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『スタッカート』 作者:Laplace / 未分類 未分類
全角1587文字
容量3174 bytes
原稿用紙約6.1枚
「留学奨励プログラムを受けると風の便りで聞いたのですが、真相は如何なのでしょう!?」
 彼が教科書をマイクに見立ててきいた。
 彼女は一瞬硬直したのち、
「ヒント、ダブルベース」と言った。
「ということはソフトボール関係なのですね?」
「その2、鱒」
「鱒とは川魚ですね。ソフトボールとどういう関係が――」
「その3、Cb」
「ごめん、ギブアップ」
 彼はお手上げのポーズ。
 彼女は勝利のため息を吐くと、
「ええ、是非、そうしてください」と言った。

「いつもの穴があるとこで?」
「うん」
 二人は音楽室にいた。彼女は片手に弓を持ち、彼がコントラバスを用意するのを待っている。
「で、今日は?」
「ベートーベンの七重奏曲」
「あー、鼻から牛乳の人か」
 彼女はくすっと笑うと、曲を奏で始めた。
 室内に重低音が満ちる。
「――――留学」
 一瞬、旋律が乱れた。
「えーっと、まずかった?」
 彼は口調とは裏腹に真摯な表情で聞く。
「別にそういうことは」
 彼はやや思案した後。
「ヒントのさ、CbってContrabassの略かなーと、言ってみる」
「当たり」
「うぁ、てことはダブルベースは、ベースですか?」
 彼女は黙って微笑を浮かべ、彼は額に手をついてうな垂れた。
「……鱒は?」
「鱒はベース奏者が夢見る室内楽、この前聞かせた」
「ははっ、ほとんどネタバレだったわけだ」
「その4、私」
 彼女は演奏の手を止めている。
「…………何処に?」
「ウィーン」
「へえ、いつ?」
「一週間後」
「そっか、おめでとう」
 彼は笑顔で祝福の言葉を述べる。
「うん」
 彼女もただ静にうなずく。
「一週間かー。その間は暇?」
「準備とか色々忙しいけど、暇」
「そうか、そうか……じゃ、空港で」
「うん、空港で? ……えっ? 何処か行くとかしないの?」
「して欲しいわけ?」
「特にそういうことは」
「そーいうわけで、いつも通りにいこう」
 彼女は呆れのような笑顔をしていた。

 ――出立前、関西国際空港。
「いってきます」
「いってらっしゃい。じゃなくて、ちょっと」
 彼が彼女に手招きをする。
 彼女は少し首を傾げて「何?」という顔で近づいてきた。
 彼は彼女の両肩をがしっと掴んで、
「さきに言っとく、ごめん」
 唇を奪った。
「…………っ!?」
 彼女は驚きに目を見開きなすがままにされる。
 道行く人が「ひゅーー」などと言ってはやし立てる。彼は一頻り蹂躙した後、彼女を解放した。
「――その、なんていうか、俺のファーストなんで責任とってください」
 彼女は呆けている。彼は赤面中だ。
「ファー、スト、って、私も。ていうか、凄かった」
 何処と無く彼女の口調がたどたどしい。
「さくらんぼで練習したからね」
「さくらんぼ……」
 彼女は確かめるようにつぶやき、
「うん」と満面の笑みで、
「じゃ、いっていきます」と言って歩いていく。
「責任は?」と彼女の背中に彼が声をかけた。
 彼女は手をひらひら振って、
「了解」と言った。

 彼女の到着時刻は疾うに過ぎていた。彼は、まだ来ていない。彼女はロビーで独り彼を待つ。
「まだかな……」
 彼女の独白は辺りの喧騒に紛れ雑然としたさまを思わせる。
「いや、本当遅いね」
「そうそう、もう何やってるんだか。約束の時とかもいつも30分は遅刻して……」
「本人は悪いと思ってると思うよ」
「どうだか」
 どちらからともなく失笑が漏れる。
 彼女は後ろに振り向いて、
「ただいま」と言った。
「おかえり」
 彼は以前とまったく変わらない出で立ちで立っている。
「変わってないね」
「まーね」
 彼女は「はい」と言って荷物を差し出す。
「遅刻者には罰です」
 彼は彼女の目が笑ってない笑みを見て、渋々ながらも受け取った。当然、彼の両手は塞がる。
 彼女は彼の両肩をがしっと掴んで、
「責任を果たしてあげます」
 唇を取り返した。
2004/04/13(Tue)01:09:32 公開 / Laplace
http://www.c-able.ne.jp/~vier-4/
■この作品の著作権はLaplaceさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
彼のキス後の展開に悩んでおります。あっさり過ぎやしないかと。
短いですが、批評感想頂けますと幸いです。
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