オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『神様のゲーム』 作者:来夢 / 未分類 未分類
全角1573文字
容量3146 bytes
原稿用紙約5.65枚
玄関の鏡に映った自分と目が合う。
長い髪のほとんどは後ろに流れ、前に残った髪は頬を隠し、耳にあいた三つのピアスも見えない。
今日は目の上には春らしく淡い緑を、唇にはグロスだけをつけた。
いつもと同じはずの顔。
少し違って見えるのは、化粧のせいじゃない。
これは和馬さんと会うときの私の顔。
軽く深呼吸して、私は家を後にした。

「和馬さん」
待ち合わせをした公園のベンチに、その人は座っていた。
主婦や、子供が多い平日の公園で、スーツ姿で本を読んでいる男の人は少し目立っていた。
「おはよう」
顔を上げ、柔らかく微笑んだ。
「おはようございます」
そういっても、もう11時半を少し過ぎた時間だ。
和馬さんは今日は珍しく午後からのお休みで、私は授業をサボった。
これは和馬さんには秘密。
明るい太陽や青空の下で会うのは、これが初めてだ。
昼間というだけで、全てがこんなにもがらりと雰囲気が変わる。
いつもはどうしても寂しさを覚えてしまうスーツ姿も、今は温かみがあった。
「どこか行きたい所ある?」
「ここでお話しませんか?」
「ここでいいの?」
「ここがいいです」
私は目をつむって空を仰いだ。
暖かい日差しと、芝生の匂い。
目を開けて横を見ると、和馬さんも同じようにしていた。
「気持ちいいね」
太陽の下の横顔は、きらきらと綺麗だった。

和馬さんはお兄ちゃんの先輩だった。
初めて会ったときは挨拶だけで、その次に会ったのはつい最近、道端で偶然に。
お互いに気づいて、挨拶をしていたら、流れで喫茶店でお茶をすることになった。
その時の話が、私にはとても印象に残った。

「和馬さんの駒は順調ですか?」
私は突然前触れもなく聞いたのに、和馬さんは一瞬で何のことか理解したみたいだった。
和馬さんは苦笑いを浮かべて
「覚えてたんだ」
それは忘れられなかった。
「「神様のゲーム」」
同時に言って、私達は笑いあった。

『僕らの人生は神様の人生ゲームの駒なのかもしれない』
そう言ったのだ。
スーツにネクタイの大人が、大学生の私に。
「駒…?」
「運命みたいなものは神様がサイコロで決めてるんだ」
タバコを片手に、冗談めかして言った。
「そうかも・・・」
私は妙に納得してしまった。
「結婚とか、子供の数とかもですか?」
その時私はチョコレートパフェを食べていた。
「人生ゲームってどうしたら勝ちなんだっけ?」
和馬さんは人生ゲームと例えたのに、実はよく知らなかったらしい。
けれど私も詳しくはなくて
「お金が多かったら、じゃなかったですか?」
「だったら俺は負けだな」
負け…か。
「でも負けても困るのは神様ですよね」
「そうだね。別に俺は困らない」
そんな話をしたのはしたのは和馬さんが初めてだった。
神様に操られていると思っていても、何かに失敗したからといって神様のせいにするような人じゃない。
だから自分の意思がないのか、とは思わなかった。
きっとそういう話じゃなった。
「神様がいるかは分からないけど…私も人間を完璧に操っているような…大きな存在がいるような気がします。」
「そっか」
私はその話を聞いた後、私と和馬さんだけはゲームから逃れられたような気がしていた。
私達だけは自分の意思で、自由に自分で選択していけるように思えた。

けれど最近思うんだ。
私の横には和馬さんがいて、これがゲームの結果なら、私はそれで全然構わない。
「お昼は何食べようか」
主婦や子供達はもういなくなっていた。
その変わりにOLやサラリーマンのような人たちが増えてきた。
「お弁当作ってきたんです」
私は隣に置いておいた鞄を膝に乗せて、お弁当箱を取り出した。
「おにぎりの中身は梅干です」
和馬さんはおにぎりを一つ手にとった。
「ありがとう」
もしこれから神様がサイコロを振るなら、慎重にやって下さい。
どうかこれからも和馬さんのいる道を。


2004/04/18(Sun)23:39:25 公開 / 来夢
■この作品の著作権は来夢さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ここまで読んでいただいてありがとうございました(*^^*)
もしよかったら感想などお願いします☆
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除