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『エンジェル・ザ・ゲート 1〜4』 作者:おぐら / 未分類 未分類
全角7967文字
容量15934 bytes
原稿用紙約29.6枚
1 プロローグ


 この物語の主人公は、『小金井龍太』(こがねいりゅうた)
日常を生きる、まだ受験や将来についてはまだ先にいる、普通の高校生一年生。
 性格も悪くは無いので、友達もたくさんできた。成績のほどは・・・悪くも無ければ良くも無い、微妙なところ。ただ運動神経はかなり良い。
家庭は安定していて、ただ母親との二人暮し。父親は、丁度十年前に行方不明になっている。
特別な才能があるわけでもない、いたって極普通の高校生だった。
 龍太は、日常を生きていた。起きて、学校へ行って、戻って来て寝て、起きて・・・
そんな日常が続くと、妙な確信が心の中にあった。
 しかしそれは、今打ち消される。龍太は、
強制的に日常を棄て、強制的に、非日常を受け取ったのだ。




(少年視点)
 暗い… 暗すぎる…

なんか… 電気とかねぇの?

あ〜あ、俺ってばいつまでここに居んのかな〜…

つーかよ。早く来いよ…

俺待ってるのに…

ずっと待ってるのに…

メチャクチャ暗いんだぞ?ここ。

はぁ〜、あいつが戻ってきたらとりあえず、

ぶん殴ろう…

うん。決めた。そうしよう。渾身の力で。

…あれっ?

あれっ?…そう言えば…

俺って誰を待ってるんだっけ?


(龍太視点)
「うおぉぉ〜!!行ってきま〜〜〜す!!」
 朝っぱらから、ドでかい声が街に響いた。
つーか俺の声。今玄関から飛び出した。
「やっべぇ〜〜!!」
 うん、やばい。遅刻だよ。このままじゃ。
ん?俺?俺は・・・ボブ・サップ。嘘だ。
 俺は小金井龍太。短めの黒い髪、まぁまぁしっくり着てる高校の制服、そしてかなりの美形、それが俺の容姿。一応部活は…帰宅部。別に何もやりたくないから。まぁ運動神経はかなり良いから、スポーツ関係の部活の連中からはしょっちゅう勧誘がくるけど。
「龍ちゃ〜ん!!」
「あっ?」
 誰だ?俺をずい分情けない呼び方で呼ぶ奴は…って一人しかいないけど。
「龍ちゃ〜ん!カバンカバン!!」
 あぁ。玄関で手を振ってる人。あれは俺のお袋。小金井敬子(けいこ)。ちょっと茶色の入ったポニーテイル、スタイルは結構良くて、タバコ吸ってる、ヤンキー。俺のことを龍ちゃんと呼ぶ。ただの嫌味だ。んで、気付く。
「おい!ジャージのままかよ!!」
 現在のお袋の格好は赤いジャージ姿。隣近所には見られたくないな〜。
「そんなことよりカバンだよ!!」
「そんなことより服…」
 ん?カバン?おっと1
「カバン忘れてた!」
 お袋が持ってるの俺のカバンだよ、確実に。
慌てすぎて忘れてた。
「やっと気付いたか」
 お袋がタバコを手にも誓え、煙を吐き出す。
タバコは臭いからやめて欲しいんだけど・・・聞かなくって。
「サンキュー!」
 もうダッシュで玄関までカバンを取りに行った俺に
「全く!早く学校行け!」
 一喝するお袋。何か女らしくネェ〜…
「わかったよ!」
 とりあえず言っておいた。で、走りながらもこう叫ぶ。
「ジャージ着替えろ〜〜〜」


「うわっち!!」
 急ブレーキ。赤信号だ。いやだよねぇ〜、こう言うの。
「早く変われよな!」
 まぁ変わるわけもないが。
「何叫んでんのよ。恥ずかしい」
「あぁ?」
 誰でございますか?あぁ…こいつか。
「おっは〜」
 えっと、この女は白崎麗奈。(しらざきれいな)俺の幼なじみ。
黒い髪の長髪、腰くらいまであるのは昔と変わってない。俺より背がとりあえず低くて、ピーマンが大の苦手。弓道部の、一年で部長になっちまった。よっぽど弓道部には弱い奴が多いんだな〜。
「はいはい。おはよう」
 とりあえず挨拶しといた。
「バカじゃない?遅刻して」
 じゃあお前は何なんだよ。
「はいはい。すいませんでした」
 まぁ絡むの面倒なのであんま突っ込まなかった。そうすると
「何よ!ちゃんと突っ込んでよね!」
 こうなる。長い付き合いだからな〜。別に知りたくも無かったけど。
「もう!」
 一言言って、麗奈はそっぽを向いてしまった。どうもすいませんでしたね。
「ホント。龍太ってノリが悪いよな」
「うぉっ!!」
 おっと。驚いたな〜…
「よう」
 突然隣に現れたこいつ。稲垣光司。(いながきこうじ)
高校からのダチで、強面な奴。けど、空手部のエースなので女子にはモテモテ。実はその道の方≠ニお知り合いとの噂も…。まぁこいつに限ってそんなことは…無いとも言いきれないな。
「2人そろって遅刻かよ?」
 何か麗奈と同じ突込みを待ってそうだな〜。
「はいはい。すいませんでした」
「だから突っ込めって!!」
 やっぱし…。面倒なんだよ…。
麗奈も横で頬を膨らましてるし…。
「ともかく3人そろって遅刻か…。珍しいな」
 俺がぼやいた。本当に珍しい。早く行かねぇと生活指導のティーチャー(先生)が…
「あっ!」
 思い出した!突然の俺の声に、麗奈と光司は驚いたようだが、別に気にしない。
「―じゃあな!俺向こうから行く!!」
「はぁ?どこ行くのよ?」
 俺は2人と逆方向へ走っていった。麗奈の声は無視させてもらいましたよ。
何を思い出したかって?近道だよ。この道戻って、その先の公園の横の細道を通れば学校まで一直線なんだよ。よっしゃ!これで遅刻は間逃れる!さよならお2人さん。仲良く遅刻して生活指導のティーチャーにみっちりしごかれて下さい。では〜。


でも…ここを近道しなけりゃ、普通に生活できたんだよな〜俺。
はぁ〜…後悔後に立たず…



2 日常から… 


「おしっ!この道を曲がれば…」
 曲がれば後は学校へ一直線!その時。
「うわっち!」
「アイタ〜!!」
 ドンッ と何かにぶつかった。どこ見て走ってんだか…。しかも声高いな。おい。まるでアニメキャラ(しかも洋画の)だぜ。
「どうもすいません。けど先を急いで…。ん?」
「イテテテテ…」
…なんだ?こいつ?どっかのサーカス団か抜け出してきたのか?地面に尻餅してる。
緑の帽子を深くかぶって目を隠していて、
口は…メイクか?糸で縫いつけてあるみたいだ。よく喋れるな。すげぇ小柄で目算で百四五センチくらいか?ちっちぇなぁ〜。
服はやったぱ緑。ズボンとかじゃなくて、でかい服がスカートみたいになって、体全部すっぽり埋まってる。
「どうもすいません」
 まぁ、俺にも非はあるし、敬語を使う。そして、俺はその変なピエロ(?)に手を差し伸べる。う〜ん。優しい。
「エッ!?」
 ピエロは驚いた。何で?
「…アナタ。ワタシガミエルノデスカ」
 聞き取りにくい…。どっかの外国のなまりか?
「見える?…まぁ見えますよ」
 とりあえず答えた。
「スゴイ…スゴイ…ヤッタゾ!」
 ?意味分からん。何が嬉しいんだよ。転んでどっか打ったのか?
「あの…どうかしたんですか?」
「……!!ツナガッタ!!」
 つーか会話成立してねぇ。


(少年視点)
あ〜あ〜。やっぱ暗い。何にも見えないもん。

俺の姿すら見えない。あ〜…

ともかくぶん殴る。あいつがきたら。

なんかハンマーとかで打ち倒す…

絶対。うん。絶対。うんうん。絶対の絶対。

…あ〜あ…何か眠いな〜…

寝ようかな〜…あれ?

何だ?あれ?…見える…

何か見える。初めてだ。こんなの。

明るいな… 光だ。光だ。

…どうしよう。まぁもちろん。

あそこまで歩いてみよう……

何か眠くなくなったし。とりあえず。

…何か。懐かしい光だ…。


(龍太視点)
「ツナガッタ!ヤッタ!ヤッタゾ!」
 何かうれしそ〜に飛び跳ねてますが?
もう何が何だかわかんねぇよ。
「え〜…何がそんなに嬉しいんですか?」
「ワタシハ『ベンパー』!雷曲の変舞=iらいきょくのへんぶ)!!ベンパーデス!!」
 こいつ質問に答えてくれネェ…ちょっとムカツクね。
「アナタハユウシャ<_!『ミザリー』サマノシレイガ、ヤットハタセルゾ!!」
 はぁ?俺が勇者?しかもみざりー≠チて誰?やっぱ転んだ時にどっか打ったんじゃ…。
「デハイキマショウ!!」
「はぁ?」
 どこに行くんですか?全く。ぶん殴って黙らせた方が良いかな。正当防衛になるし。
きっと警察も…
「時と時を繋ぐ門。鎖を外し、例え魔物が意で参ろうともその門を開けたもう」
「…へっ?」
 何だか声が変わった…?低くなったんだけど…?
「門番ケルベロスの許しを得て、高き時空を飛び越えよう…」
 謎のピエロが両手を挙げた。その両手の真ん中で、黒い塊りが凝縮し始める。何だ?手品?動物の唸り声のような音がその塊りから響き、風が飛び出した。その風は一度、俺の方へ吹き、俺の髪を後ろへとなびかせたけど、その後は塊りに風が引き込まれているように、髪が前へとなびく。
「…あっ?」
 そりゃもう驚くしかネェよ。うん。
 最初、直径十センチほどの黒い塊りが、今は直径一メートルほどまで膨れ上がっていた。
「されば誘え!誰も知らない!だが懐かしき場所へ!!」
「なっ!?」
 おっ!?俺のの足元が浮かんだ!?体はクルリと、おもしろいように一度回転し、黒い塊りへと近づく。その中は漆黒。
ただ風が渦巻いていた。
「―っ!うっ…」
 叫びが響く前に、吸い込こまれた。体ごと吸い込まれ、そのまま消える。俺が。
「フゥ〜…」
 ピエロは大きなため息を付いた。緑の帽子が少し顔に下がる。次の瞬間、唸り声を上げていた塊りが一瞬にして消えた。
「…セカイハヘイワニナルノデショウカ…?」
 知るかよ。で、残ったのは、緑のくそピエロだけだった。



 こうして龍太は、強制的に日常を棄て、非日常を受け取った。



3 非日常へ


(少年視点)
まだかな…結構歩いてきたんだが…

あ〜…疲れる…普通に疲れる…

何べんの言ってるけどあいつは殴る

絶対に殴る。

って言うかあいつ約束破ったな…

戻ってこなかった…

けど…けどホント、アイツって誰だ?

あっ!光が強い!走ろ〜っと!

ん?何だ…?光の中に入った?

入ったは良いけど…地面無いっすよ?


(龍太視点)
 さ〜て…俺はどこに居るのか?
まず俺の見覚えはないね。
 何か髪が髪がスゲェ勢いで後ろに流れているよ。カツラだったらとっくに飛んでるね。
俺の髪の毛も千切れそう。
周りは青い。澄んだ水色だ。
しかも雲が浮かんでる。こんな近くで雲を見たのは初めてだ。
体を大文字に広げて全身で風を受けてます。
さ〜て・・・俺は・・・
「落ちてる!!」
 そんなんだよ!落ちてんだよ!
何か分かんないけどスカイダンビングしてる!!パラシュート無しで!!
「ここどこだよ!?意味分からん!」
 まぁとりあえずピエロのせいだってことはわかってる。次会ったらぶっ飛ばす。
遠い地面は何か緑の草原らしい。まだまだ遠いが逝く≠フもそう遠くは無いだろう。
と…
「ん?」
 …誰?俺の隣で俺と同じ格好でとんでる奴。
「………」
 こっち凝視してるし。
長い金髪で、ボサボサと風に揺れてる。白を基調した服装で、胸には、金ぴかの十字架。こういうのをロザリオって言ったっけ?
俺に負けじと劣らず結構美形だな。瞳は赤い。
「…どうも。そして誰?」
 とりあえず挨拶しといた。我ながらのん気。
「…どうも。で、誰?お前」
 いやお前が誰だよ。それに俺が聞いてんだよ。


(少年視点)
 あ〜…久しぶりの外だ。
何百年ぶりだ?わからん。数えてない。
自分の姿の久々に見たな〜…うん。外。
外…って!空じゃん!うん!空!
メチャクチャ落ちてる!何かすごい!
俺の髪が後ろになびきまくってる!!
…う〜ん。まっ、大丈夫だな。
さてと…どうやって着地…
「ん?」
…誰だ?あれ?見覚えないが…
俺と一緒に落ちてるな…不運だね。
「………」
 こっち凝視してるし。
黒くて短めの髪がなびいてる。服装なんて見たこと無い。田舎のやつか?
「…どうも。そして誰?」
 はぁ?俺が聞きたいよ。それに初めは自分から名乗るもんだろうが。
「…どうも。で、誰?お前」
 だから聞き返してやったよ。


(龍太視点)
「………」
 う〜ん…どうも生意気な奴。まぁ、こちらから名乗っておこう。
「えっと…俺の名前は、小金井龍太。…ここはどこ?」
「こがねいりゅうた?変な名前。…俺は…」
 少年が頭をかしげる。まさか自分の名前を忘れたわけじゃ…
「…俺の名前は…セシル。それだけは思い出せる」
「思い出せる?」
 意味分からん。まぁ名前がわかっただけでも良いか。
「で…お前大丈夫なのか?落ちまくってるぞ?」
 セシルと言った少年が言う…って!
「そうだよ!落ちてるんだ!!やっべぇ!!」
 すっかり忘れてた!相変わらずのん気だ。
「…何とかしてくれない?」
「無理」
 一応頼んでみたけど…まぁ、当たり前だな。
そうこうしてる内に俺は地面へ近づいていく。
…って言うか…俺ってこんなところで死んで良いのかよ?

 まだやって無いゲームだってある。新しく買った服だってある。そう言えば麗奈たちと遊園地に行く約束も…。遣り残したことばっかじゃん。まだお袋も家に残したままなんだぞ?それで死ぬってのか?そりゃないんでないか?だろ?
  だから…
「だから…死にたくない…!」
「はぁ?」
 セシルが首を傾げていた。で、何か首もとのロザリオが光ってるし…。
「お前…」
 何ですか?


(セシル視点)
 「えっと・・・俺の名前は、小金井龍太。…ここはどこ?」
 やっと名乗ってくれたか…でも、こがねいりゅうた?
「こがねいりゅうた?変な名前。…俺は…」
 俺は・・・あれ?なんだったっけ?ちょっと待てよ…あぁ。そうだ。思い出した。
でも何で即答できなかったんだろう…?
「…俺の名前は…セシル。それだけは思い出せる」
「思い出せる?」
 リュウタも聞き返してきた。まぁ、そうだな。俺も変だと思うし。でも、大変なこと忘れてない?
「で…お前大丈夫なのか?落ちまくってるぞ?」
「そうだよ!落ちてるんだ!!やっべぇ!!」
 やっと気付いたか…バカじゃない?こいつ。死ぬっての。
「…何とかしてくれない?」
「無理」
 無理だよ。まだ『力』も戻ってないし。まず記憶がない。自分のことも、ほとんど。それに…
「だから…死にたくない…!」
「はぁ?」
 びっくりしたな。行き成り大声出すな。うるさいったら…えっ?
 光ってる?俺の神聖具=wセルファス』が?…力が…戻った?何で?えっ?
意味分からん…いや。待てよ…。
まさか…まさか…
「お前…」

   龍太は、非日常の世界で、少年と出会った。



4 国へ


(龍太視点)

ドオォォォンッ!!!

 ―ッ!…んだよこのドでけぇ音。
静かにしろよ…俺は死んだんだよ。
静かに眠らせてくれや…
あれ?ここ…どこだ?
 緑の地平線が、俺の周りに延々と広がる。
大の字に、仰向けで寝る俺の横には、大体膝くらいの高さの花や草。その草花が、風が吹くたびに、まるで緑の波のように動く。
ただ、俺の周りの草はなぎ倒されていた。さっき落ちたときの衝撃だな。
…何か綺麗な場所だ…もしかしてここが…
「…天国?」
「いや、お前はまだ人間やってるよ」
 突然、上から話かけられた。そこに立っているのは、セシルだ。
 風が吹くたびに、その金髪が揺れ、この草原以上に綺麗だ。特に白い服装と言うのが良い。まるで天使か…まっ、俺には負けるかな。
いや、ホントだよ?
「…天国じゃないってことは…どこ?」
 とりあえず聞きなおす。
「…さぁ?覚えてない=v
「覚えてない=Hわからないんじゃなくて?」
「あぁ、覚えてない」
「………」
 沈黙。喋ることないし。でも、不思議になっていたことは聞いてみる。
「なぁ、何で俺生きてんの?」
「はぁ?お前わかってねぇのか?」
 わかってない?何が?俺がそんな風な顔をすると、セシルがため息を付き、答える。
「お前空中で落ちてる時俺をシャドー≠ニして使ったろ?俺の力でお前は助かったんだ」
 はぁ…セシルのお陰で助かったと?…今一わからん。…つーか…セシルって…人間なのか?&キいて…見るか?何か失礼そうだし…まぁ聞いてみるか。
「なぁ…セシル。お前って…人間?」
「はぁ?」
 やっぱり。バカかお前、って顔をしてる。
「バカかお前」
 やっぱり。
「俺はシャドー、人間じゃない」
「…へっ?」
 はい?…人間じゃ…無い?しゃどー?
…はい〜意味分かりません〜。
「ちゃんと説明してくれよ!」
 俺が言うと、面倒くさそうにセシルが言う。
「…俺もよく覚えてないんだけどよ。シャドーって言うのは人間の精神力を生んだ実体…つまり超能力だ。で…え〜っと…その具現化した……っだぁ〜〜〜!!!」
「うおっ!!」
 びっくりした〜、行き成り大声出すんだもん。
「面倒くさい!!自分で確かめろ!!」
 …そう言うけどさぁ…
「どうやって確かめるんだ?」
「人に聞け!!」
 人って誰だよ?こんな草原に人なんかいるか?
「人ってどこにいるんだ?」
「国だ!!」
「国ってどこにあるんだ?」
「それは!…それは……それは?」
 わかんねぇのかよ。自慢ぶって言い切ってたくせに。
「ちょっと待て、思い出す」
 セシルがそう言い、俺の横にあぐらをかいて座る。当たり前と言うか、手は顎だ。俺も状態を起こし、あぐらをかいて座る。
「………」
「………」
 しばらくの沈黙。その後、セシルが草原の遥か遠くを見る。
「…向こうにある」
「はぁ?」
「向こうに国がある?」
 『ある?』って何だよ『?』って。ハッキリせんかい!と、知り合いなら叫んでいただろう。
それに国って海をへだてているものなんじゃ?こんなところ歩いてて見つかるものなのか?今一信用できん。
「本当に?」
「あぁ、絶対?」
 だから『?』を付けるなって。
「………」
 しばらく俺は考えた。考え、そして立ち上がる。
「…行ってみるか…」
 俺がそう呟くと、
「しゃあ、俺も行く」
 セシルっも呟いた。
「はぁ?」
 何か、変な奴がついてきた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 広い草原。その緑の地平線は延々と広がっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 空高くから俺を照らしていた太陽は、今は低いところにあり、オレンジ色の夕日になっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 息を切らしているのは、俺。隣のセシルは息一つ切らしていない。スゲェ体力…俺も運動神経と同じくらい体力には自信があるのに…でも何か…この世界に着てから、体が軽くなった。今まで以上に。…いや、待てよ…?この世界?何だ?俺は違う世界に来たって言うのか?はっ、ちゃんちゃら可笑しい話だぜ。
「―はぁ…」
 今のは、息を切らしたのではなくため息。何で俺、こんなことやってるんだろうってため息だよ。ふぅ〜…ホント、何やってんだろ。
「あっ」
 セシルが声を上げる。何ですか?
「……国だ」
「えっ?」
 そこにあるのは、石の壁だった。


(セシル視点)
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 草花を足でなぎ倒しながら、俺は進んで行く。ただ隣に、リュウタって言う奴がいた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 だらしが無い…でも人間にしてはかなりすごい。さっきまで俺たちは走っていた。何十キロ、いや百キロくらいは走ったかも知れないのに、
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「………」
 これだけばててるだけ。普通の人間なら動けない。つーか脱水症状で死ぬ。
 でも…こいつが俺のマスター≠ノなったわけじゃない。リュウタが俺をシャドーとして使ったのは偶然だったようだ。
…しかしリュウタって変な名前だ。
それに何で外に出れたんだろう?って言うかあそこはどこだったんだ?…記憶が無い。
……まっ、いっか。
「あっ」
 おっ?そうこうしている内に
「……国だ」
「えっ?」
 なっ?言ったとおりだろ?国があった!…自信は無かったけど。
2004/03/31(Wed)21:26:07 公開 / おぐら
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■作者からのメッセージ
4話目です。今まで感想をくれた方々ありがとうございます。
これからも感想をくださいましたら嬉しい限りです。
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