある。
『写真の裏』
 目に入ったペンギンの写真をめくってみる。
 紙が張ってある。
『なかなかやるな。鈴』
「ちょっとごめん」
 コタツの中に入って眠っているうちに鈴をみせてもらう。無理やり紙がねじ込まれている。これでは、鈴が鳴らない。
『へぇー。タンスの下』
 必死に持ち上げて、何とか取り出してみる。
『よくやった。本』
 コタツの上にあるマイナー漫画雑誌が載っているので、それを読んでみる。二時間ほど熟読する。すると、最後のページにしおりが挟んである。
『よく頑張った、上を見よ』
 俺は上を見上げた。
『二週間ほど家を空けます。御用の方は諦めてください』
 …………。
「にゃー」

 空に光が溢れている。
「綺麗だな」
 オーロラは不思議なほどに光を発している。
 アズサは何も言わず、それを見つめている。
 彼女は、どこかの民族と変な鍋をつついている。
「……うん、綺麗」
「南極にきてよかっただろう」
 僕は聞いてみた。
「……うん、微妙」
 アズサは僕の右手を握った。
 僕は握り返さずにそのままにしておく。
 一面が空。
 光が空。
 僕らは黙って、見続けた。
                               つづく

 
2004/12/31(Fri)21:20:39 公開 / うしゃ
■この作品の著作権はうしゃさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 皆さん、はじめまして。呼んでくださってありがとうございます。
 卍丸さん、ご指摘ありがとうございます。直しました。意外と気付かないもんです。
 あれ?動き出しましたか?いえ、まったく動きません。せっかく、それらしいキャラを入れてみても、こいつらは完全無視です。私には手の施しようがありません。そして、なんだか今回テンション低めです。年も終わりそうだからでしょうか。
 追記 この頃ミステリが書いてみたくなりました。もうちょいしたら挑戦してみます。
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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