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『処刑人の報酬  第二話』 作者:烏賊 / 未分類 未分類
全角3249文字
容量6498 bytes
原稿用紙約10.1枚
                第二話

 ここがどこかなんて疑問は、頭の片隅にも置かれていなかった。
 今の今まで現実に素直に従い生きてきた。だから、どうせここも、地球 の…いや、日本のどこかだろうと考えていた。
 お父さんの故郷…。そういや僕、一度もお父さんの故郷聞いたことない や。
 そんな考えがぼんやりと頭に浮かんでは、消えていく。
 まだ実感がわかなかった。僕の大切な人たちが、僕の目の前から消えた。 それはわかっていることだったのに、なんだか今にもお父さんたちが僕の 肩を叩いてきそうで。
 リリスさんと、アリオーシュさんが出て行ってから、多分数十分はたったと思う。
 2人は、僕に、『ちょっと待っててね』と言い残して、部屋を出て行ってしまった。
 だんだん意識がはっきりしてきた。まだモヤモヤしているが、物を考えることができる。
 いつのまにか、頭にリリスさんとアリオーシュさんの顔が、ボンヤリうつってくる。人間として、地球に生きる生物として、考えられない事実が、 今考えれば2人にはあった。その違和感が、僕の頭に2人の顔を呼び起こ したんだと思う。
 リリスさんは前にも言ったように美しい人だった。目はぱっちりしてい て、鼻もすっとちょうどよく眉間から降りている。肌の色は白くて、頬と まぶたのあたりが薄くピンク色で染まっていた。
 僕が男だったら、惚れていたかもしれない。それほど、キレイな人だ った。
 アリオーシュさんは、女が見れば『男』にも見えるし、男が見れば『女』にも見えるという、中性的な容姿だった。
 僕も、さっきの怒鳴り声で性別を判断したのだ。
 ちょっとだけつりあがった一重まぶたの上には、上向きに上がった眉毛がある。鼻は高くもなく低くもなく、すっきりした感じで面長の顔におさま っている。凛とした顔立ちだった。
 だけど2人とも、『おかしい所』があった。
 一つ目は、目の色。
 アリオーシュさんはそれが紫色だった。リリスさんはあんまり目をよく見なかったから記憶が薄い。けど、確か黄色い目をしていた。
 二つ目は、手の形。
 これはアリオーシュさんだけだったけれど、絶対人間にはありえないものだった。
 アリオーシュさんの手には、茶色い『毛』がびっしり生えていた。さら に、かろうじて指とわかる太い指先からは、限りなく鋭くとがった爪が5 本。
 小さいことかもしれないけど、僕は生まれて今まで、そんな人たちを見たことはなかった。
 けれど、不思議と恐怖心はわいてこなかった。むしろ、ホッとする安心感がそこにある。僕だけ一人生きながらえたから、ホッとしたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 でも、僕は自分だけ助かって一人になっても嬉しくなかった。
 突然荒々しくドアノブがまわされ、勢いよくドアの開くギャシャン、という音とともに6人くらいの人が部屋の中に入ってきた。
 顔に黒い幕をかけて、全身黒い布で覆っているために、男か女かよくわからない。
 その人たちは、いきなり僕の側へ寄ったかと思うと、腕をおさえて、僕を立たせた。それからそのまま、『歩け』とでもいうように、背中を軽く押 す。
 僕のまわりを取り囲むようにならんでいた。
 そのときにはもう意識は完全にハッキリしていた。反発しようかとも考えたけど、どこかに連れて行く様なので、素直にその指示にしたがった。
 部屋を出ると辺りは真っ暗で、何も見えなかった。ただ黒幕の人たちは当たり前のようにスタスタと前にすすんでいく。どうやら、暗闇の中でも、 この人たちは道がわかっているらしい。
 時々、何も無い所に、ろうそくがたててあった。たててあったというよりも、『浮いていた』のほうが正しいかもしれない。
 しばらく歩いた所で、後ろから手がにゅっとでてきて、僕に黒いアイマスクをかけた。今までもなにも見えなかったのに、今度またさらに視界を暗 くさせられてしまった。
 そこから僕は黒幕の人たちの動くままに、同じようにすすんでいった。
 ときどき背中を押された。左に行け、右に進めと、僕に合図する。
 3分かそこら、歩いた感じがした。黒幕の人たちが、突然止まる。
 目の前に門のようなものがあるらしく、それをゆっくりと開く音が聞こえる。それと同時に僕につけられていたアイマスクも、乱暴にとられた。
 ドン、と強く背中を押される。一瞬からだの気管がそれでしめつけられて苦しくなった。おさえられていた手もはなされ、僕は前のめりになって床に倒れる。床は石でできているようで、ひんやりと冷たかった。
 大きな広間のような所で、プラネタリウムのように天井と床が丸くつながっている。
 いったん大きく吸い込んだ空気は冷たく、ぴーんと張り詰めている。
 後ろで、ギギィィィ、と門の閉まる音がした。
 倒れた衝撃でまた頭がふやけてくる。
 くらくらする頭と、だらんと垂れた前髪を押さえながら、僕はゆっくりと半身を起こそうと した。
 とたんに、その半身起こした僕の顔先に濡れたもう一つの鼻先がくっつ く。
「わぁぁぁぁっ!!!」
 僕は当然びっくりして後ろに退いた。別に化け物が来たなんて思ってもなかったけど、犬の顔をドアップで見るのなんて初めてだったから。
 そこには、勢いよくぶんぶんと尾をふる黒い大きな犬がいた。
外見はちょっとこわい感じのする犬だった。だけど、容赦なく僕の顔やら 手やらをなめる、においをかぐ。どうやら敵意はないらしい。
「こら。 もどっといで」
 思いっきりしばらく犬に遊ばれたあと、ようやくどこからか声がする。
 優しげな声だった。黒い犬も、とたんに僕を離れて声の主のもとへ駆けていく。
 犬を目で追う。すると数メートル先に、4匹の犬と、一匹のオウムを肩にのせた男の人が、僕の方を楽しげにみていた。
 顔を上げた僕と目が合っても、そらさずにじっと僕を見ている。
 それから、さぞかし嬉しそうに含み笑いをしてから、口をあけた。
「君が……メフィストのお子さんだね。 うん、よく似てる」
 にこやかな表情で、その人はうんうんと頷いた。まるで親しいように慣れた口調で話す。
 年は20〜30歳くらいの人で、アリオーシュさんよりは少し老けてみえた。黒髪に黒い瞳。一見日本人のように見えたけど、目鼻顔立ちは外国人
みたいだった。
 僕が不安そうな顔をしているのを見て、その人は少しガッカリしたように肩を落とした。
「リリスとアリオーシュは、なにも君に説明してないみたいだね? じゃあまずは自己紹介でもしようか。 僕はベルゼビュート。 そんなに警戒しなくても、捕って食ったりしないから大丈夫だよー。 じゃあ、君の番。 名前は?」
 苦笑いをしながらベルゼビュートと名乗る男の人が言った。
 肩に乗っているオウムが、きぃきぃと鳴きだす。
「オレサマハ、ピーチャン、ダゾー」
 外国人がしゃべる日本語のような声で、オウムが鳴いた。
「お前に聞いてないの! 静かにー」
 ベルゼビュートさんは口に人差し指を当ててオウムに顔を向ける。
 僕はおどおど立ち上がった。ベルゼビュートさんは襲ってくるような人には見えない。
「……千花……です」
 「それじゃあ、千花さん? 今から大切なことを話すから、よく聞いててね?」
 まるで幼い子供をあやすような口調だった。それでも僕は、ゆっくりと頷く。
 ベルゼビュートさんは、再び僕をしばらく見つめてから、話し出した。
「最初は、今君や僕がいるこの空間のことを話そうかな。 多分、信じてくれないと思うけど、そのうち信じなきゃならないようになるよ。 ここはね……」
 一息あける。その態度は、僕をじらすようでもあり、気遣ってくれているようでもあった。
「ここはね……」
 ベルゼビュートさん自身、どこかためらっているようだった。
ちらちらとこまめに僕と目をあわせながら、一回ため息をついて、口を開 く。

「……ここは地獄だよ……」
 
 
 
続く

 
2004/05/03(Mon)11:49:31 公開 / 烏賊
■この作品の著作権は烏賊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
規則に読み残しが…。
すいません。なんか色々守ってなかったようで…。ごめんなさい。
この時点で守れてない規則があれば、教えてくれるとうれしいです。(ちゃんと規則表示のやつみましたけど、読み残しがあると悪いので)
ちなみにピーチャンは喋れます。(聞いてねーよ)




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