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『夜の学校 学校の怪談』 作者:グリコ / 未分類 未分類
全角9288.5文字
容量18577 bytes
原稿用紙約27.6枚
【1】『猛者の集合 最強最恐決定選手権開幕』
 ここは夜の学校の校長室。校長の机と客用の机。職員室や教室などに置いてあるものより数倍立派だ。そして、上には歴代の校長の写真がある。どこにでもある校長室だ。だが今ここに学校の怪談で有名な幽霊や妖怪が続々集まっている。どいつも皆子供も大人も一目見ただけですっ飛んで逃げていくほどの猛者である。彼等は何故集まったのか…それは

―第38回 夜の学校 最強最恐決定選手権―

のためだ。勝ったら何かもらえるの?いや!賞品などない!こいつ等はただ自分が一番恐ろしいことを証明するだけのために集まっているのだ!俺が!私が!誰よりも怖くて恐ろしい!


 ルールについて説明しよう。簡単に言えば肝試しにくる子供を怖がらせれば勝ちだ。だがそんなのはつまらん。誰が出てきても子供は怖がる!初代校長先生の幽霊が開発した「恐怖度メーター」を使って一番高得点をはじき出した者が勝ちだ。制限時間は30分。だが密室に閉じ込めた場合は30分で出られるようにするのだが相手の子供が恐怖で出ようとしなかった場合は30分までの恐怖メーターの記録を正式な記録とする。ここで反則について説明しよう。
反則 其の一 子供を殺したら失格。
反則 其の二 子供を霊界に引きずり込んだら失格
反則 其の三 怖がらせている相手の邪魔をしたら失格
である。


 校長室には名の知れた猛者がいる。皆がささやきあっている。
「おい見ろよ。アイツだ!25回の大会で優勝した『動く人体模型』だ」
「あっちには『三本足のリカちゃん』がいるぞ…ありゃあ34回以降ずっと総ナメにしてる今大会最大の優勝候補だぞ…」
「真ん中の足ってあれ人間の足らしいぞ」
「マジで…うぉいっアレ見ろよ…また『花子さん』と『やみ子さん』が睨み合ってるぞ…アイツ等ライバル同士だからな…確か28回の大会で花子さんが一位やみ子さんが二位だったんだよな…その他の大会でも絶対上位に食い込んでるからなぁアレも優勝候補の一角だぞ」
「おい見ろよ!ありゃあ『テケテケ』だぞ!奴も凄いぞ!怖がらせすぎて子供がショック死しちまったんだぞ」
「無理もねぇなぁ上半身から下ちょん切れてるもんな…腸とか内臓少し垂れてるし…顔も怖いし…鎌ももってる。コイツも優勝候補だぞ」
「まだまだいるぞ…『動く二宮金次郎の銅像』『人面犬』『首なし武将』『血まみれコック』『口さけ女』…なんか俺自信なくしてきた…アイツ等に比べたら俺なんてまだ可愛いもんだぜ…」
「俺も辞退しようかな……」
 ざわついている校長室に大きな威厳のある声が響き渡った
「静粛に!静粛に!今からルールを発表する!よーく聞きなさい!」
 声の主は第1回から第10回にかけてすべて優勝している初代校長先生の幽霊だ。初代校長先生の写真からぬぅ〜っと出てきた。初代校長先生の写真には何も写っておらず変わりに目の前に初代校長先生の幽霊がいる。立派なヒゲに顔は血まみれ。手も足も切れている。別に死に方が壮絶だったわけではなく。死んだときは老衰だ。ではなぜ手も足も切れているのか?それは子供を怖がらせるために必死で修行し、そう見えるようにしたのだ。いわゆる幻覚みたいなものだ。
 初代校長先生はルールを説明した。ここで見た目は10歳ぐらいのおかっぱの女の子の幽霊花子さんが元気よく質問した。
「先生?私ね前の大会やみ子さんに邪魔されたんだけど?せっかく子供が怖がってたのにやみ子さんが「心配する事ないよ〜空耳だから〜」とかいって安心させちゃって。安心するほうもするほうだけど。普通安心するどころか更に怖がるはずだっつーのそれで結局私3256点で終わっちゃったのよ?」
 見た目は10歳ぐらいの暗い感じのする女の子の幽霊やみ子さんが
「あなたなんかたいした事ないでしょ?所詮トイレでちょこちょこっといたずらするだけしか脳のない。その点私は鏡から出る事も出来る。」
「夜の学校で鏡なんかみる子がどこにいるのよ!」
「何を〜!」
 二人は一触即発!いやもう取っ組み合いに変わっている。引っかいたりビンタしたり。髪を引っ張ったり。
 続けて中身が本物の臓器に変わってる動く人体模型が
「俺も三本足のリカちゃんに邪魔されたぜ!脅かそうと思って走ったら左足で俺の足引っ掛けやがったぞ!」
 人形そのものの顔と体と二本の足そして本物の人間の足を真ん中に持つ等身大の三本足のリカちゃんは怒って
「アンタなんか誰も怖がらないわよ!」
「なんだと!この野郎!俺の臓器を見ろ!絶対に怖がる!さらに後ろからどんどん近づいてみろ?怖く怖くて仕方ないはずだ!」
「でもアンタ足遅いでしょ!逃げられておしまいよ!前だって心臓落としてそのまま止まっちゃったし。その点私は三本足だから足も速い!」
 二人は睨み合った。そして、取っ組み合った。人体模型は自分の体の臓器を投げつける。三本足のリカちゃんは真ん中の足で立って右足と左足を同時に使い人体模型を蹴る。
 暗い性格で上半身しかなく腹の辺りから臓器がはみ出しており鎌を持つ手も足も腐ってしまっている。顔は男か女かもわからないがとにかく今大会中見た目だけなら一番恐ろしいテケテケが
「ウルセェなぁ…早く始めろよ雑魚共がよぅ…」
 首がなく鎧を着けており立派な刀を手に持っている首なし武将がどうやって声を出しているのか知らないが
「雑魚とは拙者の事も含んでいるのか?」
「自覚してるのか…いい事だ」
 しばらく睨み合いやがて鎌と刀で戦いを始めた。本物の武器だけ合ってリアリティーがある。いつしか天下一武道会に変わっている。初代校長先生はただ呆れている。


 ここは夜の学校の校門。30人近くの少年少女があつまっている。リーダー格の男の子が
「ヒロシは?来てないのか?」
 元気のいい女の子は
「あの子怖がりだからね〜」
 男の子は
「そうだな!アイツのあだ名はうんこマンに続きビビリマンってのも付け加えなきゃな!いやビビリうんこマンのほうがいいか」
 皆は爆笑した。中には地面を転がりまわって笑う者もいる。
 ここでリーダー格の男の子がルールを説明した
「まず!こっから学校に入り全部の教室にいく。一人でな!もちろんトイレもだ!ごまかしても全部の教室に札を置いてあるから無駄だ!札を27枚集める!いいな!出来なかったらもう一度だ!」
 皆怖がっている。やがてくじ引きが始まった。一番手はケンタだ。早速ケンタは校舎に入っていった。元々幽霊はあまり信じていないのでなんなく6年生の教室の札はゲットした。


 話は戻って校長室。初代校長先生が必死に止めてなんとか喧嘩は止まった。
「早速一人出発したぞ!一番手は花子さん。健闘を祈る」
 花子さんは元気よく
「頑張ります!」
 と言って消えていった。行き先は恐らくトイレだろう。やみ子さんは花子さんが居なくなった後も花子さんが居た場所をまだ睨んでいる。初代校長先生はポケットから直径40センチぐらいの青い玉を出した。お化けは何でもアリである。初代校長先生のポケットはきっと四次元ポケットかなんかだろう。でなければ10センチぐらいのポケットから40センチの玉が出るはずはない。青い玉からは光が出てきた。そして、その光はテレビのように鮮明な画像になり肝試しに来たケンタを写しその下には89という数字が写っている。この数字こそ恐怖メーターだ。一ずつどんどん上がっていく。画像の大きさは約三メートルぐらい。皆が見れるぐらい大きさだ。皆が食い入るようにして画面を見ている。

【2】『恐怖の肝試しスタート』

 ケンタはゆっくり廊下を歩く。もうすぐ六年のトイレだ。男子は男子トイレ女子は女子トイレにそれぞれの名前が書いた札が置いてある。懐中電灯で廊下を照らしながら静かに歩く。幽霊を信じていないとはいえやはり夜の闇は人に恐怖感を与える。幽霊なんていないお化けなんていない妖怪なんていない。一番怖いのは母ちゃんと姉ちゃん。幽霊なんか怖くない。そう自分に言い聞かせトイレに向かった。トイレに入る前に一つドアがある。そのドアを開けなければ入れない。ケンタはドアを開けトイレに入った。


 花子さんはずっと六年の男子トイレで待ち構えていた。花子さんは女だが脅かすためだ。仕方がない。そして、一人の少年がトイレに入ってきた。ケンタであるよし!まず最初の一段階トイレのドアを閉める。妖力というのか魔力というのか何もせずにドアを閉めた。絶対に空かないように。バンッという音がしケンタは後ろを振り向いた。そして、ケンタは「うわぁぁぁ!!」と声を上げた。ドアをどんどん叩いている。トイレの奥で体を透明にしている花子さんはまずここでガッツポーズを決めた。


 校長室ではそんなケンタの様子を皆が眺めている。花子さんがドアを閉めたところから恐怖メーターがグンと跳ね上がった。1680…1700…1740どんどん上がっていく。まだ五分しか発っていない。皆邪魔してやりたい気持ちでいっぱいだったが前大会で妨害が平気で行われていた事を知り初代校長先生は目を光らせている。


 ケンタは泣きながらドアをどんどん叩いている。そして開かないと分かりその場に泣き崩れた。「お母さん助けて…」などと呟きながらガタガタ震えている。今まで信じていなかった幽霊って奴が今時分に襲いかかろうとしている。「死にたくない」と心の中で強く思いながら縮こまっている。どこからか「私花子…あなた遊びましょ…」という声が聞こえる。ケンタは耳をふさぎながらワンワン泣いている。


 花子さんはそんなケンタを見て心の中でさらにガッツポーズを決めた。そして極めつけのこのセリフ!これを言ったら絶対にコイツはビビって気絶するかもうどうなるか…ウズウズしながらまっている。そして「私花子…あなた遊びましょ…」と言い続けながら時間を腹時計で数えていた。もう27分ぐらいたった。そろそろフィニッシュを決めるときだ。ケンタは今トイレの真ん中で泣き崩れている。そして、めいっぱい暗く恐ろしい声で
「遊んでくれなきゃ…殺しちゃうよ」
 と言い校長室にいたときの顔とは明らかに違う顔がえぐれ脳みそがはみ出ている恐ろしい顔でケンタの前に出現した。ケンタは一瞬ビクっとなり口をパクパクさせながら舌が上手く回らない状態で
「ひ…ひひひいいはうあああい…(訳 し…しし死ににたくななない…)」
 と言いそのまま泡を吹いて気絶した。


 その頃校長室では初代校長先生が
「7793点!!最後のフィニッシュで1900点ぐらい跳ね上がりました!!いいねぇ今日は冴えてるね〜」
 と司会者風に言った。周りは慌てた。だがその中で動じないのが三本足のリカちゃんと動く人体模型とテケテケと首なし武将とライバルのやみ子さんだ。
 花子さんは明るく顔も普通の女の子の顔に戻し校長室に戻ってきた。そして
「何点かな〜あっ自己記録更新!やったー!あの子超ビビってたからな〜「お母さん助けて〜」だってギャーッハッハッハ!!あー面白ーい!!あの顔といったらもう超最高!!目覚ました後もう一回出てきてやろうかな〜」
 花子さんは一人校長室で笑い転げている。だがやみ子さんが頭を踏んづけ
「私だったらもっと怖がらせることが出来るわよ」
 二人は再び睨み合った。そして取っ組み合った。花子さんは元々倒れていたのでやみ子さんがマウントポジションをとったが花子さんも蹴りで対抗する。初代校長先生と他数人は慌ててこの妖怪レスリングを止める。そして
「次は・・人体模型君。君だよ。それから次に来る子が前の子を発見するといけないからケンタという少年は私がここにつれて来て置く。」
 そういい指をパチンと鳴らすとトイレで気絶しているはずのケンタがいきなり校長室に出てきた。ここで三本足のリカちゃんが
「もし目を覚ましたとき私達みたら絶対ショックで死ぬよ?この子」
 そりゃあごもっとも。仕方ないから三本足のリカちゃんがケンタをかついで校長室から少し離れた図書室まで運んでいった。そして図書室の机の上に置いたところでケンタが目を覚ました。
 ケンタが思った事はまず目の前に人形がある。そして自分はさっきまでトイレにいた。ここは図書室。何故人形?あれ?足が三本・・ケンタは恐る恐る
「や・・やあ・・き・・君誰?」
 三本足のリカちゃんはまた気絶させるのは可哀想だがまぁ面白そうなので隠し持っていた包丁を出して
「わたしリカ。バラバラにしていい?」
 と笑顔で言った。ケンタは「は・・はは・・」とかすれたような声を出し再び気絶した。ちなみにこの時の恐怖メーターは2000ちょっとだ。


 ここは生徒玄関。動く人体模型は隠れている。やがて次の順番のユキが恐る恐る入ってきた。ユキは六年の廊下をゆっくり歩いていく。人体模型もそうっと付いていった。だがその足音に気づいたのか早足になった。そして今度は「誰もいない誰もついてきてない」などと呟きながら走った。人体模型は初めて追いかけた。
「体をくれー!!体をよこせー!!」
 と言いながら走った。昔は足が遅かったらしいが練習したのか早くなっている。どんどん差を縮めている。人体模型を見て初めてユキは大声を出して泣きながら逃げた。


 ここは校長室。皆じーっとメーターと画面に映る人体模型とユキを見ている。恐怖メーターは今4000だ。今までは100か200ずつ上がり続けていた。追いかけられるというのはやはり怖い。人体模型がいるとわかったときに1000アップした。そして人体模型が追いかけてくると判った時点で今度は500ずつ上がっている。今の数値は6000だ。周りの幽霊は皆気に食わないような顔で見ている。花子さんもやみ子さんも図書室から戻ってきた三本足のリカちゃんも首なし武将もテケテケも人面犬もわざわざ学校に来てまで参戦した口さけ女(活動範囲は学校ではない)も皆ブーイングしている。このまま行けば一万いくかもしれない。


 人体模型はずっと追いかける。ユキもペースが遅くなってきた。人体模型も疲れてきた。もともと長距離は苦手なのだ。ユキは後ろを振り向いた。まだ追いかけてくる。「体が欲しい〜体が欲しい〜」と言いながら追いかける。この言葉を言うたびにどんどん恐怖メーターが上がっていく。捕まったらバラバラにされて体を取られる・・その恐怖がどんどんメーターを上げていくそして行き止まり・・人体模型は手を伸ばし「体をよこせ〜体をよこせ〜」と言いながら近寄ってくる。そして悪あがきにユキが人体模型にぶつかっていった。本物の臓器がむき出しになっているので変な感触がした。そして心臓が潰れた。人体模型は動かなくなった。ユキはほっとし恐怖メーターはどんどん下がっていく。まだ他にもいるかもしれないという恐怖のためか1200は残った。そしてそのまま全部札を集めて皆の所へ戻って人体模型が動いたといったが誰も信じず次のタクヤに回った。


 校長室では皆大爆笑。花子さんは
「ダッサー!!心臓潰されてやんの!!そのままずっと動かなければいいのに」
 やみ子さんも
「油断大敵・・人体模型さんもまだまだですね」
 三本足のリカちゃんも
「そのまま肺も胃も腸も潰して焼いてやろうかしら」
 と怖いことを言っている。テケテケは
「ケッ。人騒がせだな・・」
 人ではないけど・・
 ここで初代校長先生が穏やかに
「まぁまぁ彼も我々の仲間ではありませんか」
 と言い指を鳴らした。そしたら目の前に人体模型が現れた。もう一回指を鳴らすと心臓が再生した。再生した瞬間ガバッと飛び起きすぐにメーターを見た。そして絶句した。かすれるような声で
「そんな…この俺が…1146だと〜屈辱だ!死んでやる!!」
 と言い自分の心臓にパンチして再び活動停止した。初代校長先生は
「またですか。この大会が終わった後にでも蘇らせましょうかね」
 と言った。中には「このままにしとけばいいのに」「ほっとけば?」「コイツで焚火しようや」などという声が聞こえる。初代校長先生は「まあまあ」となだめそして次に脅かす者を指名した。三本足のリカちゃんである。

【3】『校舎内での異変』
 タクヤは六年の教室の札は全部取り終わり一つ上の校舎の五年の教室の札を取りに行くところである。夜の静かな学校。誰もいないはずなのに何故か視線を感じる。それでなくても暗いってだけで怖いのに…タクヤは懐中電灯を自分の足元より2,3メートル離れた廊下の床を照らしながら恐る恐る歩いている。そして五年の教室のある階の突き当たりにある被服室まで来ていた。この教室は家庭科に使うマネキンが六個置いてある。だがどれも下品な落書きでいっぱいだ。タクヤは被服室に入り一番奥の机に置いてある札を取り自分の名前の書いてある札を探した。名簿順になっているので簡単に見つかった。


 そして後ろを振り向き戻ろうとしたとき異変に気づいた。六個であるはずのマネキンが七個あるではないか!しかも異様なことにその一つには全く落書きがされていない。見た目はリカちゃん人形をそのまま大きくしたような物だ。しかも!!足が三本ある。さすがに驚きドアに向かって走って逃げ去ろうとしたが突然その人形が動き出した。
「私リカ。バラバラにしていい?」
 と言いタクヤの背中にしがみ付いた。タクヤは
「ギャァァァーーー!!!!!!」
 と叫んだ。無理もない。手に持った血塗られた包丁は首に向けて三本の足は起用にタクヤの足に絡み付いている。包丁からは鉄の臭いがする。恐らく血の臭いだろう。体や右と左の足は冷たいし固いが真ん中の足は少しぬくもりがある。人形であるはずの顔は不気味な笑みを浮かべた。本来なら可愛いはずであるリカちゃん人形が何よりも恐ろしく見えた。タクヤは首に向けられた血塗られた包丁などおかまいなしにリカちゃんを投げ飛ばし全力で逃げた投げ飛ばされたリカちゃんも三本の足を器用に使い走ってきた。
「うわぁぁぁぁ!!!!!!」
 とタクヤは叫び被服室を出て廊下に出た。後ろを振り向いたら三本足のリカちゃんが包丁を振り回しながら追いかけてくる。しかも距離をどんどん縮める。とりあえず階段を下りた。いや手すりを乗り越え飛び降りた。差が開いたところで近くにあったトイレに隠れた。


 校長室では皆歓喜の声を上げていた。しがみついた瞬間にいきなり4000突破して追いかけるとき300ずつアップ。そして距離が縮まってきたところで800ずつもアップしている。敵ながら見事といった感じだ。花子さんが悔しそうに言った
「キーッ!あの子もう7000もいってるじゃない!まだ10分しか立ってないのに!!」
 テケテケも動揺を隠せないようだ。イライラ動き回ってるしやたら鎌をいじったり鎌の先で周りの妖怪を突付いたりしている。初代校長先生も
「なかなか上手い手ですね〜やっぱり直接触れられると恐怖というのは増大しますからね。しかもわざわざいろんな絵の具の色とか使って本物の血とそっくりの色を出しましたね〜そして砂鉄を入れて血の臭いそっくりにしてそれをまた微妙に包丁に塗る下準備も完璧ですね」
 と関心している。皆どうすればいいんだ?とばかりに慌てている。そしてさっき復活した動く人体模型がこっそり校長室を抜けようとしている。恐らく邪魔するためだろう。自分はまさかの逆襲を喰らい点数は下のほうになってしまったからその腹いせもあるだろう。気づかれないように忍び足で歩いた。体はプラスチック(臓器は別)で出来ているので忍び足をしても足が床に当たる音はどうしても消せないが雑談などでにぎわっている校長室ならその音も問題ないだろう。校長室を出た人体模型は音が立たないように校長室のドアを閉めて三本足のリカちゃんがいる被服室の廊下を目指して走った。



 肩はちゃんと回るので手を振りながら短距離の選手みたいなフォームで廊下を駆け抜けた。そして2階への階段からはゆっくり見つからないように壁にくっつきながら上った。2階に上った後は三本足のリカちゃんが来るまでまつつもりだった。そして見つけたらドロップキックを喰らわしてその後ジャイアントスイングで窓から放り投げようかバックドロップで頭勝ち割ろうか考えていた。やがて一つの人影が見えた。はたして人なのか?懐中電灯を持ちながら歩いているところを見れば人であろう。暗いせいなのか後ろに誰かを背負ってる風にも見える。だけどそれは不自然だ、きっと何か重たいものを運んでいるのだろう。人体模型は怪しい笑みを表情には出さず(出せず)に浮かべながら
「ちょうどいいや。脅かしてやろう」
 と思い、そばにあった給食前に手を洗うために使われる水道の下の雑巾やらタワシが無造作においてある物置みたいなところに隠れた。
コツッ…コツッ…コツッ
 足音はどんどん近づいてくる。そして二メートルぐらいの距離まで来た所で
「体をよこせぇぇぇぇぇ!!!!」
 と威勢良く両手を上げて出てきた。相手は『快葉 耐山』20代後半から30代前半であろうと思われる理科の先生である。理科室に置かれている人体模型はその先生の事をよく知っていた。授業が終わった後理科のビデオを生徒に見せるためのテレビで堂々と枝豆をつまみにビール飲みながらAVを見ていることも。
 当然ビビって腰ぬかすだろうと思ったが、耐山は平然としている。あ、そうか!あまりに突然すぎて何が起こったか分かってねぇな!!と思ったが違う。何故なら
「まさかお前まで動いているとはな…全くどうなってるんだよこの学校はよぅ」
 と、またかよ…とでも言いたげの口調で人体模型に言ったからだ。何が起こったか分かってない人体模型をよそに
「ハッ!!」
 と言って札を投げつけた。ただの紙だったら投げても落ちるはずだがこの札はビシッと人体模型のデコに張り付いてる。
 アレ?と思う前に人体模型の意識はなくなり人体模型はもう動かなくなっていた。普通の人体模型に戻ったのである。耐山は欠伸しながら気絶しているタクヤをおんぶしながら学校の見回りをしていた。この男は実は寺育ちなので霊感が強いのだ。昔は妖怪を退治する仕事もしていた。そのことを知るものは生徒も教師も含めて誰もいないのだが。


 校長室では大騒ぎになっていた。あの三本足のリカちゃんがいかにも普通の先生って感じの男によって浄化させられたのだから。モニターには動かなくなったリカちゃん人形がに元通り被服室に置かれている。足も二本だ。校長先生は何が起こったのか信じられない様子で
「もう一回あの様子を見てみよう…アイツは何者なんだ?ただの教師ではないのか?」
 そう言って水晶玉に何かブツブツ言葉を発した。そしたらビデオの巻き戻しのようになって三本足のリカちゃんがタクヤを追いかけてる所まで戻った。


続く
 

 

 




 
 
 
2004/05/24(Mon)01:23:52 公開 / グリコ
■この作品の著作権はグリコさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 えぇ〜霊能力教師って事で絶対
「うわぁ〜コイツゼッテーぬ〜べ〜パクってるし。」
 と思うかもしれません。実際モデルにしてますし。ただ違いを付けるためもっと不真面目な教師にしました。あ、鬼の手はありません(カエレ
 そういえば指にとんがりコーンをつけて鬼の手とかホザいてた人います?その人とは気が合いそうです(マテ
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