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『日曜日のお菓子作り』 作者:来夢 / 未分類 未分類
全角1757文字
容量3514 bytes
原稿用紙約6.4枚
日曜日の午前中、部屋を掃除していると彼女がやってきた。

まさに小春日和。昨日まで降り続いた雨のせいで二日も洗濯が出来ずに、今日も雨だったらコインランドリーに行こうと思っていたところだった。
今日は洗濯はもちろん、おもいっきり掃除も出来る。
洗濯物を干し終わり、冷蔵庫の下とか、そうだ風呂も磨きたいな、なんてうきうきしながら窓を開け、換気を始めたところだった。


「ねぇ、チーズケーキ作って」
そう言って花はチーズケーキの作り方のメモを差し出した。
いきなりやってきていきなりチーズケーキかよ。
花は同じ大学の恋人。なかなか変わったやつだ。
「ダメ。今日は掃除するんだから」
そういってなんとか部屋に入れないように、花の前を手でさえぎった。
花は一度僕の顔を見ると、腕の下をすり抜けて、ずかずか部屋に入っていった。
家に来るのは初めてのはずなのになんて遠慮ない女なんだ。
「おい・・・っ」
「別にキレイじゃない」
花は部屋を見渡して言った。
「目に見えない汚れが…」
掃除をする理由をいいかけた僕の言葉をあっさりと遮って言った。


「はい。掃除する必要なし」


再び僕の前に差し出されたメモを、受け取った。
まだ午前中だ。さっさと作って持たせて帰してしまおう。

「材料は?」
聞くまでもなく、彼女の手にはなにもなかった。
「だって亮くんの家ってなんでもあるでしょ?」
そんな都合よく材料がそろってしまうのが、家だ。
大学生の男の1人暮らしで家にクリームチーズがあるというのは、なかなかないと思う。

「ほら、花は薄力粉30gを2回ふるって」
一人より二人のほうが早いはず。
なんて思った僕は甘かった。
「どうして2回もふるうの?」
ねぇどうして。大量に薄力粉を床にまきちらしながらそれを繰り返した。
ちゃんと30gを図ったのに、薄力粉はもうほとんどなかった。
僕は花からそれを取り上げた。
「空気をふくますんだよ」
花はきょとんとした瞳で僕を見た。
「亮くんってホント物知りね」
尊敬を瞳で上手に表現していた。
これだから憎めないんだよな。
「じゃああたしは卵を割るね」
そして3個床に落として割ってから、なんとか3個の卵を無事ボールに割りほぐした。
その光景を僕はまるで夢のようにみていた。
卵もまともに割れない女子大生がいるなんて信じられない。
「次はなにすればいい?メモ見せて」
床は薄力粉と卵でぐちゃぐちゃだ。
もう何もしてほしくない。心配でいちいち手が止まってしまう。
これなら一人で作った方が絶対早い。

「生クリーム。生クリームを買ってきて」
とっさにそこにあった生クリームを後ろに隠して言った。
スーパーまであるいて10分。往復20分+選ぶ時間で作れるはずだ。
「うん。わかった〜」
僕は今までにないくらい必死で作った。
早く作って、帰して、部屋を掃除しなければ。

「あれ、生クリームは?」
予想通り、花が帰ってきたときチーズケーキはオーブンの中だった。
あとは焼くだけ。
僕はぐちゃぐちゃだった床を磨いていた。
「あ〜、ゴメン。冷蔵庫探したらあったんだ」
嘘も方便。
「なあんだ。じゃあこれは冷蔵庫に入れておくね」
あと約40分で本格的に掃除に取り掛かれる。
早く。早く。
「じゃあ、あたしは使ったもの洗うね」
お、なかなか気が利くな。
「ああ、ありがとう」
この隙に風呂でも磨くかな。いや、布団を干すのが先だな。
いい天気だ。
まぁドジだけど一生懸命料理に取り組むかわいい花も見られたし、悪くなかったかな。
なんて幸せな気分でベランダで日向ぼっこをしているうちに、部屋は地獄と化していた。

「びっくりでしょ?」
キッチンは水浸し。そのうえ洗剤まみれだった。
「あのね、ボールとかに水と洗剤をね、入れて横においておいたらね、手がつかえて・・・バシャって・・・」
「・・・」
「怒ってる?」
怒るよりも呆れていた。
わざと嫌がらせをしようと思ってもココまで出来ない。
「いや、どうせ掃除するから」

掃除を手伝うと言った花に焼きあがったチーズケーキを持たせ、なとか追い返した。

気力を使い果たしたその日の午後、やりたかったことでできたのは、2日ぶんたまっていた洗濯物を片付けることだけだった。


次の日、花が買ってきたはずの生クリームはなく、そこにあったのは牛乳だった。





2004/03/15(Mon)19:01:35 公開 / 来夢
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