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『だから今日も僕らは歌う』 作者:俊坊 / 未分類 未分類
全角4088.5文字
容量8177 bytes
原稿用紙約12.15枚
 俺は中学、高校、大学とずっと陸上をやってたんだが、それが一番充実していた時期だった。
 ガムシャラに走り、他人から見れば「そんなに走って楽しいか?」といわれるほど走った。でも充実してたから、走る事が苦に思うことはなかった。
 でも大学はスポーツ推薦で行くことができたが、就職にはそんなものはない。やりたい職業はあったが、そのための勉強はなおざりになっていた。今の不況、案の定就職試験をことごとく落ちてしまった……。
 じゃあ今は何をしているかって?
 世間では、プー太郎って呼ばれる部類だな。俺的社会レベルは、底辺ギリギリ、いやもう底辺に穴掘ってその穴にはまっている状態だ。
 そして今は、とてもつまらない。
 バイトをしたって、店長の言われたとおりに仕事をこなすロボットと同じだ。代わりならいくらでもいる自己主張のない世界。金を稼いだって、そうしないと生活できなからで、それ以外に何か目的があるわけでもない。世間でいうモラトリアム人間とは違う。別に大人になりたくない、ということではない。就職したい願望は強い。だが行動に出せない。
 俺を突き動かすものは、いつもあれだった。
 自己主張――
 走ることに充実感を持っていた理由の一つがこれだ。陸上の大会に出れば、『俺はここにいるんだ』って気持ちになれた。それなりに結果も出せていたから、それなりに名も知れいた。もっともっと俺を見て欲しかった。だが就職できなった時点で、俺は自己主張の場をなくしたんだ。そんな世界でやる気などでるわけがない。
 こんな歌があるだろう。
”ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン”
 俺はこんな曲が嫌いだ。なぜミリオンができたのか、いや分からないでもない。この歌詞はまさにナンバーワンになれなかったやつらを納得させるおまじないみたいなもんだ。この歌詞はそういう意味じゃないって? そんなの知るか。歌詞をどうとるかは主観の問題だろ。俺がそうとれたんだから、それも正解だ。
 それに、オンリーワンっていってもなぁ、社会全体から見れば、てめぇらの代わりなんていくらでもいるんだよ。そう俺もその一人。代わりっていうか、プー太郎の俺は、それ以前の問題か。
 俺にとってのオンリーワンっていうやつは、自己主張ができている奴等のことだ。
 「あいまいな日本人」「ノーと言えない日本人」ってぇのが国際的評価になっているが、なんで日本人は自己主張を嫌うんだろうだな。目立つのが嫌いか? そうかもしれねぇな。群集心理っていうやつは異質性を持ったやつらを時としては変な眼でみる。つまり、異質性はいじめの一因になりうる。かといって同質性も内的抑圧もあるから、こっちも一因になるのだが。
 まぁそんなことはどうでもいい。
 ようは、自己主張できないやつらは、俺にとってはオンリーワンでもなんでもない。「ウォーリーを探せ」にでてくるウォーリー以外の一人に過ぎない。まぁ、主観的に見れば、まわりにちゃんと自分を見てくれているやつらがいるから、いいかもしれないのだがな。
 それで納得できているやつは、ある意味羨ましいよ。だが、俺はそれじゃあ納得できねぇんだ。もっともっと俺は表に出したい。だが、その場が見つからない。
 こう言う奴もいるかもしれない。
 今はないかもしれないが、未来にはあるかもしれない自己主張の場で努力しろって。
 だが今まで、今しか見ない向こう見ずな行動をしていた俺にとっては、無理な話だ。それで頑張れていれば苦労しない。
 じゃあどうすればいいというのか。それに対して、俺なりの答えを出してみた。やはり、今に自己主張の場を作るしかない。
 ずっと底辺でくすぶったまま負け組みにいるのも面白くない、かといって未来に向けて努力というのも今すぐには出来そうにない。だから、自分で自己主張の場を設定したんだ。場所は大阪梅田駅南口前にある歩道橋。日時は日曜日の正午。そして俺は今、そこに立っている。

 予想通りだ。うじゃうじゃと、人で溢れてかえっている。押しくらマンジュウでもしたいのか、って思えるほどだ。
 で、ここで何をしてやるって?
 まぁ見てなって。
 ヒントとして、最近俺は作曲なんかしている。ヒントもクソもないな。もう答えを言っているようなもんだ。だが、俺はなぁ、曲なんて創ったこともなければ、ギターを弾いたこともなく、カラオケなんてつい先日まで小学校以来という人間なんだぜ。多分、大学の同級生にこのことを教えたら、「ネジ一本抜けたか?」って言われそうだ。
 なら、なんでこんな無謀なことをしようと思ったんだって?
 実際は、”ある言葉”をぶつけたかったんだ。だが、それはいきなり叫んだところで意味がない。その前に、相手の眼を引き止める必要があった。で、そのためには何をすればいいか。そのきっかけが、先日駅前でやってた路上ライブだ。何人かが立ち止まって、その曲を聴き入っていた。
 これで理由は分かるだろ? 自分で言うのもなんだが、ほんま短絡思考だよ。 他にもやり方なんていくらでもあったかもしれないのにな。
 んでもって、そうなったらすぐに作詞作曲だ。さっきも言ったが、俺はそりゃミスチルとかユズとかメジャーな曲とかは聴いていたが、歌うとなると話は別だ。本当に部活に没頭していたからな。だが、それでも路上ライブの光景は俺の眼に強く焼きついていた。一度決めたら俺はやる。作詞は案外簡単にできた。まぁこれも所詮素人の底辺レベルなのだろうが。そんなのはかまわない、気持ちでカバーしてやる。自己満に過ぎないが。んでもって作曲は、もう楽譜なんか知るか。全部口ずさみだ。用はフィーリングだよフィーリング。結局、どこが”ド”でどこが”レ”とかもサッパリ分かってないまま、完成してしまった(あくまでも俺的にだ。
 こんな事やって今の生活から抜け出せるのか、だって?
 そんなの俺にも分からねぇよ。だが、それでも俺は自己主張をしたかった。これで何か、を。だから言っただろ、俺は向こう見ず、だって。もう今に始まったことではない。
 そして今、橋の手すりの側にいる俺は隣に眼を向ける。
 この歩道橋はちょくちょく歩くことがあるが、やはり今日も何人かアクセサリーや絵などを売っている人がいる。しかしタイミングが悪かった。ちょうど見たときは、どこも客がいなかった。そんな所を見てしまうと、少し不安になってくる。
 ふぅー――流石に一息つきたくもなる。心臓なんてもうバクバク言ってやがる。
 だが、もう後戻りはできない。
 ふぅ――もう一度吐いてみたが、緊張感は全く変わらない。
 周りは何も気付いていない。当然だ。俺は何も準備もしていなんだから。これから歌います、という素振りすらしていない。服装もジーパンにTシャツ。ポケットの中にサイフと携帯があるくらいで、他には何も持ってきていない。
 勇気っていうのは、こういう時にいるんだろうな。
 だが、気持ちっていうのは脆いもんだな。あんなにも固まっていたはずの決意がここにきて揺らぎだしやがった。なんだよ俺。俺はそんなにもダメ人間なのか? ここでやらなきゃいつやるんだよ。う〜〜あ〜〜、もうここに来て悩むな!!勇気みせろや!! 根性見せろや!! 歌ってやるよ!!
 俺は、大きく息吸い込み、そして・・・・そして――
 大きく口を開き、歌いだした。
 
”あの日も僕らは走っていたね
          後戻りはできないから 今だけを見つめて”

 突然の歌声。っていうかダミ声?に、歩行者は驚いたようにこちらを振り向いた。まぁここは当然の反応だろう。何せ俺は、楽器もマイクも何もない。歌う仕草も見せることなく、歌いだしたんだから。

”先を考える時間もない その日その日で精一杯な一日
                   充実した日々 見え隠れするするヒビ”

 音程がずれようが、そんなのお構いなしだ!! お、以外と立ち止まってくれている。

”眼を背けていたから ヒビは次第に広がっていく
                     もうそれはふさがらない”
 
 いや、やはり世間は厳しいよ。一人、また一人と足を進めだした。

”僕は今 何を見つめていればいいのだろう
             深い森の奥でさまよっている
                         出口は見当たらない”

 だが、まだ見てくれている人はいる。それが奇異の眼差しだろうが、なんだろうがかまわない。
 後少し!!

”僕はいつだってここにいる
        だからその眼で 僕を見てください
               みんなが笑えば 僕も笑うから
 僕はいつだってここにいる
        だから僕を 忘れないでください 
               それが僕のミチシルベ――”     
 
 後で歌い返せば、すごく恥ずかしく思うんだろうな。所詮、テレビの素人番組の底辺レベルだ。いや底辺とかそういうレベルか?
 だが、だからなんだ!!
 気持ちは負けていない!!
 精一杯に伝えたこの歌詞を、どこを恥じようか!!
 今はそう思うことができた。
 そして、俺は歌いきった――二番なんかねぇよ。むしろ短い方が、飽きられる前に言わなければ、というのに都合がいい。
 俺は綺麗に歌うとか、そんなことは一切考えず、がむしゃらに精一杯歌いきったんだ。ギターもマイクも持たず、たった一つのこの口だけで歌いきったんだ。
 大半が変な奴と見ているかもしれないが、これを見てくれている奴らがどう思っているかなんて対して関係ない、俺を見てくれていることに意味がある。
 そしてここまで来たんだ!!
 後は、この言葉を言うだけだ!!
 俺は大きく息を吸い込んだ。そして、両手を大きく振り上げながら、立ち止まってくれた人達の眼を見ながら叫んでやった!!
「イシダケンタはここにいるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 天を見上げると、空はどこまでも青かった。
 
2004/10/31(Sun)01:14:36 公開 / 俊坊
■この作品の著作権は俊坊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 執筆時間一日。
 昨日に続き、似たようなタイトルで再挑戦。
 前回とは、全くテイストもタッチも異なります。エゴだ、といわれてかまいません。文が汚い、といわれてもかまいません。悲観しすぎだ、といわれてもかまいません。もうオチとか、どうとか何も考えず直球勝負に出ました。自分の心を正直に文章にできたと思います。
 後付けとして、昨日アップした作品のレスが少ないことに対する思いとともに
 あぁー、明日からは、うちの学校の学園祭だー(そんなこと聞いていない

批評感想お願いします(切
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