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『死神さん、さようなら』 作者:律 / 未分類 未分類
全角6999文字
容量13998 bytes
原稿用紙約23.45枚
 ウザいから死ねよ。人を人とも思わないようなやつらはこのクラスからいなくなれ。
 画鋲。シカト、ボコリ、ノートに落書き、机に花。今日も見当たらない私の名前。
 教室の中で私は自分自身がいるのかいないのかわからなくなる。
 肉体から魂が飛び出て「幽体離脱」とか言って遠くから眺めているみたい。
 私はここよ。ちゃんとここにいるよ。ねぇ、名前を呼んで。
「栄子、ちょっと」なんてやっと名前を呼ばれたときは教室や廊下でボコられるときで、
 皮肉にもこのときだけ私はここにいることを感じる。
 なんで蹴られているとか、なんで暴言を吐かれているのかとか考えない。
 もうたくさん考えたけれど答えなんて見つからないから。
 考えることはひとつ「お腹を蹴られて、いつか赤ちゃん産めなくなったら嫌だな」
 骨のように白いブラウスは無数の上履きのあとで灰色くなった。

「死ねよ」私がそう呟いて学校の屋上のベンチでメロンパンをかじっていると
 背中から「3日後に死ぬよ」と声が聞こえた。
 振り返るとクラスメイトの小枝子だった。
「なにか用?」私は感情を込めないで言う。
 嘘。
 本当は感情の込め方がいまいちよくわかんないだけ。
「先生が呼んでた。進路のことで話があるってさ」と小枝子は笑いながら答える。
 小枝子は美人だ。髪は綺麗な黒髪で指を通したらすーっと通りそうで、
 セーラー服だってよく似合っていて、小枝子の制服姿を見るとなぜか夏の 朝の洗濯物を思い出す。
 思えばこうして普通に喋りかけてくれるのは小枝子だけだ。
「いつも一人でごはん食べてるの?」
 そういいながら小枝子は私の隣にちょこんと座って、スカートを整えた。
「当たり前じゃん。友達なんていないよ」
「ごめん」小枝子は申し訳なさそうにうつむく
「別にいいよ。それより何?さっきのあれ」
 私は食べかけのメロンパンをスクールバッグの中に閉まった。
「さっきのあれ?」
「誰か死ぬの?」
「ああ、朝倉さん。3日後に交通事故で亡くなる」

 朝倉というのはクラスの中心人物で彼女には絶対服従。
 たとえば彼女が黒板を「白いね」と言えば
「ほんと。雪のように真っ白」なんて笑いながら言わなければいけない。
 彼女に嫌われたらその日から“ハブ”だから。
 でも私は黒いものは黒いと言うし、白いものは白いと言う。
 そしてハブられた。
 私は朝倉がまえにハブにしていた女と仲良しだったのだ。
 私にとってはその子がハブだろうがマムシだろうが大切な友人だった。
 黒いものは黒。白いものは白。
 そして私は朝倉に嫌われてしまったのである。
 いつか黒板に押さえつけられて殴られてるときに朝倉にこんなことを言われたことがある。
「生き方が下手だね。あんたみたいなやつは学校では上手くやっていけないよ」
 その日から私は空気になった。無視。無視。無視。
 挙句の果てに私は大切な友人にさえ相手にされなくなった。
 それが一番寂しくて、悲しかった。
 朝倉がある日、一人でいる私を見て「ほんと、馬鹿だね」と笑った。

 その朝倉が3日後に死ぬと小枝子は言う。
「どうしてそんなことわかるのよ?」
「わかるのよ」と小枝子は言った「人が死ぬときがわかるの」
「だからどうして?」
「そんなのわからないよ」
 私が返事をする前に小枝子は会話を進める。
「理由なんて上手く説明できない、ただわかっちゃうの。その人の顔を見るとその人が死ぬ日付と場面が急につけた懐中電灯みたいにピカッって頭に浮かぶのよ」
 小枝子って意外と馬鹿なんだな、と思いながら
 私はスカートのポケットからマルボロライトを取り出して火をつけた。
 細く灰色の煙が死者の魂のようにゆらゆらと揺れながら空に消えていく。
 雲がゆっくりと私の頭上を流れていく。なんて自由なんだろう。大海を泳ぐ鯨みたいだ。
 嫉妬する。
「で、どうやって死ぬわけ?朝倉は」私は空から目を逸らした。
「無免許運転のバイク事故。電信柱にドッカーン!……あ。信じてないでしょ?」
 信じないよ、そんなの。

 教室に戻ると朝倉は窓際の一番後ろの席に大股を広げて座り
 彼女の周りをへこへこと彼女の取り巻きが囲んでいた。
 いつもの光景だ。
 朝倉が笑えばそれに合わすようにして周りは「あはは」と笑う。
 それは本当に言葉としての「あはは」で、とても質素に作られた作り笑い。
 朝倉はそれに気づかないから幸せ者だと思う。要は馬鹿なだけなんだけどね。
 そんなことを思いながら彼女を見ているといつの間にか目が合っていた。
 これは私のミスだ。
 いじめる奴と目を合わせてしまうなんてテストで名前を書き忘れるくらい愚かなミス。
 私は教室の出入り口のところで固まってしまった。
「やばい、何かされるな」と思った。
 逃げようか?
 そう思ったときにはすでに「栄子、こっち来い」とお呼びがかかっていて、
 こうなってしまえば逃げても無駄。
 うんこにたかる蝿みたいな彼女の仲間が私を追ってくるだろう。
 私は列と列の間を通りながら重い足を引きずるように朝倉のもとへ向かう。
 教室はしんと静まり返っていて視線は黙って私へと向けられていた。
「なに見てんだよ!」と朝倉が怒鳴ると
 クラスメイトはガタガタと椅子を鳴らしながら慌てて目線を逸らす。
 目線を逸らしても聞き耳を立てているのがわかる。
 もちろん止める人なんていない。
 学校でそんなことする奴って朝倉以上に馬鹿だ。

 小枝子の横を通り過ぎるとき彼女と目が合った。
 彼女は微笑みながら胸の前で指を三本立てて揺らした。
「あと三日後にあいつは死ぬよ」みたいなことを言いたかったんだと思う。
 本当だろうな、この野郎。

 そして私が朝倉の前に立つと、まず彼女はシャーペンで私の右手の甲をぷすりとさした。
 これは思ったより痛くなかった。注射みたいなもんだもん。よかった。
 ただ、次の平手打ちは利いた。
 ってゆうか平手打ちは顔が腫れ上がるし赤くなるから嫌なんだよ。
 そして私は蝿どもに囲まれて殴られる。蹴られる。「やめてよ」なんて一応叫ぶ。
 こいつらは苦しんだり、嫌がったりするところを見せれば満足するんだ。
 だから私の「やめてよ」はいつからか義務的で軽い叫び声になっていた気がする。
 本当の「やめてよ」はいつだって届かない。
 私にとって唯一の救いは「朝倉さん、3日後に交通事故で亡くなるよ」という
 不確かな小枝子の言葉だけだった。

 そしてその言葉は3日後、現実のものになった。
 朝倉が「無免許運転のバイク事故。電信柱にドッカーン!」して死んだ。即死だったらしい。

 土曜日、私たちのクラスは朝倉の葬式に参加した。
 笑う白黒写真の朝倉に向けてクラスの代表で学級委員の小枝子が「お別れの言葉」と読み上げた。
「いつも笑っていた朝倉さん。あまりの突然の死に驚いています」
 そして小枝子は淡々とその「お別れの言葉」とやらを読み上げる。
 やけに美化されて語られる朝倉は悲劇のヒロインみたいだった。
 家族・親戚は泣いていたけれど、うちのクラスで泣く奴は一人もいなかった。
 あくびしている奴がいたくらいだし。
 私は、と言うと朝倉が死んだことは少し嬉しかった。
 嬉しかったけれど、なんか、自分の知っている人間が死んだことが
 それはそれでショックだった。

 次の日の昼休み、ぱりっと晴れた屋上でいつものようにメロンパンをかじっていると
「ね、死んじゃったでしょ?」と小枝子がやってきた。「私のこと信じた?」
「少しね」
「メロンパン好きなの?」
 私は質問に答えずに「あんたさ、一体何者?」と聞いた。
「何者でもないよ」
「何者でもないって、死に方も日にちもドンピシャだったじゃん」
「栄子」と小枝子が言った。
「人の死がわかるのってそんなにおかしい?」
「たぶん、おかしいと思う。特殊だよ、すごく」
「ねぇ、これはね、手が器用な子とか数学が得意な子とか、そうゆうのと同じことなんだよ?」
「どうゆうこと?」
「私は不器用だし、数学だって苦手。それを得意って言ってる人のほうが私にとっては特殊だよ」
 だからね、小枝子は頬の横で指を1本立てた。
 初夏の生温い風が彼女の長い髪とセーラー服をふんわり揺らした。
「この世界はみんな特殊でみんな特殊じゃないの」
「そうゆうもんかな?」
「そうゆうもんだよ。誰だって特技や得意なことってあるでしょ?栄子は何が得意?特技とかある?」
 うーん、と喉を鳴らして考えてみる。
「利きメロンパンかなぁ。かじってどのメーカーのメロンパンだかわかる」
 小枝子が口をぽかんと開けたまま私を見つめるから、なんだか恥ずかしくなった。
 耳たぶと頬が熱い。顔が赤くなっていくのがわかる。
「今のはね、ジョーク」と私は嘘をついた。
「もう遅いよ」そう言うと小枝子がお腹を抱えてゲラゲラ笑った。
 わたしもなんだか可笑しくてゲラゲラ笑った。
 初夏の風が私たちの髪の上でさらさらと遊ぶ午後だった。

 教室に戻ると、朝から朝倉の机の上に置かれている黄色と白色の菊が目に入る。
 その周りにはもう朝倉の蝿はいない。
 彼女たちは蝶々のようにひらひらと舞いながら私の元へやってきた。
「いままでごめんなさい」と一人が頭を下げると、
 もう一人が「朝倉に言われてたしね、しょうがなかったのよ。許して?」と言う。
「私たちだって朝倉のこと、嫌いだったんだんだよ、マジで」
 なんなんだよ、こいつら。人格を疑った。
 死んだ奴のせいにすれば楽だよな、でもあんたらが私をいじめていたことは事実なんだよ。
 私は何百年経ってもこいつらを許せないと思う。
 私は精一杯の憎しみを込めて「気にしてないから」とだけ呟いて彼女たちの横を通り過ぎた。

 一週間ほど経ったある日。
 教室では私がいじめられなくなった意外で奇妙な変化が起こりはじめていた。
 クラスの中で小枝子がいじめられるようになったのだ。

「栄子はすごいなぁ」と昼休みの屋上で膝にお弁当を広げながら小枝子は言った。
「なにが?」
「よくいじめに耐えていたよね」
「そんなことないよ」
「私なんて駄目」と小枝子はコロッケを摘んで口に入れた。
「ちょっと悪口言われてからかわれただけで泣きそうになる」
「泣きそうになったっていいじゃん、別に」

 小枝子がからかわれるようになったのは、
 隣のクラスの彼女の幼馴染が言った「あの子って死神なのよ?」という何気ない一言だった。
「小枝子の家は代々、死神の血を引く家系でさ、とっても家が大きいの」
 彼女は小枝子の家の大きさを説明したかったみたいだけれど、
 その話でクローズアップされた部分は「小枝子は死神」という言葉だった。
 うわさは一気に広まり「朝倉が死んだのは死神がいたからだ」なんて言う奴らもいた。
「死神が朝倉の魂を吸ったんだ」

「ねぇ」と言って小枝子は半分残ったお弁当の蓋をぱたりと閉めた。
 小枝子は恐ろしく小食だ。だから腕も細いし背も小さいんだよ、と嗜めようとしたら
「死神が魂を吸うなんて嘘」と小枝子はポケットティッシュで口元をぬぐった。
「死神はね、人の死を教えてあげる神様だったのよ」
「ふうん」と言って私はメロンパンをかじる。
「それなのに人を殺人者みたいに言って!」
「栄子さ」と小枝子が私を見る「信じてないでしょ?」
 私は大きく首を振った「信じるよ。小枝子のことは信じる」
 小枝子が嬉しそうににこりと笑った。

 次の日、その次の日と小枝子へのいじめはエスカレートしていった。
 そして彼女をいじめていたのは私に謝ってきた朝倉の蝿たちだった。
「おまえが朝倉を殺したんだろうがよ!」と彼女らは言う。馬鹿か。と思う。
 こいつらは私に頭をさげたあの日、確かに「私たちも朝倉が嫌いだった」と言った。
 それが今、「朝倉のことを殺したのはお前だ」と小枝子を蹴る。誰のために?朝倉のために?
 違うよ。こいつらは自分のストレスを発散させるために小枝子を蹴っているんだ。
 理由なんてなんだっていい。
 そこにたまたま死神の話題があって、小枝子を的にしやすかっただけ。
 それはまるでこの世界は誰か悪者を仕立て上げなければバランスが取れないのかと思うくらい
 理不尽で矛盾した行為だった。

 私は今度は傍観者という立場で小枝子が蹴られるのを見ていた。
 上履きに画鋲を入れられたり、机やノートに落書きをされたり、
 あの日々を思うと小枝子のところに走っていって「やめなよ」と言ってあげることができない。
 教室の中に響く小枝子の泣き声が誰の心にも届かない。辛い。
 そして私は後ろめたさとその辛さから逃げるように小枝子を遠ざけ、
 終いには彼女と一緒にお昼を食べることもなくなった。
 教室の中で小枝子は空気になり、名前を失った。
「小枝子、ちょっと」なんて唯一名前を呼ばれるときは彼女が教室や廊下でボコられるときで、
 私は何度もその現場を目撃しては見て見ぬふりをした。
 なんて最低な人間なんだろう、私は。小枝子の気持ちを一番理解してあげられるのは私なのに。

 小枝子がいじめられるようになって3週間目、彼女が私の机へやってきて
「次、死ぬ人がわかったの」と言った。
私と小枝子に視線が集まっているのがわかる。
「だ、誰よ」と私はうつむき、小声で言った。
「私」自分を指差してにこりと笑う小枝子はせつなくて痛々しかった。
「なんでよ。なんで、あんたが死ぬの?」
「死ぬから死ぬのよ」
「答えになってないよ、そんなの!」と私が机を叩き、立ち上がると、
 小枝子はすたすたとどこかへ行ってしまった。
 すごく小さな背中だった。華奢で、思いきり抱きしめたら壊れてしまいそう。

 それが、私が見た最後の小枝子だった。

 その日の夜、彼女は校庭に忍び込み、非常階段を登って屋上へ行ってそこから飛び降りて死んだ。
 小枝子を殺したのはいじめをした蝿ども。傍観者。私。私。私。私。私。
 連絡網で回ってきたその知らせを聞いて私は汚い涙を流した。
 本当に汚い涙だ。
「泣くくらいなら助けてやれよ。何、今さら泣いてんだよ!」
 そう言いながらざらざらの壁に拳と頭を打ちつけた、何度も、何度も。
 私なんて壊れてしまえばいい。

 朝の朝礼で校長が小枝子の死について報告をする。
「同じクラスで1ヶ月のうちに2人の生徒が亡くなるなんて、これは異例のことです」
 校長はそう言って、私たちに長々と説教をした。
 よく覚えていないけれどほとんど小枝子の名前はほとんど出てこなかった。
「死神が死ぬなよ」と蝿の一人が小声でそう言って笑った。
 もう一人の蝿はそれを無視して「放課後、カラオケね」などと予定を立てている。

 私の中で何かが崩れて、全てがどうでもよくなった。
 なんなんだよ、この世界は。

「先生」と私は後ろに立っていた先生を手を挙げて呼び、
「保健室に行っていいですか?」と聞く。
「体調悪いの?」
「朝ごはん食べてなくて、ちょっと貧血っぽいんです」
「辛い?」と先生は私の顔を覗き込む「はい、ちょっと吐き気がします」
「じゃぁ、行ってきなさい。今度からちゃんと朝ごはんは食べてくるように」
「はい、すいません」そう言って私は校庭の脇を通って保健室に向かった。 フリをした。
 私は昇降口で慌てて靴を脱ぎ、靴下のまま階段を登る。
 廊下はひんやりしていて、走るとペタペタと鳴った。

 屋上へ着く頃には校長終わっていて、校歌斉唱をするところだった。
 私は屋上のフェンスを乗り越えてわずかな幅の上に立つ。
 誰かが私に気づいて指差しているのがわかる。
「君、何をやっているんだ。下りなさい」と校長がマイクを使って叫ぶ。
 私はそこから叫んだ。
「小枝子がいじめで死んだ!」
 おまえら、今、どんな気持ち?想像すると笑いがこみあげる。
「あんたらさ、群れて、小枝子や私を殴って蹴って、強い気になてるだけじゃん。それが気持ちいいだけじゃん。なんなの?あんたたち。誰かと一緒にいなきゃ何も出来ないの?いじめっていうのは苦しいし、悲しいよ。痛みとかよりも、ただただ悲しい。悲しいことが辛い。小枝子も悲しくて辛くて、それに耐えられなくて自殺した。小枝子は死神です。人が死ぬときがわかる。そのせいでいじめられた。「死神のおまえが朝倉を殺した」ってね」
 
 ウザいから死ねよ。人を人とも思わないようなやつらはこのクラスからいなくなれ。
 
 後ろで扉が開く音がして、数名の教師が私の名前を叫ぶ。
 こうゆうの刑事ドラマでよく見る。「はやまるな!」「まだ若いんだから」

 空が青い。もうそろそろ夏休みだな、と思う。
 夏休みって好きだった。
 家族で旅行に行ったり、中学のときは友達と市営のプールにいったな。
 この空のどこかに小枝子がいるんだろうか。
 天国ってあるのかな。行きてえー。

 一歩踏み出せば私はたぶん死ぬ。
 では最後に一言。
「私から見ればおまえらのほうがずっと死神だわ」
 さよなら。

 この世界も、この学校も、このクラスも、蝿どもや傍観者も、私も、
 全て
 全て
 全て
 全て
 ウザいから死ぬよ。

 

                             END



2004/07/21(Wed)16:22:23 公開 /
■この作品の著作権は律さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
書き終わってみれば、
救いの無いとても暗い作品になってしまいました。
感想の書きにくい作品ですが、意見を頂けると嬉しいです♪
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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