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『私達の関係』 作者:来夢 / 未分類 未分類
全角1719文字
容量3438 bytes
原稿用紙約6.75枚
私達はなんとなく一緒にいた。
きっと同じものを見ていても違うことを考えていて、本当は全然違うものを見ていたりもした。
けれど一人でいても考えてしまうのは彼のことで、彼も私の事を想っていてくれるような気がしていた。

何も話さなくても側にいられる人。
それが私達の関係だった。

友達でも恋人でもある。
けれど友達でも恋人でもない。

確かなようで不確かな、曖昧でけれどとても重要な関係。



「久志、帰ろう」
クラスが別々なので、ショートホームが早く終わったほうがクラスまで迎えに行く。
今日は私のクラスの方が早かった。
「あ、帰り職員室よっていいか?」
「うん」
私達は並んで廊下を歩き出した。

無言。

これがいつもなので全然気にはならない。
少し寂しいけれど、無理やり話題を作る気にはならない。
久志は何を考えているのだろう。
私は今日あったことや、これからすることなんかを考えていた。

そしてふと思った。
そういえば久志は歩く速度が遅くなった。
最初は追いつくのも大変なくらい違ったのに、今は並んで歩ける。

不思議。
中学校も、高校に入ってからのクラスも違うのに、どうして私達は一緒にいられるのだろう。
例えば告白されたとか、したとか、友達に知り合いがいたとかそんなこともなかったのに。

考えてみると、私達の関係は不思議なものかもしれない。
友達みたいに簡単には割り切れない感情はある。
けれど恋人のように、好きだと言ったことも言われたこともない。
それでも二人でいても気まずくはなくて、いつだって笑って側にいられる。

いつから私達はこんな関係になったのだろう。

私はつい考えていたことを口に出してしまった。
「久志は覚えてる?最初に会ったときのこと」
「何?昔話?」
久志だって違うことを考えていたはずで、迷惑だったかなと思ったけれど、すぐに返事が返ってきて嬉しかった。
「ん〜、思い出せないんだよね」
久志は少し笑って言った。
「入学式のとき、俺が杏子のリボンを直したんだよ」
「そうだっけ?」
私の記憶はぼんやりとしていて、全然つかめなかった。
「そう。すっごく曲がってて、俺気になっちゃってさ」
「思い出せない」
「その後何回か駅であって、話すようになったんだろ」
駅で会ったのは少し覚えている。
何回かリボンを直された気もする。
「杏子のリボン、最近はやっと直ったよな」
そういって、久志は私の制服のリボンのあたりを見た。
「・・・変わったよなぁ。いろいろ」
「そうだね」

いろいろ悩んだりもした。
久志が女の子に告白された時は、すごくショックで不安になった。
けれど久志が彼女を作らないのは、私と同じ気持ちだからかな、と思ったりいた。
はっきりと気持ちを伝えようと思ったこともあったし、もう一緒にはいられないと思ったことも何度かあった。


「杏子の髪も伸びたし、最近はお化粧まで覚えちゃって…」
「久志だって背伸びたし、歩くの遅くなったよ」
「それは杏子のせいだろ」
「そんなっ…そうだけど…別に頼んでないもん」
「たしかに」

私達は笑いあった。
久志とこんな風に話すのは初めてかもしれない。
久志も今は同じこと思ってる?


「これからも変わっていくんだろうなぁ…」
久志は眩しそうに窓の外に目を向けた。
これから・・・。
「…うん」

これからもずっとこうして側にいられるのかな。
でもいつかは・・・。

そこで職員室に着いた。

「じゃあ、ちょっと待ってて」
「うん」


不確かで曖昧な関係。
少し崩せば、全部壊れてしまうようなものかもしれない。

気持ちを言葉にしてしまえば、確かなものになるのかな。
お互い何も言わないのは、ずるいわけじゃない。

ただ簡単には言葉にしたくない。
いろんな想いがあって、でも結局伝えたいことは一つだけで、それは言葉にすればたった二文字。
そのなかに詰まった想いに、久志は気づいてくれるのかな。



5分もしないうちに、久志は戻ってきた。
「帰ろうか」
「うん。電車間にあうかな。次の電車は何分だっけ?」
「25分だから間に合うだろ」


そして歩き出した。
今度はぽつぽつと、少しだけ言葉を交わしながら。
それもただのくだらない話だけど。

まだ今はこのままでいい。

2004/03/29(Mon)23:59:16 公開 / 来夢
■この作品の著作権は来夢さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ここまで読んでくださってありがとうございました。
ただのよくあるような恋愛小説ですが・・・汗
もしよかったらかんそうお願いします☆
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