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『視線・死線』 作者:冴渡 / 未分類 未分類
全角3958文字
容量7916 bytes
原稿用紙約14.65枚


 最近、気になる事がある。
 
 それは――視線。
 
 体中全てを覗くかのような。
 全てを食い尽くすかのように。


 誰かが

 私を

 見ている。


□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 私、こと藤野紫(ふじの ゆかり)は、二十四歳のОLだ。仕事にも慣れ、友達もできたし、お局とも上手くやっている。
 それは楽しく充実した毎日だった。
ところが、最近妙に視線を感じるようになった。
 特に家にいる時、それは強く感じられるような気がした。
 紫は、もしかすると盗聴機や小さな盗撮用カメラがあるのではないかと心配になった。だが、実際に何か証拠があるわけでは無かったので、部屋を調査したりはすることはなく、毎日が過ぎていった。

 ある日のオフィスで、紫は一人の男性の肩を叩いた。
「堺田君」
「あ、紫。どうかした?」
「あのね、今日、うちに泊まらない?」
「何? それ、オッケーって事?」
違うわよ!、と紫は堺田に向かって怒った。彼は、堺田憲太(さかいだ けんた)。
 彼女とは職場で知り合い、現在は付き合っている。
「じゃあ、どうしたんだよ、急に」
「実はね…」
 紫は、最近感じる視線について話し始めた。

 紫は最近家に一人でいるのが怖くなっていた。
 毎日毎日、どこからか視線を感じている。それは、全てを見透かされているような気持ちの悪さだった。
 紫は、そんな視線に一人で耐えるのに限界を感じていたのだった。
 理由を話すと、堺田は急に真剣な顔になり、紫の目をじっと見つめた。
「何で早く言わなかった?」
「――大した事ないかもって思って…」
「でも、視線を感じるんだろう?見られてるって思うんだろう?」
「…うん」
「なら、誰かに盗撮されてるのかも知れない。今日の晩、紫の家に行くから。その時、俺も気にしてみるよ」
「本当?」
「あぁ。とびきりの手料理作って待ってろよ」
「――ありがとう」
 お礼なんて言う事ないさ、と言うと堺田は次の仕事のため立ちあがった。会社から出ていく堺田の背中を見ながら、紫は少しホッとするのであった。

 紫は家に帰ってからすぐに、簡単に掃除をして、堺田のための手料理を作り始めた。
 肉じゃが好きの彼のために、せっせと肉を切り、ジャガイモの皮をむき、玉ねぎからくる涙をこらえ、料理を作っていく。
「――?」
 ふ、と紫は後ろを振りかえった。

 誰も、いない。

 それもそうだ。
 なぜなら、紫は一人暮し。他に人などいるはずもないのだから。

 そして、また料理を再開する。だが、ふ、とつい振りかえる。やはり、視線を感じるのだ。
 だが、何もなく、誰もいない。

 気のせいだ、と自分に言い聞かせ、肉じゃがを作る。
 しばらくして、肉じゃがは完成し、他にもサイドメニューを作り、堺田が来るのを
待った。
 サラダ作りのため、レタスを出した。
「――?」

 何かが後ろで音を立てた。

 慌てて振り返った。が、何もいない。 
 紫は怖くなった。

 早く堺田に来て欲しいと、心から願った。

《ピンポーン》
 チャイムが鳴った。
 ビクッ、と紫は体を震わせレタスを置いて玄関へと向かう。

 紫は緊張しながらも、ゆっくりと鍵を開け、ドアを開いた。
 チェーンをかけて開く、限界まで開ける。

――だが、誰もいない。

 あのチャイムは気のせいだったんだろうか。
 そう思い、ドアを閉めようとした。

――ガンッ!

 瞬間、突然強引に手がかけられた。

「――!!」
 紫は驚いたようにドアを思いきり閉めようとしたが、手の力は圧倒的に紫よりも強い。
「――だ、誰なのっ?!」
 紫は青ざめながらも、震える体で言葉を紡いだ。

「――俺だよ」

 紫は、ひよっとドアの間に顔を出した堺田の顔を見てほっとする。
「――堺田君!おどかさないでよ!」
あはは、ゴメン。ちょっと悪ふざけが過ぎた、と堺田は謝りながら紫の部屋に入った。
「相変わらず、可愛い部屋だなぁ!」
 そう?と照れながら紫が言うと、堺田はニッコリと笑った。
「ところで、手料理、作ってくれた?」
「作ったわよ。肉じゃが、好きだったわよね? うち、おばあちゃん子だったから、こういうの得意なの。」
「うわ〜! マジで〜! 美味そう! いっただきまーす!」
「もう、早いなぁ」
 紫もいただきます、と言うと一緒に肉じゃがを食べ始めた。二人は酒も飲んだ。
「ところで、紫。どうなんだ今日は」
「…うん。今日も、感じるの。さっきなんか、物音がして…」
「で、何かいたのか?」
「…ううん。何も無かった。気のせいなのかもって思ったけど…」
「それでも、視線を感じるんだな?」
「うん」
「最近、何か変わったことはあったか?」
紫は、そう言われてみれば、とポツポツと口を開いた。
「そう思えば、最近、無言電話が良く来るの。私が電話に出ると、何も言わずにブチッて切れるの…」
「他には?」
「…見知らぬ人が、マンションの前にいた事があったわ」
「それ、結構あやしいな。他には?」
「実家から送られてきた玉ねぎが腐っちゃったの! 大変だったわ〜!」
「それ、全然関係ないじゃん!それは紫の管理不足だろ?」
「あと、小豆が落ちてた。最近小豆なんて買ってなかったんだけど、多分、実家から送られてきた野菜の中にまぎれていたのね。さっきのスープに入れて煮ちゃったけど」
「それも、全然関係ないじゃん! なんだよ、それ!」
「あと、この前ゴミを出し忘れて…大変だったんだから! 玉ねぎ臭いし、ゴミはあるしで…。」
「お前なぁ、もうちょっとちゃんとしろよ!」
「してるつもりよ! きっと、誰かの陰謀よ!」
「玉ねぎ腐らせたり、小豆落としたり、ゴミ出しの日を忘れたり? そんな事、マジシャンでも、テリー伊藤でもできねぇよ!」
「マギー信司なら出来るかも!」
「アイツに出来る事は、耳をでっかくする事くらいだよ!」
「じゃあ、玉ねぎを腐らせる事くらい、造作もないじゃない!」
「どういう結論だ?! …っと、話ずれすぎだ! 視線かぁ…俺はあんまり感じないな」
 そうかな、と紫はあたりを見まわす。
「本当? やっぱり、私の気のせいかなぁ?」
「分からん。だけど、無言電話と、見知らぬ人は怪しいなぁ」
 うーん、と悩む堺田の傍らで、紫は少し不安そうだった。
「そういえばさ、俺、今日、コーヒーの豆買ったんだ。紫の部屋って、確かコーヒーメーカーあるよな?」
「うん。あるよ。飲みたいの?」
「あぁ。ちょっと酒飲んで頭がふらついて考えがまとまらないから…」
 頼む、と堺田は紫に頼んだ。紫も快く引き受け、コーヒー豆を受け取ってコーヒーメーカーのスイッチを入れた。
 ゴポゴポ、という音とともに、コーヒーの香りが部屋中に広がる。
「でも、堺田君って本当にコーヒー好きだよね」
「あの、スッキリする感じが好きなんだ。絶対、ブラックで飲む」
「でも、猫舌だから、氷入れなきゃね」
「それが、辛い所だよ」
 しばらくして、コーヒーメーカーは止まったのだが、二人は気付かずに会話を続けていた。
「あれ、コーヒー出来てねぇ?」
「あっ! 本当だ! ちょっと冷めちゃったかな?」
「俺は別に構わないけどね」
「私は構うわよ。冷めたの嫌いだから」
「じゃあ、いっそのこと俺と一緒のアイスにしたら?」
「嫌よ。ぬるくても温かい方が好きだもの」
「そっか。つまんないの」
 何言ってるの、といいつつ紫はコーヒーカップとガラスのコップを出し、ガラスコップには氷を入れた。
 ふ、とその時視線を感じた。周りを見渡すが、視線を受けるようなものはない。気のせいか、と思い紫はコーヒーメーカーのコーヒーを二人の容器に注ぎ入れた。

「できたわよ」
「サンキュー! ありがと」
「どういたしまして」
 紫が少し笑うと、氷の入ったガラスのコップと、自分のコーヒーカップを置いてから座った。
 堺田は嬉しそうに氷の入ったアイスコーヒーを勢い良く飲み干した。


 
 ――!


 突然、堺田の持っていたガラスのカップが、堺田の手から落ちて床に散らばった。

「――きゃあっ!!」

 堺田は苦しそうに台所まで行くと、飲んだコーヒーを吐き始めた。

「――うっ、うげぇ…!」


 紫は目の前の光景が信じられなかった。

 いや、信じたくなかったのだろう。

 信じられるハズがない。

 こんな恐ろしい事が、まさか起こるとは誰も思いもしなかったであろう。


 堺田憲太―――彼が飲み干したグラスの中から、何かが半分だけ残されていた。

 半分は彼の口の中。

 そしてもう半分は彼の飲んだアイスコーヒーの中。

 その中に入っていたもの。

 小さく動く滑らかな黒い塊。

 今は、床で静かに小さく蠢いている。 


 そうそれは―――




  ―――それは【ゴキブリ】だった。





「うっ、うげぇ…! 気持ち悪ぃ…! ゴキブリの触感がぁ…!」

 ゴキブリの黒い艶かしい半身が、吐かれた台所の流しと、散らばったガラスの破片の中で痙攣するようにピクピクと動いている。
 触角などにいたっては、未だに普段と変わらぬ速度で動いていた。

「なっ、何で?! 何で…?!」
 
 紫の横を何かが通り過ぎていった気がした。

「そういやぁ…、一匹いると、二千匹いるって言うよな」

「そ、そんな…まさか…。」

 カサカサ カサカサ カサカサ カサカサ …


 紫は、目の前が真っ暗になっていくのを感じた。

 いや、感じたんじゃない。


――真っ黒だったんだ。 





 そういえば、ゴキブリは玉ねぎの腐った匂いが大好きだっけ…?


 そして、卵って小豆にそっくりなんだっけ…。


 今日のスープは、どんな味がしたんだろう?



                   ―― 完 ――

2004/05/06(Thu)22:50:32 公開 / 冴渡
■この作品の著作権は冴渡さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えっと…風さん尊敬してます☆(何を突然…。)
風さんの「恋愛小説?」を読んで、じゃあ私もホラーを書いてみよう!って事で書いてみました。
めちゃくちゃホラー仕立てになってます。(オイオイ)
というか、本当に風さんはスゴイ。あんな面白い作品を書けるなんて。
私なんて、頑張ったってこの程度です。

でも、個人的にめちゃくちゃ怖いです。この話。黒い物体、大嫌いですもん。笑

とにかく、ちょっと色々考え過ぎてつかれちゃったので、息抜き…みたいな?

オイオイって感じですいません。自分でも、結構微妙な作品でして…(^_^;ゞ

リクエストがあった通り、一応ホラー仕立て(?)です!

実際、ホラーについてはこれからどうしようかなぁ〜っていうか、ネタが思い浮かびませんっ!すいませんっ!
息抜きって事で、本当許して下さい!
本当に土下座しますm(_ _)m許して下さい!

ちなみに、黒い物体の卵は、大豆と良く似てます。私、一度見たことがあるんですけど、めちゃくちゃビックリするので、皆さんも是非お暇があったら、見てみて下さい。
ちなみに、あまり見て気持ちのいいものではないことは確かです。笑

えー、明太子さんの指摘にそって、少し変更をいれてみました。どうでしょうか?うんうん。
こうやって、小説は進化(?)していくんですね。笑

えー、さらに訂正です。母からのツッコミがありました。
「大豆ぅ?私もよく知ってるけど、大豆ではないでしょ〜?」
「えー、でも、色とか、こう、赤黒くて…」
「――あんた、それ、大豆じゃなくて、小豆じゃないの?」
「―― あっ。」
バカです。バカ丸だしです。そうです、大豆ではなくて、あずき、小豆だったんです!
申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)m
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