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『シンデレラはマジでいた。 読みきり』 作者:風間 リン / 未分類 未分類
全角1615.5文字
容量3231 bytes
原稿用紙約5.45枚

「お母さん、これ読んで!」
一冊の絵本を持った少女が母に駆け寄る。
「由加、またこれ?昨日も一昨日もその前もこの本だったわよ?」
「昨日は、王子様が追いかけてから寝ちゃったの。一昨日は、おばあさんが出てきてから寝ちゃったの。その前はお姉さんと継母がパーティーに行ったときに寝ちゃったの!続き続き!」
二人は布団に入った。母がその絵本を読み上げる。
…そう、それはシンデレラ。

12年後…由加16歳
「由加!掃除!早くして!」
同い年のいとこの奈緒。なんというわがままな女。大してかわいいわけでもないのにそんなけばけばしく顔を塗ったくって…。
「由加!いい?明日はね、翔太君がくるの!私に会いに!少しでもほこりが落ちてたらあれで一晩中殴ってあげる。」
 奈緒の指の先には一本の木刀。由加はあの木刀で、この家に引き取られてからの10年間、殴られることは何度かあった。
その激痛で失神し、救急車に運ばれたことも何度もあった。今も由加の体にはいくつものアザがあった。 

母は10年前に死別。父は生まれる前に蒸発したと叔母から聞いた。

「わかった。いってらっしゃい。」
由加が奈緒を見送った。由加は実は学年の男子にとても人気があった。そのスタイルと綺麗な髪。そしてなんといっても美人。
 奈緒はそんな由加が許せなかった。
散らかった奈緒の部屋の掃除をする由加。
 明日、客で来る翔太というのは日本でも有名な企業の次男坊。かっこいいと評判だ。
「由加、ご飯の準備!お風呂と洗濯物!」
叔母の怒鳴り声。
 
こんな生活よく続けられるかって?昔、落としたイヤリングの片方を拾ってくれた王子様がくると信じて。まるで自分がシンデレラのようになりたい。いつか王子様が迎えに来てくれる!…そう思って一人の男性を待っている。誰かもわからない、自分を救ってくれるただ一人の男性を…。でも苦痛はかなりあった。

「掃除はこれでよし。ご飯の準備か。お買い物行こう。」
鼻歌を歌いながら町に出る。長い髪を軽く縛り、軽い足取りで歩いていた。
すると一人の男が由加に声をかけた。
「あの、お財布おとしませんでしたか?」
「え?」
かばんの中を探ると財布が無かった。男の手を見るとそれは叔母から預かった財布だった。
「あ、ありがとうございます!あなたは命の恩人です!」
深々と礼をいう由加に男は笑った。
「命だなんて、大げさな。」
よく見ると男はかなりの美!しかし恥ずかしいという気持ちで由加の顔は真っ赤だった。
「…でも本当に。」
いきなり暗くなった由加の顔はそのまま明るくなどならなかった。
「話、聞いてもらえますか?」
「あ、うん。」

公園のベンチにすわると男は
「あ、僕名前、晶(あきら)。よろしく。」
「山瀬由加です。」
由加は今自分の置かれている状況を詳しく説明した。
晶はどうして訴えたりしないのか、逃げ出したりはしないのか、など質問攻めをしたが由加は
「王子様を待っているんです。」
と一言いって去っていった。

次の日。
翔太が家に来た。由加は翔太の顔を見るのが初めてだったのでどんな人だろうと見に行った。
「え!?晶さん!?」
「はっ!?…晶は僕の兄さんだよ?」
…翔太の顔は晶そっくりだった。しかも翔太は晶の弟。

その言葉を聞いた奈緒はその夜由加に拷問のような仕打ちをした。すると家のチャイムがなった。
「由加!お客さんよ!」
いつもどす暗い声で叫ぶ叔母が優しい声で呼ぶので不思議に思った。
 玄関に行くとそこには晶が立っていた。
「由加さん…僕とお付き合いしてください!」
「はぁっ!?」
いきなりそんなこと言われた由加は頭が混乱してきた。
「由加さん。私はずっと前からあなたのこと、好きでした。」


   数年後。由加と晶はめでたく結婚。
二人の愛の決め手はイヤリング。
拾っていたのは晶。もう10年以上前の話。
 (それでなくても由加は晶のことを愛しているみたい。)

           

えんど
2004/08/27(Fri)00:46:21 公開 / 風間 リン
■この作品の著作権は風間 リンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
…。
やばいよ。夏休みおわる・・・。あぁっ!
時間よ!もどれ!
ていうか私、主人公美人しかかけない!
やば!
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